○那須町における外部の労働者等からの公益通報に関する要綱
令和5年3月27日
告示第73号
(目的)
第1条 この告示は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)第13条第2項及び「公益通報者保護法を踏まえた地方公共団体の通報対応に関するガイドライン(外部の労働者等からの通報)」(令和4年6月1日消費者庁。以下「地方公共団体向けガイドライン」という。)の趣旨を踏まえて、町において外部の労働者等からの法に基づく公益通報及びその他の法令(町が制定する条例、規則その他の規程を含む。)違反等に関する通報等を適切に取り扱うため、これらの通報等への対応手続に関する事項を定めることにより、通報者等の保護を図るとともに、事業者の法令遵守等を推進することを目的とする。
(1) 外部の労働者等 次のいずれかに該当する者をいう。
ア 通報内容となる事実に関係する事業者に雇用されている労働者、当該事業者を派遣先とする派遣労働者及び当該事業者と契約関係にある事業者(以下「取引先事業者」という。)の労働者
イ 通報内容となる事実に関係する事業者及び取引先事業者
ウ 通報内容となる事実に関係する事業者及び取引先事業者の役員(法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法令(法律及び法律に基づく命令をいう。)の規定に基づき法人の経営に従事している者(会計監査役を除く。)をいう。)
(2) 通報 法に基づく通報対象事実又はその他の法令違反等の事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料して、その旨を知らせることをいう。
(3) 通報等 通報、通報制度等に関する相談をいう。
(4) 通報者等 通報又は相談をした者をいう。
(5) 受付 町に対してなされた通報又は相談を受けることをいう。
(6) 主管課 通報内容となる事実に関する事務を所掌する課等をいう。
(7) 通報者等を特定させる事項 通報等をした者が誰であるかを排他的に認識することができる事項をいう。
(8) 不利益な取扱い 通報等をしたことを理由とする町、町職員等、事業者又は事業者の役職員等からの、懲戒処分その他の不利益な取扱いをいう。
(組織体制)
第3条 町に対してなされる通報等への対応に関する事務を総括するため、総括通報等責任者を置くこととし、副町長をもって充てる。
2 総括通報等責任者は、通報等への対応に関する教育研修の実施、通報に関する調査の進捗等の管理その他通報等への適切な対応の確保に関する事務を総括する。
3 総括通報等責任者は、前項に規定する事務を通報等責任者に行わせることができるものとし、通報等責任者は主管課の課長等をもって充てる。
(通報等責任者及び通報等担当者の業務等)
第4条 通報等責任者は、主管課において、通報に関する調査の進捗等の管理、職員が教育研修に参加する機会の確保その他通報等への適切な対応の確保に関する事務を掌理する。
2 通報等責任者は、主管課の職員の中から、通報等担当者を指定する。
3 通報等担当者は、通報等責任者を補佐し、主管課における通報等の管理、通報者等との連絡その他通報等への対応に関する事務を担当する。
(通報・相談窓口)
第5条 町に対して外部の労働者等からなされる通報等を一元的に取り扱う窓口(以下「通報・相談窓口」という。)を企画政策課に置くこととし、総括通報等責任者がこれを総括する。
2 通報・相談窓口は、次の各号に掲げる事務を取り扱う。
(1) 町に対してなされる通報等の受付に関すること。
(2) 通報者等との連絡調整に関すること。
(3) 主管課との連絡調整に関すること。
3 通報・相談窓口を経由せず、主管課に対して直接通報等があった場合、当該主管課は、当該通報を通報・相談窓口に取り次ぎ、通報・相談窓口は当該通報等を次条の通報等と同様に受け付ける等の対応をとる。
(受付の範囲及び取扱い)
第6条 町は、外部の労働者等からの次に掲げる事実についての通報を受け付ける。
(1) 法に基づく通報対象事実
(2) 前号に定めるもののほか、法令に違反する行為に関する事実(当該違反行為について処分、勧告等をする権限を有する行政機関がある場合に限る。)
(3) 前2号に定めるもののほか、事業者の法令遵守等の確保及び法令等の適正な執行のために必要と認められるその他の事実
2 町は、通報等があったときは、法及び地方公共団体向けガイドラインの趣旨を踏まえ、誠実かつ公正に通報等に対応し、正当な理由なく通報等の受付を拒んではならない。
3 町は、匿名による通報等についても、実名による通報等と同様の取扱いを行う。
4 町は、口頭、書面、電子メールその他町が通報内容を認識できる方法による通報を受け付ける。
(受付手続)
第7条 通報・相談窓口は、通報等を受け付けたときは、通報等に関する秘密保持(個人情報以外の通報者等を特定させる事項の保秘を含む。以下同じ。)及び個人情報の保護に留意しつつ、通報等への対応に必要な事項を通報者等に確認し、外部公益通報受付簿(様式第1号)に記録するものとする。ただし、通報者等の同意が得られない場合その他確認に支障がある場合は、この限りでない。
(1) 通報等への対応に関与する職員には秘密保持義務があり、通報者等を特定させる事項その他通報等に係る情報の共有は制限されるなど、通報等に関する秘密は保持されること。
(2) 個人情報は保護されること。
(3) 通報受付後の手続の流れに関すること。
3 前2項において、町が通報等の到着を確認できない方法によって通報等がなされた場合には、通報等の到着を確認次第、通報等を受け付けた旨を通報者等に対して遅滞なく通知するよう努める。
(受付時の対応)
第8条 通報・相談窓口は、通報を受け付けたときは、その内容により次の各号のいずれかの措置をとる。
(1) 町が通報内容について処分、勧告等をする権限を有する場合又は処分、勧告等をする権限を有すると思われる場合 外部公益通報受付通知書(様式第2号)により、適切な主管課に通報内容を通知する。
(2) 町ではなく他の行政機関が通報内容について処分、勧告等をする権限を有する場合 当該他の行政機関を通報者等に対して遅滞なく教示する。
2 前項第2号の場合において、通報者等からの通報に、個人の生命、身体、財産その他の利益に重大な影響を及ぼす可能性のある内容が含まれている場合には、通報に関する秘密保持に留意しつつ、個人情報の保護に関する法令等も踏まえ、当該他の行政機関に当該内容について情報提供をする。
(1) 外部の労働者等が、第6条第1項各号に掲げる事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を当該事実について処分、勧告等をする権限を有する町に対し、次に掲げる要件のいずれかを満たして通報する場合
ア 当該事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があること(以下「真実相当性の要件」という。)。
イ 当該事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料し、かつ、次に掲げる事項を記載した書面を提出していること。
(ア) 通報者等の氏名又は名称及び住所又は居所
(イ) 当該事実の内容
(ウ) 当該事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する理由
(エ) 当該事実について法令に基づく措置その他適切な措置がとられるべきと思料する理由
(2) 当該通報が真実相当性の要件を満たしているかどうかが直ちに明らかでない場合においても、法第3条第1項第2号の趣旨を踏まえ、個人の生命、身体、財産その他の利益に重大な影響を及ぼす可能性が認められる場合
2 主管課は、調査を実施する場合はその旨を、調査を実施しない場合(情報提供として受け付けることを含む。)はその旨及びその理由を、外部公益通報調査実施・不実施報告書(様式第4号)により、通報・相談窓口を経由して、総括通報等責任者に報告する。
(教示)
第10条 主管課において、他の行政機関が処分、勧告等をする権限を有することが明らかになった場合は、主管課は、当該他の行政機関を、通報者等に対して遅滞なく教示しなければならない。この場合において、当該主管課は、適切な法執行の確保及び利害関係人の営業秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、自ら作成した当該通報に係る資料を通報者等に提供する。
2 主管課は、前項前段の場合において、通報に、個人の生命、身体、財産その他の利益に重大な影響を及ぼす可能性のある内容が含まれている場合には、通報に関する秘密保持に留意しつつ、個人情報の保護に関する法令等に従い、当該他の行政機関に当該内容について情報提供をする。
(調査の実施)
第11条 主管課は、通報に関する秘密を保持するとともに、個人情報を保護するため、通報者等が調査等の対象となる事業者及びその関係者に特定されないよう十分に配慮しつつ、速やかに必要、かつ、相当と認められる方法で調査を実施する。
2 総括通報等責任者及び通報等責任者は、調査の方法、内容等の適正性を確保するとともに、調査の適切な進捗を図るため、調査について確認を行う等の方法により、通報事案を適切に管理する。
3 主管課は、適切な法執行の確保及び利害関係人の営業秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がある場合を除き、調査結果を速やかに取りまとめ、その結果を遅滞なく外部公益通報調査結果通知書(様式第6号)により通知する。
(調査結果に基づく措置等)
第12条 主管課は、調査の結果、第6条第1項各号に掲げる事実があると認めるときは、速やかに法令に基づく措置その他適切な措置をとらなければならない。
3 主管課は、通報対応が終了した場合は、外部公益通報調査結果報告書(様式第8号)により、通報・相談窓口を経由して、総括通報等責任者に報告する。
(協力義務等)
第13条 町は、法に基づく通報対象事実又はその他の法令等に違反する事実に関し、処分、勧告等をする権限を有する行政機関が町の他にもある場合においては、当該行政機関と連携して調査を行い、措置をとる等、相互に緊密に連絡し協力する。
(秘密保持及び個人情報保護の徹底)
第14条 通報等への対応に関与した職員(通報等への対応に付随する職務等を通じて、通報等に関する秘密を知り得た者を含む。以下同じ。)は、通報等に関する秘密を漏らしてはならない。
2 通報等への対応に関与した職員は、当該対応手続において知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。
3 通報等への対応に関与した職員は、通報等に関する秘密保持及び個人情報保護の徹底を図るため、通報等への対応の各段階(通報等の受付、教示、調査、措置及び通報者等への結果の通知の各段階をいう。以下同じ。)及び通報等への対応終了後において、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 情報を共有する範囲及び共有する情報の範囲を必要最小限に限定すること。
(2) 通報者等を特定させる事項については、調査等の対象となる事業者及びその関係者に対して開示しないこと(通報対応を適切に行う上で真に必要な最小限の情報を、次号に規定する同意を取得して開示する場合を除く。)。
(3) 通報者等を特定させる事項を、情報共有が許される範囲外に開示する場合には、通報者等の書面、電子メール等による明示の同意を取得すること。
(4) 前号に規定する同意を取得する際には、開示する目的及び情報の範囲並びに当該情報を開示することによって生じ得る不利益について、通報者等に対して明確に説明すること。
4 主管課における通報等への対応に際する秘密保持及び個人情報の保護に関しては、前3項に定めるもののほか、個人情報の保護に関する法令等に従う。
(利益相反関係の排除)
第15条 職員は、次の各号のいずれかに該当する場合、通報への対応に関与してはならない。
(1) 法令違反行為等の発覚や調査の結果により実質的に不利益を受ける者
(2) 通報者等又は被通報者と親族関係にある者
(3) 通報に係る事案に関する公正な調査及び措置等の検討又は実施を阻害し得る者
2 通報・相談窓口の担当職員は、自らが前項各号のいずれかに該当する通報を受け付けた場合、他の職員に引き継ぐものとする。
5 通報等責任者は、通報への対応の各段階において、通報への対応に関与する者が当該通報に利益相反関係を有していないか確認する。
(通報者等の保護)
第16条 主管課は、通報等への対応が終了するまでの間、必要に応じて、通報者等が不利益な取扱いを受けていないか確認する。
2 町は、通報対応の終了後においても、通報者等からの相談等に適切に対応するとともに、通報者等が、通報等をしたことを理由として、事業者から解雇その他不利益な取扱いを受けていることが明らかになった場合には、消費者庁の公益通報者保護制度相談ダイヤル(一元的相談窓口)、各都道府県労働局等を紹介するなど、通報者等の保護に係る必要なフォローアップを行うよう努める。
(意見又は苦情への対応)
第17条 通報・相談窓口は、町における通報等への対応に関して通報者等から意見又は苦情の申出を受けたときは、迅速かつ適切に対応するよう努める。
2 前項の申出の内容が、通報等に関する秘密及び個人情報の漏えい、通報に関する調査及び措置の遅滞並びに不適切な調査の実施その他町の不適切な対応に関するものである場合には、通報・相談窓口は総括通報等責任者に報告する。
3 前項の規定による報告を受けた総括通報等責任者は、速やかに通報・相談窓口及び当該通報等を取り扱う主管課における対応状況を確認し、法令に基づく措置その他適切な措置等をとらなければならない。
(通報等の関連文書の管理)
第18条 通知等の対応に係る記録及び関係資料については、文書管理に関する法令、那須町公文書等取扱規程(平成30年訓令第1号)等に基づき適切な方法で管理しなければならない。
(町における通報体制の運用状況等の評価)
第19条 町における通報体制の運用状況等についての透明性を高めるとともに、客観的な評価を行うことを可能とするため、町は、通報体制の運用状況等に関する事項を、各年度の終了後、速やかに公表する。ただし、当該情報を公表することにより、通報に関する秘密保持及び個人情報の保護並びに適切な法執行の確保並びに利害関係人の営業秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障が生じる場合においては、個々の通報事案ごとに、その全部又は一部を非公表とすることができる。
(補則)
第20条 この告示に定めるもののほか、必要な事項は、町長が別に定める。
附則
この告示は、令和5年4月1日から施行する。