○秋田県木材利用促進条例
平成二十八年三月十五日
秋田県条例第六号
秋田県木材利用促進条例をここに公布する。
秋田県木材利用促進条例
秋田杉をはじめとする豊かな森林資源に恵まれた本県においては、木材は建築物のみならず、家庭用品や家具、薪炭など生活の多くの場で使われ、曲げわっぱや桶樽などの伝統的工芸品の製造も盛んであり、林業及び木材産業が地域の基盤産業として、本県の経済を支える重要な役割を果たしてきた。
また、木材の利用は、森林の適切な整備を促し、それにより県土の保全や水源の涵養、地球温暖化の防止など様々な恩恵を私たちにもたらしてきた。
しかしながら、近年においては、様々な分野で木材や木製品に代わり他の素材や製品が使用されるようになり、林業及び木材産業は厳しい状況におかれている。
こうした中で、私たちは、木材を利用することの重要性に関する認識を改めて共有し、林業及び木材産業の振興を図るため、県及び市町村で進めている公共建築物等の木造化及び木質化とともに、日常生活や事業活動における木材の利用の推進に県全体で取り組んでいく必要がある。
ここに、木材の利用の促進について、基本理念を明らかにしてその方向性を示し、これに必要な施策を総合的に推進していくため、この条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、木材の利用の促進について、基本理念を定め、及び県の責務等を明らかにするとともに、木材の利用の促進に関する施策の基本的な事項を定めることにより、木材の利用の促進に関する施策を総合的に推進し、もって県内の林業及び木材産業の振興を図り、本県の経済の活性化に寄与することを目的とする。
一 木材の利用 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第五号に規定する主要構造部その他の建築物の部分の建築材料、工作物の資材、製品の原材料及びエネルギー源として国内で生産された木材その他の木材を使用すること(これらの木材を使用した木製品を使用することを含む。)をいう。
二 森林所有者 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二条第二項に規定する森林所有者をいう。
三 林業事業者 森林施業(造林、保育、伐採その他の森林における施業をいう。)を行う者をいう。
四 木材産業事業者 木材の加工又は流通の事業を行う者をいう。
五 建築関係事業者 建築物の設計又は施工の事業を行う者をいう。
六 県産木材製品 県内の木材産業事業者により、木材を原材料として製造された製品をいう。
七 県産木材の利用 県産木材製品及び県内の森林から産出する木材の利用をいう。
八 木材の優先利用 木造によることが可能な建築物は木造にすることなど木材を他の素材又は他の素材を原材料とする製品より優先的に利用することをいう。
(基本理念)
第三条 木材の利用の促進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
一 森林所有者、林業事業者及び木材産業事業者による創意工夫及び自主的な取組が促進されること。
二 県、市町村、森林所有者、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者、県民その他の木材の利用に関係がある者が相互に連携し、及び協力して推進されること。
三 本県の森林資源を積極的に活用することにより、県土の保全、地球温暖化の防止その他の森林の有する公益的機能の維持増進が図られること。
(県の責務)
第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、木材の利用の促進に関する総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。
(森林所有者及び林業事業者の役割)
第五条 森林所有者及び林業事業者は、基本理念にのっとり、森林の有する公益的機能を維持増進させるため、森林の適切な整備及び保全に努めるとともに、木材産業事業者の安定的な原材料の確保に資するため、木材の計画的な供給に努めるものとする。
(木材産業事業者の役割)
第六条 木材産業事業者は、基本理念にのっとり、林業の振興並びに森林の適切な整備及び保全に資するため、県内の森林から産出する木材の利用に努めるものとする。
2 木材産業事業者は、基本理念にのっとり、本県の経済の活性化に資するため、県産木材製品の国内での販売及び輸出の促進に努めるものとする。
(建築関係事業者の協力)
第七条 建築関係事業者は、基本理念にのっとり、建築物における木材の優先利用を促進するため、その事業活動を通じて、県が実施する木材の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(県民等の理解及び協力)
第八条 県民及び事業者(以下「県民等」という。)は、基本理念にのっとり、木材の優先利用及び県産木材の利用の促進が本県の経済の活性化に資することについての理解を深めるとともに、その日常生活及び事業活動を通じて、県産木材製品の利用に協力するよう努めるものとする。
(木材の優先利用の促進)
第九条 県は、県民の日常生活及び事業者の事業活動における木材の優先利用の促進に必要な施策を講ずるものとする。
(県産木材の利用の促進)
第十条 県は、木材産業事業者による県内の森林から産出する木材の利用及び県民等による県産木材製品の利用の促進に必要な施策を講ずるものとする。
(県産木材製品の国内販売及び輸出の促進)
第十一条 県は、木材産業事業者による県産木材製品の国内での販売及び輸出の促進に必要な施策を講ずるものとする。
(推進体制の整備)
第十二条 県は、木材の利用の促進に関する施策を総合的に推進するため、県、市町村、森林所有者、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者、県民等が意見を交換し、及び相互に協力することができるようにするための体制の整備について、必要な措置を講ずるものとする。
(市町村に対する協力)
第十三条 県は、市町村が木材の利用の促進に関する施策を策定し、及び実施しようとするときは、情報の提供、助言その他の必要な協力を行うものとする。
(指針)
第十四条 知事は、木材の利用の促進に関する施策の総合的な推進を図るため、木材の利用の促進に関する指針(以下「指針」という。)を定めなければならない。
2 指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 木材の利用の促進に関する施策の方向
二 木材の利用の促進に必要な技術の開発
三 木材の利用の促進に必要な人材の育成
四 前三号に掲げるもののほか、木材の利用の促進に関する施策を総合的に推進するために必要な事項
3 知事は、指針を定めようとするときは、あらかじめ、市町村、森林所有者、林業事業者、木材産業事業者及び建築関係事業者の意見を聴くほか、県民等の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。
4 知事は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前二項の規定は、指針の変更について準用する。
(施策の実施状況の公表)
第十五条 知事は、毎年、木材の利用の促進に関する県の施策の実施状況を公表するものとする。
附則
この条例は、平成二十八年四月一日から施行する。