○鳥取県みんなで取り組む中山間地域振興条例

平成20年10月21日

鳥取県条例第63号

鳥取県みんなで取り組む中山間地域振興条例をここに公布する。

鳥取県みんなで取り組む中山間地域振興条例

鳥取県の中山間地域は、豊かな自然や景観、歴史と文化に育まれ、地域住民の生活の場としてのみならず、県土の保全、食料の供給、水源のかん養、地球温暖化の防止等の多面的・公益的な機能を有しており、自然や食、災害に強い人と人、人と地域とのきずなの強さ等を大切にし、物質的な豊かさよりも心の豊かさを大切にする価値観や生活様式を育む場でもある。

この県民共有の財産である中山間地域は、長い年月をかけて先人たちが大切に守り育ててきたものであり、私たちは久しくその恵みを享受してきた。

しかしながら、中山間地域の現状をみると、森林の荒廃、耕作放棄地の増加、生活交通機能の縮小、買い物困難地域の拡大等に加え、過疎化と高齢化の進展により、集落の地域活動等を支える担い手が不足し、集落の維持存続さえ危ぶまれる地域もある。

このため、私たち鳥取県民は、中山間地域に暮らす人々が誇りをもって安心して生活を営み、また、中山間地域の貴重な資源と公益的な機能、人と人、人と地域とのきずなの強さを次世代に引き継ぐため、県、市町村、県民、特定非営利活動法人、事業者等の多様な主体が地域住民と協働し、共に手を携え、中山間地域の有する財産を生かして中山間地域の振興に取り組んでいくことが必要である。

このような考えに立って、県民一人一人が中山間地域の価値を広く認識し、県民等の総意の下、行政機関と県民等が協働して中山間地域の振興に取り組むため、この条例を制定する。

(平24条例15・平29条例6・一部改正)

(目的)

第1条 この条例は、中山間地域の振興に関する基本方針を定め、その実現を図るため地域住民をはじめとした県、市町村、県民、特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条に規定する特定非営利活動法人をいう。以下同じ。)、事業者等の役割を明らかにするとともに、協働して総合的な施策の推進を図ることにより、もって豊かで住みよい持続可能な地域社会の実現に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「中山間地域」とは、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

(1) 山村振興法(昭和40年法律第64号)第2条に規定する山村

(2) 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律(平成5年法律第72号)第2条第1項に規定する特定農山村地域

(3) 過疎地域自立促進特別措置法(平成12年法律第15号)第2条第1項に規定する過疎地域(同法第33条第1項又は第2項の規定により過疎地域とみなされる区域を含む。)

(4) 前3号に掲げるもののほか、これらの地域に類する地域として規則で定める地域

2 この条例において「県民等」とは、県民、特定非営利活動法人、ボランティア、事業者及び大学をいう。

3 この条例において「住民」とは、中山間地域に居住する県民をいう。

(基本方針)

第3条 中山間地域の振興は、住民の自主的かつ主体的な取組を尊重しつつ推進されなければならない。

2 中山間地域の振興は、県、市町村及び県民等の適切な役割分担及び協働の下に、県民等の活動に支えられて推進されなければならない。

3 中山間地域の振興は、自然環境、歴史、文化等の豊かさに加え、人と人、人と地域とのきずなの強さも資源と捉え、これらをはじめとする各地域の特性を十分に生かして推進されなければならない。

4 中山間地域の振興は、様々な機能を組み合わせ、サービスを複合的に提供することにより、限りある資源及び人材の有効活用を図りつつ推進されなければならない。

5 中山間地域の振興は、中山間地域を守り住み続けたいという住民の思いを尊重し、生活交通の確保、情報通信環境や買い物がしやすい環境の整備をはじめとした住民の安全かつ安心な定住環境の確保、産業の振興及び就業の場の確保が図られるよう推進されなければならない。

6 中山間地域の振興は、中山間地域に存在する農林地、宅地その他の土地及び建物等(構築物又はそれらに付随する工作物を含む。)(以下これらを「土地建物等」と総称する。)の適正な保全管理と有効活用が図られるよう推進されなければならない。

7 中山間地域の振興は、中山間地域の自然環境及び農林地を保全し、治山、治水、水源かん養等の公益的な機能の維持増進が図られるよう推進されなければならない。

8 中山間地域の振興は、都市部と中山間地域が共に支え合う共生の考えの下、都市部及び中山間地域が有する各々の価値及び機能を相互に理解し、協力して県土の均衡ある発展が図られるよう推進されなければならない。

(平24条例15・平29条例6・一部改正)

(県の責務)

第4条 県は、中山間地域において重点的に取り組む施策に関する行動指針を策定するなど、総合的な施策の推進に努めるものとする。

2 県は、前項に規定する行動指針の策定に当たっては、施策の目標となる数量的指標その他の客観的指標を設定するものとし、その達成状況を毎年度検証しながら施策を行うよう努めるものとする。

3 県は、施策を推進するに当たっては、市町村及び県民等と協働に努めるものとする。

4 県は、地域づくりに取り組む人材の確保及び育成について、市町村の取組を支援するよう努めるものとする。

5 県は、特定非営利活動法人、ボランティア、事業者、大学等のそれぞれの特性を生かした、住民と連携した地域活動が促進されるよう環境整備等に努めるものとする。

6 県は、国に対し、中山間地域の振興に関する施策の提言等を行うよう努めるものとする。

7 県は、中山間地域の公益的な機能について、県民の理解を深めるよう努めるものとする。

(平24条例15・平29条例6・一部改正)

(市町村の役割)

第5条 中山間地域をその区域に含む市町村は、地域の振興を図る上で中核となる行政組織として、地域づくりに取り組む人材の確保及び育成を図るとともに、自らが施策を講ずるに当たっては、地域の実情を把握し、及び自然環境、歴史、文化等の豊かさ、人と人、人と地域とのきずなの強さ、土地建物等その他の地域の資源を有効活用するなど、必要な主体等と連携して施策に取り組むよう努めるものとする。

(平24条例15・平29条例6・一部改正)

(県民等の役割)

第6条 県民等は、水源のかん養、洪水及び土砂崩壊の防止、大気の浄化、農林水産物の供給、憩いの場や自然とのふれあいを通じた教育の場の提供等の中山間地域が有する公益的な機能に対する理解を深め、それぞれの活動を通じて中山間地域を共に支え、活性化を目指す取組への参加及び協力に努めるものとする。

(重点的に取り組む施策)

第7条 県、市町村及び県民等は、第3条の基本方針にのっとり、相互に連携し、及び協力して、次に掲げる施策に重点的に取り組むものとする。

(1) 災害に強い安全な地域づくりの推進に関する施策で次に掲げるもの

 住民の防災意識を高め、災害への事前の備えの充実を図ること。

 誰もが安心して生活できるよう、周辺地域との連携及び多様な主体の参加による共助の仕組みの確立を図ること。

 消防団及び自主防災組織など消防防災体制の強化を図ること。

 防災機能又は避難所機能を備えた住み慣れた地域で暮らし続けるための地域生活を支える拠点の整備を図ること。

 産業又は生活の基盤として整備される施設の強じん化及び防災施設の整備を図ること。

(2) 安心な定住環境の確保及び充実に関する施策で次に掲げるもの

 地域に不可欠な生活基盤となっている生活交通の確保及び情報通信環境等の整備を図ること。

 地域における医師、看護人材及び介護人材の確保等による保健医療サービス及び福祉サービスの維持及び充実を図り、住民が自らの健康の保持増進に努められるようにすること。

 地域の見守り活動及び防犯に係る活動の推進を図ること。

 住民が食料品、日用品等の買い物に不便を感じないように、その利便性の向上を図ること。

 住民が地域に住み続けることができるように、コミュニティビジネス(県民等が中心となって地域が抱える課題を解決に導こうとする事業をいう。以下同じ。)の創出及び展開を図ること。

(3) 集落機能の維持及び集落活動の担い手に関する施策で次に掲げるもの

 地域づくりの担い手、推進役又は支援役となる人材、団体等の確保及び育成を図るとともに、多様な主体の地域づくりへの参加及び協力を促進し、その活躍の推進を支援すること。

 地域づくりを行う人的及び組織的なネットワークの構築を図ること。

 著しい人口の減少及び高齢化により地域社会の活力が低下している地域において、住民の安心な日常生活及び社会生活を確保し、並びに災害に備えるため、周辺地域との連携及び県民等が共に支え助け合う仕組みの構築を図ること。

(4) 伝統文化等の継承等に関する施策で、中山間地域の歴史と風土の中ではぐくまれた伝統行事、伝統文化、文化財等の維持及び継承を図るとともに、これに係る人材を育成し、元気で個性豊かな地域づくりを推進するもの

(5) 他地域との交流促進等に関する施策で、地域の資源を活かした体験や人との触れ合いをその内容に含む旅行の形態であるニューツーリズムの創出及び展開をはじめとして、中山間地域と県内及び県外の他地域との多様な交流を図るとともに、これらの交流により県民等の中山間地域の有する公益的な価値への関心を高め、県民等に中山間地域の維持及び発展への理解と協力を得るもの

(6) 中山間地域と都市部との共生に関する施策で、均衡ある地域づくりを図るため、豊かな自然、歴史、文化等を有する中山間地域と医療、人材、産業の分野等において広く機能を有する都市部等との連携及び協力を図るもの

(7) 中山間地域の公益的な機能の維持増進等に関する施策で、鳥獣による被害の防止、自然環境及び農林地の保全、里山の整備等により、治山、治水、水源のかん養等の公益的な機能の維持及び強化を図るもの

(8) 中山間地域の特色を生かした産業の振興及び仕事の創出に関する施策で次に掲げるもの

 地域の特色を生かした農林業等の生産から販売までの体制の強化を図ること。

 農林業等、商工業及び観光業が連携し、地域資源を活用した新たな産業の創出を図ること。

 地域の発展及び活性化に役立てるため、コミュニティビジネスの創出及び展開を図ること。

 地域の再生可能エネルギー源を有効に利活用することにより、新たな産業の創出、雇用の拡大等を図ること。

(9) 移住の推進等による新たな人の流れの創出に関する施策で次に掲げるもの

 地域における人口の減少を抑制し、地域の活力を維持するため、地域に移住し、定住する者の増加を図ること。

 地域の産業を支える人材の育成、企業の誘致及び就業の場の確保を図ること。

 管理が困難となり放棄され、又は放置されるおそれのある土地建物等の情報を収集し、利活用を希望する者に提供するなどしてその有効活用を図ること。

(10) 子どもに対する教育、保育等の子育て環境を整備し、住民が安心して子どもを生み育てることができる環境の確保を図ること。

(平24条例15・平29条例6・一部改正)

(調査及び研究)

第8条 県は、市町村、学識経験者、住民及び県民等と定期的に協議し、中山間地域の現状把握並びに施策の調査及び研究を行い、施策の充実に努めるものとする。

(推進体制の整備)

第9条 県は、中山間地域の振興に関する施策を総合的に推進するため、県の推進体制の整備に努めるものとする。

(財政上の措置)

第10条 県は、中山間地域の振興に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(雑則)

第11条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、知事が要綱で定める。

附 則

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(検討)

2 知事は、平成28年度末を目途として、この条例の規定及びその実施状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(平24条例15・一部改正)

附 則(平成24年条例第15号)

この条例は、公布の日から施行する。

附 則(平成29年条例第6号)

この条例は、平成29年4月1日から施行する。

鳥取県みんなで取り組む中山間地域振興条例

平成20年10月21日 条例第63号

(平成29年4月1日施行)