○秋田県子ども・子育て支援条例

平成十八年九月二十九日

秋田県条例第七十二号

秋田県子ども・子育て支援条例をここに公布する。

秋田県子ども・子育て支援条例

目次

前文

第一章 総則(第一条―第七条)

第二章 基本的施策(第八条―第十七条)

第三章 子ども・子育て支援活動計画(第十八条―第二十条)

第四章 秋田県子どもの権利擁護委員会(第二十一条―第二十五条)

附則

誰もが安心して子どもを生み、育てることができ、次代を担う子どもが健やかに成長することは、県民すべての願いである。

今日、結婚や子どもを持つことに関する意識が多様化するとともに、子どもに対する虐待やいじめに関する社会的関心の高まり、仕事と子育てとの両立を図ることができる雇用環境を整備する必要性の増大、家庭や地域における子育てを担い、支える機能の低下など子どもや子育てを取り巻く環境は大きく変化し、これらにより急速な少子化の進行を招き、経済活動の衰退、地域社会の活力の低下、子どもの社会性の減退などが懸念されている。

このような状況に対処するためには、子どもの権利が保障され、仕事と子育てとの両立が図られ、地域が一体となって子どもと子育てを支える体制が整備される等の必要がある。

ここに、家庭や子育てに夢を持ち、子どもを生み、育てる者が誇りと喜びを実感し、次代を担う子どもが健やかに成長することができる活力にあふれた地域社会の実現に寄与するため、この条例を制定する。

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、子ども・子育て支援について、基本理念を定め、並びに県、事業者等、子ども・子育て支援活動団体及び県民の責務を明らかにするとともに、子ども・子育て支援に関する施策の基本的な事項を定めることにより、子ども・子育て支援を総合的かつ計画的に推進し、もって子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 子ども・子育て支援 子ども及び子どもを育成し、又は育成しようとする家庭に対する支援、県民の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするための雇用環境の整備、子どもの権利が保障されるための措置その他の子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備のための県、事業者等、子ども・子育て支援活動団体及び県民が行う取組をいう。

 事業者等 事業者、その団体及びその連合団体をいう。

 子ども・子育て支援活動団体 子ども・子育て支援に関する活動を行う団体(営利を目的とする団体を除く。)をいう。

(基本理念)

第三条 子ども・子育て支援は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

 父母その他の保護者が子育てについて最も重要な責任を有するという認識の下に、子育ての意義についての理解と子育てに伴う誇りと喜びをより深められるよう配慮すること。

 子どもが権利の主体であるという認識の下に、子どもがその福祉を害する行為から保護され、差別及び暴力を受けることがなく、その意見を尊重され、調和のとれた人格の形成及び個性の伸長を図ることができる等の子どもの権利が保障され、並びに子どもの利益が最大限に尊重されるよう配慮すること。

 子どもが次代の社会を担う主体であり、有為な人材となるようその育成を図ることが重要であるという認識の下に、県、事業者等、子ども・子育て支援活動団体及び県民が相互に連携し、及び協力して取り組むこと。

 結婚及び出産に関する個人の意思並びに家庭及び子育ての価値に関する多様な意識が尊重されるよう配慮すること。

(県の責務)

第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、市町村と連携し、事業者等、子ども・子育て支援活動団体及び県民の協力を得て、子ども・子育て支援に関する総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。

(事業者等の責務)

第五条 事業者は、基本理念にのっとり、男女が協力しながら子育てに取り組むことができる労働条件の整備その他の当該事業者が雇用する労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備を行うとともに、県が実施する子ども・子育て支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。

2 事業者の団体及びその連合団体(以下「事業者団体」という。)は、基本理念にのっとり、当該事業者団体を構成する事業者又はその団体に対し、前項に規定する雇用環境の整備に関する情報の提供、相談等を行うとともに、県が実施する子ども・子育て支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(子ども・子育て支援活動団体の責務)

第六条 子ども・子育て支援活動団体は、基本理念にのっとり、子ども・子育て支援に関する活動を積極的に行うとともに、県が実施する子ども・子育て支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(県民の責務)

第七条 県民は、子ども・子育て支援の重要性に対する関心と理解を深めるとともに、基本理念にのっとり、子ども・子育て支援に積極的に取り組み、及び県が実施する子ども・子育て支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。

第二章 基本的施策

(基本計画)

第八条 知事は、子ども・子育て支援に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、子ども・子育て支援に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 子ども・子育て支援に関する目標及び施策の方向

 前号に掲げるもののほか、子ども・子育て支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための重要事項

3 知事は、基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、秋田県社会福祉審議会の意見を聴くほか、県民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。

4 知事は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前二項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(県民等に対する支援)

第九条 県は、事業者等、子ども・子育て支援活動団体及び県民が行う子ども・子育て支援を促進するため、情報の提供、助言、交流の機会の提供その他の必要な支援を行うものとする。

2 県は、父母その他の保護者の子育てに係る経済的負担の軽減を図るための施策を推進するものとする。

(職業生活と家庭生活との両立のための措置)

第十条 県は、県民の職業生活と家庭生活との両立が図られるよう事業者が行う雇用環境の整備について必要な措置を講ずるものとする。

(子どもの意見の尊重)

第十一条 県は、子どもが意見を表明する権利を行使することができ、かつ、その意見が適切に反映される環境の整備に努めるものとする。

(子どもの権利の救済)

第十二条 県は、子ども(十八歳未満の者に限る。以下この条及び第二十一条において同じ。)の権利の侵害に関する相談に応ずるとともに、その権利の侵害から子どもを救済するために必要な調査等を行うものとする。

(教育の充実)

第十三条 県は、生命の尊厳、子育ての意義及び子どもの権利が保障されることの重要性についての子どもの関心と理解を深めるよう教育の充実に努めるものとする。

(推進体制の整備)

第十四条 県は、子ども・子育て支援に関する施策を総合的に推進するため、事業者等、子ども・子育て支援活動団体及び県民が連携することができるようにするための体制の整備について、必要な措置を講ずるものとする。

(啓発活動)

第十五条 県は、子ども・子育て支援についての事業者等、子ども・子育て支援活動団体及び県民の関心と理解を深めるとともに、子ども・子育て支援への積極的な参加を促進するため、子ども・子育て支援月間を設けるほか、必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。

2 子ども・子育て支援月間は、毎年八月とする。

(年次報告)

第十六条 知事は、毎年、子ども・子育て支援に関し県が講じた施策を明らかにする報告書を作成し、公表するものとする。

(市町村に対する協力)

第十七条 県は、市町村が子ども・子育て支援に関する施策を策定し、及び実施しようとするときは、情報の提供、助言その他の必要な協力を行うものとする。

第三章 子ども・子育て支援活動計画

(活動計画策定指針)

第十八条 知事は、子ども・子育て支援の総合的な推進を図るため、次条第一項の子ども・子育て支援活動計画の策定に関する指針(以下「活動計画策定指針」という。)を定めなければならない。

2 活動計画策定指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 子ども・子育て支援の実施に関する基本的事項

 子ども・子育て支援の内容に関する事項

 その他子ども・子育て支援の実施に関する重要事項

3 知事は、活動計画策定指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(子ども・子育て支援活動計画)

第十九条 事業者団体及び子ども・子育て支援活動団体は、活動計画策定指針に基づき、子ども・子育て支援に関する計画(以下「子ども・子育て支援活動計画」という。)を策定し、知事に提出することができる。

2 子ども・子育て支援活動計画は、実施しようとする子ども・子育て支援の内容及びその実施時期について定めるものとする。この場合において、事業者団体が策定する子ども・子育て支援活動計画については、次世代育成支援対策推進法(平成十五年法律第百二十号)第十二条第一項の一般事業主行動計画の策定の支援等に関することをその内容に含むものとする。

(表彰)

第二十条 知事は、前条第一項の規定により子ども・子育て支援活動計画を提出したもの又は次世代育成支援対策推進法第十二条第一項若しくは第四項の規定により一般事業主行動計画を策定した旨の届出をしたもので子ども・子育て支援に関し積極的な活動を行っていると認められるものを公表し、又は表彰することができる。

(平二一条例一八・一部改正)

第四章 秋田県子どもの権利擁護委員会

(設置及び所掌事務)

第二十一条 知事の諮問に応じ、第十二条の規定による子どもの権利の救済に関する調査をさせるため、秋田県子どもの権利擁護委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2 委員会は、前項に規定する調査をするほか、知事の諮問に応じ、子どもの権利の擁護に関する重要事項及び秋田県いじめ防止対策推進条例(平成二十八年秋田県条例第五十四号)の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するとともに、その事項に関して知事に意見を述べることができる。

(平二八条例五四・一部改正)

(組織及び委員の任期)

第二十二条 委員会は、委員三人以内で組織する。

2 委員は、学識経験のある者のうちから、知事が任命する。

3 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 委員は、再任されることができる。

(委員長)

第二十三条 委員会に、委員長を置く。

2 委員長は、委員の互選によって定める。

3 委員長は、委員会を代表し、会務を総理する。

4 委員長に事故があるときは、委員のうちから委員長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する。

(会議)

第二十四条 委員会は、委員長が招集する。

2 委員長は、委員会の議長となる。

3 委員会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。

4 委員会の議事は、出席した委員の過半数で決する。

(委任規定)

第二十五条 この章に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が委員会に諮って定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に次世代育成支援対策推進法第九条第一項の規定により策定された計画は、第八条第一項の規定により定められた基本計画とみなす。

3 この条例の施行後最初に任命される委員の任期は、第二十二条第三項本文の規定にかかわらず、平成二十年三月三十一日までとする。

(特別職の職員で非常勤のものの報酬および費用弁償に関する条例の一部改正)

4 特別職の職員で非常勤のものの報酬および費用弁償に関する条例(昭和三十一年秋田県条例第三十五号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(平成二一年条例第一八号)

この条例は、平成二十一年四月一日から施行する。

(平成二八年条例第五四号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 第二十二条から第二十八条まで及び第二十九条(法第三十条第二項及び第三十一条第二項の規定による調査に係る部分に限る。)並びに附則第四項から第六項までの規定 平成二十八年十一月一日

秋田県子ども・子育て支援条例

平成18年9月29日 条例第72号

(平成28年11月1日施行)

体系情報
第3編 あきた未来創造/第3章 次世代・女性活躍支援
沿革情報
平成18年9月29日 条例第72号
平成21年3月19日 条例第18号
平成28年10月14日 条例第54号