○富田林市認知症と伴にあゆむ笑顔のまち条例
令和4年9月30日
条例第26号
富田林市では、「Mみんな E笑顔と E笑顔で T手をつなごう」「MEET☆とんだばやし」をキャッチフレーズに、認知症の普及啓発をはじめ、数々の認知症施策を進めてきました。
認知症は、誰もがなり得る病気です。今は支える側であっても、将来、支えてもらう側になるかもしれません。この条例の策定に当たって、認知症の人とその家族、認知症の人の介護経験がある人、地域で支援をしている人、医療及び介護に携わっている人などと検討を重ねる過程で、「自分が認知症になった時に、自分ひとりでできることは少なくなるかもしれないけれど、これまで生活してきた大好きな地域のよい環境で、住民どうしがともに支え合い、暮らし続けることができる富田林市になってほしい」という想いが出されました。
これまで「認知症になっても笑顔で暮らせる富田林」を目指して取り組んできた認知症施策を基盤とし、市民、関係機関、事業者及び地域組織がそれぞれの役割を担い、連携し、社会の認知症への理解を深め、認知症があってもなくても、同じ社会の一員として、地域をともに創っていくことができる「認知症と伴にあゆむ笑顔のまち」の実現を目指して、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、認知症の人の権利が尊重され、全ての市民が認知症とともに笑顔で暮らすことができるようにするため、認知症に関する施策(以下「認知症施策」という。)についての基本理念を定め、市の責務並びに市民、関係機関、事業者及び地域組織の役割を明らかにするとともに、認知症施策の基本的事項を定めることにより、認知症施策を総合的かつ計画的に推進し、もって一人ひとりが尊厳と希望を持ち、同じ社会で認知症と伴にあゆむ富田林を実現することを目的とする。
(1) 認知症 年齢にかかわらず、アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態をいう。
(2) 認知症の人とその家族 認知症の人、家族その他日常生活において密接な関係を有する者をいう。
(3) 市民 市内に住所を有する者及び市内に通勤し、又は通学する者をいう。
(4) 関係機関 医療及び介護に携わる事業者その他の福祉に関わる法人又は団体をいう。
(5) 事業者 市内で事業を営む個人、法人又は団体をいう。
(6) 地域組織 自治会、コミュニティその他の地域に住所を有する者により構成される法人又は団体をいう。
(7) 認知症サポーター 認知症サポーター養成講座を受講し、認知症に関する正しい知識及び理解を持ち、地域で認知症の人とその家族に対してできる範囲で手助けする者をいう。
(基本理念)
第3条 認知症施策は、次に掲げる基本理念に基づき、推進するものとする。
(1) 一人ひとりの意思が尊重され、尊厳及び希望を保持し、自分らしく暮らせるまちを目指すこと。
(2) 認知症に関する正しい知識及び理解に基づき、認知症の人とその家族が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる地域共生社会の実現を目指すこと。
(3) 認知症の人が自らの意思により、その能力を活かし、社会参加をすることができる環境をつくること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念に基づき、市民、関係機関、事業者及び地域組織と連携し、認知症施策を総合的に実施するものとする。
2 市は、認知症施策の実施に当たっては、認知症の人とその家族の意見の把握並びに生活課題の調査、分析及び効果検証を行うとともに、必要に応じて内容の見直しを行い、認知症の人とその家族の立場に立った施策の実施に努めるものとする。
3 市は、前項の実施を効果的に行うことができるよう、認知症の人とその家族を含めた会議を開催する。
4 市は、市民、関係機関、事業者及び地域組織が実施する認知症施策及び取組に協力しなければならない。
5 市は、認知症施策を推進するために必要な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は、認知症は誰もがなり得るものであることを認識し、認知症への備えとして、知識を深め、日常生活において、自らの健康づくりに努めるものとする。
2 市民は、認知症の人とその家族が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、交流、見守りその他のともに支え合う活動に積極的に取り組むよう努めるものとする。
3 市民は、市、関係機関、事業者及び地域組織が実施する認知症施策及び取組に協力するよう努めるものとする。
(関係機関の役割)
第6条 関係機関は、認知症に関する専門的な知識及び高い対応力を有する人材の育成に努めるものとする。
2 関係機関は、相互に連携し、認知症の人とその家族の状況に応じた適切な支援を行うよう努めるものとする。
3 関係機関は、市、市民、事業者及び地域組織が実施する認知症施策及び取組に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第7条 事業者は、従業員が認知症に関する正しい知識及び理解を持ち、適切な対応が行えるよう、必要な研修の実施及び育成に努めるものとする。
2 事業者は、認知症の人とその家族が日常生活において、安心して必要なサービス及び支援を受けることができるよう、環境の整備に努めるものとする。
3 事業者は、認知症の人が自らの意思でその能力を活用できるよう、その人の特性に応じた配慮に努めるものとする。
4 事業者は、市、市民、関係機関及び地域組織が実施する認知症施策及び取組に協力するよう努めるものとする。
(地域組織の役割)
第8条 地域組織は、認知症の人とその家族が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、認知症に関する理解を深めるとともに、住民がともに支え合い、コミュニティづくりに積極的に取り組むよう努めるものとする。
2 地域組織は、市、市民、関係機関及び事業者が実施する認知症施策及び取組に協力するよう努めるものとする。
(認知症の理解及び人材育成に関する施策)
第9条 市は、年齢、職域等にかかわらず、幅広く認知症に関する正しい知識の普及及び理解の促進並びに人材育成に努めるとともに、必要に応じて、教育機関、関係機関等と協力して取り組むものとする。
2 市は、幅広い世代の市民、関係機関、事業者及び地域組織に対して、認知症サポーターの養成の推進及び周知を実施するものとする。
3 市は、認知症サポーター等が地域で活躍するために必要な環境の整備及び認知症施策の実施に努めるものとする。
(認知症への備え等に関する施策)
第10条 市は、市民が認知症への備えとして、正しい知識、情報等を得ることができるよう努めなければならない。
2 市は、認知症になることを遅らせ、又は認知症になっても進行を緩やかにすることを目的とした活動を行うための環境の整備及び認知症施策の推進に努めるものとする。
3 市は、認知症の早期発見及びその後の適切な支援の実施に向けて、相談及び連携の体制づくりに努めるものとする。
(委任)
第11条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、令和4年10月1日から施行する。