○戸田市都市まちづくり推進条例

平成19年9月28日

条例第18号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 地区まちづくりの推進(第7条―第15条)

第3章 テーマ型まちづくりの推進(第16条―第19条)

第4章 まちづくり活動の支援(第20条―第24条)

第5章 戸田市都市まちづくり推進会議(第25条)

第6章 雑則(第26条―第31条)

附則

わたくしたちのまち戸田市は、豊かな荒川の流れと麗しい武蔵野の大地がはぐくむ豊かな緑の資源を有するとともに、近年において急激に都市化が進展している、首都に隣接した都市である。

こうした社会情勢の変化の中、先人達の知恵や足跡を大切に引き継ぎながら「ふるさと戸田」を感じられる愛着と誇りを持てる都市を築き、守り、更に次代に引き継ぐために、戸田市におけるまちづくりの仕組みを定める必要がある。

これは、先人達が築き上げた郷土を、より豊かに、より魅力的なものにするための手順や手続であり、この仕組みをいかしながら、市民、事業者及び市がそれぞれ役割と責任を持ち、戸田市のまちづくりを協働で継続していかなければならない。

わたくしたちは、「人や自然にやさしいまち」を基本理念に、「やさしさのまち、水と緑あふれる美しい文化・産業・公園都市」を将来都市像として掲げ、その実現を目指し、すべての人にとってやさしいまちづくりを推進していくために、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、都市計画法(昭和43年法律第100号。以下「法」という。)第18条の2の規定に基づき本市の都市計画に関する基本的な方針として定めた戸田市都市マスタープランの実現のために、市民、事業者及び市の責務を明らかにするとともに、市民が主体となってまちづくりに取り組む上で、市民のまちづくり提案や住民発意による活動を受け止める仕組みに関する基本的な事項を定め、市民、事業者及び市の協働によるまちづくりの推進を図ることを目的とする。

(用語の定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) まちづくり 良好な市街地形成を目指して行う市民、事業者及び市の活動をいう。

(2) 地区住民等 地区まちづくりを行う身近な区域に居住する者及び土地又は建物に関する権利を有する者をいう。

(3) 地区まちづくり 身近な生活の区域を対象とし、地区の環境保全又は市街地整備を目的として地区住民等が行う活動をいう。

(4) テーマ型まちづくり 環境保全又は市街地整備に係る戸田市都市マスタープランの特定のテーマに賛同する者が集まって行う研究又は実践活動をいう。

(市の責務)

第3条 市は、まちづくりの推進に関して、必要な施策を策定し実施するものとする。

2 市は、まちづくりの推進に必要な調査及び研究を行うとともに、市民に分かりやすく適切な情報を提供するものとする。

3 市は、まちづくりに関して、市民及び事業者の意識を高め、まちづくりに理解を得るよう努め、まちづくりへの参加を促すものとする。

(市民の責務)

第4条 市民は、まちづくりに参画し、まちづくりを推進するよう努めるものとする。

2 市民は、この条例に基づいて実施する施策及び市民主体のまちづくり推進活動に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、事業活動を通じて地域社会における自らの役割を自覚し、まちづくりに寄与するよう努めるものとする。

2 事業者は、この条例に基づいて実施する施策及び市民主体のまちづくり推進活動に協力するよう努めなければならない。

(地区計画等の活用)

第6条 市及び地区住民等は、良好な市街地形成のため地区まちづくりの推進を図るとともに、地区計画(法第12条の4第1項第1号の地区計画をいう。以下同じ。)及び建築協定(建築基準法(昭和25年法律第201号)第69条の建築協定をいう。以下同じ。)の活用に努めるものとする。

第2章 地区まちづくりの推進

(地区まちづくり活動組織)

第7条 地区住民等は、市長が定める要件を満たした、地区まちづくり活動を行う組織(以下「地区まちづくり活動組織」という。)をつくり、規則の定めるところにより、登録することができる。

2 地区まちづくり活動組織は、その活動の対象となっている地区における他の地区まちづくりに係るものと協力し、当該地区における地区まちづくりの推進に努めなければならない。

3 地区まちづくり活動組織は、その活動の内容について、当該活動の対象となっている地区の地区住民等に説明するよう努めなければならない。

4 市長は、必要があると認めるときは、地区まちづくり活動組織に対しその活動内容の報告又は説明を求めることができる。

(地区まちづくり推進団体)

第8条 地区まちづくり活動組織のうち、次の各号のいずれにも該当する場合は、規則の定めるところにより、地区まちづくり推進団体として市長の認定を受けることができる。

(1) 地区住民等で構成された団体であること。

(2) その取組が団体の活動地区の地区住民等に周知されていること。

2 市長は、前項の規定による認定をしようとするときは、戸田市都市まちづくり推進会議の意見を聴くものとする。

3 市長は、必要があると認めるときは、地区まちづくり推進団体に対しその活動内容の報告又は説明を求めることができる。

(まちづくり検討地区)

第9条 地区まちづくり推進団体は、地区まちづくりを進める区域を定め、規則の定めるところにより、まちづくり検討地区として市長の認定を受けなければならない。

2 市長は、前項の認定をしようとするときは、戸田市都市まちづくり推進会議の意見を聴くものとする。

(地区まちづくり構想の認定等)

第10条 地区まちづくり推進団体は、地区における将来像、地区まちづくりの基本方針その他必要な事項を定めたもの(以下「構想案」という。)を策定し、次の各号のいずれにも該当する場合は、規則の定めるところにより、地区まちづくり構想として市長の認定を受けることができる。

(1) 構想案がまちづくり検討地区の地区住民等の多数の支持を得ていること。

(2) 構想案が戸田市都市マスタープラン等の内容に整合していること。

(3) その他市長が定める要件を満たしていること。

2 市長は、前項の認定をしようとするときは、戸田市都市まちづくり推進会議の意見を聴くものとする。

3 地区まちづくり推進団体は、構想案の策定に当たり、対象となる地区住民等に当該構想案に関する情報の公表及び周知を行い、当該地区住民等の理解を得るよう努めなければならない。

4 市長は、構想案に関し地区まちづくり推進団体に対し、必要な指導、助言等を行うことができる。

(地区まちづくり協定の認定等)

第11条 地区まちづくり構想の認定を受けた地区まちづくり推進団体は、地区の良好な環境の保全や改善等を図るため土地利用、建築、地区施設等に関するルール(以下「協定案」という。)を策定し、次の各号のいずれにも該当する場合は、規則の定めるところにより、地区まちづくり協定として市長の認定を受けることができる。

(1) 協定案がまちづくり検討地区の地区住民等の多数の支持を得ていること。

(2) その他市長が定める要件を満たしていること。

2 市長は、前項の規定による認定をしようとするときは、戸田市都市まちづくり推進会議の意見を聴くものとする。

3 地区まちづくり推進団体は、協定案の運用方針及び運用主体について、市と協議の上、定めることができる。

4 地区まちづくり推進団体は、協定案の策定に当たり、対象となる地区住民等に当該協定案に関する情報の公表及び周知を行い、当該地区住民等の理解を得るよう努めなければならない。

5 事業者及び地区住民等は、地区まちづくり協定を遵守しなければならない。

(建築行為等の誘導)

第12条 地区まちづくり協定の対象地区において、地区まちづくり協定に係る建築等(建築基準法第2条第13号の建築その他規則で定める行為をいう。以下「建築等」という。)を行おうとする者(以下「建築等事業者」という。)は、規則の定めるところにより、その旨を市長に届け出なければならない。

2 建築等事業者は、前項の届出を行おうとするときに、第11条第3項の規定により運用が決められている場合には、あらかじめ当該地区まちづくり協定の建築等に係る事項について、地区まちづくり推進団体と協議を行わなければならない。

3 市長は、前項の協議に関して必要があると認めるときは、建築等事業者に対し、指導、助言等を行うことができる。

4 市長は、当該建築等が地区まちづくり協定に適合していない場合に必要があると認めるときは、建築等事業者に対し、当該建築等を地区まちづくり協定に適合させるための措置を取るように要請することができる。

(まちづくり推進重点地区)

第13条 市長は、次の各号のいずれかに該当する地区において、市街地整備及び都市環境の改善を目的としたまちづくりを重点的に推進する必要があると認めるときは、当該地区をまちづくり推進重点地区(以下「重点地区」という。)として指定することができる。

(1) 戸田市都市マスタープランにおいて、重点的な都市整備が必要とされている地区

(2) 法に基づく都市計画事業の施行地区及びその周辺地区

(3) 公共施設又は公益施設の整備に合わせて総合的なまちづくりが必要な地区

(4) その他特に市長が必要と認めた地区

2 市長は、前項の規定により重点地区を指定するときは、戸田市都市まちづくり推進会議の意見を聴くものとする。

3 市長は、第1項の規定により重点地区を指定したときは、市民及び対象となる地区の住民等に情報の公表及び周知を行い、広く理解を得るよう努めなければならない。

(地区まちづくり構想の策定等)

第14条 市長は、重点地区に指定した地区において、地区まちづくり推進団体に対し、第10条の規定による地区まちづくり構想の認定又は第11条の規定による地区まちづくり協定の認定に向けた取組を要請することができる。

2 市長は、必要に応じて重点地区に指定した地区の地区まちづくり推進団体に代わり、第10条の規定による地区まちづくり構想又は第11条の規定による地区まちづくり協定を策定することができる。

3 市長は、前項の地区まちづくり構想又は地区まちづくり協定を策定する場合には、第10条第1項第1号及び第2号又は第11条第1項第1号の規定を遵守するものとする。

4 市長は、第2項の規定による地区まちづくり構想又は地区まちづくり協定の策定を行うに当たっては、戸田市都市まちづくり推進会議の意見を聴くものとする。

(地区まちづくり構想案の縦覧等)

第15条 市長は、第10条第1項の規定による地区まちづくり構想の認定、第11条第1項の規定による地区まちづくり協定の認定、前条第2項の規定による地区まちづくり構想の策定又は地区まちづくり協定の策定をするときは、あらかじめ規則の定めるところにより、その旨を告示し、構想案又は協定案を、当該告示の日の翌日から起算して2週間公衆の縦覧に供しなければならない。

2 前項の規定による告示があったときは、当該地区の地区住民等は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された構想案又は協定案について、市長に意見書を提出することができる。

3 市長は、第1項の当該地区の地区まちづくり構想の認定、地区まちづくり構想の策定、地区まちづくり協定の認定又は地区まちづくり協定の策定をしないときは、戸田市都市まちづくり推進会議の意見を聴いた上で、速やかに、その理由を当該地区の地区住民等及び地区まちづくり推進団体に通知しなければならない。

4 前3項の規定は、第10条の規定による地区まちづくり構想の認定、第11条の規定による地区まちづくり協定の認定、前条の規定による地区まちづくり構想の策定又は地区まちづくり協定の策定の変更について準用する。ただし、規則で定める軽微な変更については、この限りでない。

第3章 テーマ型まちづくりの推進

(テーマ型まちづくりの活動推進)

第16条 市長は、テーマ型まちづくりを育成し、発展させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 市長は、戸田市都市マスタープランに係る地域や市全体を対象とする計画及び施策に関する提案について、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

3 市長は、市民によるまちづくり実践活動を広めることを目的としたまちづくり実践活動の企画に関する提案について、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(テーマ型まちづくり活動組織等)

第17条 市民は、市長が定める要件を満たしたテーマ型まちづくり活動を行うグループや組織を作ったときは、当該組織をテーマ型まちづくり活動組織等(以下「テーマ型組織等」という。)として、規則の定めるところにより、市に登録することができる。

2 テーマ型組織等は特定の者の利益を図ることがあってはならず、その活動目的はテーマ型まちづくり活動でなければならない。

3 市長は、必要があると認めるときは、テーマ型組織等に対して、その活動の内容について報告又は説明を求めることができる。

(活動の成果報告)

第18条 第20条第2項の支援を受けたテーマ型組織等は、その活動内容及び成果を規則の定めるところにより、市長に報告しなければならない。

(特定非営利活動法人への要請)

第19条 市長は、テーマ型まちづくりの推進に必要と認めたときは、第17条第1項の規定により登録したテーマ型組織等のうち特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)に規定する特定非営利活動法人であるものに対し、テーマ型まちづくりについて、調査、研究、提案等の活動を要請することができる。

第4章 まちづくり活動の支援

(まちづくり初動期における支援)

第20条 市長は、第7条の地区まちづくり活動組織に対して、規則の定めるところにより、まちづくり初動期の支援を行うことができる。

2 市長は、第17条第1項の規定により登録したテーマ型組織等に対して、規則の定めるところにより、まちづくり初動期の支援を行うことができる。

(地区まちづくり推進団体への支援)

第21条 市長は、第8条の地区まちづくり推進団体が第9条の規定によるまちづくり検討地区の認定を受けた場合は、規則の定めるところにより、まちづくり活動の支援を行うことができる。

(地区計画等の活用支援)

第22条 市長は、第10条第1項の規定による地区まちづくり構想の認定又は第11条第1項の規定による地区まちづくり協定の認定をした地区において、地区計画及び建築協定を活用した地区まちづくりを引き続き推進する地区まちづくり推進団体又は地区まちづくり構想におけるまちづくり事業を推進する地区まちづくり推進団体に対し、前条の規定に基づくまちづくり活動の支援を継続することができる。

(地区施設等への支援等)

第23条 市長は、地区計画及び地区まちづくり構想を活用した地区まちづくりを推進するため、法第12条の5第2項の地区施設等について、地区まちづくり推進団体が企画等をするときは、規則の定めるところにより、必要な支援を行うことができる。

2 市長は、前項の支援を行うときは、該当する地区の地区まちづくり推進団体と維持管理等について、協議するものとする。

(まちづくり支援機能の充実)

第24条 市長は、市民によるまちづくり活動を柔軟かつ適切に支援する機能及び場の充実に努めるものとする。

第5章 戸田市都市まちづくり推進会議

第25条 市長の諮問に応じ、地区まちづくりに関する基本的事項を調査審議するため、市長の附属機関として、戸田市都市まちづくり推進会議(以下「推進会議」という。)を置く。

2 推進会議は、地区まちづくりに関する基本的事項について、市長に意見を述べることができる。

3 推進会議の組織及び運営について必要な事項は、規則で定める。

第6章 雑則

(公表、閲覧等)

第26条 市長は、第8条第1項の規定による地区まちづくり推進団体の認定、第9条第1項の規定によるまちづくり検討地区の認定、第10条第1項の規定による地区まちづくり構想の認定、第11条第1項の規定による地区まちづくり協定の認定、第13条第1項の規定による重点地区の指定又は第14条第2項の規定による地区まちづくり構想若しくは地区まちづくり協定の策定をしたときは、速やかに、その旨を公表するものとする。

2 市長は、地区まちづくり協定の適切な運用を図るため、第11条第1項の規定による地区まちづくり協定又は第14条第2項の規定による地区まちづくり協定について、その関係書類を一般の閲覧に供するものとする。

3 公表の方法等について必要な事項は、規則で定める。

(勧告)

第27条 市長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、当該建築等事業者及び地区まちづくり推進団体に対し、期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

(1) 第11条第1項の規定による地区まちづくり協定の認定又は第14条第1項の規定による地区まちづくり協定が策定された地区において、第12条第1項の規定による建築等事業者の届出行為及び第2項の規定による地区まちづくり推進団体との協議を行わない場合

(2) 第20条第1項第21条及び第22条の規定により、市から支援を受けている地区まちづくり活動組織及び地区まちづくり推進団体が適正な活動を行っていないと認められる場合

(3) その他市長が必要と認めた場合

2 市長は、前項の規定による勧告を行うに当たっては、推進会議の意見を聴くことができる。

(勧告の公表)

第28条 市長は、前条第1項の規定による勧告に従わない建築等事業者及び地区まちづくり推進団体の団体名、所在地、代表者名及び勧告の事実を規則の定めるところにより公表することができる。

(表彰)

第29条 市長は、良好なまちづくりに貢献したと認められる地区まちづくりに関する活動、テーマ型まちづくり活動その他まちづくり事例について表彰することができる。

(適用除外)

第30条 この条例の規定は、次に掲げる事項については、適用しない。

(1) 災害時に必要な応急措置として行われるもの

(2) 法令又はこれに基づく処分の履行として行う行為

(3) 法第4条第15項の都市計画事業の施行として行う行為

(4) 法第21条の2の規定による都市計画の決定等の提案(ただし、地区計画は除く。)

(5) 通常の管理行為又は軽易な行為

(6) 前各号に掲げるもののほか、国又は地方公共団体が行う行為

(その他)

第31条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成20年4月1日から施行する。

戸田市都市まちづくり推進条例

平成19年9月28日 条例第18号

(平成20年4月1日施行)

体系情報
第10編 設/第2章 都市計画
沿革情報
平成19年9月28日 条例第18号