○豊明市環境基本条例
平成11年3月25日
条例第1号
私たちのまち、豊明市は、自然環境に恵まれ、緑豊かな明るいまちとして、良好な環境の下に発展を続けてきた。
しかしながら、日本の近代化とともに都市化の急激な進展は、都市の安全性や快適性の低下、生活環境の悪化、また自然環境の破壊等を引き起こし、地域の環境問題にとどまらず、人類の存続の基盤である地球環境にまで影響を及ぼし始めてきている。
その結果、今日の環境に対する市民の要求は、問題意識の向上や価値観の変化に伴い、より高度なものになってきており、これまで以上に環境に配慮したまちづくりを積極的に推進していくことが強く求められてきている。
このような中で、これからの環境問題に的確に対応していくためには、従来のように環境の諸施策を個々に実施するのではなく、市民・事業者・市が一体となり、新たな視点に立ち総合的な環境施策を展開していく必要がある。
私たちは、環境資源を適切に管理し、良好な環境を総合的かつ持続的に創造することにより、環境への負荷の低減に努めるとともに、人と自然とが共生することのできる社会を実現し、将来の世代に継承していくために、ここに、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本的事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保及び福祉の向上に寄与することを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。
(3) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、健全で緑豊かな環境が市民の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることにかんがみ、現在及び将来の市民がこの恵沢を享受することができるように積極的に推進されなければならない。
2 環境の保全及び創造は、社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減し、市、事業者及び市民がそれぞれの責務に応じた役割分担の下に積極的に行われるようになることによって、持続的に発展することが可能な社会が構築されることを旨として推進されなければならない。
3 地球環境保全は、市、事業者及び市民が自らの課題であることを認識して、それぞれの事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、市域の自然的社会的条件に応じた総合的かつ計画的な環境の保全及び創造に関する施策を策定し、実施する責務を有する。
2 市は、自らの施策を策定し、実施するに当たっては、環境への負荷の低減に努めなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、廃棄物を適正に処理し、自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、事業者は、その事業活動に関し、環境の保全及び創造に自ら積極的に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(市民の責務)
第6条 市民は、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、市民は、環境の保全及び創造に自ら積極的に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
第2章 基本的施策
(公害の防止等)
第7条 市は、市民の健康の保護及び生活環境の保全のため、公害の防止、廃棄物の適正処理等に関して必要な措置を講じなければならない。
(自然環境の保全及び創造)
第8条 市は、動植物の成育環境等に配慮することにより、森林、農地、河川等における多様な自然環境を適正に保全し、創造するため、必要な措置を講じなければならない。
(快適な環境の確保)
第9条 市は、都市の緑化、水辺の整備、良好な景観の確保、歴史的文化的遺産の保全等を体系的に図ることにより、潤いと安らぎのある快適な環境を確保するため、必要な措置を講じなければならない。
(環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進等)
第10条 市は、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用が促進されるように、必要な措置を講じなければならない。
2 市は、環境への負荷の低減を図るため、事業者及び市民による廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの合理的かつ効率的な利用が促進されるように、必要な措置を講じなければならない。
(環境の保全及び創造に資する施設の整備等)
第11条 市は、下水道、廃棄物の処理施設、公園、緑地その他の環境の保全及び創造に資する公共的施設の整備を積極的に推進するとともに、これらの施設の適切な利用の促進に努めなければならない。
(環境教育の充実及び環境学習の促進)
第12条 市は、市民及び事業者が環境の保全及び創造についての関心と理解を深め、又はこれらの者による自発的な環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、環境教育を充実し、環境学習が促進されるように、必要な措置を講じなければならない。
(調査研究等)
第13条 市は、環境の保全及び創造に関する情報の収集に努めるとともに、科学的な調査及び研究並びにそれらの成果の普及に努めなければならない。
第3章 総合的推進のための施策
(環境基本計画の策定)
第14条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、豊明市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めるものとする。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する目標
(2) 環境の保全及び創造に関する施策の基本的方向
(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため必要な事項
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、豊明市環境審議会の意見を聞くものとする。
4 市長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(環境基本計画の実施に当たっての措置)
第15条 市は、前条の環境基本計画の実施に当たっては、その効果的な推進及び総合的な調整を行うため、必要な措置を講ずるものとする。
(施策の策定等と環境基本計画との整合)
第16条 市は、自らの施策を策定し、実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るように努めなければならない。
(年次報告書の作成、公表等)
第17条 市長は、環境の状況、環境基本計画に基づき実施された施策の状況等について年次報告書を作成し、これを公表しなければならない。
(開発事業等に係る環境への配慮の推進)
第18条 市は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりその事業に係る環境への影響について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
第4章 効果的推進のための施策
(情報の提供及び市民等の意見の反映)
第19条 市は、環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する情報を適切に提供するとともに、環境の保全及び創造に関する施策に市民及び事業者の意見を反映させるため、必要な措置を講ずるものとする。
(市民等の自主的活動の促進)
第20条 市は、市民及び事業者が自主的に行う再生資源の回収活動、環境美化活動その他の環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
(国、他の地方公共団体等との協力)
第21条 市は、環境の保全及び創造を図るための広域的な取組を必要とする施策の実施に当たっては、国、他の地方公共団体等と協力して、その推進に努めるものとする。
第5章 豊明市環境審議会
(設置)
第22条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、豊明市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(所掌事務)
第23条 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。
(1) 環境基本計画に関すること。
(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する基本的事項及び重要事項
附則
(施行期日)
1 この条例は平成11年4月1日から施行する。
(豊明市公害対策審議会条例の廃止)
2 豊明市公害対策審議会条例(昭和50年豊明市条例第1号)は、廃止する。