○豊明市議会基本条例
平成31年3月19日
条例第5号
豊明市議会基本条例(平成23年豊明市条例第12号)の全部を改正する。
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会及び議員の活動原則等(第3条―第12条)
第3章 議会と市民との関係(第13条―第18条)
第4章 議会と行政との関係(第19条―第26条)
第5章 議会の機能充実(第27条―第35条)
第6章 補則(第36条)
附則
豊明市民(以下「市民」という。)から選挙で選ばれた議員により構成される豊明市議会(以下「議会」という。)は、二元代表制の下、その一翼を担い、市長その他執行機関(以下「市長等」という。)との持続的かつ適切な緊張関係を保持し、行政執行の評価・監視機能、立法機能並びに政策立案及び提言等の機能を十分発揮し、豊明市の発展と市民福祉の向上を図る責務を有している。
平成12年の地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)の施行に始まる地方分権の進展に伴い、自治体の自己責任及び自己決定の範囲が拡大され、議会の果たすべき役割は、ますます大きくなってきている。
このような状況下において、議会及び議員は、より一層市民からの信頼に応えるため、積極的な情報公開を通じて説明責任を果たすとともに、議員相互の自由闊達な議論を展開しながら、市政の論点を明らかにして、政策立案及び提言等を積極的に行うことができる政策形成機能の向上を図っていかなければならない。
更に議会は、こうした時代変革を認識し、開かれた議会を目指し、取り組んできた議会改革を継続発展させなければならない。
よってここに、議会は市民の信頼に応え、活力あふれる議会活動を実践していくことを決意し、議会及び議員の活動原則の基礎となる最高規範として、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会及び議員の責務の明確化と資質の向上のために必要な事項を定めることにより、地方自治の本旨に基づく市民の負託に的確に応え、市民福祉の向上と持続的で豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。
(最高規範性)
第2条 この条例は、議会の最高規範であり、議会及び議員は、この条例を遵守して議会を運営しなければならない。
2 議会は議会に関する他の条例、規則等を制定し、又は改廃する場合、この条例の趣旨を尊重し、この条例に定める事項との整合を図らなければならない。
3 議会は、議員がこの条例を理解するため、選挙を経た任期開始後、速やかにこの条例に関する研修を行わなければならない。
第2章 議会及び議員の活動原則等
(議会の活動原則)
第3条 議会は、次に掲げる事項を活動原則とする。
(1) 公正性、透明性、信頼性を重んじた市民に開かれた議会及び市民参加を不断に推進する議会を目指すこと。
(2) 市民の代表機関であることを常に自覚し、市長等の市政運営状況等を監視すること。
(3) 市政等の調査研究を通じて、政策立案及び政策提言に努めること。
(4) 合議制の機関であり言論の府であることを認識し、議員相互の討議による運営を行い、議論を尽くした上で合意形成を図ること。
(5) 障がい者の議会活動への参加に必要な措置を講じること。
(6) 豊明市議会委員会条例(平成3年条例第28号)、豊明市議会会議規則(平成2年議会規則第1号)、議会における先例又は申し合わせ事項等を常に精査し、議会機能の更なる向上を目指すこと。
(議員の活動原則)
第4条 議員は、次に掲げる事項を活動原則とする。
(1) 議員間の自由な討議を重んじ、積極的な発言、議論等を行うこと。
(2) 資質の向上を図り、誠実かつ公正に職務を遂行すること。
(3) 議会活動について市民への説明責任を果たすとともに、市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映させること。
(4) 議会の構成員として、特定の地域及び団体の代表にとどまらず、市民全体の福祉の向上を目指すこと。
(議員の政治倫理)
第5条 議員は、市民の負託を受けたものとしてその使命と責務を深く認識し、自らの人格と倫理の向上に努め、品位を保持しなければならない。
2 議員の政治倫理については、別に定める。
(議員定数)
第6条 議員定数については、別に条例で定める。
2 議員定数の改正に当たっては、市の現状と課題並びに将来予測、展望等を十分に勘案するとともに、幅広い市民の意見を聴取するものとする。この場合においては、参考人制度又は公聴会制度を活用することができる。
(議員報酬)
第7条 議員の報酬については、別に条例で定める。
2 議員報酬の改正に当たっては、豊明市特別職報酬審議会の意見のほか、市の現状と課題並びに将来予測、展望等を十分に勘案するとともに、幅広い市民の意見を聴取するものとする。この場合においては、参考人制度又は公聴会制度を活用することができる。
(会派)
第8条 議員は、議会活動を円滑に行うため、会派を結成することができる。
2 会派は、政策立案及び政策提言等のため調査研究を行うことができる。
3 会派は、議会運営及び政策立案等に関し、必要に応じて会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする。
4 会派に関し必要な事項は、別に定める。
(政務活動費)
第9条 議員は、政務活動費を有効に活用し、市政等の調査研究及び政策立案等に資するものとする。又、政務活動費の使途は公開し、透明性を確保しなければならない。
2 政務活動費の使途に対する市民への説明責任は議員が負うものとする。
3 政務活動費の交付に関しては、別に条例で定める。
4 政務活動費の交付の改正に当たっては、議会の役割及び活動状況等を踏まえ、十分に検討するものとする。
(議長及び副議長)
第10条 議長は、議会を代表し、中立的、かつ、公平な立場において職務を行い、議会の秩序並びに品位の保持に努め、民主的な議会運営を行わなければならない。
2 副議長は、議長を補佐し、議長の職務の遂行に寄与しなければならない。
3 議長及び副議長の選出に際し、対象となる議員は選挙に先立って所信表明を行うものとする。
(災害時の議会対応)
第11条 議会は、災害時においても、議会機能を維持するよう努めるものとする。
2 災害時の議会及び議員の行動等に関しては、別に定める。
(通年議会)
第12条 議会は、定例会の回数を年1回とし、会期を通年とする。
2 議会の会期を通年とするための必要な事項は、別に定める。
第3章 議会と市民との関係
(市民への情報公開、意見交換及び情報発信)
第13条 議会は、次に掲げる事項の市民への情報公開、意見交換及び情報発信を行うものとする。
(1) 市民に対し積極的にその有する情報を発信し、説明責任を果たすこと。
(2) 市民との意見交換の機会を多様に設け、市民の意見を議会及び議員の政策立案に反映させること。
(3) 本会議及び委員会の会議を原則公開とし、市民の傍聴等を促進する積極的な取り組みを進めること。
(4) 議会は、議案等に対する各議員の表決を議会広報等で公表する等、議員の活動に対して市民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めること。
(参考人及び公聴会制度)
第14条 議会は、本会議及び委員会(常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会)においては参考人制度及び公聴会制度を活用して、専門的又は政策的な識見等を議会の討議に反映させることができる。
(請願及び陳情趣旨の聴取)
第15条 議会は、請願及び陳情を市民の政策提案と位置付け、その審議及び調査に当たっては、請願及び陳情の趣旨を十分に理解するために、提出者が希望した場合は、意見聴取の機会を設けることができる。
(広報広聴機能の充実)
第16条 議会は、市民に開かれた議会を実現するため、その諸活動に関し多様な媒体を活用して積極的な広報及び広聴に努めるとともに、それらの活動を通じて得られた市民の声を議会活動に反映するよう努めるものとする。
(市民意見の把握)
第17条 議会は、市民等の多様な意見を把握し、市政に反映させるため、次の各号に掲げる事項のうち事案に応じて必要なものを用いるものとする。
(1) 市民との意見交換会・議会報告会の定期的な実施
(2) アンケート調査等の実施
(3) パブリックコメント手続の実施
(議会モニター)
第18条 議会は、議会運営に関する市民の意見を広く聴取し、議会に反映させるため、必要に応じて議会モニター等を設置することができる。
第4章 議会と行政との関係
(議員と市長等との関係)
第19条 議員と市長等は、議会審議において、緊張関係を保持するものとする。
2 議員の市長等に対する質問は、広く市政の課題に関する論点及び争点を明らかにするため、一括質問一括答弁方式のほか、一問一答の方式で行うことができる。
(反問権)
第20条 本会議又は委員会において、議員の質問及び質疑に対し論点を明確にし、議論を深めるため、市長等は、議長又は委員長の許可を得て、反問することができる。
2 反問権に関する必要な事項は、別に定める。
(政策形成過程の説明)
第21条 議会は、市長等が提案する重要な計画、政策、施策、事業等(以下「政策等」と言う。)について、政策等の水準の向上を図るため、市長等に対し、次の各号に掲げる事項の情報を明らかにするよう求めることができる。
(1) 政策等を必要とする背景、目的及び効果
(2) 総合計画等における根拠又は位置付け
(3) 関係ある法令及び条例等
(4) 政策等の実施に係る財源措置及びコスト計算
(5) 前項に掲げるもののほか議会が必要と認める情報
(予算及び決算における説明資料)
第22条 議会は、市長等に対し、予算及び決算を議会に提出し、議会の審議に付すに当たっては、前条の規定に準じて、施策別又は事業別の説明資料等を作成し、提出するよう求めることができるものとする。
(重要な計画の説明)
第23条 議会は、市長等が次に定める市政に関する重要な計画を策定又は変更する場合は説明を求めることができるものとする。
(1) 豊明市における総合計画
(2) 豊明市都市計画マスタープラン
(3) 豊明市地域防災計画
(4) 豊明市高齢者福祉計画
(5) 豊明市子ども・子育て支援事業計画
(6) その他重要な計画
(議決事件の追加)
第24条 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」と言う。)第96条第2項の規定により、同条第1項に規定する事件のほか必要な事件を、議会の議決事件として追加することができる。
2 前項の規定に基づく議会の議決すべき事件を追加する場合は、別に条例で定める。
(文書質問)
第25条 議員は、休会中に政策等をより深く理解するために、議長を経由して、市長等に対し文書質問を行うことができる。
2 文書質問に関する必要な事項は、別に定める。
(附帯決議への対応)
第26条 議会は、本会議及び委員会において可決された附帯決議について、市長等に対し最大限尊重することを求めるとともに、当該附帯決議に関する事後の状況、対応等を遅滞なく議会に報告するよう求めることができる。
2 市長等は、予算及び施策の策定過程において、前項の附帯決議を最大限尊重するものとする。
第5章 議会の機能充実
(議会改革)
第27条 議会は、社会環境、経済情勢等の変化、市民のニーズ等に適切かつ迅速に対応するため、継続的に議会改革に取り組み、議会機能の強化・充実を図るものとする。
2 議会は、前項に規定する取り組みを行うための組織を設置することができる。
(議会の政策提案)
第28条 議会は、議会の機能を十分に発揮し、条例の制定又は改廃、議案の修正、決議等を通じて、市長等に対し、政策を提言することができる。
2 議会は、前項の政策提案を行うに当たっては、提案理由等を明確に説明しなければならない。
(常任委員会の活動)
第29条 常任委員会は、議案の審査のみならず、様々な市政の課題に迅速かつ的確に対応するため、所管事務調査及び政策提案を積極的に実施し、その機能を十分発揮しなければならない。
2 常任委員会の委員変更後も、所管事務調査及び政策提案を継続する必要がある場合は、次の常任委員会へ引き継ぐものとする。
(議員間討議及び意見集約)
第30条 議員は、あらゆる会議において、自らの意見、考えを述べるとともに、他の意見に対しても真摯に耳を傾け、議員間での討議を尽くさなければならない。
2 議長、委員長等は、議会が議員による討論の場であることを認識し、議員相互の討議を中心とした運営に努めなければならない。
3 議長、委員長等は、議員間での討議を中心に会議を運営し、その結果を市政に反映するよう意見集約に努めるものとする。
(専門的知見の活用)
第31条 議会は、議案等の審議の充実、政策形成機能の強化及び政策の効果の評価に資するため、法第100条の2の規定により、専門的な知識、経験を有する者の活用を図ることができる。
(議員研修の充実強化)
第32条 議会は、議員の政策立案及び政策提言能力の向上を図るため、各種議員研修の充実、強化を図るものとする。
2 議会及び議員は、市政の課題を広い視点から捉えるため、他の自治体等を調査研究するよう努めるものとする。
(議会図書室の充実強化)
第33条 議会は、議会図書室を管理するとともに、その機能の強化に努めるものとする。
(議会事務局の体制強化)
第34条 議会は、議員の政策立案機能及び政策提言機能を高め、議会運営を円滑かつ効率的に進めるため、議会事務局の調査機能及び法務機能の充実強化、組織体制の整備を図るよう努めるものとする。
(議会予算の確保)
第35条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を充実させるため、必要な予算の確保に努めるものとする。
第6章 補則
(見直し手続き)
第36条 議会は、この条例の目的が達成されているかについて、任期の中間年を目途に全議員で検討するものとする。
2 議会は、前項による検討の結果に基づき、必要に応じてこの条例の見直しを行うものとする。
附則
(施行期日)
この条例は、平成31年4月1日から施行する。
附則(令和4年条例第28号)
この条例は、公布の日から施行する。