○珠洲市議会基本条例
平成30年12月21日
条例第34号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第3条―第9条)
第3章 議会と市民の関係(第10条・第11条)
第4章 議会と市長等との関係(第12条―第17条)
第5章 議会の運営(第18条―第21条)
第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第22条―第24条)
第7章 議員の定数及び報酬(第25条・第26条)
第8章 条例の位置付け及び見直し手続き(第27条・第28条)
附則
珠洲市議会(以下「議会」という。)は、本市の有権者による選挙で選ばれた珠洲市議会議員(以下「議員」という。)で構成され、日本国憲法に規定された二元代表制の地方自治制度に根拠を置く合議制の議事機関です。同じく選挙で選ばれた独任制の執行機関である珠洲市長(以下「市長」という。)とともに、地方公共団体たる珠洲市の代表機関を構成します。この2つの代表機関は、市民福祉の増進を図るため、それぞれ異なる特性と権能を活かしあいながら、市政を運営することが期待されています。
しかし近年、国政同様、地方政治においても行政に対する市民のニーズは拡大し、多様化し、専門化し、自治体議会に対する行政の優越、拡大が顕著となっています。自治体の自主的な決定と責任を拡大させた地方分権一括法の施行は、この流れをさらに加速させています。旧態依然とした自治体議会は行政の追認機関と化し、その存在意義が問われています。日本国憲法が規定した二元代表制が形骸化する中、全国各地で議会改革が叫ばれています。
本市を取り巻く環境も急速に変化しています。急激な人口減少時代を迎え、行政資源に限りがある中にあっても、市民のニーズは減少することなく、むしろ拡大、多様化しています。議会は、まさに合議制の議事機関としての特性を活かし、すべての市民の叡智を結集し、合意を形成する場としての役割が求められています。
本市の意思決定を担う議会は、その使命を深く自覚し、絶えず自己研鑽と自己改革を続け、自らの特性と権能を余すところなく発揮しなければなりません。
ここに、これまでの改革の取り組みを踏まえつつ、議会のあるべき姿と議会改革の方向性について市民との共通認識を醸成し、市民に開かれ信頼される議会を実現し、本市における民主主義の発展と市勢の伸展、市民福祉の増進に寄与することを決意し、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制の下での議会の役割を明らかにし、議会及び議員の活動原則等、議会に関する基本的事項を定めることによって、地方自治の本旨に基づく議会を実現することを目的とします。
(基本理念)
第2条 議会は、二元代表制の下にある議事機関であることを常に自覚し、その自主性及び自立性を高め、憲法や法律、条例等で規定された権能を最大限に発揮し、地方自治の確立に努めます。
2 議員は、議事機関の構成員としての責務を常に自覚し、市政全般の課題及びこれに対する市民の意思を的確に把握し、市政に反映させるよう取り組みます。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第3条 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)の規定を踏まえ、議事機関として、次に掲げる役割を担います。
(1) 議案等の審議及び審査をし、議決を行うこと。
(2) 市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)及びその職員の事務の執行状況を監視し、必要な調査を行うこと。
(3) 法令で定められた選挙権及び同意権を行使すること。
(1) 市長等との権能の違いを踏まえ、対等で緊張感ある関係を保つこと。
(2) 議会としての意思決定にあたっては、議員間で討議を重ね、合意形成に努める議会運営を行うこと。
(3) 議会の決定過程の透明性を高め、市民との情報共有を推進すること。
(4) 市民の多様な意見を政策立案及び政策提言に反映できるよう、市民参加の多様な機会を設けること。
(議員の活動原則)
第4条 議員は、第2条第2項の基本理念を踏まえ、次に掲げる原則に基づき活動します。
(1) 合議制の議事機関であることを十分認識し、議員相互の討議を重んじること。
(2) 市政に関する市民の意思を的確に把握し、政務活動、議案審議、政策立案及び政策提言等に反映させること。
(3) 自らの議会活動を市民にわかりやすく伝えること。
(4) 自己の能力を高める不断の研鑽に努めること。
(5) 珠洲市議会議員政治倫理条例を遵守し、品位を保持すること。
(議長の役割)
第5条 議長は、議会を代表し、議会の機能と権能の強化に向け、先導的な役割を果たすものとします。
2 議長は、議会の代表者として中立かつ公平な立場において職務を行い、民主的な議会運営を行わなければなりません。
3 議長は、議会の秩序保持に努め、効率的に議事を整理し、議会の事務を掌ります。
4 前3項の規定は、副議長が議長の職務を行う場合について準用します。
(会派)
第6条 議員は、議会活動を円滑に行うため、会派を結成することができます。
2 会派は、同一の理念及び政策を共有する議員で構成します。
3 会派は、議員の活動を支援するとともに、政策立案及び政策提言のための調査研究等の活動を行い、必要に応じて会派間の調整に努めるものとします。
4 会派を結成したときは、代表者は名称及び所属議員名等を速やかに議長に届け出るものとします。届出事項に変更が生じたときも同様とします。
(議員研修の充実)
第7条 議会は、議員の政策立案及び政策提言能力の向上を図るため、議員研修を充実強化します。
(政務活動費)
第8条 議員は、珠洲市議会政務活動費の交付に関する条例及び珠洲市議会政務活動費運用マニュアルで定める政務活動に要する経費に対して、政務活動費を充てることができます。
2 政務活動費は、調査研究その他の活動に資するための必要な経費の一部として交付されるものであり、議員は有効かつ適切に活用しなければなりません。
(議会の災害対応)
第9条 議会は、大規模災害が発生し、珠洲市災害対策本部が設置されたときは、大規模災害発生時の珠洲市議会・議員の行動マニュアルに基づき、珠洲市議会災害対策支援組織を設置し、必要な協力、支援を行うこととします。
第3章 議会と市民の関係
(情報共有の拡大)
第10条 議会は、議会活動に関する情報を積極的に公開し、市民との情報共有を図るとともに、議決結果についての説明責任を果たさなければなりません。
(市民参加の促進)
第11条 議会は、議員提案の条例(案)に関し、パブリックコメントの実施等様々な手法により、市民の意見を反映させるよう努めるものとします。
2 議会は、本会議及び委員会の運営にあたって、参考人制度や公聴会制度を十分に活用し、市民の意見及び学識経験者等の専門家の識見を議会の討議に反映します。
3 委員会は、請願の審査にあたって、必要に応じて提案者の意見を聞く機会を設けることができます。
4 議会は、市民に対し、議会活動について報告するとともに、政策立案及び政策提言に関する意見交換を行います。
5 議会は、議会の運営等に関し、市民からの要望、提言、その他の意見を広く聴取し、議会運営等に反映させるため、議会モニター制度を設けることができます。
第4章 議会と市長等との関係
(議会と市長等との関係の基本原則)
第12条 議会と市長等とは、その立場、権能の違いを踏まえ、緊張関係を保持し、市民福祉の増進に向け、政策を競い合う関係にあります。
(議会の政策サイクル)
第13条 議会は、行政のマネジメントサイクルに対応して、提言、討議、決定、監視・評価を実施し、議会からの政策サイクルの確立に努めます。
2 前項の取り組みは、決算審査における事業等の評価と予算審査を連動させることを軸に、本会議における審議や議決、常任委員会、特別委員会の審査など、議会の権能を適宜適切に活用し実施します。
(評価の実施)
第14条 議会は、決算審査において、市長等が執行した計画、政策、施策、事務事業等(以下「政策等」という。)の評価を行います。
2 議会は、予算に十分反映させるため、前項の評価結果を市長等に提出します。
(資料の請求)
第15条 議員は、政策形成過程の透明性を図るため、あるいは執行した事業の評価を行うため、議長の承諾を得て必要な資料を請求することができます。
2 市長等は、前項の資料請求に対して、速やかに対応するよう努めるものとします。
(議員の文書質問)
第16条 議員は、議長の許可を得て、市長等に文書により質問することができます。
(監査委員)
第17条 議会は、議員のうちから一人の監査委員を選任するものとします。
第5章 議会の運営
(議会の運営原則)
第18条 議長及び委員長は、民主的で公正、公平、透明な運営に努めます。
2 議会は、合議制の議事機関として、その意思決定にあたっては、議員間の討議を尽くすものとします。議員間の討議は、原則として常任委員会、議会運営委員会、特別委員会及び議員全員協議会において行うものとします。
3 議会は、議長の選出にあたって、その職を希望する者からの要望があるときは、所信を表明する機会を設けることができます。
4 議会は、議会運営上の課題について協議し、調整するため、法第109条第1項の規定により議会運営委員会を設置します。
(本会議)
第19条 本会議は、地方公共団体としての珠洲市の最終的な意思を決定する場であり、議決の結果及びその理由について、議会は説明責任を負います。
2 会派又は議員は、賛否が分かれた場合は、その理由を討論において説明する責任を負います。
(委員会)
第20条 委員会は、専門的に調査及び審査を行う機関として、自主的かつ積極的な運営に努めます。
2 常任委員会は、第13条に規定する議会からの政策サイクルの確立ため、付託された議案審査に加え、所管事務調査権を行使し、積極的に政策立案、政策提言を行うものとします。
3 特別委員会は、特定の付議事件を審査又は調査する必要があると認めるとき、期間を定め、議会の議決により設置されます。審査又は調査の終了時に報告書をまとめ、その要旨を本会議において委員長が報告し、これをもって廃止することとします。
4 委員会は、自らの判断あるいは市民からの要請に応じ、所管事務あるいは付議事件に関する現地調査活動を実施し、市民等との情報共有及び意見聴取のための住民懇談会を開催することができます。
(議員全員協議会)
第21条 議会は、法第100条第12項の規定に基づき、珠洲市議会会議規則で議員全員協議会の設置を定めます。
2 議会は、本会議や委員会との役割の違いを踏まえつつ、議案の審査や議会の運営に関する協議又は調整、議員全員の情報共有の場として、議員全員協議会を有効かつ積極的に活用するものとします。
第6章 議会及び議会事務局の体制整備
(予算の確保)
第22条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現するため、必要な予算の確保に努めるものとします。
(議会図書室)
第23条 議会は、法第100条第18項の規定に基づき議会図書室を設置し、その充実を図るものとします。
2 議会は、議会図書室の活用にあたっては、珠洲市民図書館との連携を図るものとします。
(議会事務局)
第24条 議会は、議長の統理する事務を遂行し、議会の政策立案活動、調査活動等を補佐するため、法第138条第2項の規定により、議会事務局を設置します。
2 議長は、議会事務局の機能強化、必要な体制整備に努めます。
第7章 議員の定数及び報酬
(議員定数)
第25条 議員定数については、珠洲市議会議員定数条例で定めます。
2 議員定数の条例改正案は、市民の直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、明確な改正理由を付して、委員会又は議員が提出するものとします。
3 委員会又は議員は、前項の条例改正案の提出にあたっては、市民及び有識者の意見を聴取するものとします。
(議員報酬)
第26条 議員報酬は、議会議員等の議員報酬、期末手当及び費用弁償に関する条例で定めます。
第8章 条例の位置付け及び見直し手続き
(条例の位置付け)
第27条 この条例は、議会における根幹となる規範であり、議会は議会に関する他の条例、議会規則等を制定し、改廃するときは、この条例の趣旨及び規定に違反しないよう整合を図らなければなりません。
2 議会は、議会に関する日本国憲法、法律及び他の法令等の条項を解釈し、運用するときは、この条例に照らして判断するものとします。
3 議会は、一般選挙を経た任期開始後速やかに、この条例の理念を議員が共有できるよう、研修会を行わなければなりません。
(検証及び見直し手続き)
第28条 議会は、議会活性化推進会議を設置し、4年ごとにこの条例の目的の達成状況を検証し、その結果を公表するものとします。議会活性化推進会議については、別に議長が定めます。
2 議会は、前項による検証の結果を踏まえ、目的達成に向けての行動計画を作成し、公表するものとします。
3 議会は、本条例の目標が達成されている項目がある場合、さらなる議会改革の前進に向けて、この条例の改正も含め、必要な措置を講じることとします。
4 議会は、この条例を改正する際には、改正の理由、背景を本会議において市民に説明するものとします。
附則
この条例は、平成31年4月1日から施行します。
附則(令和5年条例第17号)
この条例は、令和5年4月1日から施行します。