○南越前町男女共同参画推進条例
平成22年3月19日
南越前町条例第5号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 基本的施策(第9条―第20条)
第3章 南越前町男女共同参画審議会(第21条・第22条)
第4章 雑則(第23条)
附則
海・山・里の豊かな自然や歴史・文化の誇れるまち南越前町は、町民一人ひとりがお互いを思いやり、そして理解し合い共に生きる活力ある町として取り組んできた。
しかしながら、依然として、家庭、地域、職場などあらゆる分野で男性を優位に扱ったり、性別により役割分担を決めつけてしまうような社会慣行等があり、女性の就業率は非常に高くなっているものの、方針決定過程への女性の参画は低い状況となっている。
今後さらに少子高齢化や社会経済情勢の急激な変化が進む中、住民が豊かで活力ある地域社会を実現するために、男女共同参画の推進に関する取り組みを積極的に展開していく事が必要である。
こうした現状を踏まえ、南越前町は、個人の尊厳と法の下の平等をうたう日本国憲法や男女共同参画社会基本法にのっとり、また、男女共同参画に関する様々な取り組みや国際情勢を視野に入れながら、男女共同参画社会の理念が徹底することの重要性を強く認識し、ここに南越前町男女共同参画推進条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、町、町民及び事業者の責務を明らかにするとともに、町の施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 町民 町内に住所を有する者、勤務する者及び在学する者をいう。
(4) 事業者 営利、非営利を問わず、町内において事業を行う個人、法人及びその他の団体をいう。
(5) 公共的団体 町内において地域活動等公共的活動を行う団体をいう。
(6) セクシュアル・ハラスメント 相手の意に反した性的な言動により、相手に不快感若しくは不利益を与え、又は相手の生活環境を害することをいう。
(7) ドメスティック・バイオレンス 配偶者、恋人等親密な関係にある者に対して、身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為をいう。
(8) ジェンダー 生まれついての生物学的性別と異なり、社会通念又は習慣の中にある男性像及び女性像などのように、社会によって作られた性別をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画は、次に掲げる理念を基本として、推進されなければならない。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること、その他の男女の人権が尊重されること。
(2) 社会のあらゆる分野における制度又は慣行が、男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとなるように見直されること。
(3) 男女が、対等に家庭、学校、職場、地域その他の社会のあらゆる分野における方針の立案及び決定過程に参画する機会が確保されること。
(4) 家族を構成する男女が、互いの協力と社会支援の下に、家庭生活における活動と家庭生活以外の活動に対等に参画し、両立できること。
(5) 男女が、互いの性を理解し、妊娠、出産その他の性と生殖に関する事項において、双方の意思が尊重されるとともに、生涯を通じて健康な生活を営む権利が確保されること。
(6) 男女共同参画は、国際的な理解及び協調の下に推進されること。
(町の責務)
第4条 町は、男女共同参画の推進を主要な政策として位置づけ、前条に定める(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、実施しなければならない。
2 町は、男女共同参画を推進するに当たっては、町民、事業者、国及び他の地方公共団体と連携し、又は協働して取り組むよう努めなければならない。
3 町は、あらゆる施策を策定し、又は実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
(町民の責務)
第5条 町民は、男女共同参画に関する理解を深め、基本理念にのっとり、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、積極的に男女共同参画を推進するよう努めなければならない。
2 町民は、男女相互の理解と思いやりを基に、協力して生活するよう努めなければならない。
3 町民は、町が行う男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者等の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に男女が対等に参画するよう努めるとともに、就労者の職場における活動と家庭における活動の両立を支援するため、就労環境を整備するよう努めなければならない。
2 事業者等は、町が行う男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(性別による人権侵害の禁止)
第7条 何人も、性別による差別的取扱い、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンスその他男女間における人権侵害の行為により、相手に不利益若しくは、身体的、精神的その他の苦痛を与え、又は相手の生活環境を害してはならない。
(情報における男女平等の配慮)
第8条 何人も、広く町民を対象とした広報、報道、広告等において、ジェンダーによる固定的な役割分担又は異性に対する暴力を助長する表現その他過度の性的表現を行わないよう努めなければならない。
第2章 基本的施策
(基本計画)
第9条 町長は、男女共同参画の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 総合的かつ長期的に講ずべき男女共同参画の形成の推進に関する施策の大綱
(2) 前号の施策の大綱に基づく男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 町長は、基本計画を定めようとするときは、町民及び事業者等の意見を反映するよう努めるとともに、南越前町男女共同参画審議会の意見を聞かなければならない。
4 町長は、基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(広報活動等)
第10条 町は、男女共同参画に関する町民及び事業者等の理解を深めるため、広報活動、情報提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
(教育及び学習の振興)
第11条 町は、学校教育、社会教育、家庭教育などにおける男女共同参画に関する教育及び学習の振興を図るために必要な措置を講ずるものとする。
(働く場における男女共同参画の推進)
第12条 町は、すべての働く場において、男女が性別にかかわらず個々の能力を発揮することができるよう、必要な環境の整備に努めるものとする。
2 町は、男女が農林水産業の経営及びこれに関連する活動又は地域における活動に共同して参画することができるよう、必要な環境の整備に努めるものとする。
(家庭生活における活動とそれ以外の活動との両立)
第13条 町は、男女がともに育児、介護その他家庭生活における活動と職業生活、地域生活等における活動を両立することができるように、必要な支援を行うよう努めなければならない。
(附属機関等における男女共同参画の推進)
第14条 町長その他の町の執行機関(以下「町長等」という。)は、附属機関その他これに準ずるもの(以下「附属機関等」という。)の委員の構成において、特別な事情がある場合を除き、男女の均衡(この条において、男女いずれか一方の委員の数が、委員総数のおおむね10分の4未満とならない状況をいう。)を図るよう努めなければならない。
2 町長等は、附属機関等が前項に規定する男女の均衡が図られた状況でないときは、特別な事情がある場合を除き、積極的改善措置を講ずるなど計画的に改善するよう努めなければならない。
(性別による権利侵害の防止及び支援)
第15条 町は、性別による権利侵害の防止に努めるとともに、これらの被害を受けた者に対し、関係機関と連携し、相談、保護その他の必要な支援措置を講ずるよう努めなければならない。
(推進体制の整備)
第16条 町は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ効果的に実施するため、必要な体制を整備するものとする。
(調査研究)
第17条 町は、町民及び事業者等と協働して男女共同参画の推進を図るため、調査研究を実施するものとする。
(報告の徴収等)
第18条 町長は、男女共同参画の推進に必要があると認めるときは、町と取引関係のある事業者又は補助金の交付を受けている者に対し、男女共同参画に関する状況について報告を求め、適切な措置を講ずるよう協力を求めることができる。
2 町長は、前項の規定により報告された男女共同参画に関する状況を取りまとめこれを公表することができる。
(年次報告)
第19条 町長は、男女共同参画の推進の状況、基本計画に基づく施策の実施状況等について、男女共同参画審議会に報告するとともに、これを公表するものとする。
(苦情及び相談への対応)
第20条 町長は、男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画に影響を及ぼすと認められる施策について、町民又は事業者等から苦情の申し出を受けたときは、適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 町長は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する人権の侵害について、町民又は事業者等から相談の申し出があったときは、関係機関又は関係団体と協力して、適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 町長は、前2項の申し出に係る対応において、必要と認めるときは、南越前町男女共同参画審議会に意見を求めることができる。
第3章 南越前町男女共同参画審議会
(設置)
第21条 男女共同参画の推進に関する重要事項については調査審議等を行うため、南越前町男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、次に掲げる事項について、調査審議等を行う。
(1) 基本計画の策定及び変更に関する事項
(2) 前条第3項に規定する苦情及び相談への対応に関する事項
(3) 男女共同参画の推進に関し、町長から諮問を受けた事項
3 審議会は、前項に定めるもののほか、男女共同参画の推進に関し、町長に意見を述べることができる。
(組織)
第22条 審議会は、15人以内の委員をもって組織する。
2 男女いずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。
3 委員は、町民、事業者等の代表者、学識経験者等を町長が委嘱する。
4 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
第4章 雑則
(委任)
第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成22年4月1日から施行する。