○瀬戸市子どもの権利条例
令和4年9月22日
条例第22号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 子どもの権利(第3条―第6条)
第3章 子どもの権利を保障する市及び保護者等の責務(第7条―第10条)
第4章 子どもの権利を保障する支援(第11条―第16条)
第5章 子どもの権利侵害からの救済及び回復(第17条―第20条)
第6章 雑則(第21条)
附則
子どもは、生まれながらにして、一人一人が独立した人格を持ち、自らの力で未来を切り開く主体です。子どもは、大人と同じように、一人の人間として様々な権利を有しています。国際連合は、子どもの基本的人権を保障するための「児童の権利に関する条約」を1989年(平成元年)に採択し、1990年(平成2年)に国際条約として発効しました。わが国は、この条約を平成6年に批准しています。
しかしながら、現状では幸せな環境で夢を持つて日々暮らしている子どもがいる反面、差別や虐待、貧困、いじめ、自由な意思の表現が抑えられること等に悩み苦しむ子どもたちがおり、子どもの権利が守られているとは言い難い状況にあります。
本市は、子どもの最善の利益が優先して考慮されることを基本理念とした瀬戸市子ども総合計画に基づき、子どもの健やかな育ちをまちぐるみで総合的かつ計画的に推進するに当たり、その基盤として子どもの権利を守り、子どもの権利が保障される環境(子どもにやさしいまち)を整えることが重要となります。
このことから、本市は子どもの権利を保障することを目的にこの条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、子どもの権利並びに市、保護者、学校等関係者及び地域住民等の責務を明らかにするとともに、子どもの権利を保障するための支援、子どもの権利侵害からの救済及び回復のための施策の基本となる事項等を定めることにより、子どもの権利を保障することを目的とする。
(1) 子ども 市内に在住し、在学し、又は在勤する18歳未満の者その他これらの者と等しく権利を認めることがふさわしい者をいう。
(2) 保護者 親又は親に代わつて子どもを養育する立場の者をいう。
(3) 学校等関係者 学校、保育所、児童養護施設その他子どもが学び、又は育つことを目的として通学し、通園し、通所し、又は入所する施設の関係者をいう。
(4) 地域住民等 地域の住民、地域で活動を行う団体、地域の事業者等をいう。
(5) 保護者等 保護者、学校等関係者及び地域住民等をいう。
(6) 関係機関 他の地方公共団体、警察、医療機関等をいう。
(7) 虐待等 虐待、いじめ、体罰等をいう。
第2章 子どもの権利
(安全に安心して生きる権利)
第3条 子どもは、安全に安心して生きるため、次に掲げる権利が守られなければならない。
(1) 命が守られること。
(2) 愛情をもつて大切に育てられること。
(3) 健康な生活ができ、適切な医療を受けられること。
(4) 虐待等のあらゆる暴力及び犯罪から守られること。
(5) あらゆる差別を受けないこと。
(6) プライバシーが守られること。
(自分らしく生きる権利)
第4条 子どもは、自分らしく生きるため、次に掲げる権利が守られなければならない。
(1) 自分の存在を認められ、尊重されること。
(2) 自分で自分のことを決めること。
(3) 自分の目標に向かつて挑戦すること。
(主体的に参加する権利)
第5条 子どもは、自分に関わることに主体的に参加するため、次に掲げる権利が守られなければならない。
(1) 意見を表明する機会が与えられること。
(2) 自分の意見が尊重されること。
(3) 意見を表明するため、必要な情報の提供その他支援を受けられること。
(のびのびと豊かに育つ権利)
第6条 子どもは、のびのびと豊かに育つため、次に掲げる権利が守られなければならない。
(1) 遊ぶこと。
(2) 学ぶこと。
(3) 食べること。
(4) 心及び体を休めること。
(5) 文化、芸術、スポーツ、社会体験等の豊かな自己を育む経験ができること。
第3章 子どもの権利を保障する市及び保護者等の責務
(市の責務)
第7条 市は、国、他の地方公共団体と連携するとともに、あらゆる施策を通じて、子どもの権利を保障するよう努めなければならない。
2 市は、子どもの権利を保障するため、保護者等と連携及び協働し、必要な施策を実施しなければならない。
(保護者の責務)
第8条 保護者は、子どもの養育及び成長について責任があることを自覚し、ふれあいの機会を大切にして、子どもが健やかに育つよう努めるものとする。
(学校等関係者の責務)
第9条 学校等関係者は、子ども一人一人の発達段階に応じ、子どもが主体的に学び、及び育つことができるよう、必要な支援に努めるものとする。
2 学校等関係者は、虐待及び体罰から子どもを守るため、その解決に向け、市及び関係機関と連携していくよう努めるものとする。
3 学校等関係者は、いじめの発見及び防止に努め、市及び関係機関と連携し、いじめのない社会の実現に努めるものとする。
(地域住民等の役割)
第10条 地域住民等は、子どもを共に暮らす地域社会の一員として認め、子どもが地域で健やかに育つよう支援に努めるものとする。
2 地域住民等は、虐待等のあらゆる暴力及び犯罪から子どもを守るため、安全で安心な地域づくりに努めるものとする。
第4章 子どもの権利を保障する支援
(子どもに関する施策の推進)
第11条 市は、瀬戸市子ども総合計画で策定した施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
2 市は、瀬戸市子ども総合計画を改定する場合は、第13条に規定する子ども・若者会議を始めとする子どもの意見を聴取する機会を設け、その意見を尊重するものとする。
(子どもの権利の周知及び学びの支援)
第12条 市は、子どもの権利について、子ども及び保護者等に広く周知するとともに、子ども及び保護者等が子どもの権利を学べるよう支援するものとする。
(子ども・若者会議の設置)
第13条 市は、広く子どもの意見を聞き、その意見を尊重するため、子ども・若者会議を設置する。
(虐待等に対する取組)
第14条 市及び学校等関係者は、関係機関と連携し、子どもへの虐待等の早期発見に取り組むものとする。
2 市及び学校等関係者は、虐待等を受けた子どもを適切かつ速やかに救済するため、関係機関と協力して必要な支援を行うものとする。
3 市及び学校等関係者は、虐待等を予防するため、必要な取組を実施するものとする。
(子どもの育ちの支援)
第15条 市は、子どもが自発的に様々なことを体験し、及び仲間と交流する場を作る等、豊かな自己を育むことを支援するものとする。
2 市及び学校等関係者は、子ども及び保護者がいつでも安心して相談できる場を作る等の支援をするものとする。
(子育て家庭への支援)
第16条 市は、保護者が子どもの権利を守りながら安心して子育てができ、その責務を果たせるよう必要な支援をするものとする。
2 市及び学校等関係者は、特別に支援が必要な家庭及び子どもに対し、安心して暮らすことのできるよう必要な支援をするものとする。
第5章 子どもの権利侵害からの救済及び回復
(子どもの権利擁護委員の設置)
第17条 市は、権利侵害を受けた子どもを適切かつ速やかに救済するため、子どもの権利擁護委員(以下「擁護委員」という。)を置く。
2 擁護委員は、3人以内とする。
3 擁護委員は、人格が優れ、子どもの権利について見識のある者のうちから市長が委嘱する。
4 擁護委員の任期は3年とする。ただし、再任を妨げない。
(擁護委員の職務)
第18条 擁護委員は、子どもの権利侵害についての相談を受け、及び救済の申立てを受けた場合は、必要に応じて事実の調査及び調整をするものとする。
2 擁護委員は、前項の調査及び調整の結果、必要と認めるときは、子どもの権利を侵害した者に対し、是正措置を講ずるよう勧告すること又は制度の改善を要請すること(以下「勧告又は要請」という。)を行うものとする。
3 擁護委員は、勧告又は要請を行つた者に対し、是正措置又は制度の改善の状況の報告を求めることができる。
4 擁護委員は、前項の報告を受け、その内容を救済の申立てをした者に伝えることができる。
(擁護委員への協力)
第19条 市及び学校等関係者は、前条に規定する擁護委員の職務に協力するものとする。
2 保護者及び地域住民等は、前条に規定する擁護委員の職務に協力するよう努めるものとする。
(勧告又は要請への対応)
第20条 市は、擁護委員から勧告又は要請を受けたときは、その対応状況を擁護委員に報告しなければならない。
第6章 雑則
(委任)
第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、令和4年10月1日から施行する。