○秋田県林内路網の整備の促進に関する条例

平成二十四年三月九日

秋田県条例第六号

秋田県林内路網の整備の促進に関する条例をここに公布する。

秋田県林内路網の整備の促進に関する条例

本県は、世界自然遺産の白神山地をはじめとする多くの緑豊かな山々に囲まれ、雄大で美しい自然景観を擁している。

県土の七割を占める森林は、多様な動植物を育むとともに、再生可能な資源としての木材の生産や県土の保全、水源のかん養など多面的な機能を発揮しながら、人々の生活と相まって本県の風土と文化を形作ってきた。

戦時に荒廃した森林は、その後の官民を挙げた整備によりその姿を取り戻し、特に、昭和三十年代以降の旺盛な木材需要に呼応した植林の推進により、現在では民有林におけるスギ人工林の面積及び蓄積量は全国一を誇るまでに至っている。この先人の努力により創り上げられたスギ人工林は、今まさに成熟期を迎えており、これを資源として活かしながら次代に引き継いでいくことが私たちの努めである。

本県の森林の保全と基幹産業のひとつである林業の持続的な発展を図る上で、効率的な森林施業や木材の搬出を行うための基盤となる林内路網の整備を促進することが欠かせないものとなっている。

ここに、林内路網の整備に関する基本的な理念を明らかにして、その総合的かつ計画的な整備を推進するため、この条例を制定する。

(目的)

第一条 この条例は、林内路網の整備に関する基本理念を定め、並びに県の責務並びに森林所有者等及び県民の役割を明らかにするとともに、林内路網の整備に関する施策の基木的な事項を定めることにより、林内路網の整備を総合的かつ計画的に推進し、もって本県の林業の振興に資することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において「林内路網」とは、森林内に敷設される林道(林業専用道を含む。以下同じ。)及び森林作業道で構成される道路網をいう。

2 この条例において「森林所有者等」とは、県内に所在する森林の所有者及び当該森林を使用し、又は収益する権原を有する者をいう。ただし、国を除く。

(基木理念)

第三条 林内路網の整備は、林内路網が造林、保育、伐採その他の森林施業及び材木の搬出の効率性を高め、林業の持続的な発展を図る上での重要な基盤であることにかんがみ、森林の有する多面的機能(県土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の多面にわたる機能をいう。)の維持に配慮しつつ、総合的かつ計画的に推進されなければならない。

2 林内路網の整備は、県、市町村及び森林所有者等の適切な役割分担及び相互の緊密な連携の下に行われなければならない。

(県の責務)

第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基木理念」という。)にのっとり、市町村及び森林所有者等と連携し、林内路網の整備に関する総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。

(森林所有者等の役割)

第五条 森林所有者等は、基本理念にのっとり、自らが所有し、又は使用し、若しくは収益する森林において必要と認められる森林作業道を設置する等林内路網の整備に積極的に取り組むとともに、県が実施する林内路網の整備に関する施策に協力するものとする。

(県民の役割)

第六条 県民は、森林の適正な整備及び保全並びに林業の持続的な発展を図る上で林内路網の整備を促進することが重要であることについて関心と理解を深めるよう努めるものとする。

(林道網整備計画)

第七条 知事は、森林資源の状況等に応じた林道の適切な配置及びその円滑な整備の推進を図るための計画(以下「林道網整備計画」という。)を定めなければならない。

2 林道網整備計画は、林道の路線名及び区間、延長及び幅員、森林の利用区域面積その他林道の適切な配置を図るために必要な事項について定めるものとする。

3 林道網整備計画を定めるに当たっては、市町村森林整備計画(森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第十条の五第一項に規定する市町村森林整備計画をいう。次条において同じ。)との整合性に配慮しなければならない。

(市町村に対する協力及び支援)

第八条 県は、市町村が市町村森林整備計画を定めるに当たり、基本理念にのっとった林内路網の整備が図られるよう、必要な情報の提供及び助言を行うものとする。

2 県は、市町村が林道の整備に関する施策を策定し、及び実施しようとするときは、当該市町村の区域における森林資源の集中度、森林施業の緊急性等に応じた適切な整備が推進されるよう、技術的な助言その他の必要な協力及び支援を行うものとする。

(森林所有者等に対する支援)

第九条 県は、森林所有者等が行う森林作業道の整備の促進を図るため、市町村と協力して、林道の整備に関する計画に係る情報の提供、森林作業道の整備に関する技術的な助言等を行うものとする。

(財政措置)

第十条 県は、その財政運営上可能な範囲内において、林内路網の整備に関する施策を実施するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。

(年次報告)

第十一条 知事は、毎年、林内路網の整備に関して講じた施策を明らかにする報告書を作成し、県議会に提出するものとする。

この条例は、平成二十四年四月一日から施行する。

秋田県林内路網の整備の促進に関する条例

平成24年3月9日 条例第6号

(平成24年4月1日施行)