○まんのう町認知症総合支援事業実施要綱
平成29年3月9日
告示第20号
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 認知症初期集中支援推進事業(第5条―第12条)
第3章 認知症地域支援・ケア向上事業(第13条―第15条)
第4章 認知症カフェ事業(第16条―第28条)
第5章 雑則(第29条・第30条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この要綱は、介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第115条の45第2項第6号の規定に基づき、本町が実施するまんのう町認知症総合支援事業の実施について必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この要綱における用語の意義は、法、介護保険法施行令(平成10年政令第412号)、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号。以下「省令」という。)、介護予防・日常生活支援総合事業の円滑な実施を図るための指針(平成27年厚生労働省告示第196号)、介護予防・日常生活支援総合事業のガイドラインについて(平成27年6月5日老発0605第5号厚生労働省老健局長通知)及び地域支援事業の実施について(平成18年6月9日老発第0609001号厚生労働省老健局長通知)別紙の地域支援事業実施要綱の例による。
(事業)
第3条 町長は、まんのう町認知症総合支援事業として、次に掲げる事業を行うものとする。
(1) 認知症初期集中支援推進事業
(2) 認知症地域支援・ケア向上事業
(3) その他認知症である者、その家族等に対する支援に関し必要な事業
2 町長は、前項の規定により事業委託を受けた者(以下「委託法人等」という。)の行う事業について、適切な運営が確保されないとき、又はそのおそれがあると認めるときは、当該契約を解除するものとする。
3 事業委託の内容及び範囲は、町長が別に定める。
第2章 認知症初期集中支援推進事業
(目的)
第5条 町長は、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けられるために、認知症の人とその家族に早期に関わる認知症初期集中支援チーム(以下「支援チーム」という。)を配置し、早期診断及び早期対応に向けた支援体制を構築することを目的とする認知症初期集中支援推進事業を行う。
(支援チームの配置及び役割)
第6条 支援チームは、地域包括支援センター、病院、診療所等に配置することとし、認知症に係る専門的な知識及び技能を有する医師の指導の下、複数の専門職が家族の訴え等により訪問支援対象者及びその家族を訪問し、観察・評価、家族支援等初期の支援を包括的かつ集中的に行い、自立生活のサポートを行うものとする。
2 支援チームは、地域包括支援センター職員、本町関係職員、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、認知症サポート医、認知症に係る専門的な知識及び技能を有する医師、認知症疾患医療センター職員、介護事業者等との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保するものとする。
(1) 専門職である者 次に掲げる要件を全て満たす者とする。
ア 保健師、看護師、准看護師、作業療法士、歯科衛生士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士等医療保健福祉に関するいずれかの国家資格を有すること。
イ 認知症ケアや在宅ケアの実務・相談業務等に3年以上携わった経験があること。
(2) 専門医 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかに該当し、かつ認知症サポート医であること。
(1) 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定のあるもの
(2) 認知症サポート医であって、認知症疾患の診断・治療に5年以上従事した経験を有するもの(認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている場合に限る。)
3 チーム員は、国が別に定める「認知症初期集中支援チーム員研修」を受講し、必要な知識及び技能を修得するものとする。
4 前項の規定にかかわらず、町長は、やむを得ないと認める場合には、国が定める研修を受講したチーム員が当該受講内容をチーム内で共有することを条件として、同研修を受講していないチーム員が事業へ参加することを認めることができる。
2 前項の訪問活動等は、訪問支援対象者の認知症の包括的観察・評価に基づいて行うものとする。
(訪問の方法等)
第9条 訪問支援対象者及びその家族を訪問する場合のチーム員の人数は、初回の観察・評価の訪問時は、原則として、医療系職員と介護系職員それぞれ1名以上の計2名以上とする。
2 訪問支援対象者及びその家族の訪問に係る観察・評価票の記入は、原則として、チーム員である保健師又は看護師が行うものとする。ただし、チーム員でない地域包括支援センター、認知症疾患医療センター等の保健師又は看護師が訪問した上で記入を行うことを妨げない。
(訪問支援対象者)
第10条 訪問支援対象者は、原則として40歳以上で、在宅で生活しており、かつ、認知症が疑われる者又は認知症である者で、次の各号のいずれかに該当するものとする。
(1) 医療サービス若しくは介護サービスを受けていない者又はそれらを中断している者で、次のいずれかに該当するもの
ア 認知症疾患の臨床診断を受けていない者
イ 継続的な医療サービスを受けていない者
ウ 適切な介護サービスに結び付いていない者
エ 介護サービスが中断している者
(2) 医療サービス又は介護サービスを受けている者で、認知症の行動・心理症状が顕著であるもの
(事業内容)
第11条 認知症初期集中支援推進事業の内容及び方法は、次に掲げるとおりとする。
(1) 支援チームに関する普及啓発 地域住民並びに関係機関及び団体に対し、支援チームの役割及び機能について広報活動及び協力依頼を行う等の取り組みを行うこと。
(2) 認知症の初期集中支援の実施
ア 訪問支援対象者の把握
(ア) 訪問支援対象者の把握については、支援チームが必ず地域包括支援センター及び認知症疾患医療センター経由で訪問支援対象者に関する情報を入手できるように配慮すること。
(イ) チーム員が直接訪問支援対象者に関する情報を知り得た場合においても、地域包括支援センター及び認知症疾患医療センターと情報共有を図ること。
イ 情報収集及び観察・評価
(ア) 本人のほか家族等あらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い、本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等を情報収集すること。
(イ) 信頼性及び妥当性の検証がされた観察・評価票を用いて、認知症の包括的観察・評価を行うこと。
ウ 初回訪問時の支援
(ア) 初回訪問時に、認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門的医療機関への受診及び介護保険サービスの利用の効果に関する説明並びに訪問支援対象者及びその家族の心理的サポート、助言等を行う。
(イ) (ア)の説明及び助言等は、おおむね2時間以内を目安として行うこと。
エ 専門医を含めたチーム員会議の開催
(ア) 初回訪問後、訪問支援対象者毎に、観察・評価内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、専門医も含めたチーム員会議を行うこと。
(イ) (ア)の会議の開催に当たり、必要に応じて、訪問支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、本町関係課職員等の参加も依頼すること。
オ 初期集中支援の実施
(ア) 医療機関への受診が必要な場合の訪問支援対象者への動機付け又は継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨及び誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境等の改善等の支援を行うこと。
(イ) (ア)の支援は、訪問支援対象者が医療サービスや介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし、概ね最長で6か月を目安として行うこと。
カ 引き継ぎ後のモニタリング
(ア) 初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、認知症疾患医療センター、地域包括支援センターの職員、担当介護支援専門員等と同行訪問を行う等の方法で円滑に引き継ぎを行うこと。
(イ) 初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、チーム員会議において、引き継ぎの2か月後に、サービスの利用状況等を評価し、必要性を判断の上、随時モニタリングを行うこと。
(ウ) 訪問支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した書類は、初期集中支援の終了後5年間保管しておくこと。
キ 支援実施中の情報の共有について
訪問支援対象者の情報を地域包括支援センター等の関係機関が把握した場合には、認知症初期集中支援チーム及び認知症疾患医療センターに情報を提供する等して情報共有を図り、事業実施すること。
(3) 医療機関、関係機関との連携及び情報の共有に関する事業
(4) その他認知症の初期集中支援に関し必要な事業
(まんのう町認知症初期集中支援チーム検討委員会)
第12条 委員会は、認知症が疑われる高齢者の早期診断及び早期対応に向けた支援体制の構築に資するため、支援チームの活動のうち次の事項について、検討を行うものとする。
(1) 支援チームの活動状況に関すること。
(2) 認知症に関する関係機関との連携に関すること。
(3) その他支援チームの活動について必要な事項に関すること。
2 委員会の委員の基準、定数、任期等は、次のとおりとする。
(1) 委員会は、保健・福祉・医療に関する機関、団体及び介護保険の被保険者、地域の代表のうちから町長が委嘱する委員20人以内をもって組織する。
(2) 委員の任期は、3年とする。ただし、再任は妨げない。
(3) 委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の在任期間とする。
3 委員長及び副委員長の選定の方法、役割等は、次のとおりとする。
(1) 委員会に委員長及び副委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。
(2) 委員長は、委員会を代表し、会務を総理する。
(3) 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、その職務を代理する。
4 委員会の会議は、町長が必要に応じ招集し、委員長が議長となる。
5 委員会の庶務は、福祉保険課において処理する。
第3章 認知症地域支援・ケア向上事業
(目的)
第13条 町長は、本町において医療機関及び介護サービス並びに地域の支援機関の間の連携を図るための支援並びに認知症である者及びその家族を支援する相談業務等を行う認知症地域支援推進員(以下「推進員」という。)を配置し、当該推進員を中心として、医療・介護等の連携強化等による、地域における支援体制の構築と認知症ケアの向上を図ることを目的とする認知症地域支援・ケア向上事業を行う。
(推進員の配置及びその役割)
第14条 次のいずれかの要件を満たす者を、推進員として、地域包括支援センター等に配置するものとする。
(1) 認知症の医療又は介護における専門的知識及び経験を有する医師、保健師、看護師、作業療法士、歯科衛生士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士
(2) 准看護師、認知症介護指導者養成研修修了者等前号に掲げる者以外のもので認知症である者の介護又は医療における専門的知識及び経験を有する者として町長が認めた者
2 町長は、必要に応じて香川県と連携を行い、研修会、関係者によるネットワーク会議等の機会を通じて、推進員の活動を行う上で有すべき知識の確認と資質の向上に取り組むものとする。
(推進員の業務内容)
第15条 推進員の行う認知症地域支援・ケア向上事業の内容及び方法は、次に掲げるとおりとする。
(1) 認知症である者に対し、状態に応じた適切なサービスが提供されるよう、地域包括支援センター、医療機関、介護サービス事業者、認知症サポーター等地域において認知症である者を支援する関係者の連携を図るための取組み
(2) 認知症地域支援推進員を中心に地域の実情に応じて、地域における認知症の人とその家族を支援する相談支援又は支援体制を構築するための取組み
(3) 次に掲げる事業の実施に関する企画及び調整
ア 病院、介護保険施設等で認知症対応力向上を図るための支援事業
病院、介護保険施設等の職員の認知症への理解を深め、対応力を高めるために、認知症疾患医療センター等の専門医等が処遇困難事例に対して事例検討を行い、個別支援を実施すること。
イ 地域密着型サービス事業所、介護保険施設等での在宅生活継続のための相談・支援事業
認知症の人が可能な限り住み慣れた地域で生活を続けていくために、認知症対応型共同生活介護事業所、小規模多機能型居宅介護事業所、特別養護老人ホーム等が、相談員を配置し、当該事業所等が有する知識、経験及び人材を活用し、在宅で生活する認知症である者及びその家族に対して効果的な介護方法等の専門的な相談支援等を行うこと。
ウ 認知症である者の家族に対する支援事業
町長又は町長が適当と認める者が、認知症の人及びその家族を支えるつながりを支援し、認知症の人の家族の介護負担の軽減等を図る次の事業
(ア) 認知症の人とその家族、地域住民、専門職がカフェ等の形態で集う取組み(以下「認知症カフェ」という。)等の開催
(イ) 認知症の人の家族向けの介護教室の開催等の実施
エ 認知症ケアに携わる多職種協働のための研修事業
医療及び介護は生活支援の一部であることを十分に意識し、医療、介護等が相互の役割及び機能を理解しながら、統合的なケアにつなげていくため、認知症ケアにおける多職種協働の重要性等を修得する認知症多職種協働研修を実施すること。
第4章 認知症カフェ事業
(目的)
第16条 地域の実情に応じて、認知症の人及びその家族、地域住民、専門職等誰もが参加し集うことができる場所としてまんのう町認知症カフェを開設し運営することにより、認知症になっても住み慣れた地域で安心してその人らしい尊厳ある生活ができる環境を確保し、および認知症の人の家族の介護負担の軽減を図り、認知症の人及びその家族を支える地域づくりを推進することを目的とする。
(実施主体)
第17条 事業の実施主体はまんのう町とする。ただし、町長は、次の各号のいずれにも該当する団体等に委託することができる。
(1) 町内に所在すること。
(2) 宗教活動又は政治活動を主たる目的としないこと。
(3) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条に規定する暴力団でないこと。
(4) 事業を着実に実行することができ、適切な事業運営が確保できると認められること。
(5) 町税を滞納していないこと。
(名称)
第18条 認知症カフェの名称は「まんまんカフェ○○○」とする。
(事業の対象者)
第19条 まんのう町内に住所を有する認知症の人とその家族、地域住民、専門職等とする。
(事業内容)
第20条 事業の内容は次の各号を実施するものとする。
(1) 認知症の人とその家族、地域住民等が気軽に集まり出会える場所の提供
(2) 認知症や健康に関する正しい知識の普及、理解を深めるための「ミニ講座」の開催
(3) 認知症の人が自ら活動し、楽しめる内容の提供
(4) 認知症の家族が分かり合える人と出会い、交流や情報交換ができる場の提供
(5) 認知症に関する相談の対応
(6) その他町が必要と判断した内容
(実施要件)
第21条 事業の実施に当たっては、次の各号のいずれにも該当するものとする。
(1) 適切な事業運営が確保できると認められる町内の場所において行うこと。
(2) 月1回以上、1回2時間以上開催すること。
(3) 認知症に関する相談に対応できるよう専門職(保健師、社会福祉士、介護支援専門員、看護師)を1名以上配置すること。また、必要に応じて、補助者を配置すること(補助者はボランティアでも可)。
(登録手続)
第22条 事業の受託を希望する団体等は、次の書類を町長に提出しなければならない。
(1) まんのう町まんまんカフェ認定申請書(様式第1号)
(2) その他必要と認める書類
(登録決定)
第23条 町長は、申請を受理し適当と認めたときは、まんのう町まんまんカフェ認定通知(様式第2号)を申請者へ交付する。
(変更、廃止手続)
第24条 受託者は、開催場所や開催日時、その他登録内容に変更があった場合は、まんのう町まんまんカフェ変更届(様式第3号)を町長へ提出する。
(費用の負担)
第25条 事業の利用に係る費用は、無料とする。ただし、利用者から飲食代等の実費を一部徴収することもできる。
(実施報告)
第26条 受託者は、事業の実施状況についてまんのう町まんまんカフェ実施報告書(様式第6号)により、翌月の10日(休日の場合は、その翌開庁日)までに町長に報告するものとする。
(委託料の支払い)
第27条 町長は、町が定めた回数以上を行った場合は事業運営に係る諸経費を委託料(消費税および地方消費税を含む)として、年72,000円支払う。ただし、事業の実施が年度途中からの場合は、委託料の年額を12で除して得た額に事業実施月数を乗じて得た額を支払う。委託料を認知症カフェ以外の事業に流用することは認めない。
(留意事項)
第28条 受託者は、カフェ事業を実施するに当たり、次の各号に掲げる留意事項を遵守しなければならない。
(1) 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の規定等を踏まえ、利用者及びその家族の個人情報やプライバシーの尊重、保護に万全を期すものとし、正当な理由なくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(2) 茶菓等を提供する際には衛生管理に留意すること。
(3) 地域包括支援センター、介護サービス事業所等及び地域の関係者等と連携を図り、地域に開かれた場になるよう努めること。
(4) 地域住民が認知症の人やその家族と出会う場となり、認知症について正しい理解を深める場となるよう努めること。
(5) 認知症カフェの周知を積極的に行うこと。
(6) カフェ事業に係る経理と他の事業に係る経理とを明確に区別すること。
(7) 事業の運営に関して生じた事故による損害については、特別な理由がある場合を除くほか、町は賠償の責を負わない。
(8) 営利を目的としてはならない。
第5章 雑則
(守秘義務等)
第29条 チーム員、推進員及び委託法人等は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の規定等を踏まえ、訪問支援対象者及び対象世帯並びに利用者及び利用者の世帯の個人情報及びプライバシーの尊重及び保護に万全を期すものとし、正当な理由がなくその事業に関して知り得た個人に関する情報その他の秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(委任)
第30条 この要綱に定めるもののほか必要な事項は、町長が別に定める。
附則
この要綱は、平成29年4月1日から施行する。
附則(令和6年2月1日告示第11号)
この告示は、令和6年4月1日から施行する。