○戸田市自治基本条例

平成26年7月1日

条例第13号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 まちづくりの基本原則(第4条―第7条)

第3章 市民(第8条―第10条)

第4章 議会(第11条)

第5章 行政(第12条―第16条)

第6章 まちづくりの仕組み(第17条―第19条)

第7章 実効性の確保(第20条・第21条)

附則

戸田市は、かつて戸田の渡しにより人々が往来し、人と人をつなぐまちとして発展してきました。そして、荒川を隔てて首都と隣接し、急速な都市化に伴い、人口が増え続けていく中で、生活様式や価値観の多様化が見られ、地域社会での人と人とのつながりが希薄化していく傾向があります。また、そう遠くない将来、人口減少や更なる少子高齢化社会の到来など、これまで経験したことのない時代を迎えることも予測されています。

こうした時代を迎えようとしている今、より良いまちづくりを進めるためには、市民自らが考え行動するとともに、地域での人と人とのつながりが大事になります。そして、市民と議会と行政が手を携えてそれぞれの力を発揮し、協力し合い、助け合う仕組みを作ることが必要です。

私たちは、自らの意思と責任に基づいて、未来に向かって知恵と力を出し合い、みんなで協働のまちづくりを進めていきます。

そして、私たちは、自治が確立され、誰もが安心して安全に暮らすことができ、住んでいて幸せと感じるまち、誇りの持てるまちを目指し、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、市民、議会及び行政が、互いの立場を理解し、助け合い、協力し合うことで築くまちづくりの基本原則を定めることで、自治を推進し、理想のまちを実現することを目的とします。

(条例の位置付け)

第2条 この条例は、戸田市の自治の推進に関する基本的事項を定めるものであり、市民、議会及び行政は、この条例を最大限に尊重します。

(定義)

第3条 この条例における用語の意味は、次に定めるとおりとします。

(1) 市民 次に掲げるものをいいます。

 市内に住所を有する者

 市内に通勤し、又は通学する者

 市内で事業を営むもの

 町会・自治会その他の地域における公共的活動を行う団体(以下「町会・自治会等」といいます。)

 市内で奉仕活動その他の社会貢献活動を行う個人又は団体(以下「ボランティア団体等」といいます。)

(2) 行政 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、公平委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。

(3) まちづくり 協働により、誰もが住みやすい理想のまちを実現するための取組をいいます。

第2章 まちづくりの基本原則

(協働の原則)

第4条 市民、議会及び行政は、それぞれが役割を意識し、それぞれの力を発揮し、互いを尊重し、まちづくりを進めます。

(参加・参画の原則)

第5条 市民は、自治の主体として、積極的にまちづくりに参加し、また、計画段階から参画するよう努めます。

2 行政は、市民の意思をまちづくりにいかすため、市民がまちづくりに参画できる機会を保障します。

(情報共有の原則)

第6条 市民は、互いにまちづくりのための情報を提供し合い、共有できるよう努めます。

2 行政及び議会は、それぞれが持つまちづくりに関する情報を積極的に提供し、市民と共有します。

(協議の原則)

第7条 市民同士又は市民及び行政は、まちづくりを進めるに当たり、互いの意思疎通を図るため、積極的に協議します。

第3章 市民

(市民の権利)

第8条 市民は、まちづくりの担い手として、まちづくりに参加・参画する権利を有します。

2 市民は、市政に関する情報を知る権利を有し、議会及び行政に対し、その保有する情報の公開を求めることができます。

(市民の役割)

第9条 市民は、自治の主体であることを自覚し、市民相互の連携を図って地域課題を自ら解決する意識を持つよう努めます。

2 市民は、互いに尊重し合い、かつ、近隣との交流を深め、共に助け合える地域社会づくりに努めます。

3 住民は、町会・自治会等及びボランティア団体等をまちづくりの担い手と認識し、その活動を尊重するよう努めます。

(市民活動団体の役割)

第10条 町会・自治会等は、多くの地域住民の参画を促しつつ、子どもや若者も参加しやすい地域に根ざしたまちづくりを推進するよう努めます。

2 町会・自治会等及びボランティア団体等は、開かれた団体運営に努めるとともに、次代を担う指導者の育成に努めます。

3 町会・自治会等及びボランティア団体等は、互いに連携し、協力してより良いまちづくりに努めます。

第4章 議会

(議会の役割)

第11条 議会は、戸田市議会基本条例(平成24年条例第1号)の定めるところにより、次のとおり活動します。

(1) 公正性、透明性及び信頼性を重視する議会運営を目指すとともに、市民にとって分かりやすい議会運営に努めます。

(2) 市民に対し積極的な情報公開に努め、説明責任を果たします。

(3) 市民の立場に立ち、市政の監視及び評価の強化に努めます。

(4) 市民との意見交換の場を多様に設け、政策能力の強化や政策提言の拡大を図ります。

第5章 行政

(行政の役割)

第12条 行政は、公平・公正な市政運営を行います。

2 行政は、職員の意見を積極的に取り入れつつ行政改革や事務改善等を進めるとともに、職員が市民と対話しやすい職場環境づくりに努めます。

(市長の役割)

第13条 市長は、中長期的視点から市の将来像を示し、まちの発展のため総合的かつ計画的な市政運営を行います。

2 市長は、理想のまちの実現に向け、市民及び議会にまちづくりの推進を働きかけます。

(職員の役割)

第14条 職員は、職務の遂行に必要な知識の習得と技能の向上に努め、市民との信頼関係のもと、まちづくりに取り組みます。

(行政運営)

第15条 行政は、総合的かつ計画的な市政運営を図るための基本構想及びこれを実現するための基本計画を策定します。

2 行政は、効果的かつ効率的な市政運営を行うため、行政評価を実施し、その結果を公表します。

(財政運営)

第16条 市長は、財源の確保及びその効果的かつ効率的な活用を図り、健全な財政運営を行います。

2 市長は、財政及び財産の状況を分かりやすく市民に公表します。

第6章 まちづくりの仕組み

(参加と連携)

第17条 行政及び議会は、会議その他の会合に市民が参加しやすくなるよう、市民が情報を知る多様な手段を整備し、これを周知します。

2 市民は、まちづくりにおける市民同士の連携の重要性を考え、自ら集い、意見交換のできる場を設定し、又は機会を作り出すよう努めます。

(情報の共有)

第18条 行政は、積極的な情報提供とともに、市民の知る権利を保障し、保有する情報を原則として公開します。

2 市民及び行政は、災害等の緊急時に共助が円滑に行われるよう、互いに必要最小限の個人情報を提供できる環境を醸成するよう努めます。

(住民投票)

第19条 市長は、市政に関する特に重要な事項について、市民の意思を確認するため、住民投票を実施することができます。

2 住民投票の実施に関し必要な事項は、個別事案ごとに別に条例で定めます。

第7章 実効性の確保

(戸田市自治基本条例推進委員会)

第20条 市長は、この条例の実効性を確保するため、この条例に関することを諮問する機関として、戸田市自治基本条例推進委員会(以下「委員会」といいます。)を置きます。

2 委員会は、市民(団体の場合は、その代表者)を含む多様な委員により構成します。

3 委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定めます。

(条例の見直し)

第21条 市長は、4年を超えない期間ごとに、委員会に諮問することで、この条例の見直しの検討を行います。

この条例は、公布の日から施行します。

戸田市自治基本条例

平成26年7月1日 条例第13号

(平成26年7月1日施行)