○東京都台東区公契約条例
令和5年12月19日
条例第56号
(目的)
第1条 この条例は、台東区(以下「区」という。)における公契約に関し、基本的事項を定めることにより、公平かつ公正な入札等の制度の確立、契約等の適正化及びその業務に従事する労働者等の適正な労働環境の整備を推進し、もって区民の福祉の増進及び地域経済の活性化に寄与することを目的とする。
(1) 公契約 区が締結する請負契約、業務委託契約、売買契約その他の契約及び地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者(以下「指定管理者」という。)との公の施設の管理に関する協定(以下「指定管理協定」という。)をいう。
(2) 受注者 区と公契約を締結する者をいう。
(3) 特定公契約 次に掲げる公契約をいう。ただし、受注者が国、地方公共団体その他東京都台東区長(以下「区長」という。)が必要と認める者である公契約を除く。
ア 工事又は製造の請負契約のうち予定価格が1億円以上のもの
イ 工事及び製造以外の請負契約並びに業務委託契約のうち予定価格が1,000万円以上のものであって、台東区規則(以下「規則」という。)で定めるもの
ウ 指定管理協定
(4) 特定受注者 区と特定公契約を締結する者をいう。
(5) 特定受注関係者 次に掲げる者をいう。
ア 区以外の者から特定公契約に係る業務の一部を請け負い、又は受託する者(次号ウに掲げる者を除く。)
イ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第2条第3号に規定する労働者派遣事業として、特定受注者又はアに掲げる者に労働者を派遣する者
(6) 特定労働者等 次に掲げる者をいう。
ア 特定受注者又は前号アに掲げる者に雇用され、専ら特定公契約に係る業務に従事する労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)
イ 前号イに掲げる者が雇用する労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第2条第2号に規定する派遣労働者であって、専ら特定公契約に係る業務に従事するもの
ウ 自らの労務の対価を得るため、区以外の者から特定公契約に係る業務の一部を請け負い、又は受託する者
(7) 賃金等 特定公契約に係る労務の対価であって、次に掲げるものをいう。
イ 前号ウに掲げる者が当該請負契約又は業務委託契約により得る収入
(基本方針)
第3条 区における公契約に係る基本的な方針は、次のとおりとする。
(1) 公契約の適正な履行及び品質を確保し、適正な価格により調達すること。
(2) 公契約に係る手続の透明性を確保し、公正な競争を促進すること。
(3) 労働者等の適正な労働条件の確保を図ること。
(4) 区内の事業者の受注の機会を確保し、その育成を図ること。
(5) 区と受注者との対等な関係に基づき公契約に係る制度を適正に運用すること。
(6) 談合その他の不正行為を排除すること。
(区の責務)
第4条 区は、前条の基本的な方針にのっとり、公契約に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(受注者の責務)
第5条 受注者は、公契約に係る業務の公共性を認識し、法令等を遵守するとともに、前条の施策に協力するよう努めなければならない。
2 受注者は、労働者等の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に努めなければならない。
(区内の事業者の活用)
第6条 受注者は、公契約に係る業務の一部を他の事業者(第2条第6号ウに掲げる者を除く。以下この条において同じ。)に請け負わせ、又は委託しようとするときは、区内の事業者に当該公契約に係る業務の一部を請け負わせ、又は委託するように努めなければならない。
2 労働報酬下限額は、時間によって定めるものとする。この場合において、賃金等が時間以外の期間又は出来高払制その他の請負制によって定められているときにおける当該賃金等の換算方法は、規則で定める。
(1) 工事又は製造の請負契約に係る業務に従事する特定労働者等 農林水産省及び国土交通省が決定する公共工事の工事費の積算に用いるための労務の単価
(2) 前号に掲げる特定労働者等以外の特定労働者等 最低賃金法第9条第1項に規定する地域別最低賃金及び東京都台東区会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例(令和元年10月台東区条例第12号)第18条第1項に規定する報酬の額
2 区長は、労働報酬下限額を定めようとするときは、あらかじめ、東京都台東区公契約審議会の意見を聴かなければならない。
3 区長は、労働報酬下限額を定めたときは、これを告示するものとする。
(不利益取扱いの禁止)
第11条 特定受注者及び特定受注関係者は、前条の規定による申出があった場合は、誠実に対応するとともに、当該特定労働者等が当該申出をしたことを理由として、解雇、請負契約の解除その他不利益な取扱いをしてはならない。
(報告及び立入調査)
第12条 区長は、第10条の規定による申出があったとき、又はこの条例に定める事項の遵守の状況を確認するため必要があると認めるときは、特定受注者若しくは特定受注関係者に対し必要な報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に特定受注者若しくは特定受注関係者の事業所等へ立ち入らせ、特定労働者等の労働条件が分かる書類その他の物件を調査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
2 特定受注者は、前項の規定による命令があったときは、速やかに当該違反の是正その他の必要と認める措置を講ずるとともに、当該措置の内容を区長に報告しなければならない。
(特定公契約の解除)
第14条 区長は、次のいずれかに該当する場合は、当該特定公契約を解除することができる。
(1) 特定受注者又は特定受注関係者が第12条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述せず、若しくは虚偽の陳述をした場合
(2) 特定受注者が前条第1項の規定による命令に違反した場合
(3) 特定受注者が前条第2項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした場合
2 区は、前項の規定による特定公契約の解除によって生じた損害について、賠償する責任を負わない。
2 区長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表に係る者にその理由を通知し、その者が意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。
(公契約審議会の設置)
第16条 区長の附属機関として、東京都台東区公契約審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、区長の諮問に応じ、第8条第1項の規定による労働報酬下限額の決定に関する事項その他公契約に関する必要な事項について調査審議し、区長に意見を述べるものとする。
3 審議会は、次に掲げる者のうちから、区長が委嘱する委員6人以内をもって組織する。
(1) 学識経験を有する者 2人以内
(2) 労働者団体関係者 2人以内
(3) 事業者団体関係者 2人以内
4 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 前2項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(委任)
第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
付則
(施行期日等)
1 この条例は、令和6年4月1日(以下「施行日」という。)から施行する。
(経過措置)
3 施行日から令和8年3月31日までの間に委嘱される委員の任期は、第16条第4項本文の規定にかかわらず、同日までとする。
(東京都台東区附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
4 東京都台東区附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年12月台東区条例第20号)の一部を次のように改正する。
(次のよう略)
別表(第9条関係)
1 特定公契約に係る労働条件の遵守 | 特定受注者は、第2条第6号ア又はイに掲げる特定労働者等に係る労働条件について、関係法令の規定を遵守しなければならないこと。 |
2 特定公契約に係る請負条件 | 特定受注者は、第2条第6号ウに掲げる特定労働者等に業務の一部を請け負わせ、又は委託するときは、その条件を1の項の関係法令の趣旨を尊重したものとしなければならないこと。 |
3 継続雇用 | 特定受注者は、継続性のある業務に関する特定公契約を締結するときは、当該業務に従事する者の雇用の安定並びに当該業務の質の維持及び継続性の確保に配慮し、当該特定公契約の締結前から当該業務に従事していた者のうち希望するものを雇用するよう努めること。 |
4 特定受注者の連帯責任 | 特定受注者は、特定受注関係者が特定労働者等に対して賃金等を支払わないとき又は支払った賃金等の額が労働報酬下限額を下回るときは、当該特定労働者等に対し、当該特定受注関係者と連帯して、当該賃金等に相当する額又はその差額に相当する額を支払うものとすること。 |
5 区長への報告 | 特定受注者は、規則で定めるところにより、特定労働者等に係る労働条件に関する事項を区長に報告しなければならないこと。 |
6 特定労働者等への周知 | 特定受注者は、次に掲げる事項を作業所等の特定労働者等の見やすい場所に掲示し、又は特定労働者等に対し、当該事項を記載した書面を交付しなければならないこと。 ア この条例が適用される特定労働者等の範囲 イ 労働報酬下限額 ウ 4の項の規定の内容 エ 第10条の規定による申出をする場合の連絡先 オ 第11条の規定の内容 |
7 特定労働者等の申出 | 特定労働者等は、第10条の規定により、賃金等が支払われるべき日において、支払われるべき当該賃金等が支払われていない場合又は支払われた当該賃金等の額が労働報酬下限額を下回る場合は、区長又は特定受注者若しくは特定受注関係者にその事実を申し出ることができること。 |
8 不利益取扱いの禁止 | 特定受注者及び特定受注関係者は、第10条の規定による申出があった場合は、誠実に対応するとともに、当該特定労働者等が当該申出をしたことを理由として、解雇、請負契約の解除その他不利益な取扱いをしてはならないこと。 |
9 報告及び立入調査への対応 | 特定受注者及び特定受注関係者は、第12条第1項の規定による報告及び資料の提出の求め並びに立入調査に応じなければならないこと。 |
10 是正措置 | 特定受注者は、第13条第1項の規定による区長の命令があったときは、速やかに当該違反の是正その他の必要と認める措置を講ずるとともに、その結果を区長に報告しなければならないこと。 |
11 特定公契約の解除等 | 区長は、第14条第1項各号のいずれかに該当する場合は、当該特定公契約を解除することができ、当該解除等により特定受注者又は特定受注関係者に生じた損害を賠償する責任を負わないこと。 |
12 公表 | 区長は、第15条第1項の規定により、11の項の規定により特定公契約を解除した場合又は特定公契約の契約期間終了後に特定受注者若しくは特定受注関係者が第7条第1項若しくは第9条の規定による特定公契約の定めに違反していたことが判明した場合は、その旨を公表することができること。 |
13 損害賠償 | 特定受注者は、11の項の規定により特定公契約を解除した場合において、それによって区に損害が生じたときは、その損害を賠償しなければならないこと。 |
14 特定公契約の解除に係る違約金 | 区は、11の項の規定により特定公契約を解除した場合は、特定受注者から違約金を徴収することができること。 |
15 特定受注関係者と締結する契約 | 特定受注者は、特定受注者が特定受注関係者と契約を締結するときは、当該特定受注者が遵守すべき約定事項について、特定受注関係者が当該特定受注者に準じて当該約定事項を遵守することとなるよう、当該契約を締結する特定受注関係者との間で約定しなければならないこと。 |