○豊明市危機管理要綱
平成21年2月4日
決裁
(趣旨)
第1条 この要綱は、危機的な事態が市域及びその周辺に発生した場合において、市民の生命、身体及び財産を保護するとともに、市民の安全及び安心を確保するため、各分野で想定される危機管理について必要な事項を定める。
(用語の定義)
第2条 この要綱において「危機的な事態」(以下「危機」という。)とは、突然に発生し、その結果が予想外で、かつ、市民に大きな影響を及ぼすおそれがあり、緊急に組織的な対応が必要とされる事態として、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
(1) 市民の生命、身体又は財産に被害を与える事態
(2) 市民生活に不安又は不信を与える事態
(3) 行政の信頼又は信用を失墜させる事態
2 この要綱において「危機管理」とは、危機への市としての事前対策、発生時の応急対策、事後対策、危機の予防、発生時における被害等の軽減及び危機の終息に至るまでの対応をいう。
(危機の対象)
第3条 危機の対象は、おおむね別表第1のとおりとする。
2 前項に規定するもののほか、市長又は副市長(以下「市長等」という。)が危機と判断する事態についても、危機の対象とする。
(危機への対応)
第5条 危機への対応は、人命及び市民等の安全確保を最優先して行う。
2 危機については、所管する部及び課(以下「各部等」という。)が対応するものとし、関係する他の部課等も連携して対応するものとする。
3 前項の規定にかかわらず、危機の規模、状況等により市民の被害又は社会的な影響が重大と判断される場合は、全庁的に対応するものとする。
4 市は、必要に応じて国、県、警察、自衛隊、尾三消防本部、市消防団及び医療機関等の関係機関(以下「関係機関」という。)への協力を求め、連携して対応するものとする。
(市長の責務)
第6条 市長は、危機管理の最高責任者として危機管理に関わる方針の決定、危機管理の推進を指導及び監督する。
2 市長は、発生した危機に対して組織的に対応するとともに、必要に応じて関係機関への協力を依頼し、連携して対応するものとする。
3 市長は、発生した危機の重大性等に応じ、豊明市危機管理対策本部(以下「対策本部」という。)を設置するものとする。この場合において、対策本部は市長が指定する部長等で構成し、危機に迅速かつ機動的に対応するための意思決定機関とする。
4 市長は、前項の対策本部を設置した場合、本部長を務める。
(副市長の責務)
第7条 副市長は、危機管理体制の確認、危機管理施策を推進するため指導及び監督を行い、対策本部の本部長を補佐し、本部長に事故があるときは、その職務を代理する。
(各部長の責務)
第8条 各部長は、部の所管する事務に関わる危機管理の総括者として、業務における危機管理に努め、部内を監督するとともに、関係する他の部等との連携を密にしておくものとする。
2 各部長は、危機が発生したときはその内容について、直ちに口頭又は電話連絡により、市長等、市民生活部長及び防災防犯対策課長へ報告するものとする。
(市民生活部長の責務)
第9条 市民生活部長は、危機管理体制の確立及び施策の推進のための総合調整並びにこれらに関する市長への報告を行う。
(各課長の責務)
第10条 各課長は、所管する業務の危機管理推進の責任者として、想定される具体的な危機、事例等を踏まえ、第13条第1項の規定により整備する対応マニュアル等に基づく所属職員の訓練等により、危機の予防及び被害の最小限化等に向けた危機管理に努めるものとする。
2 各課長は、職員の連絡網及び関係機関への緊急連絡体制を構築し、危機に対し、関係者を直ちに参集させ、事態に対応できる環境を整備しておくものとする。
(防災防犯対策課長の責務)
第11条 危機管理に関わる調整及び統制について統括し、危機管理推進のための会議等の準備を行う。
(職員の責務)
第12条 職員は、所管する業務における危機管理として、想定される具体的な危機への意識を高め、人為的な危機の発生防止に努めるとともに、危機管理に取り組むものとする。
(事前対策)
第13条 各部等は、発生する可能性のある危機を想定し、危機の予防及び発生時における市民の被害等の軽減、さらには迅速かつ的確な情報発信を行うための対応マニュアル及び手引書(以下「対応マニュアル等」という。)を整備するものとする。
2 各部等は、所管する業務から想定される危機の主管課を明確にするとともに、主管部として対応する場合の組織、役割分担等について定め、必要な体制を整備し、部及び課等の危機管理を確実に推進する。
3 各部等は、所属職員に対し、危機に対する意識啓発を行うとともに、組織的な対応に向けた研修、訓練等を実施するものとする。
(発生時の応急対策)
第14条 各部等は、発生した危機に対し、対応マニュアル等に基づき、迅速かつ的確な初動対応に努めるものとする。
2 前項の場合において、各部等は、被害状況の把握、情報収集、現状分析等を行うとともに、被害の拡大防止及び危機の終息に向けた取組に努めるものとする。この場合において、関係機関と連携及び協力し、効果的な対応に努めるものとする。
(応急態勢の整備)
第15条 各部等は、危機が発生したとき、所属職員を動員し、迅速かつ機動的に対応できる応急態勢を整備するものとする。
2 職員は、危機の発生により部長及び各課長から招集、指示等があった場合は、直ちに参集し、現場対応等に努めるものとする。
3 各部等は、発生した危機に対し、所管する業務に基づく責任及び役割を果たし、各課長からの指示に基づき対応するとともに、他の部等、関係機関と連携し、被害の拡大防止、危機の終息に向けた対応に努めるものとする。この場合において、現場での対応に当たっては、二次被害等を想定し、十分な安全対策を講じて行うものとする。
(情報の管理及び公表)
第16条 各部等は、発生した危機に関する情報として、危機の発生状況、被害の程度、今後の見通し、応急対策の状況等を一元的に管理するものとする。
2 前項の場合において、各部等は、関係する部及び課と連携し、市民の安全及び安心の確保、被害の拡大防止並びに社会的な混乱の回避のため、危機に関する情報等を報道機関等に発表するとともに、地域への呼び掛け、市メール配信サービス、市ホームページへの掲載等の広報手段を通じ、市民への迅速かつ的確な情報提供を行うものとする。
(事後対策)
第17条 市は、発生した危機が終息したと判断したときは、市民生活の正常化に向けたインフラの整備、ライフラインの確保等の復旧対策を実施し、応急態勢を解除する。
2 市は、発生した危機への反省、教訓等を踏まえ、再発防止策の検討、対応マニュアルの見直し等により、事前対策への還元を図り、危機管理の充実に努めるものとする。
(委任)
第18条 この要綱に定めるもののほか、危機管理に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この要綱は、決裁の日から施行する。
附 則(平成22年1月27日)
この要綱は、平成22年4月1日から施行する。
附 則(平成23年1月20日)
この要綱は、決裁の日から施行し、平成22年10月1日から適用する。
附 則(平成28年3月31日)
この要綱は、平成28年4月1日から施行する。
附 則(平成30年1月19日)
この要綱は、平成30年4月1日から施行する。
附 則(令和元年6月7日)
この要綱は、決裁の日から施行し、平成31年4月1日から適用する。
別表第1(第3条関係)
危機の対象と主管部
危機の対象 | 主管部 | |
1 豊明市地域防災計画の対象となる事態 | 一般風水害、大規模地震及びその他の大災害 | 市民生活部 |
2 豊明市国民保護計画の対象となる事態 | 武力攻撃事態、大規模なテロ行為の発生 | 市民生活部 |
上記以外の事態 | 主管部 | |
3 ライフライン障害 | (1) 道路、河川、橋梁の突発事故 | 経済建設部 |
(2) 下水機能障害等 | ||
4 健康被害 | (1) 食中毒 | 健康福祉部 |
(2) 毒物混入事案 | ||
(3) インフルエンザ、SARS等の感染症 | ||
5 社会生活被害 | (1) 高齢者孤独死 | 健康福祉部 |
(2) 児童等弱者虐待 | ||
(3) 福祉サービス事業関連事案 | ||
(4) 弱者を狙った振り込め詐欺等 | 市民生活部 | |
6 環境被害 | (1) 河川等への汚染・毒性物質の流出 | 経済建設部 |
(2) 産業廃棄物の不法投棄 | ||
(3) 光化学スモッグ | ||
7 動物被害 | 危険動物の逃亡、野生動物等による被害 | 経済建設部 |
8 一般土木被害 | (1) 土砂災害警戒区域における土砂崩れ | 経済建設部 |
(2) 河川の決壊 | ||
(3) 造成地の滑動等 | ||
9 不発弾発見 | 不発弾の現場処理を必要とする場合 | 市民生活部 |
10 市中一般事故・事件 | (1) 毒性液体・ガス類の漏出 | 市民生活部 |
(2) 凶悪犯罪容疑者逃走・通り魔出現等 | ||
(3) 銃刀器保持者の占拠・ろう城等 | ||
(4) 不審集団行動 | ||
(5) 大規模交通事故 | ||
11 市管理施設内の事故・事件 | (1) 火災・倒損壊 | 施設管理責任を有する各部 |
(2) 占拠・ろう城等事件 | ||
(3) 破壊・盗難等事件 | ||
(4) 公用車事故 | ||
(5) 行方不明等 | ||
12 市行事事案 | 市行事での人的・物的被害の発生 | 行事主催各部 |
13 市庁業務事案 | (1) 情報システム機能停止 | 行政経営部 |
(2) 情報システムへの侵害及びデータ破壊・漏洩 | ||
(3) 通信障害 | 事案生起各部 | |
(4) 市発注案件の入札談合事案 | ||
(5) 市対象の脅迫・詐欺等 | ||
(6) 国際関連事案 | ||
14 国外事案 | 国外派遣職員・海外旅行市民の事故等遭遇 | 行政経営部 |
15 その他 | (1) 職員の不祥事 | 行政経営部 |
(2) 要人関連事案 | 事案生起各部 |
* 上記内容は、代表的な危機とそれを所管する部の例示であり、関係する危機を広く想定するものとする。
* 危機の事態は、様々な連鎖や変化により二次・三次被害が発生するため、一つの事態が他の事態に発展することを想定しておくものとする。
* 危機の事態には、関係する部、課等が連携し、市として対応するものとする。
別表第2(第14条関係)
レベル0 市長等への報告を要しないケース | ||
平常時 | 市民の生命、身体又は財産に影響がない事態 市長、職員へのクレーム、市政への要望等市の信用に影響しない事態 所管課で対応可能な事態 軽微な事件、事故で、市民の生活に影響しない事態(市及び関係機関の対応で解決する事態) その他、所属長の判断で解決可能な事態 | |
レベル1 市長等への報告は要しないが、事後報告することが望ましいケース | 対応体制 | |
要注意 | 市民の生命、身体又は財産に影響はあるが、速やかに解決が可能な事態 市の信用に影響すると思われる事態 所管部で対応可能な事態 事件、事故で、市民の生活に影響すると思われる事態(市及び関係機関の対応で解決すると思われる事態) その他、部長の判断で解決可能な事態 | 「○○警戒本部」を編成・設置して対応する。(○○には危機を表す名称を使用する) ・所管部の長が警戒本部長となり、必要な組織及び規模に編成する。 ・警戒本部の組織に属する職員は、当該危機への対応業務の実施にあたり、所管部等の長の指示に従う。 |
レベル2 市長等への報告を行い、緊急に対応すべきケース | 対応体制 | |
緊急時 | 市民の生命、身体又は財産に影響するが、対応可能な事態 市の信用を損なう(おそれのある)事態 所管部だけでは対応できない事態 事件、事故で、市民の生活に影響する事態(市及び関係機関と連携して対応に当たる必要がある事態) その他、部長の判断だけでは解決できない事態 | 1 「○○対策本部」を編成・設置して対応する。(○○には危機を表す名称を使用する) ・対策本部は、市災害対策本部の組織に準じて編成し、細部は、対策本部長が、危機のレベルに応じ、対応のために必要かつ適正な規模を定めて、各部等に示す。 2 対策本部に属する各部等は、各部等で定める危機管理に係る業務及び市災害対策本部組織における担任業務のほか対策本部長が指示する業務を実施する。 3 対策本部長は、本部員会議を開催して危機への対策措置等に係る必要な協議、決定等を行う。 |
レベル3 市長等への報告を行い、大至急に対応すべきケース | ||
大至急 | 市民の生命、身体又は財産に大きな被害を与える(おそれのある)事態(解決が難しい事態) 市の信用を失う(おそれのある)事態 市が組織的に対応すべき事態 事件、事故で、市民の生活に大きな影響を与える(おそれのある)事態(市及び関係機関と連携して対応に当たる事態) その他、部長が全庁的に対応すべきと判断する事態 |
* それぞれの事態は、その経過とともに拡大・縮小する。その変化に応じてレベルを判断し、拡大時には迅速に対応する。
* 個別のケースに対する判断は所属長、部長等に委ねていることから、日頃から所管する業務における危機管理意識を持ち、日常的な発生防止、対応策等を備えておく。