○羅臼町議会基本条例
平成31年3月11日
条例第3号
羅臼町議会基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第4条―第7条)
第3章 町民と議会の関係(第8条)
第4章 町長等と議会の関係(第9条―第12条)
第5章 会議の運営(第13条―第17条)
第6章 適正な議会機能(第18条―第20条)
第7章 議会機能の強化と体制整備(第21条―第27条)
第8章 継続的な検討と見直し手続き(第28条・第29条)
附則
前文
羅臼町は、世界自然遺産「知床」を有し、豊かな自然と、豊富な水産資源に恵まれ、多くの先人たちの英知と努力によって発展してきました。
住民に最も身近な政府である自治体の最大の責務は、住民福祉の増進を図ることです。そのため、自治・分権型社会の実現に向かう今日、私たちの羅臼町は、町民、議会、町長その他の執行機関がそれぞれの役割と責任を自覚し、より豊かなまちづくりのため、新しい時代を拓いて行くことが求められています。
とりわけ議会議員と町長は、ともに町民の選挙で選出される対等な関係に立つ二元代表民主制の下で、合議制・独任制という、それぞれの特性を活かし、相互に緊張関係を保ちながら、住民福祉の実現のために競い合うことが必要です。
今日、地方分権改革の推進によって自治体の自主・自立がより一層求められ、それとともに町民の代表機関として、議会が地域の発展と住民福祉の向上のために果たすべき役割は、ますます大きくなります。
そのため、普段の議会活動において、町民に開かれ多様に交流・参加を深めることと、議員同士が活発に議論することを基本にすえて、町政及び政策をめぐる論点・争点を明確にし、さらには議会の政策形成能力を高めていく必要があります。
羅臼町議会は、議会に与えられた大きな権限と役割を最大限に発揮するため、ここに羅臼町議会の運営に関する最高規範として、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、羅臼町議会(以下「議会」という。)の運営に関し、基本理念及び活動原則を定めるとともに、羅臼町議会議員(以下「議員」という。)の職務及び責務等を明らかにすることにより、地方分権時代に対応した主体性・機動的な議会活動を確立し、もって町民の負託に応え、町民の福祉の向上及び羅臼町の持続的で豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 町民から選出された議員で構成される議事機関である議会は、町長その他の執行機関(以下「町長等」という。)の活動を監視するとともに、町民の意思及び意見(以下「町民意見等」という。)を町政に反映させるため、政策の立案及び政策提言をする機関として、公平かつ公正な議論をし、真の地方自治の実現に向けて、不断に努力する。
(最高規範性)
第3条 この条例は、議会の運営に関する最高規範であり、議会に関する他の条例、規則、規程等(以下「議会の条例等」という。)を制定し、又は改廃するときは、この条例に定める事項との整合性を図る。
2 議会は、議会に関する日本国憲法、法律、他の法令等の条項を遵守し、解釈・運用する場合においても、この条例に定める理念・原則に照らして判断する。
3 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、選挙を経た任期開始後、速やかにこの条例に関する研修を行う。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会及び議員の責務)
第4条 議会及び議員は、この条例に定める理念・原則、この条例に基づいて制定される議会の条例等を遵守して議会を適正に運営し、町民の代表機関として、町民に対する責任を果たす。
(議会の活動原則)
第5条 議会は、公開性、公正性、透明性、信頼性を重んじて、町民に信頼される開かれた議会、町民参加を推進する議会を目指して活動する。
2 議会は、町長等の町政運営に対する評価を通して、監視機関としての役割を果たすとともに、政策立案、政策提案機能の充実強化を図る。
3 議会は、町民に対し積極的に情報の発信をするとともに、町民の多様な意見を的確に把握し、それらの意見を町政に反映させるための議会運営に努める。
4 議会は、地方分権の進展に的確に対応するため、他の自治体議会との交流及び連携を行う。
5 議会は、議会が議員、町長等、町民等の交流と自由な討議の場であるとの認識に立って、前各項の規定を実現するため、この条例に定めるもののほか、議会の条例等及び議会内での申し合わせ事項等を継続的に見直す。
(議員の活動原則)
第6条 議員は、議会が言論の府であることを十分認識し、議員相互の自由な討議の推進を重んじなければならない。
2 議員は、町政の課題について、分野別・地域別等の町民の意見を的確に把握し、自己の能力を高める不断の研さんに努め、町民に選ばれた者としてふさわしい活動をしなければならない。
3 議員は、個別事案の解決だけでなく、町民全体の福祉の向上を目指し、町政を総合的な見地から捉えた活動をしなければならない。
(議員の政治倫理)
第7条 議員は、町民の代表者としての倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使して、町民の疑惑を招いてはならない。
2 町からの事業の活動運営に対し、補助等を継続して受けている団体等(以下「補助団体」という。)の長に就任しないよう努める。
第3章 町民と議会の関係
(町民参加及び町民との連携)
第8条 議会は、議会に関する情報公開を徹底して町民と共有するとともに、町民に対する説明責任を十分に果たすよう努める。
2 議会は、本会議、常任委員会及び特別委員会の会議を原則公開するとともに、町民が議会の活動に関心を持ち、いつでも参加できるように運営する。
3 議会は、本会議、常任委員会、特別委員会等の運営に当たり、参考人制度・公聴会制度を十分に活用して、町民や学識経験者等の専門的・政策的識見等を議会の討議に反映させる。
4 議会は、請願・陳情を町民による政策提案と位置付けるとともに、提案者の意見を聴く機会を設ける。
5 議会は、町民、町民団体、NPO等との意見交換の場を多様に設けることによって、議会及び議員の政策能力を強化し、町民と議会の協働による政策提案の拡大を図る。
6 議会は、町民に対し、議案等に対する各議員の採決態度及び会議等の出席状況を議会広報で公表する等、議員の活動を的確に評価できる情報を提供する。
7 議会は、町民の参加と連携を推進する基本的な方策として、全議員の取組のもと、町民に対し説明責任を果たす議会報告会を年1回以上開催し、広く町民の意見を聴取して議会活動に反映させる。
第4章 町長等と議会の関係
(町長等と議会及び議員の関係)
第9条 議会と町長は、それぞれの特性を活かし、相互の緊張関係を保ちながら、政策をめぐる論点・争点を明確にする議論を深め、よりよい意思決定を導くように努める。
2 議会及び議員は、一般質問において一問一答方式を実施することによって、論点・争点を明確にし、町民に分かりやすい質問となるよう努める。
3 議長から本会議、常任委員会及び特別委員会等への出席を要請された町長その他の執行機関の長並びに副町長及び教育長は、議員の質疑及び質問に対して、議長又は委員長の許可を得て反問することができる。
(町長による政策等の形成過程の説明)
第10条 町長は、議会に計画、政策、施策、事業等(以下「政策等」という。)を提案するときは、政策等の水準を高めるため、次に掲げる政策等の決定過程を説明するよう努める。
(1) 政策等の発生源
(2) 検討した他の政策案等の内容
(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(4) 基本計画における根拠又は位置付け
(5) 関係ある法令および条例等
(6) 政策等の実施に関わる財源措置
(7) 将来にわたる政策等のコスト計算
(予算及び決算における政策説明資料の作成)
第11条 町長は、予算案及び決算を議会に提出し、議会の審議に付すに当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の政策説明資料を作成するよう努める。
(議決事件の拡大)
第12条 町民の直接選挙によって選ばれる町長と議会議員によって構成される議会が、ともに町政における重要な計画等の決定に公平に参画する観点から、地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項に規定する議会の議決事件について、次のとおり定める。
(1) 羅臼町における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想及び基本計画
(2) 羅臼町過疎地域持続的発展市町村計画
第5章 会議の運営
(自由討議による合意形成)
第13条 議会は、議員による討議の場であることを十分に認識し、議員相互間の討議を中心に運営する。
2 議会は、本会議、常任委員会、特別委員会等において、議員提出議案、町長提出議案及び町民提案等に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の自由討議により議論を尽くして合意形成に努める。
3 議員は、前2項による議員相互間の自由討議を拡大し、政策、条例、意見等の議案の提出を積極的に行うよう努める。
(委員会の活動)
第14条 議会は、委員会の運営にあたって、議案等の審査及びその所管に属する事務調査の充実を図り、それぞれの設置目的に応じた役割を果たすよう活動を行う。
2 委員長は、自由討議による合意形成に努め、委員会で議論を尽くす中で報告書を作成し、報告にあたっては、論点・争点等を明確にして、質疑に対する答弁を行う。
(開かれた活動的な議会の推進)
第15条 議会は、町政の諸課題に柔軟かつ迅速に対応するため、常任委員会、特別委員会等の適正な運営と全ての議会の会議等の連携により機動力を高め、開かれた活動的な議会を推進する。
(一般会議の開催)
第16条 議会は、町政の諸課題に柔軟に対処するため、町政全般にわたって、議員及び町民が自由に情報及び意見を交換する一般会議を開催する。
(議会改革サポート会議の設置)
第17条 議会は、開かれた議会及び民主的な議会運営等を推進するため、議会活性化に向けた議会改革サポート会議を設置する。
2 前項の議会改革サポート会議に関して必要な事項は、議長が別に定める。
第6章 適正な議会機能
(適正な議会費の確立)
第18条 議会は、議員と町長による二元代表制を円滑に運営する観点から、町長と協議し、適正かつ継続的な議会費の確立をめざす。
(議員定数)
第19条 議員定数は、別に条例で定める。
2 議員定数の改正にあたっては、行財政改革の視点だけでなく、分権時代における議会の役割の増大、地域民主主義の確立、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員・議会活動の評価等に関して町民意見等を聴取し、適正な議員定数の確立を期す。
3 議員定数の条例改正案は、地方自治法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合及び町長が提出する場合を除き、改正理由の説明を付して委員会又は議員が提案する。
(議員報酬)
第20条 議員報酬は、別に条例で定める。
2 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、分権時代における議会の役割の増大、地域民主主義の確立、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員・議会活動の評価等に関して議員報酬の標準率又は議員報酬額を示し、町民意見等を参考に適正な議員報酬の確立を期す。
3 議員報酬の条例改正案は、地方自治法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合及び町長が提出する場合を除き、改正理由の説明を付して委員会又は議員が提案する。
第7章 議会機能の強化と体制整備
(議会活性化の推進)
第21条 議会は、社会環境、経済情勢等の変化により新たに生じる町政の諸課題に対応するため、継続的な議会の活性化に努める。
(災害時の対応)
第22条 議会は、町民の生命又は生活に直接影響を及ぼす災害等が発生した場合は、町民及び地域の状況を的確に把握するとともに、議会機能を的確に維持しなければならない。
2 前項に規定する災害等が発生した場合における議会の対応については、議長が別に定める。
(専門的知見の活用及び調査機関の設置)
第23条 議会は、町政の重要課題に的確に対応するため、地方自治法第100条の2の規定により、専門的な知識及び経験を有する者等の積極的な活用を図る。
2 議会は、前項に規定する専門的知見の活用にあたって、必要があると認めるときは、議決により、専門的な知識及び経験を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。
3 議会は、前項の調査機関に議員を構成員として加えることができる。
4 前2項の調査機関に関し必要な事項は、議長が別に定める。
(議員研修の充実)
第24条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化に努める。
2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、町民各層等から情報を得て議員活動に活用する議員研修会及び研究会等を積極的に開催する。
(議会広報の充実)
第25条 議会は、町政に係る重要な情報を議会独自の視点から、常に町民に対して周知するよう努める。
2 議会は、情報通信技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう議会広報活動に努める。
(議会図書室の充実)
第26条 議会は、議員の調査研究及び政策形成並びに立案能力の向上を図るため、議会図書室の充実に努める。
(議会事務局の体制整備)
第27条 議会は、議会及び議員の政策形成及び立案能力を高めるため、議会事務局の調査及び法務に関わる機能を積極的に強化するよう努める。
第8章 継続的な検討と見直し手続き
(継続的な検討)
第28条 議会は、法律等の改正等も踏まえながら、町民意見等や社会情勢の変化等を勘案し、議会の活性化について継続的に議会運営委員会において検討する。
(見直し手続き)
第29条 議会は、常に、この条例の目的が達成されているかどうかの検証を議会運営委員会において行う。
2 議会は、前項の検証の結果、制度の改善が必要な場合は、全ての議員の参加と討論による合意形成に努め、この条例の改正を含む適切な措置を講ずる。
3 議会は、この条例を改正するに当たっては、その改正理由及び背景について詳しく説明しなければならない。
附則
この条例は、平成31年4月1日から施行する。
附則(令和2年6月24日条例第17号)
この条例は、令和2年7月1日から施行する。
附則(令和3年9月16日条例第21号)
この条例は、公布の日から施行し、令和3年4月1日から適用する。