○蘭越町環境基本条例
平成14年3月11日
条例第5号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 環境の保全及び創出に関する基本的施策(第7条―第28条)
第3章 地球環境保全の推進のための施策(第29条・第30条)
附則
<前文>
わたしたちのまち蘭越町は、母なる川「尻別川」の流れとともに、先人のたゆまぬ汗と苦闘で切り拓かれた大地を礎に、個性ある文化を育んできました。みどり豊かな山々、清らかな川、豊穣の沃野など豊かで美しい自然は、わたしたちの暮らしにうるおいとやすらぎを与えてくれています。
しかし、今日の大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済活動や、物質的な豊かさを求める生活様式は、環境に対する負荷を増大させ、今や地球規模での環境を大きく変え、人類の生存さえも危うくしようとしています。わたしたち人類の存続基盤である環境は、決して無限ではなく、自然の生態系の微妙な均衡のもとに成り立つています。人類は、自然の生態系の一構成員でありながら、今やその中で極めて大きな力を持ち、人間の活動そのものが地球環境を大きく左右するようになりました。
わたしたちは、地球環境の保全の観点から、経済社会構造のあり方や生活様式を見直さなければならない課題に直面しています。わたしたちは、健全で豊かな環境の恵みを享受する権利を有するとともに、現在と将来の世代が共有する限りある環境を、豊かで快適なものとして将来に引き継ぐ使命を有しています。
わたしたちは、町民すべての参加と協働により、良好な環境を保全し、及び快適な環境を維持・創出し、並びに環境と共生することにより、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な循環型の社会をつくりあげるため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創出について、基本理念を定め、並びに町、事業者及び町民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創出に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創出に関する施策を推進し、これによつて現在及び将来の世代の町民が環境と共生しながら健康で文化的な生活を営むことができる良好な環境を確保することを目的とします。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響で、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいいます。
(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全で、人類の福祉に貢献するとともに町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいいます。
(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴つて生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含みます。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除きます。)及び悪臭によつて、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含みます。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいいます。
(基本理念)
第3条 環境は、これを積極的に保全し、及び創出する働きかけが行われないと失われやすいものであることを認識し、その保全及び創出の活動を推進していかなければなりません。
2 環境の保全及び創出は、人類の存続基盤である限りある環境の恵みを現在及び将来の世代が共有するとともに、良好で快適な環境が将来にわたつて確保されるように、適切に推進しなければなりません。
3 環境の保全及び創出は、人と環境の共生を基本として、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築に向けて、すべての者の公平な役割分担の下に自主的で積極的な取組みによつて行われなければなりません。
4 地球環境の保全は、地域の環境が地球全体の環境と深く関わつていることから、地域すべての事業活動及び日常生活において推進されなければなりません。
(町の責務)
第4条 町は、基本理念にのつとり、環境の保全及び創出に関する施策を策定し、実施する責務を有します。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念にのつとり、その事業活動を行うに当たつては、これに伴つて生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講じる責務を有します。
2 事業者は、基本理念にのつとり、環境の保全上の支障を防止するため、その事業活動を行うに当たつては、その活動に係る製品その他の物が廃棄物となつた場合に、その適正な処理が図られるように必要な措置を講じる責務を有します。
3 事業者は、基本理念にのつとり、環境の保全上の支障を防止するため、その事業活動に当たつては、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、省エネルギー、リサイクルその他の資源の適正で有効な利用に努めなければなりません。
4 前3項に定めることのほか、事業者は、基本理念にのつとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創出に関する施策に協力する責務を有します。
(町民の責務)
第6条 町民は、基本理念にのつとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければなりません。
2 町民は、基本理念にのつとり、その日常生活における廃棄物の減量化に努めるとともに、省エネルギー、リサイクルその他の資源の適正で有効な利用に努めなければなりません。
3 前2項に定めることのほか、町民は、基本理念にのつとり、環境の保全に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創出に関する施策に協力する責務を有します。
第2章 環境の保全及び創出に関する基本的施策
(施策の基本方針)
第7条 町は、基本理念の実現を図るため、次に掲げる基本方針に基づく施策を推進することとします。
(1) 人の健康の保護及び生活環境の保全並びに自然環境の保全を図るため、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素を良好な状態に保持すること。
(2) 人と自然とが共生する豊かな環境を創出するため、生態系の多様性の確保を図るとともに、森林、河川、農地、水辺等における多様な自然環境を保全すること。
(3) うるおい、ゆとり、やすらぎ等心の豊かさが感じられる社会を実現するため、快適な環境の保全を図りながら、地域の特性を生かした良好な景観の形成を図ること。
(4) 環境への負荷の少ない循環型社会を構築するため、廃棄物の減量化及び適正な処理、資源の循環的な利用並びにエネルギーの適正で有効な利用を推進すること。
(5) 地球環境の保全に資する社会を実現するため、地域における取組み及び国際協力を推進すること。
(環境基本計画)
第8条 町長は、環境の保全及び創出に関する施策の推進を図るため、環境の保全及び創出に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」といいます。)を定めなければなりません。
2 環境基本計画は、環境の保全及び創出に関する長期的な目標及び施策の基本的な事項について定めることとします。
3 町長は、環境基本計画を定めるに当たつては、町民及び事業者の意見を反映することができるように必要な措置を講じることとします。
4 町長は、環境基本計画を定めたときは、速やかに、これを公表しなければなりません。
5 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用します。
(町の施策の策定等に当たつての配慮)
第9条 町は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、実施するに当たつては、良好な環境保全を図る見地から、環境への負荷が低減されるように十分配慮することとします。
(年次報告)
第10条 町長は、毎年、環境の状況並びに環境の保全及び創出に関して講じた施策に関する報告書を作成し、公表することとします。
(環境影響評価の推進)
第11条 町は、環境に著しい影響を及ぼすおそれがある事業を行おうとする事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づいて、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講じることとします。
(規制の措置)
第12条 町は、公害の原因となる行為及び自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講じることとします。
2 前項に定めることのほか、町は、環境の保全上の支障を防止するため、指導、助言その他の必要な措置を講じることとします。
(経済的措置)
第13条 町は、町民及び事業者が環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとることを助長することにより環境の保全上の支障を防止するため、必要で適正な経済的助成を行う措置を講じることとします。
2 町は、環境への負荷の低減を図るため特に必要があるときは、町民及び事業者に適正で公平な経済的負担を求める措置を講じることとします。
(環境の保全及び創出に関する施設の整備等)
第14条 町は、下水及び廃棄物の処理施設その他の環境への負荷の低減に資する施設の整備を推進するため、必要な措置を講じることとします。
2 町は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の快適な環境の保全及び創出に資する事業を推進するため、必要な措置を講じることとします。
(自然環境の保全)
第15条 町は、人と自然とが共生できる基盤としてのみどり豊かな環境を形成するため、多様な自然環境の保全その他の必要な措置を講じることとします。
(快適な生活環境及び良好な景観の形成)
第16条 町は、花いつぱい運動、緑化の推進及び水辺の整備等により、うるおいとやすらぎのある快適な生活環境の形成に必要な措置を講じることとします。
2 町は、自然と調和し、地域の特性を生かした良好な景観の形成に必要な措置を講じることとします。
(廃棄物の減量及び資源、エネルギーの有効利用の促進)
第17条 町は、環境への負荷の低減を図るため、廃棄物の処理の適正化を図るとともに、町民及び事業者による廃棄物の減量並びに資源の循環的な利用及びエネルギーの適切で有効な利用が促進されるよう必要な措置を講じることとします。
2 町は、環境への負荷の低減を図るため、町の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たつては、廃棄物の減量並びに資源の循環的な利用及びエネルギーの適切で有効な利用に努めることとします。
(環境学習)
第18条 町は、町民及び事業者が環境の保全及び創出についての理解を深めるとともに、町民及び事業者が環境の保全及び創出に関する活動の意欲が増進されるよう、環境の保全及び創出に関する学習(以下「環境学習」といいます。)を推進するため、必要な措置を講じることとします。
2 前項の場合において、町は、特に児童及び生徒の環境学習を積極的に推進するよう努めることとします。
(民間団体等の自発的な活動の支援)
第19条 町は、町民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」といいます。)が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創出に関する活動を促進するため、必要な支援の措置を講じることとします。
(民間団体等の施策への参加)
第20条 町は、環境の保全及び創出に関する施策を推進するに当たつては、民間団体等の参加の機会の確保に努めることとします。
(調査の実施等)
第22条 町は、環境の状況を把握し、並びに環境の保全及び創出に関する施策の策定に必要な調査を実施するとともに、監視、測定、試験及び検査の体制の整備に努めることとします。
(環境管理)
第23条 町は、事業者がその事業活動を行うに当たり、その事業活動が環境への負荷の低減に配慮したものとなるよう自主的な管理を行うことを促進するため、助言その他の必要な措置を講じることとします。
2 町は、自らが実施した事業及び利用した製品等における環境への配慮の状況を点検するため、環境マネジメントシステムの構築により、自らの環境管理に努めることとします。
(事業者との協定の締結)
第24条 町長は、事業活動に伴う環境の保全上の支障を防止するために必要があるときは、事業者との間で環境への負荷の低減に関する協定を締結することとします。
(広域的連携)
第25条 町は、大気及び河川の浄化その他の広域的な環境の保全に関する施策を実施するときは、国及び他の地方公共団体と連携して、その推進に努めることとします。
(施策の推進体制の整備)
第26条 町は、環境の保全及び創出に関する施策を推進するため、町の機関相互の連携及び施策の調整を図るための体制を整備することとします。
(財政上の措置)
第27条 町は、環境の保全及び創出に関する施策を推進するため、必要な財政措置を講じることとします。
(委任)
第28条 この章に規定することのほか、環境の保全及び創出に関する施策に関し必要な事項は、規則で定めることとします。
第3章 地球環境保全の推進のための施策
(地球環境保全の推進)
第29条 町は、地球環境の保全に資するため、地球の温暖化の防止、オゾン層の保護等に関する施策を積極的に推進することとします。
(地球環境保全に関する国際協力の推進)
第30条 町は、地球環境の保全に資するため、国等と連携し、国際協力の推進に努めることとします。
附則
この条例は、平成14年4月1日から施行する。
附則(令和2年3月13日条例第1号)抄
(施行期日)
1 この条例は、令和2年4月1日から施行する。