○大子町太陽光発電設備の適正な設置及び管理に関する条例

令和4年9月5日

条例第13号

(目的)

第1条 この条例は,町内における発電設備の設置による自然環境,景観,生活環境等に及ぼす影響及び災害の発生が危惧されることに鑑み,その設置及び管理に関し必要な事項を定めることにより,事業区域及びその周辺地域における豊かな自然環境の保護及び良好な景観の形成,生活環境の保全並びに災害の防止を図り,もって町民の安心安全の確保及び地域社会との調和に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

(1) 発電設備 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第2項に規定する再生可能発電エネルギー設備であって,同条第3項に規定する再生可能エネルギー源のうち,太陽光を電気に変換する設備をいう。

(2) 設置事業 発電設備を設置する工事(増設及び改修を含む。)及び森林の伐採,土地の形質の変更その他の発電設備を設置するために必要な工事を行う事業をいう。

(3) 発電事業 発電設備の設置後,当該発電設備において発電を行う事業をいう。

(4) 事業区域 設置事業及び発電事業を行う土地(発電設備に附属する管理施設,変電設備,緩衝帯等に係る土地を含む。)であって,柵等の工作物及び境界杭の設置その他の表示方法により当該土地以外の土地と区別された区域をいう。

(5) 事業者 設置事業又は発電事業を行う者をいう。

(6) 土地管理者 事業区域に係る土地の所有者,占有者及び管理者をいう。

(7) 地元関係者 発電設備の設置に関し,その理解を得る必要がある次に掲げる者をいう。

 土地管理者並びに事業区域に隣接する土地の所有者,占有者及び管理者

 事業区域の境界からおおむね100メートル以内において居住する者又は事業を営む者

 事業区域及びこれに隣接する土地の区長(大子町行政区長設置条例(昭和45年大子町条例第6号)第2条に規定する区長をいう。)及び同様の職務を担当する者

 からまでに掲げるもののほか,町長が必要と認める者

(適用範囲)

第3条 この条例の規定は,事業用の発電設備について適用する。

(町の責務)

第4条 町は,この条例の適正かつ円滑な運用を図られるよう必要な措置を講じなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は,この条例のほか,設置事業及び発電事業に関連する法令等を遵守するとともに,自然環境の保護及び景観の形成,生活環境の保全並びに災害の防止に十分に配慮し,地元関係者との良好な関係の保持に努めなければならない。

2 事業者は,発電設備の維持管理並びに発電事業終了後の撤去及び処分に係る費用を計画的な積立て等の方法により確保しなければならない。

(町民の責務)

第6条 町民は,発電設備に係る町の施策及びこの条例に定める手続の実施に協力するよう努めなければならない。

(禁止区域)

第7条 事業者は,次に掲げる区域(以下「禁止区域」という。)において,設置事業を行ってはならない。

(1) 砂防法(明治30年法律第29号)第2条の規定により指定された砂防指定地

(2) 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第3条第1項の地すべり防止区域

(3) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の急傾斜地崩壊危険区域

(4) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第7条第1項の土砂災害警戒区域及び同法第9条第1項の土砂災害特別警戒区域

(抑制区域)

第8条 町長は,第1条の目的を達成するため,設置事業を抑制すべきと判断した区域(以下「抑制区域」という。)を指定し,当該抑制区域において設置事業を行わないよう事業者に協力を求めることができる。

2 抑制区域は,町規則で定める。

(配慮事項)

第9条 町長は,事業者が設置事業及び発電事業を実施する上で様々な影響があると想定される次に掲げるものについては,配慮が必要な事項(以下「配慮事項」という。)として,当該事業者に特段の配慮を求めることができる。

(1) 生活環境の保全に関すること。

(2) 防災及び安全対策に関すること。

(3) 地元関係者への対応に関すること。

(4) 発電設備設置後の維持管理に関すること。

(5) 前各号に掲げるもののほか,影響があると想定されること。

2 配慮事項は,町規則で定める。

(事業の制限)

第10条 事業者は,大子町暴力団排除条例(平成24年大子町条例第1号)第2条に規定する暴力団,暴力団員及び暴力団員等(以下「暴力団等」という。)又は暴力団等と関係を有するもの若しくは暴力団等がその事業活動を支配するものに該当する場合は,設置事業及び発電事業を行うことができない。

(事業区域の選定)

第11条 第14条第1項の規定による許可(以下「設置許可」という。)の申請(以下「許可申請」という。)をしようとする事業者は,事業区域を選定するときは,町長と検討又は調整をしなければならない。

(事前協議)

第12条 許可申請をしようとする事業者は,前条の規定により選定した事業区域ごとに,設置事業に関する計画を作成し,町長と事前協議をしなければならない。

(合意形成)

第13条 事業者は,設置事業に着手する前に地元関係者に対し事業内容を説明し,必要に応じて説明会を開催の上,当該地元関係者からの意見を集約して合意形成を図るよう努めなければならない。

2 事業者は,地元関係者から設置事業及び発電事業に係る苦情又は要望があったときは,誠意をもって対応し,必要に応じて協定書等を作成し,その理解を得るよう努めなければならない。

(設置事業の許可)

第14条 事業者は,設置事業に着手しようとする日の30日前までに,町長の許可を受けなければならない。

2 設置許可を受けた事業者は,その内容を変更しようとするときは,速やかに町長に変更の許可(以下「変更許可」という。)を受けなければならない。

3 事業者は,許可申請又は変更許可の申請を取り下げようとするときは,速やかに町長に届け出なければならない。

(設置事業の着手及び届出)

第15条 事業者は,設置事業に着手しようとするときは,当該設置事業に着手しようとする日の10日前までに町長に届け出なければならない。

2 前項の場合において,事業者は,設置事業を中断し,再開し,廃止し,又は完了したときは,その都度速やかに町長に届け出なければならない。

(現地確認)

第16条 町長は,前条第2項の規定による設置事業の完了の届出(以下「完了届」という。)があったときは,現地確認を行うものとする。

2 町長は,前項の規定による現地確認を行った結果,設置許可又は完了届の内容に相違等があったときは,当該事業者に対して説明を求めることができる。

(発電事業の開始)

第17条 事業者は,発電事業の運用を開始したときは,速やかに町長に届け出なければならない。

2 事業者は,発電事業の稼働状況等について,町長に報告しなければならない。

3 事業者は,発電事業の開始後に,当該事業者又は土地管理者に変更が生じたときは,速やかに町長に届け出なければならない。

(発電設備の維持管理)

第18条 事業者は,発電設備の維持管理について,適切な措置を講じなければならない。

(標識の設置)

第19条 事業者は,発電設備の稼働期間中,事業区域内の見やすい場所に,町規則で定める事項を記した標識を設置しなければならない。

(侵入防止措置)

第20条 事業者は,事業区域内に関係者以外の者が容易に立ち入ることがないよう周囲に柵等を設置し,侵入防止措置及び安全対策を講じなければならない。

(異常発生時の対応)

第21条 事業者は,発電設備に自然災害による被害その他の異常が発生したときは,速やかに現地を確認し,早急に対処するとともに,町長に報告し,地元関係者に周知しなければならない。

(原状回復)

第22条 事業者は,設置事業を中止したとき,又は発電事業を廃止したときは,速やかに発電設備を撤去し,自然環境及び景観の回復並びに災害の防止に努めなければならない。

(発電事業終了後の適正処分等)

第23条 事業者は,発電事業を終了したときは,速やかに町長に届け出なければならない。

2 事業者は,発電設備を速やかに撤去し,関係法令等に基づき適正に処分しなければならない。

3 事業者は,発電設備の撤去及び処分が完了したときは,速やかに町長に報告しなければならない。

4 町長は,第1項及び前項の場合において,現地確認を行い,当該事業者に対し,必要な指導又は助言をすることができる。

(立入調査等)

第24条 町長は,この条例の施行に関し必要な限度において,職員に事業者の事務所若しくは事業所又は事業区域内にある事業者の土地若しくは建物に立ち入り,設置事業及び発電事業に関する事項を調査させ,又は当該事業者に報告若しくは資料の提出を求め,若しくは当該事業者に質問することができる。

2 前項の規定により立入調査をする職員は,その身分証明書を携帯し,事業者の請求があったときは,これを提示しなければならない。

(助言等)

第25条 町長は,必要があると認めるときは,事業者に対し,適切な措置を講ずるよう助言又は指導を行うことができる。

2 町長は,事業者が次の各号のいずれかに該当するときは,当該事業者に対し,適切な措置を講ずるよう勧告することができる。

(1) この条例の規定による申請,届出若しくは報告(以下「届出等」という。)を怠ったとき,又は虚偽の届出等を行ったとき。

(2) 設置許可を受ける前に設置事業に着手したとき。

(3) 第19条又は第20条の規定による設備を設置しなかったとき。

(4) 第23条第2項の規定による撤去及び処分を行わなかったとき。

(5) 前条第1項の規定による報告若しくは資料の提出をせず,若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし,同項の規定による事業区域内への立入調査を拒み,妨げ,若しくは忌避し,又は同項の質問に対して答弁せず,若しくは虚偽の答弁をしたとき。

(公表)

第26条 町長は,前条第2項の規定による勧告を受けた事業者が当該勧告に従わないときは,当該事業者の氏名又は名称及び住所又は所在地並びに勧告の内容を公表することができる。

2 町長は,前項の規定による公表をしようとするときは,あらかじめ当該事業者に対し,その理由を通知し,意見を述べる機会を与えなければならない。

(国又は県への報告)

第27条 町長は,前条第1項の規定により公表した後,公表の内容及び事実を国又は県に報告するものとする。

(委任)

第28条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行に関し必要な事項は,町規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は,令和4年12月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例は,施行の日以後に着手する設置事業について適用し,施行の際既に着手している設置事業については,この条例(第23条から第26条までの規定を除く。)の規定は適用しない。ただし,町長は,既に設置事業に着手している事業者に対し,この条例について遵守するよう協力を求めることができる。

大子町太陽光発電設備の適正な設置及び管理に関する条例

令和4年9月5日 条例第13号

(令和4年12月1日施行)