○まんのう町議会基本条例
平成23年3月18日
条例第9号
目次
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第2条・第3条)
第3章 町民と議会の関係(第4条・第5条)
第4章 議会と行政の関係(第6条―第9条)
第5章 自由討議の拡大及び保障(第10条)
第6章 議会機能の充実と強化(第11条―第13条)
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第14条・第15条)
第8章 最高規範性と見直し手続(第16条・第17条)
附則
地方分権の時代を迎え、自治体の自己責任と自己決定の範囲が拡大し、二元代表制の一翼を担う地方議会の、意思決定機関、行政の監視機関としての役割と責任は、これまで以上に重要なものとなっている。
このため、まんのう町議会は、本来備わる機能を十分に駆使し、常に町長その他の執行機関(以下「町長」という。)と、対等で緊張ある関係を維持しながら町民の代表機関として、町長等が行う事務を評価及び監視するに当たり、その立案、決定、執行等における論点及び争点を明確にし、積極的に町民へ情報発信することによって議会の意思決定における説明責任を果たし、町民と協働のまちづくりを推進する必要がある。
ここに我々は、公正且つ透明な、開かれた議会運営を実現するための基本事項を定め、議会の役割と活動の指針を明確にすべく、この条例を制定する。この条例に定める議会運営のルールを遵守し、実践することによって、町民から信頼され、存在感のある豊かな議会を築くために不断の努力を惜しまないものとする。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地域主権の時代にふさわしい、町民の身近な存在としての議会及び議員活動の活性化と充実を図り、町政の積極的な情報公開と町民参加等、必要な議会運営の基本事項を定めることにより、安心安全で心豊かに生活できるまちづくりを実現することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、町民の代表者によって構成される合議制機関として、町民全体の立場に立って、町長等の活動を監視するとともに、町民の福祉の向上と持続可能なまちづくりのため、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。
(1) 公正性及び透明性を確保し、町民に開かれた議会を実現すること。
(2) 町民の議会傍聴の意欲を高めるための諸施策を講じるなど、議会への関心を高める議会運営を行うこと。
(3) 町民にとって、分かりやすい言葉を用い、説明責任を果たすこと。
(4) 公聴会等を開催し、又は町民の多様な意見を的確に把握するための措置を講じ、これを町政に反映させること。
(5) 町民のための政策を立案し、提案すること。
(6) 町民の視点に立ち、議会内での申合せ事項は不断に見直しを行うこと。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、議会の活動原則を踏まえ、議会の構成員として、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。
(1) 議会が言論の府であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
(2) 町政の課題全般について、町民の意見を的確に把握するとともに、自ら能力を高め、町民の代表者としてふさわしい活動をすること。
(3) 一部団体及び地域の利益の実現にとらわれず、町民全体の福利の向上を目指して活動すること。
第3章 町民と議会の関係
(町民参加及び町民との連携)
第4条 議会は、町民に対し、積極的にその有する情報を発信し、説明責任を十分果たすとともに、町民の議会活動への参加を促進しなければならない。
2 議会は、本会議、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会その他法令・規則に定める会議は、原則公開とする。公開しない場合には、議長、委員長又は当該会議の長は、その理由を明らかにしなければならない。
4 議会は、町民、町民団体、NPO等との意見交換の場を多様に設け、町民の多様な意見の把握に務め、議員の政策立案能力を強化するとともに、議会による政策提案の拡大を図るものとする。
(議会報告会)
第5条 議会は、町政の諸課題に柔軟に対処するため、町政全般にわたって、議員及び町民が自由に情報及び意見を交換する議会報告会を行わなければならない。
2 議会報告会に関する事項は、別に定める。
第4章 議会と行政の関係
(議員と執行機関の関係)
第6条 議会審議における議員と「町長及び町職員(以下「町長等」という。)関係は、町民にとっての課題解決が目的であることを共通認識した上で、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めなければならない。
(1) 本会議における議員と町長等の質疑応答は、広く町政上の論点及び争点を明確にするため、原則として一問一答の方式で行うこととする。
(2) 議長から本会議及び委員会への出席を要請された町長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問に対して反問することができる。
(3) 議員は、町長等に対し、口頭による要請は行わない。
(4) 議員から町長等に対する要請が、軽微な質疑を超え検査に相当する場合は、個々の議員には検査権が与えられていないことを心得、法第98条の規定に則り、委任・付託手続きを踏まえ、議会若しくは委員会による決議に付するものとする。
(議会審議における論点情報の形成)
第7条 町長は、議会の議決を得るべき政策案を提案する際、次に掲げる事項を明らかにしなければならない。
(1) 政策等の発生源
(2) 提案理由及び提案に至る経緯
(3) 検討した他の政策案等の内容及び評価
(4) 他の自治体の類似する政策との比較検討結果
(5) 町民参加実施の有無とその形態及び内容
(6) 総合計画、中長期計画との整合性
(7) 実施に関わる財源措置
(8) 将来にわたるコスト計算
(9) 関係ある法令及び条例等
2 議会は、前項の政策等の提案を審査するにあたっては、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議を行うものとする。
(予算及び決算における政策説明)
第8条 前条の規定に準じ、予算及び決算の審議に当たって、議会は、分かりやすい施策別又は事業別の説明を町長等に求めるものとする。
(議会の議決事件)
第9条 法第96条第2項に規定する議会の議決事項は、次のとおりとする。
(1) まんのう町総合計画に関連する中長期計画の策定及び変更
(2) 町民生活に重大な影響を及ぼすことが予想される計画及び施策事業
(3) 法第221条第3項の法人に対する出資及び同時に規定された町に存する受益権に相当する調査・報告の承認
第5章 自由討議の拡大及び保障
(議会の合意形成)
第10条 議会は言論の府・議論の場であることを十分に認識し、議長は、議員相互間の自由討議を中心に運営しなければならない。
2 議会は、本会議及び委員会において、議員、委員会及び町長等からの提出議案並びに町民提案に関して審議し、結論を出す場合、議員相互間の議論を尽くして合意形成に努めるものとする。
3 議長は必要に応じて町長等に対し会議への出席を要請するが、必要最小限に留めることとする。
第6章 議会機能の充実と強化
(議会事務局の体制整備)
第11条 議長は、議員の政策形成及び立案を補助する組織として、議会事務局の人員、業務環境を確保し、さらなる調査・法務機能の充実強化を図るよう努める。
(議会図書室の公開)
第12条 議会図書室は、町政資料室としての用益も勘案し、議員のみならず、町民及び町職員もこれを利用できるものとする。
2 議員は政務調査の一環として購入した図書や資料を、事後において議会図書室に寄贈し、蔵書の充実に努めることとする。
(議会広報の充実)
第13条 議会は、情報通信技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、迅速かつ正確な情報発信を行い、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう議会広報活動に務めるものとし、また議会議事の概要、重要議案に対する各議員の対応等を公表する等、町民に対する積極的な議会情報の提供に努めるものとする。
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第14条 議員は、町民全体の代表者としての倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑や誤解を招くことのないよう行動しなければならない。
(議員定数と議員報酬)
第15条 議員定数及び議員報酬は、別に定める。
2 議員定数及び議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を考慮するとともに、議員活動の評価等に関し、町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。
3 議員定数の条例改正議案及び議員報酬の条例改正議案は、町民の直接請求による場合及び町長が提出する場合を除き、議員定数の基準等の明確な改正理由を付して、法第109条第6項又は法第112条第1項の規定に基づき、委員会又は議員から提出するものとする。
第8章 最高規範性と見直し手続
(最高規範性)
第16条 この条例は、議会運営における最高規範であって、議会は、この条例で定める目的や原則等を実現するために、必要な事項について、条例等を制定・改正し、議会運営の仕組みを体系的に整備しなければならない。
2 議会は、この条例に違反する条例、規則等を制定してはならない。
3 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、この条例の研修を行わなければならない。
(見直し手続)
第17条 議会は、一般選挙を経た任期開始後、速やかに、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。
2 議会は、前項による検討の結果に基づいて、この条例の改正を含む適切な措置を講じるものとする。
3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成24年12月25日条例第26号)
この条例は、地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)附則第1条ただし書に規定する規定の施行の日から施行する。