○篠栗町男女共同参画推進条例

令和5年3月13日

条例第5号

目次

前文

第1章 総則(第1条~第10条)

第2章 基本的施策等(第11条~第20条)

第3章 男女共同参画審議会(第21条)

第4章 雑則(第22条)

附則

日本国憲法では、個人の尊重と法の下の平等がうたわれています。我が国では、国際社会における取組と連動しながら、男女平等の実現に向けた法や制度の整備が進められてきました。1999年には「男女共同参画社会基本法」が制定されて、男女共同参画社会の実現が21世紀の最重要課題と内閣府男女共同参画局により位置付けられています。また、2015年には、第70回国連総会で「持続可能な開発目標(SDGs)」として、2030年までに実現させなければならない17の世界的目標と169の達成基準が示され、その中で「すべての女性と女児に対する能力強化、差別撤廃によって女性の地位を向上させ、ジェンダー平等を目指すこと」が掲げられています。

少子高齢化の進行や社会経済情勢の変化に対応するためにも、全ての人が互いの人権を尊重し、責任も分かち合い、性にかかわりなく自らの個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現が重要となっています。

このような状況を踏まえ、ここに、篠栗町の男女共同参画社会の実現に関する基本理念を定め、男女共同参画社会の実現に関する取組を総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、篠栗町(以下「町」という。)における男女共同参画社会の実現に関する基本理念を定め、町、町民、自治組織、教育に携わる者及び事業者等の責務を明らかにするとともに、男女共同参画社会の実現に関する施策の基本的な事項を定めることにより、それらの取組を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思で社会のあらゆる分野における活動に参画する機会を確保され、そのことによって男女が等しく政治的、経済的、社会的及び文化的な利益を受けることができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 町民 町内に居住し、通勤し、若しくは通学する者又は町内を活動の拠点とする個人をいう。

(3) 自治組織 町内会、自治会その他の町内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された組織をいう。

(4) 教育に携わる者 町内において、学校教育その他の生涯にわたる教育や保育の分野において教育活動を行う者をいう。

(5) 事業者等 町内において、事業又は活動を行う法人(個人事業主を含む。)及び団体をいう。

(6) 固定的性別役割分担意識 男女を問わず個人の能力等によって役割の分担を決めることが適当であるにもかかわらず、男性、女性という性別によって役割を固定的に分けようとする意識のことをいう。

(7) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(元配偶者を含む。)、恋人等親密な関係にある者から受ける身体的、精神的、性的、経済的若しくは言語的な暴力又は虐待(子どもを巻き込んでの暴力を含む。)をいう。

(8) セクシュアル・ハラスメント 相手の意に反した性的な言動により、相手方の尊厳を傷付け、不利益を与え、又はその生活環境を害することをいう。

(9) 積極的改善措置 男女共同参画の機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(10) ワーク・ライフ・バランス 全ての人が、やりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活等において子育て期、中高年期等の人生の各段階に応じた多様な生き方を選択し、及び実現できることをいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画社会の実現は、次に掲げる事項を基本理念として推進しなければならない。

(1) 全ての人は、個人としての尊厳が重んじられ、直接的又は間接的な性による差別的取扱いを受けることなく、個人として能力を発揮できる機会が確保されなければならないこと。

(2) 全ての人は、固定的性別役割分担意識に基づく社会の制度又は慣行が、社会における活動の自由な選択に対し影響を及ぼすことがないよう配慮されなければならないこと。

(3) 全ての人は、男女平等の意識の形成について、教育は重要な役割を果たすため、あらゆる教育の場において、人権尊重を基本とした男女共同参画を推進するための教育を受けられるよう配慮されなければならないこと。

(4) 全ての人は、性にかかわらず、家庭、学校、職場、地域その他の社会のあらゆる分野における意思決定の場に、対等な構成員として平等に参画する機会が確保されなければならないこと。

(5) 全ての人は、家庭生活における相互の協力及び社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について役割を果たし、かつ、学校、職場、地域等における活動を行うことができるよう配慮されなければならないこと。

(6) 男女共同参画の推進は、国際社会における取組と密接な関係を有していることを考慮し、国際的協調の下に行わなければならないこと。

(7) ドメスティック・バイオレンス、セクシュアル・ハラスメント等の性による人権侵害は、社会的な構造が背景にあることの認識の下に、根絶されなければならないこと。

(8) 全ての人は、対等な関係の下に、互いに性の理解を深めるとともに、妊娠、出産等性と生殖に関して、自らの意思が尊重され、生涯にわたり安全な環境の下で健康を保持することができるよう配慮されなければならないこと。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下「推進施策」という。)を総合的かつ計画的に実施しなければならない。

2 町は、推進施策を実施するために必要な財政上の措置を講じなければならない。

3 町は、国及び他の地方公共団体と連携を図るとともに、町民、自治組織、教育に携わる者及び事業者等(以下「町民等」という。)と協力して推進施策を実施しなければならない。

4 町は、男女共同参画に関する町民等の理解を深めるため、必要な啓発や学習機会の提供等を積極的に行わなければならない。

(町民の責務)

第5条 町民は、基本理念に基づき、男女共同参画について理解を深め、家庭、学校、職場、地域その他の社会のあらゆる分野において、積極的に男女共同参画社会の実現に努めなければならない。

2 町民は、町が実施する推進施策に協力するよう努めなければならない。

(自治組織の責務)

第6条 自治組織は、地域社会における主たる自治の担い手として重要な役割を果たす存在であることを考慮して、男女共同参画の推進のための取組を積極的に行うとともに、町が実施する推進施策に協力するよう努めなければならない。

(教育に携わる者の責務)

第7条 教育に携わる者は、男女共同参画社会の実現に果たす教育の重要性を深く理解し、基本理念に基づいた教育又は保育に努めなければならない。

(事業者等の責務)

第8条 事業者等は、基本理念に基づき、その事業や活動において、男女が共同して参画できる均等な機会及び待遇を確保するとともに、必要に応じ、積極的改善措置を実施するよう努めなければならない。

2 事業者等は、事業や活動と家庭生活とを両立できるよう環境を整備し、ワーク・ライフ・バランスの実現に努めなければならない。

3 事業者等は、その就労者等に対して男女共同参画の推進に関する情報を提供するよう努めなければならない。

4 事業者等は、町が実施する推進施策に協力するよう努めなければならない。

(人権侵害行為の禁止)

第9条 全ての人は、家庭、学校、職場、地域その他の社会のあらゆる分野において、性を理由とした差別的行為を行ってはならない。

2 全ての人は、ドメスティック・バイオレンス、セクシュアル・ハラスメント等人権を侵害する行為を行ってはならない。

(情報の表示に際しての配慮)

第10条 全ての人は、公衆に表示する情報において、固定的性別役割分担意識又は性に基づく暴力などの人権侵害を連想させ、又は助長する表現その他の不必要な性的表現を行わないよう配慮しなければならない。

第2章 基本的施策等

(男女共同参画に係る計画等)

第11条 町は、推進施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画に係る計画(以下「計画」という。)を策定しなければならない。

2 町は、計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ第21条に規定する篠栗町男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、広く町民の意見を反映させるための措置を講じなければならない。

3 町は、計画を策定し、又は変更したときは、速やかに公表しなければならない。

(施策への配慮)

第12条 町は、施策を策定し、及び実施するときは、男女共同参画社会の実現の推進に配慮しなければならない。

(調査研究)

第13条 町は、男女共同参画の推進に関し、必要な調査研究を行うよう努めるものとする。

(教育の充実)

第14条 町は、基本理念に基づき、学校教育、社会教育その他のあらゆる分野の教育や保育の場において、人権意識の向上と男女共同参画の意識を啓発する教育の充実に努めなければならない。

(町民に対する家庭生活と他の活動との両立支援)

第15条 町は、性にかかわらず全ての人が相互に協力し、子の養育、介護その他の家庭生活における活動と学校、職場、地域等における活動を両立して行うことができるよう、情報の提供その他の必要な支援に努めなければならない。

(自治組織及び事業者等への支援)

第16条 町は、自治組織及び事業者等に対し、男女共同参画に関する様々な情報の提供その他の必要な支援に努めなければならない。

(模範的職場環境)

第17条 町は、職場における男女共同参画の推進の模範を示すため、次に掲げる事項に取り組むものとする。

(1) 町長その他の執行機関の附属機関として設置する審議会等の委員を任命し、委嘱し、又は選任するときは、委員の数について、一方の性に偏らないようにすること。

(2) 性にかかわらず職員の能力及び意欲に応じた登用を図るため、職域を拡大し、及び能力向上の機会を確保すること。

(3) 職員の育児休業、介護休暇等家庭生活を支援する制度において、性にかかわらず活用できる環境を整備し、ワーク・ライフ・バランスの実現に努めること。

(推進体制の整備)

第18条 町は、男女共同参画の推進に向けて、推進施策を総合的かつ計画的に実施するため、必要な体制を整備するものとする。

(国際的協調)

第19条 町は、男女共同参画社会の実現を国際的な理解と強調の下に行うため国際的動向に関する情報の収集その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(苦情及び相談への対応)

第20条 町は、実施する施策において、男女共同参画社会の実現の促進に関する施策又は男女共同参画社会の実現に影響を及ぼすと認められる施策について苦情の申出があったときは、関係機関と連携して適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 町は、性による差別的取扱いその他の男女共同参画社会の実現を阻害する要因による人権侵害に関し町民から相談を受けたときは、町は、速やかに関係機関と連携して適切な措置を講じなければならない。

3 町は、前2項に規定する苦情の申出及び相談に関する問題解決を図るため、男女共同参画担当課に相談窓口を設置するものとする。

第3章 男女共同参画審議会

第21条 男女共同参画の推進を図るため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、篠栗町男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置くものとする。

2 審議会は、次に掲げる事務を行う。

(1) 町長の諮問に応じて、計画の策定及び変更に関して調査審議し、意見を述べること。

(2) 計画に基づく施策の実施状況について報告を受け、必要に応じて、町長に意見を述べること。

(3) その他男女共同参画の推進に関する重要な事項に関して調査審議し、町長に意見を述べること。

3 審議会は、町長が委嘱する10人以内の委員をもって組織する。

4 男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4を下回らないように努めるものとする。

5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第4章 雑則

(委任)

第22条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(篠栗町附属機関に関する条例の一部改正)

2 篠栗町附属機関に関する条例(昭和46年条例第14号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

3 特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成7年条例第1号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

篠栗町男女共同参画推進条例

令和5年3月13日 条例第5号

(令和5年3月13日施行)