○新宿区環境基本条例
平成8年3月26日
条例第13号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 環境基本計画等(第7条・第8条)
第3章 環境の保全に関する施策(第9条―第20条)
第4章 環境審議会(第21条・第22条)
第5章 エコライフ推進員(第23条)
第6章 雑則(第24条)
附則
新宿区は、東京の新都心として発展しながらも、歴史的、文化的資源や貴重な自然が今もなお残されているまちである。
しかし、都市化の進展により、かつての良好な環境が徐々に失われつつあり、さらに、活発な都市活動によって、環境への大きな負荷がもたらされている。
もとより、私たちは、環境の恵みを享受し、健康で安全かつ快適な生活を営む権利を有するとともに、かけがえのない地球環境を子孫に引き継いでいく責務がある。
そのためには、人と自然とが共生することのできる良好な環境を保全し、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会をつくりあげていくことが必要である。今こそ、すべての人びとが、毎日のくらしや事業活動が地球環境と密接な関係にあることを自覚し、環境の保全について、自ら考え、行動しなければならない。
このような認識の下に、うるおいとやすらぎのある良好な環境を創造し、環境宣言都市にふさわしい新宿区をつくりあげていくために、ここに、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全について基本理念を定め、新宿区(以下「区」という。)、区民及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する基本的な事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって良好な環境を実現することを目的とする。
(1) 環境の保全 良好な環境を維持し、回復し、及び創造することをいう。
(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に基づく生活環境の侵害であって、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭等によって、人の生命若しくは健康が損なわれ、又は人の快適な生活が阻害されることをいう。
(4) エコライフ 環境の保全、環境への負荷の低減等に配慮したくらしをいう。
(平16条例30・一部改正)
(基本理念)
第3条 環境の保全は、区民が環境の恵みを享受するとともに、良好な環境が将来の世代に継承されるよう適切に行われなければならない。
2 環境の保全は、人と自然とが共生し、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を形成することを目的として、すべての者の積極的な活動により行われなければならない。
3 環境の保全は、すべての日常生活及び事業活動において行われなければならない。
(区の責務)
第4条 区は、環境の保全を図るため、次に掲げる事項について基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(1) 公害の防止及び生活環境の保全に関すること。
(2) 大気、水、動植物等からなる自然環境の保全に関すること。
(3) 人と自然との豊かな触れ合いの確保に関すること。
(4) 良好な景観の保全、歴史的文化的遺産の保全等に関すること。
(5) 資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量に関すること。
(6) 地球の温暖化の防止、オゾン層の保護等の地球環境の保全に関すること。
(7) 前各号に掲げるもののほか、環境への負荷の低減に関すること。
(区民の責務)
第5条 区民は、その日常生活において、環境への負荷の低減並びに公害の防止及び自然環境の保全に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、区民は、環境の保全に自ら努めるとともに、区が実施する環境の保全に関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、事業活動を行うに当たっては、環境への負荷の低減に努めるとともに、その事業活動に伴って発生する公害を防止し、又は自然環境を保全するため、その責任において必要な措置を講じる責務を有する。
2 事業者は、その事業活動に関し、環境の保全に関する情報の提供に努めるとともに、区が実施する環境の保全に関する施策に協力しなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、事業者は、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たっては、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は破棄されることによる環境への負荷を低減するために、必要な措置を講じるよう努めるものとする。
第2章 環境基本計画等
(環境基本計画)
第7条 区長は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に進めるため、環境に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 環境基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 環境の保全に関する目標
(2) 環境の保全に関する施策の体系
(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全に関する重要事項
3 区長は、環境基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ新宿区環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 区長は、環境基本計画を策定するに当たっては、区民及び事業者の意見を反映することができるよう必要な措置を講じるものとする。
5 区長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。
6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(環境行動指針)
第8条 区長は、区、区民及び事業者が環境の保全に関して、配慮し、実施すべき事項を環境行動指針として策定しなければならない。
2 区長は、環境行動指針を策定するに当たっては、区民及び事業者の意見を反映することができるよう必要な措置を講じるものとする。
3 区長は、環境行動指針を策定したときは、速やかに、これを公表しなければならない。
4 前2項の規定は、環境行動指針の変更について準用する。
第3章 環境の保全に関する施策
(施策の推進のための措置)
第9条 区は、環境の保全に関する施策を策定し、これを実施するに当たっては、環境基本計画及び環境行動指針との整合を図るものとする。
2 区は、環境の保全に関する施策を総合的に調整し、及び推進するために必要な措置を講じるものとする。
(区民等の意見の反映)
第10条 区は、環境の保全に関する施策に、区民及び事業者の意見を反映することができるよう必要な措置を講じるものとする。
(情報の提供)
第11条 区は、環境の保全に資するため、必要な情報を区民、事業者等に適切に提供するよう努めるものとする。
(区民等の自発的な活動の支援)
第12条 区は、区民及び事業者が行う環境の保全に関する自発的な活動に対し、必要な支援をすることができる。
(環境学習の推進)
第13条 区は、区民及び事業者が環境の保全について理解を深めるとともに、環境の保全に関する自発的な活動が促進されるように、環境の保全に関する学習の推進を図るものとする。
(普及啓発)
第14条 区は、環境の保全に関する知識の普及及び意識の啓発を図るため、必要な措置を講じるものとする。
(誘導的措置)
第15条 区は、区民又は事業者が、環境への負荷の低減を図るための施策の整備その他の適切な措置がとれるよう誘導していくことに努めるものとする。
(環境の監視、測定等)
第16条 区は、大気汚染等環境の状況を的確に把握するため、必要な監視及び測定を行うものとする。
2 区は、前項の規定により把握した環境の状況を公表するものとする。
(情報の収集、調査等)
第17条 区は、環境の保全に関する施策を適正に実施するため、公害の防止、自然環境の保全その他環境に配慮するための制度等について、情報の収集並びに調査及び研究に努めるものとする。
(環境基金の設置)
第18条 区は、区民又は事業者が行う環境の保全に関する活動の資金に充てるため、環境基金を設置することができる。
(国、東京都等との協力)
第19条 区は、環境の保全を図るため、国、東京都その他地方公共団体と協力し、その推進に努めるものとする。
(地球環境の保全の推進)
第20条 区は、地球環境の保全に資する施策を積極的に推進するとともに、国等と連携し、環境の保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。
第4章 環境審議会
(設置)
第21条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、区長の附属機関として、新宿区環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、区長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。
(1) 環境基本計画に関すること。
(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する基本的事項
3 審議会は、環境の保全に関し、区長に意見を述べることができる。
(組織)
第22条 審議会は、16人以内の委員で組織する。
2 審議会の委員は、環境の保全について学識経験を有する者、区民、事業者及び区職員のうちから、区長が委嘱し、又は任命する。
3 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、欠員が生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 前3項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関して必要な事項は、新宿区規則で定める。
(平15条例50・一部改正)
第5章 エコライフ推進員
(平16条例30・追加)
(エコライフ推進員)
第23条 区長は、区民のうちから適当と認める者をエコライフ推進員(以下「推進員」という。)として委嘱することができる。
2 推進員は、自らエコライフを実践するとともに、地域においてその普及のための活動を行う。
3 区長は、推進員の活動に関し、必要な支援を行うものとする。
4 前3項に定めるもののほか、推進員について必要な事項は、別に定める。
(平16条例30・追加)
第6章 雑則
(平16条例30・旧第5章繰下)
(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は、区長が定める。
(平16条例30・旧第23条繰下)
附則
この条例は、平成8年4月1日から施行する。
附則(平成15年6月19日条例第50号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成16年3月24日条例第30号)
この条例は、公布の日から施行する。