○東京都台東区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例
平成12年3月24日
条例第19号
(目的)
第1条 この条例は、中高層建築物の建築に係る計画の事前公開並びに紛争のあっせん及び調停に関し必要な事項を定めることにより、良好な近隣関係を保持し、もって地域における健全な生活環境の維持及び向上に資することを目的とする。
イ 新築、改築又は増築に関して、法律並びにこれに基づく命令及び東京都の条例の規定により東京都知事の許可を必要とする中高層建築物
ロ 延べ面積が1万平方メートルを超えるもの
(2) 紛争 中高層建築物の建築に伴って生ずる日照、通風及び採光の阻害、風害、電波障害等並びに工事中の騒音、振動等の周辺の生活環境に及ぼす影響に関する近隣関係住民と建築主との間の紛争をいう。
(3) 建築主 中高層建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。
(4) 設計者等 中高層建築物に関する設計者、工事監理者及び工事施工者並びにその他当該建築物の建築に携わる者をいう。
(5) 近隣関係住民 隣接関係住民及び周辺関係住民をいう。
(6) 隣接関係住民 中高層建築物の敷地境界線からその高さと等しい水平線距離の範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者及び当該範囲内に居住する者をいう。
イ 中高層建築物の敷地境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者及び当該範囲内に居住する者
ロ 中高層建築物による電波障害の影響を著しく受けると認められる者
(区長の責務)
第3条 区長は、紛争を未然に防止するよう努めるとともに、紛争が生じたときは、迅速かつ適正に調整するよう努めなければならない。
(当事者の責務)
第4条 建築主は、紛争を未然に防止するため、中高層建築物の計画を進めるに当たっては、周辺の生活環境に及ぼす影響に十分配慮するとともに、良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない。
2 建築主及び近隣関係住民は、紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互譲の精神をもって、自主的に解決するよう努めなければならない。
(設計者等の協力義務)
第5条 設計者等は、前条に規定する建築主の責務を認識し、紛争の防止及び紛争の速やかな解決のため、建築主に協力しなければならない。
(標識の設置等)
第6条 建築主は、中高層建築物を建築しようとするときは、近隣関係住民に建築に係る計画の周知を図るため、当該建築敷地の見やすい場所に、台東区規則(以下「規則」という。)で定めるところにより標識を設置しなければならない。
2 建築主は、前項の規定により標識を設置したときは、速やかにその旨を規則で定めるところにより、区長に届け出なければならない。
(説明会の開催等)
第8条 建築主は、中高層建築物を建築しようとする場合においては、隣接関係住民に当該建築に係る計画の内容について、個別又は説明会の方法(以下「説明会等」という。)により、説明しなければならない。
2 建築主は、中高層建築物を建築しようとする場合において周辺関係住民から申出があったときは、当該建築に係る内容について、説明会等により、周辺関係住民に説明しなければならない。
3 建築主は、前2項の場合において隣接関係住民又は周辺関係住民から説明会の開催の申出があったときは、速やかに説明会を開催しなければならない。
(あっせん)
第9条 区長は、建築主と近隣関係住民の双方から紛争の調整の申出があったときは、あっせんを行う。
2 区長は、前項の規定にかかわらず、建築主又は近隣関係住民の一方から調整の申出があった場合において、相当な理由があると認めるときは、あっせんを行うことができる。
3 区長は、当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、紛争が解決されるよう努めなければならない。
(あっせんの打切り)
第10条 区長は、当該紛争について、あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。
(調停)
第11条 区長は、前条の規定によりあっせんを打ち切った場合において、必要があると認めるときは、当事者に対し、調停に移行するよう勧告することができる。
2 区長は、前項に規定する勧告をした場合において、当事者の双方がその勧告を受諾したときは、調停を行う。
4 区長は、調停を行うに当たって必要があると認めるときは、調停案を作成し、当事者に対し、期間を定めてその受諾を勧告することができる。
5 区長は、調停を行うに当たっては、東京都台東区建築紛争調停委員会(以下「調停委員会」という。)の意見を聴かなければならない。
(調停の打切り)
第12条 区長は、当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。
2 前条第4項の規定による勧告が行われた場合において、定められた期間内に当事者の双方から受諾する旨の申し出がないときは、当該調停は打ち切られたものとみなす。
(調停委員会)
第13条 区長の附属機関として、調停委員会を置く。
2 調停委員会は、第11条第5項の規定による区長の意見の求めに応じ、必要な調査審議を行い意見を述べるとともに、区長の諮問に応じて、紛争の予防と調整に関する重要事項について調査審議する。
3 調停委員会は、法律、建築又は環境等の分野に関し優れた知識及び経験を有する者のうちから区長が委嘱する委員5名をもって組織する。
4 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 調停委員会に会長を置き、委員の互選によって定める。
6 会長は、調停委員会を代表し、会務を総理する。
7 会長に事故があるときは、あらかじめ会長が指名する委員が、その職務を代理する。
8 調停委員会は、区長が招集する。
9 調停委員会は、3名以上の委員の出席がなければ会議を開くことができない。
10 第11条第5項の規定による調停委員会の意見は、出席した委員の合意による。
(出頭)
第14条 区長は、あっせん又は調停のため必要があると認めるときは、当事者の出頭を求め、その意見を聴くことができる。
(関係図書の提出)
第15条 区長は、あっせん又は調停のため必要があると認めるときは、当事者に対し、関係図書の提出を求めることができる。
(工事着手の延期等の要請)
第16条 区長は、あっせん又は調停のため必要があると認めるときは、建築主に対し、期間を定めて工事の着手の延期又は工事の停止を要請することができる。
(公表)
第17条 区長は、次の各号のいずれかに該当するときは、その旨を公表することができる。
(4) 第14条の規定による出頭の求めを受けた者が、正当な理由がなくその求めに従わないとき。
(5) あっせん又は調停の当事者が、正当な理由がなくその進行を著しく妨げたとき。
(6) 第15条の規定による関係図書の提出の求めを受けた者が、正当な理由がなくその求めに従わないとき。
(7) 前条の規定による工事の着手の延期又は工事の停止の要請を受けた者が、正当な理由がなくその求めに従わないとき。
2 区長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表をされる者にその理由を通知し、その者が意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。
付 則
付 則(平成16年3月22日条例第23号)
この条例は、平成16年10月1日から施行する。
付 則(平成18年12月14日条例第65号)
1 この条例は、平成19年4月1日(以下「施行日」という。)から施行する。
2 この条例による改正後の東京都台東区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例第8条及び第17条の規定は、施行日以後に標識設置を行う中高層建築物の建築について適用し、施行日前に標識設置を行った中高層建築物の建築については、なお従前の例による。