○龍ケ崎市コンプライアンス推進条例
令和4年3月18日
条例第1号
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 龍ケ崎市公益通報等審査会(第8条―第12条)
第3章 内部公益通報(第13条―第22条)
第4章 要望等への対応(第23条―第30条)
第5章 雑則(第31条)
付則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、内部公益通報及び要望等の記録について必要な事項を定めることにより、法令遵守を推進する体制を整備することで、職員等の公正な職務執行の確保を図り、職員の立場を守るとともに、行政運営における責任を明らかにし、もって市民から信頼される市政を確立することを目的とする。
(1) 職員等 次に掲げる者をいう。
ア 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する職員及び同条第3項に規定する特別職に属する職員(市長及び市議会議員を除く。)
イ 市との請負契約その他の契約に基づいて市の業務を行う個人及び法人その他の団体(以下「受託者」という。)の役員並びに当該業務に従事している者
ウ 市の公の施設の管理を行う指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。以下同じ。)の役員及び当該指定管理者が行う市の公の施設の管理の業務に従事している者
エ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第26条第1項に規定する労働者派遣契約により市の業務に従事している者
(2) 任命権者 地方公務員法第6条第1項に規定する任命権者をいう。
(3) 管理監督者 職員を管理し、又は監督する立場にある者をいう。
(4) 事業者等 受託者及び指定管理者をいう。
(5) 通報対象事実 市政運営に関するもので次に掲げる事実をいう。
ア 法令、条例、規則その他の規程(これらに基づく要綱、基準等を含む。以下「法令等」という。)に違反する行為の事実
イ 人の生命、身体若しくは財産又は環境に重大な悪影響を与える不当な行為の事実
ウ 公益に反するおそれのある事実
(6) 内部公益通報 職員等が不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他の不正の目的のためではなく、市政運営において通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料するときに、その旨を通報することをいう。
(7) 公益通報者 内部公益通報を行った者をいう。
(8) 執行機関等 市の執行機関及びその補助機関である者(地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第15条第1項に規定する企業職員を含む。)をいう。
(9) 公職者等 次のいずれかに該当する者をいう。
(ア) 国会議員
(イ) 地方公共団体の議会の議員
(ウ) 他の地方公共団体の長
(エ) 市が出資する団体等の役員
(オ) 龍ケ崎市長
(10) 要望等 公職者等が執行機関等に対して行う当該執行機関等の職務に関する要望、提言、提案、相談、意見、苦情、依頼その他これらに類するものをいう。
(11) 不当要求行為 要望等のうち次に掲げるものをいう。
ア 正当な理由なく次に掲げることを求める行為
(ア) 特定のものに対して有利な又は不利な取扱いをすること。
(イ) 特定のものに対して義務のないことを行わせ、又はその権利の行使を妨げること。
(ウ) 職務上知ることのできた秘密を漏らすこと。
(エ) 執行すべき職務を行わないこと。
イ 執行機関等の公正な職務執行を妨げることが明白である行為
ウ 暴力、威嚇、乱暴な言動その他の社会常識を逸脱する手段による行為
エ 面会の強要、押しかけ、自宅への呼出し及び会議室等閉鎖された空間での面会を求める行為
(職員の倫理保持及び法令遵守の原則)
第3条 職員は、全体の奉仕者であることを自覚し、正当な理由なく一部のものに対して有利な又は不利な取扱いをする等不公平な取扱いをしてはならず、常に市民の立場に立って真摯に職務を遂行しなければならない。
2 職員は、自らの行動が市全体の信用に影響を及ぼすことを認識し、その職務や地位を私的な利益のために利用してはならない。
3 職員は、職務の公正を損なうおそれ又は職務に不当な影響を及ぼすおそれのある職務上知り得た情報について、秘密を確保する等適正に管理しなければならない。
4 職員は、職務の遂行に当たっては、法令等を遵守し、不当要求行為に対しては、き然として対応しなければならない。
5 職員は、行政の透明化の推進と説明責任を果たすことにより、市政に対する市民の理解と協力を得られるよう努めなければならない。
(任命権者の責務)
第4条 任命権者は、研修の実施、公益通報者の保護その他の職員の職務に係る倫理保持及び法令遵守のために必要な措置を講じるものとする。
(管理監督者の責務)
第5条 管理監督者は、自ら職務規律の確保を図るとともに、管理又は監督の対象となる職員の職務に係る倫理保持及び法令遵守に関し、必要な指導を行い、適正かつ公正な職務の遂行を確保しなければならない。
(職員の責務)
第6条 職員は、第3条に規定する倫理保持及び法令遵守の原則に従い、不当要求行為があったときは、これを拒否しなければならない。
2 職員は、不当要求行為があったときは、直ちに上司又は管理監督者に報告しなければならない。
3 不当要求行為を行う者が上司、管理監督者又は任命権者に関係していると考えられるときは、第8条に規定する龍ケ崎市公益通報等審査会に対し、直接、内部公益通報をすることができる。
(事業者等の責務)
第7条 事業者等は、市の受託業務又は指定管理業務を実施するに当たり、その役員、従業員その他の者の職務に係る倫理保持及び法令遵守に関し、必要な指導を行い、適正かつ公正な職務の遂行を確保しなければならない。
第2章 龍ケ崎市公益通報等審査会
(審査会の設置)
第8条 内部公益通報及び要望等への対応その他公正な職務執行の確保に資するため、地方自治法第138条の4第3項の規定に基づく市長の附属機関として、龍ケ崎市公益通報等審査会(以下「審査会」という。)を設置する。
2 審査会は、委員3人をもって組織する。
3 委員は、弁護士その他の法令等に関し専門知識を有し、かつ、公正な判断及び中立的な立場の保持ができる者のうちから市長が委嘱する。
4 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(所掌事項)
第9条 審査会の所掌事項は、次に掲げる事項とする。
(1) 次章の内部公益通報に関する事項
(2) 第4章の要望等への対応に関する事項
(3) 前2号に掲げるもののほか、公正な職務執行の確保に関し、必要に応じ市の執行機関に意見を述べること。
(委員の守秘義務)
第10条 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(会議の非公開)
第11条 審査会の会議は、原則として非公開とする。
(審査会への協力等)
第12条 執行機関等は、審査会の職務の遂行に関し、独立性を尊重するとともに、積極的に協力しなければならない。
第3章 内部公益通報
(内部公益通報)
第13条 職員等は、通報対象事実があると思料するときは、審査会に対し、その事実を通報するよう努めなければならない。
2 職員等は、前項の通報を行う場合に、通報対象事実に係る証拠資料があるときは添付するものとする。
(内部公益通報の窓口)
第14条 内部公益通報は、市の指定する外部相談員(以下「外部相談員」という。)を窓口として、受け付けるものとする。
2 外部相談員は、弁護士の資格を有する者のうちから審査会が推薦し、市長が委嘱する。
3 外部相談員の任期は2年とし、再任を妨げない。
(内部公益通報に係る事前の相談)
第15条 職員等は、通報対象事実と疑われる事実があると思料するときは、当該事実について、外部相談員に対して事前に相談することができる。
2 前項の相談があったときは、外部相談員は、当該相談内容の把握に努め、適切に助言しなければならない。
3 外部相談員は、第1項の相談を行った職員等が当該相談を行ったことにより不利益を受けることのないよう十分に配慮し、当該職員等の権利の保護に努めなければならない。
(調査等)
第16条 内部公益通報があったときは、外部相談員は、通報対象事実に係る基礎的な調査を行わなければならない。
2 外部相談員は、前項の調査を行ったときは、その結果に基づく報告書(以下「調査結果報告書」という。)を作成し、審査会に提出しなければならない。
3 審査会は、調査結果報告書の提出があったときは、速やかに、通報対象事実の調査を開始しなければならない。ただし、調査結果報告書の内容を確認し、通報対象事実があると認められないときは、直ちにその旨を公益通報者に通知することができる。
4 審査会は、通報対象事実について調査するため必要があると認めるときは、外部相談員に審査会の会議への出席を求め、意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
5 審査会及び外部相談員は、通報対象事実について調査するため必要があると認めるときは、市長、職員等その他の関係者に対し説明を求め、その保有する帳簿、書類その他の資料を閲覧し、若しくはその写しの提出を求め、又は実地の調査の受入れを求めることができる。
6 審査会は、内部公益通報の処理の状況について、公益通報者に適宜情報を提供しなければならない。
(調査の結果に係る通知等)
第17条 審査会は、前条の規定による調査の結果、通報対象事実があると認めるときは、その旨及び当該通報対象事実に対する是正措置について、当該措置を実施すべき市の執行機関に通知しなければならない。
2 審査会は、前項の規定により通知を行ったときは、当該通知の内容を当該公益通報者に通知しなければならない。
3 審査会は、前条の規定による調査の結果、通報対象事実があると認められないときは、その旨を当該公益通報者に通知しなければならない。
4 前項の場合において、審査会は、公正な職務執行の確保に関し必要があると認めるときは、内部公益通報があった旨及び当該事実に関する意見について、当該事実に係る市の執行機関に通知しなければならない。
(是正措置の実施等)
第18条 前条第1項の規定による通知を受けた市の執行機関(以下この条において「是正機関」という。)は、速やかに、是正措置を講じ、規則で定める期間内にその内容を審査会に報告するとともに、公表しなければならない。
2 是正機関は、規則で定める期間内に是正措置を講ずることができない場合は、理由を付してその旨を審査会に報告しなければならない。
3 審査会は、第1項の是正措置により通報対象事実の解決が図られているかどうかについて確認を行い、必要があると認めるときは、是正機関に対し、更に必要な是正措置を講ずるよう通知することができる。
5 審査会は、第3項の通知をしたにもかかわらず、是正機関が正当な理由なく是正措置を講じないときは、その旨及び当該通知の内容等を公表することができる。
(不利益な取扱いの禁止)
第19条 公益通報者は、内部公益通報を行ったことを理由として、いかなる不利益な取扱いも受けない。
2 内部公益通報に係る調査に協力した者(以下「調査協力者」という。)は、調査に協力したことを理由として、いかなる不利益な取扱いも受けない。
(不利益な取扱いに係る申出等)
第20条 公益通報者又は調査協力者は、内部公益通報を行ったこと又は調査に協力したことを理由として、不利益な取扱いを受けたと思料するときは、審査会にその旨を申し出ることができる。
2 審査会は、前項の規定による申出があったときは、当該申出に係る不利益な取扱いの内容について調査を行わなければならない。
3 審査会は、前項の調査のため必要があると認めるときは、執行機関等に対し説明を求め、その保有する帳簿、書類その他の資料を閲覧し、若しくはその写しの提出を求め、又は実地の調査の受入れを求めることができる。
4 審査会は、前2項の規定による調査を行うに当たり、不利益な取扱いを受けた旨の申出をした公益通報者又は調査協力者(以下「申出者」という。)及び当該申出者が属する市の執行機関に意見の陳述、弁明書の提出等の機会を与えなければならない。
(不利益な取扱いに関する調査結果の通知等)
第21条 審査会は、前条の規定による調査の結果、不利益な取扱いの事実があると認めるときは、その旨及び当該取扱いに対する是正措置について、申出者が属する市の執行機関に通知しなければならない。
2 審査会は、前項の規定による通知を行ったときは、当該通知の内容を申出者に通知しなければならない。
3 審査会は、前条の規定による調査の結果、不利益な取扱いの事実があると認められないときは、その旨を申出者及び当該申出者が属する市の執行機関に通知しなければならない。
(不利益な取扱いの是正等)
第22条 前条第1項の規定による通知を受けた市の執行機関は、速やかに、申出者に対する不利益な取扱いの是正措置を講じ、審査会に報告しなければならない。
2 審査会は、前条第1項の規定による通知を行ったにもかかわらず、市の執行機関が正当な理由なく申出者に対する不利益な取扱いに対する是正措置を講じないときは、その旨及び当該通知の内容等を公表することができる。
第4章 要望等への対応
(要望等への対応の基本原則)
第23条 執行機関等は、要望等の重要性を十分理解し、誠実にその内容を受け止め、適正に対応しなければならない。
2 執行機関等は、特定のものを特別に扱うことを求める要望等に対しては、正当な理由なく、そのものに対して便宜若しくは利益を図り、又は他のものの権利若しくは利益を害することにならないよう、慎重かつ適切に対応しなければならない。
3 執行機関等は、不当要求行為が行われた場合(不当要求行為が行われるおそれが切迫していると認める場合を含む。)は、公正な職務執行及び執行機関等の安全の確保を図るため、複数の職員により組織的に、かつ、き然とした態度で対応しなければならない。
(要望等の記録等)
第24条 執行機関等は、要望等を口頭により受けたときは、その内容を確認し、簡潔に記録するものとする。この場合において、当該記録を行うに当たっては、不実又は偽りの記載をしてはならない。
2 執行機関等は、要望等を受けるに当たり、当該要望等の内容を録音及び録画することができる。
(1) 公式又は公開の場における要望等であって、議事録その他これに類するものとして別に記録がされるとき。
(2) 要望等の内容が単なる問合せ又は事実関係の確認にすぎないことが明白であるとき。
(諮問等)
第26条 市の執行機関は、要望等が次に掲げる場合であって必要があると認めるときは、審査会に諮問するものとする。
(1) 不当要求行為を受けたと思料するものであるとき。
(2) 不当要求行為に該当するかどうか判断できない内容であるとき。
2 前項の規定により諮問があったときは、審査会は、速やかに、要望等に係る調査を開始しなければならない。ただし、要望等が明らかに不当要求行為に該当しないと認めるときは、直ちにその旨を市の執行機関に答申することができる。
3 審査会は、要望等について調査するため必要があると認めるときは、執行機関等に対し説明を求め、その保有する帳簿、書類その他の資料を閲覧し、若しくはその写しの提出を求め、又は実地の調査の受入れを求めることができる。
4 審査会は、第1項の規定により諮問された事項について調査するときは、要望等を行った者(以下「要望者」という。)に意見の陳述、弁明書の提出等の機会を与えなければならない。
(審査会の答申)
第27条 審査会は、前条の規定による調査の結果、要望等が不当要求行為に該当すると認めるときは、その旨及び当該要望等への対応について、市の執行機関に答申する。
2 審査会は、前条の規定による調査の結果、要望等が不当要求行為に該当すると認められないときは、その旨を市の執行機関に答申する。
3 審査会は、前2項の規定により市の執行機関に対して答申したときは、当該答申の内容を当該要望者に通知しなければならない。
(審査会の答申の尊重)
第28条 市の執行機関は、前条第1項の規定による審査会の答申があったときは、不当要求行為を断固として拒否し、当該不当要求行為に応じることができない旨を要望者に回答するとともに、審査会の答申の内容を尊重し、必要な措置を講じなければならない。
2 前項の規定による回答を行ったにもかかわらず、要望者が引き続き不当要求行為を行うときは、市の執行機関は、当該要望者の氏名、当該不当要求行為の内容、当該回答の内容等を公表することができる。
(要望等の記録の報告等)
第29条 市の執行機関は、第24条に規定する要望等の記録を整理し、規則に定めるところにより、審査会に報告しなければならない。
2 審査会は、前項の規定により報告された記録を確認し、不当要求行為に該当すると認めるものについては、速やかに、調査を開始しなければならない。
3 審査会は、第1項の規定により報告された記録に関し、その対応等について市の執行機関に意見を述べることができる。
4 審査会は、前項の意見を述べるに当たり、必要があると認めるときは、当該要望者に意見の陳述、弁明書の提出等の機会を与えなければならない。
(公表)
第30条 市長は、市の執行機関における要望等の記録の件数その他の運用状況を取りまとめ、規則に定めるところにより、毎年度公表するものとする。
第5章 雑則
(委任)
第31条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
付則
この条例は、公布の日から起算して2月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。
(令和4年規則第23号で令和4年5月17日から施行)