○羅臼町環境基本条例

平成17年6月23日

条例第30号

羅臼町環境基本条例

前文

羅臼町は、日本最後の秘境と称される知床半島の原生の自然環境とオホーツク海の豊かな恵みに育まれ、幾多の先人たちの努力により、今日の発展を遂げてきました。

今、私たちは、知床の豊かな海に感謝し、まちの発展とすぐれた自然環境を次の世代に引き継がなければなりません。

しかしながら、私たちの日常生活や事業活動は、社会経済構造の中で利便性や生活の豊かさを追求してきたことにより、廃棄物の増大や水質汚濁、汚染物質の蓄積など様々な環境問題を引き起こしております。

さらに今日の環境問題は、地球温暖化や森林消失などにより地球規模にまで拡大し、私たちの生活に影響を与え始めています。

これからは、地域から地球規模の環境の保全に取り組むとともに、今までの社会経済活動や生活様式を見直すなど、環境学習をとおして、環境に配慮した行動や考え方を身につけ、環境への負荷の少ない社会を築いていくことが必要であります。

今こそ、私たちの生活がこの自然環境に支えられてきたことを再認識し、美しい景観が織りなす自然と調和した町に住むことに誇りを持てるようにしたい。

このような認識のもとに、町民一人ひとりが自然と共生し、きれいな空気、清らかな水、豊かな海と緑に恵まれた郷土を守り、未来の世代に継承するためここに羅臼町環境基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、自然環境に恵まれた本町の良好な環境保全と自然の利用並びに快適な環境の維持及び創造(以下「環境の保全及び創造」という。)についての基本理念を定め、町、事業者、町民、滞在者の責任を明らかにするとともに、環境施策の基本となる事項を定めることにより、環境施策を総合的かつ計画的に推進し、もって世界的価値を有する知床の自然環境の保護及び海洋生態系の保全と町民が健康で文化的な生活を営む上で必要な環境を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

2 この条例において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体のオゾン層の破壊、海洋の汚染、野生動物の種の減少その他、地球全体又はその広範な地域の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であり、人類の福祉に貢献するとともに、町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

3 この条例において「公害」とは、環境保全上の支障のうち、事業活動その他、人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、良好で快適な環境を享受する全ての町民の権利実現を図るとともに、これを未来の世代に継承していくことを目的として行わなければならない。

2 環境の保全及び創造は、町、事業者、町民及び滞在者のすべてがそれぞれの責務を自覚し、協働して推進されなければならない。

3 環境の保全及び創造は、町、事業者、町民及び滞在者が自らの活動と環境への係わりを認識し、環境への配慮を行うことにより、人と自然が共生し、環境への負荷が少なく持続的に発展することができる社会を構築することを目的として行われなければならない。

4 地球環境保全は、町、事業者、町民及び滞在者が自らの問題として捉え、事業活動や日常生活において積極的に推進されなければならない。

(町の責務)

第4条 町は前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する自然的社会的条件に応じた総合的な施策を計画的に推進する責務を有する。

2 町は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定するとともに、事務事業の実施に当たっては、環境の保全に配慮し、自らが環境管理に努めなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、事業活動を行うに当たっては、環境への負荷を低減するように努めるとともに、その事業活動に伴って生じる公害を防止し、又は自然環境を保全するため、その責任において必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、事業活動を行うに当たっては、土地の形質の変更、工作物の新築又は改築、樹木の伐採及び水面の埋立てを行おうとするときは、あらかじめ当該行為の環境に及ぼす影響に配慮しなければならない。

3 事業者は、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たっては、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は、廃棄されることによる環境への負荷を低減するため、必要な措置を講ずるものとする。

4 事業者は、環境の保全に積極的に努めるとともに、地域社会と協働して、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(町民の責務)

第6条 町民は、基本理念にのっとり、自ら環境への関心を高めるとともに、日常生活において環境への負荷を低減するよう努めなければならない。

2 町民は、快適な環境の維持に積極的に努めるとともに、町が行う環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

(滞在者の責務)

第7条 観光及びその他の目的で滞在する者は、環境の保全に自ら努めるとともに、町が行う環境保全の施策、事業者並びに町民が行う環境の保全及び創造に関する活動に協力する責務を有する。

(年次報告)

第8条 町長は、毎年、町民に環境の状況並びに環境の保全及び創造に関して講じた施策に関する報告書を作成し、これを公表するものとする。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策等

(施策の基本方針)

第9条 町は、基本理念にのっとり、次の基本方針に基づく環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 町民の健康の保護及び生活環境の保全が推進されるよう、大気、水、土壌等を良好な状態に保つこと。

(2) 人と自然が共生する豊かな環境を実現するため、生態系の多様性の確保や野生生物の種の保存を図るとともに、海洋、水辺、森林、農地等における多様な自然環境を保全すること。

(3) 潤い、安らぎ、ゆとり等、心の豊かさを感じることができる社会を実現するため、良好な環境の保全を図ることにより、歴史的・文化的環境資源を保存し、活用するとともに、身近な水辺と緑とのふれあいづくりを推進すること。

(4) 環境に配慮した生活様式を目指し、廃棄物の減量化、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び未利用エネルギーの開発促進を図ること。

(5) 地球環境保全に資する施策を推進すること。

2 町は、施策の基本理念に基づき、すべての施策の策定及び実施に当たっては、環境への配慮を優先して行うものとする。

(環境基本計画)

第10条 町長は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全及び創造に関する長期的な目標や施策の基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する長期的な目標

(2) 環境の保全及び創造に関する基本的施策の方向

(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 町長は、環境基本計画の策定に当たっては、事業者及び町民の意見を反映するよう必要な措置を講ずるとともに、あらかじめ羅臼町環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 町長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

第3章 環境の保全を推進するための施策等

(環境影響評価等の措置)

第11条 町は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行い、又は行おうとする者が、あらかじめその事業による環境の影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づきその事業に係る環境の保全について適正に配慮するよう必要な措置を講ずるものとする。

(規制の措置)

第12条 町は、環境保全上の支障を防止するため、次に掲げる規制の措置を講ずるものとする。

(1) 公害を防止するため、その原因となる物質の排出等に関する規制その他の必要な規制の措置

(2) 自然環境を保全することが、特に必要な区域における自然環境を保全するために必要な規制の措置

(3) 保護することが必要な野生生物、地形若しくは地質又は温泉源その他の自然物を適正に保護するために必要な規制の措置

(4) 人の健康又は生活に係る環境を保全するために必要な規制の措置

2 前項に定めるもののほか、町は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な措置を講ずるものとする。

(事業者との協定の締結)

第13条 町長は、事業者の活動に伴う環境への負荷の低減を図るため、特に必要があると認められるときには、事業者との間で環境に関する協定を締結するものとする。

(経済的措置等)

第14条 町は、事業者及び町民が自らの行為に係る環境への負荷を低減するための施設の整備その他の環境の保全及び創造のための適切な措置を促すため、必要かつ適切な助成又は、その他の措置を講ずるものとする。

2 町は、環境への負荷の低減を図るため、特に必要があるときは、事業所、町民及び滞在者に公平な経済的負担を求める措置を講ずるものとする。

(施設の整備等)

第15条 町は、廃棄物処理施設、生活排水処理施設その他の環境の保全に関する公共施設の整備を図るため、必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、公園、その他の公共施設の整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

3 町は、人と自然との共生をめざした環境を確保するため、身近な自然環境を生かした景観の保全と創造、歴史的・文化的環境資源の保存と活用その他必要な措置を講ずるものとする。

(廃棄物の減量及び資源リサイクルの推進)

第16条 町は、環境への負荷の低減を図るため、公共施設の建設及び維持管理等を行うときは、廃棄物の減量化、資源の循環的利用及びエネルギーの有効利用に努めるものとする。

2 町は、環境への負荷の低減を図るため、事業者や町民による廃棄物の減量化、資源の循環的利用及びエネルギーの有効利用を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。

3 町は、環境への負荷の低減に資する製品等の利用を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。

4 町は、環境への低減に資する事業活動を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(水環境の保全)

第17条 町は、湖沼、河川及び海域における良好な水環境の保全を図るため、必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、飲料等における安全な水の循環と確保を図るため、必要な措置を講ずるものとする。

(緑の確保と快適な生活環境の保全)

第18条 町は、潤いと安らぎのある環境の保全及び創造を図るため、緑化及び環境美化の推進、自然と調和した景観の確保に必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、農地における環境の保全及び創造を図るため、農地の荒廃防止及び有効利用を促進し、環境への負荷の少ない農業の振興その他必要な措置を講ずるものとする。

(身近な水環境と緑とのふれあいづくり)

第19条 町は、良好な自然環境のもとで、人と自然が共生しながら身近な水辺や緑とのふれあいを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(野生生物の保護管理)

第20条 町は、人と自然が共生できる基盤整備を形成するとともに野生生物の多様性を損なうことなく保護管理するため、必要な措置を講ずるものとする。

(環境学習の推進)

第21条 町は、事業者、町民及び滞在者が環境の保全について理解を深めるとともに、自発的な活動を促進するため、環境の保全及び創造に関する学習の推進を図るものとする。

2 町は、特に児童生徒の環境保全及び創造に関する学習の推進を図るものとする。

(自発的活動の推進)

第22条 町は、事業者、町民及び滞在者又はこれらの者が組織する団体(以下「民間団体」という。)が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動を促進するため、必要な支援を行うものとする。

(事業者の環境管理の促進)

第23条 町は、事業者がその事業活動を行うに当たり、その事業活動が環境への負荷の低減となるよう自主的な管理を促進するため、助言その他必要な支援を行うものとする。

(町民等の参加機会の確保)

第24条 町は、環境の保全及び創造に関する施策の推進に当たっては、事業者及び町民の参加機会の確保に努めるものとする。

2 前項の場合において、児童生徒の参加機会の確保についても配慮するものとする。

(町民等の意見の反映)

第25条 町は、環境の保全及び創造に関する施策の推進に当たっては、事業者、町民及び滞在者の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。

(情報の収集及び提供)

第26条 町は、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の推進並びに自発的な活動を促進するため、環境の保全に関する情報の収集並びに事業者、町民及び滞在者への適切な情報提供に努めるものとする。

(調査及び研究の推進)

第27条 町は、国際機関、国、他の公共団体及び民間団体等と協力して、環境の保全及び創造に関する調査並びに研究に努めるものとする。

(監視等の体制の整備)

第28条 町は、環境の状況を的確に把握するため、関係機関と協力して必要な監視、測定、試験及び検査等の整備に努めるものとする。

(国及び他の公共団体との協力)

第29条 町は、環境の保全及び創造に関する広域的に必要な施策について、国及び他の公共団体と協力して推進に努めるものとする。

(施策の推進体制の整備)

第30条 町は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、町の関係部局の連携及び施策の調整を図るものとする。

2 町は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、町民、事業者及び民間団体と協力して推進に努めるものとする。

(財政上の措置)

第31条 町は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。

(地球環境保全等の推進)

第32条 町は、地球温暖化防止等の環境の保全及び創造に関する施策を積極的に推進するものとする。

2 町は、地球温暖化防止等の環境の保全及び創造に関する町民、事業者及び民間団体等の取り組みを促進するため、必要な措置を講ずるものとする。

3 町は、地球環境の保全に資するために国際機関、国、他の公共団体及び民間団体と連携して推進に努めるものとする。

(環境監査)

第33条 町は、自らの事業及び活動における環境への状況を点検するため、自ら環境監査を行うものとする。

2 町は、事業者の自主的な環境管理及び環境監査を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。

第4章 羅臼町環境審議会

(環境審議会)

第34条 環境の保全及び創造に関する基本的な事項を調査審議するため、羅臼町環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、町長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。

(1) 環境基本計画に関すること。

(2) 環境の保全及び創造に関する基本的事項

(3) その他の環境に関する事項

3 審議会は、前項に定める事項に関し、町長に答申するとともに、環境の保全等に関する重要事項について必要があると認めるときは、町長に建議することができる。

(組織等)

第35条 審議会は、次に掲げる者のうちから町長が委嘱する20人以内の委員をもって組織する。ただし、環境に関する十分な論議がなされるよう配慮した選考を行うものとする。

(1) 町内に在住する人(公募を含む)

(2) 専門的知識を有する人

(3) 事業者

(4) 環境保全に関する行政機関の長及び団体の代表者が推薦した人

2 委員の任期は2年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。

3 審議会は、原則として公開とする。

(会長及び副会長)

第36条 審議会に会長及び副会長を置き、委員の中から互選する。

2 会長は、審議会を代表し、会務を統括する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長事故あるときは、その職務を代理する。

(会議)

第37条 審議会の会議は、必要に応じて会長が招集する。

2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことはできない。

3 会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数の時は、会長の決するところによる。

(部会)

第38条 審議会に、部会を設けることができる。

2 部会に属すべき委員は、会長が指名する。

3 部会に部会長を置き、所属委員の中から互選する。

(専門委員)

第39条 審議会に専門の事項を調査するため、専門委員を置くことができる。

2 専門委員は、専門的知識を有する人から町長が任命する。

3 専門委員の任期は、当該事項の調査期間とする。

附 則

(施行期日)

この条例は、平成17年7月1日から施行する。

羅臼町環境基本条例

平成17年6月23日 条例第30号

(平成17年7月1日施行)

体系情報
第7編 生/第3章 環境保全
沿革情報
平成17年6月23日 条例第30号