○豊中市中高層建築物等の建築等に係る紛争の予防及び調整等に関する条例
平成16年4月1日
条例第32号
目次
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 建築主等の配慮等(第7条―第9条)
第3章 計画の事前公開等(第10条―第18条)
第4章 あっせん・調停(第19条―第34条)
第5章 雑則(第35条―第38条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,中高層建築物等の建築等に関し,市等の役割,建築主等が配慮すべき事項,計画の事前公開等,紛争のあっせん及び調停その他必要な事項を定めることにより,良好な近隣関係を保持し,併せて地域における住環境の保全及び形成に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例における用語の意義は,建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)及び建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)の例による。
(1) 中高層建築物 次に掲げる建築物をいう。
ア 高さが10メートルを超える建築物
イ 建築物が周囲の地面と接する位置の高低差が3メートルを超える場合において,最も低い地盤面から当該建築物の最も高い部分までの高さが10メートルを超える建築物
ウ 地階を除く階数が4(都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に掲げる第1種低層住居専用地域若しくは第2種低層住居専用地域又は豊中市土地利用の調整に関する条例(平成16年豊中市条例第31号)第2条第5号(ウを除く。)に規定する開発行為等に該当するものにあっては,地階を除く階数が3)以上の建築物。ただし,高さが10メートル以下の一戸建の専用住宅を除く。
(2) 特定用途建築物 ぱちんこ屋,カラオケボックスその他市規則で定めるものの用途に供する建築物をいう。
(3) ワンルームマンション 独立した居室を2以上有しない住戸(専有面積が市規則で定める規模未満のものに限る。)を8戸以上有する共同住宅をいう。
(4) 中高層建築物等 中高層建築物,特定用途建築物又はワンルームマンションをいう。
(5) 建築等 法第6条第1項(法第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による確認又は法第18条第2項(法第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による通知を要する建築物の建築,大規模の修繕,大規模の模様替又は用途の変更(特定用途建築物又はワンルームマンションへの用途の変更に限る。)をいう。
(6) 近隣関係住民等 次に掲げる者をいう。
ア 中高層建築物又はワンルームマンションの外壁又はこれに代わる柱の面からの水平距離が当該中高層建築物又はワンルームマンションの高さの2倍の範囲内において,土地を所有する者又は建築物の全部若しくは一部を所有し,若しくは占有する者
イ 特定用途建築物の敷地の周囲50メートルの範囲内において,土地を所有する者又は建築物の全部若しくは一部を所有し,若しくは占有する者
(7) 紛争 中高層建築物等の建築等に伴って生じる日照の阻害,交通の支障,電波障害等及び工事中の騒音,振動等が住環境に及ぼす影響に関する近隣関係住民等と建築主との間の紛争をいう。
(市の役割)
第3条 市は,紛争を未然に防止するよう努めるとともに,紛争が生じたときは,迅速かつ適正に当該紛争を調整するよう努めるものとする。
(建築主等の役割)
第4条 中高層建築物等の建築主,設計者及び工事施工者(以下「建築主等」という。)は,中高層建築物等の建築等の計画の策定及び工事の実施に当たっては,周辺の住環境に十分配慮し,良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない。
(自主的解決)
第5条 建築主等及び近隣関係住民等は,紛争が生じたときは,相互の立場を尊重し,互譲の精神をもって自主的に解決するよう努めなければならない。
(1) 中高層建築物又は特定用途建築物を増築し,又は改築する場合であって,当該増築又は改築に係る部分の建築物が中高層建築物又は特定用途建築物に該当しないとき。
(2) ワンルームマンションを増築する場合であって,当該増築に係る部分が独立した居室を2以上有しない住戸(専有面積が市規則で定める規模未満のものに限る。)に該当しないとき。
(3) 災害対策その他これに類する理由により,緊急に中高層建築物等(特定用途建築物を除く。次項において同じ。)の建築等をする場合であって,市長が公益上やむを得ないと認めるとき。
第2章 建築主等の配慮等
(計画上の配慮)
第7条 建築主等は,中高層建築物等の建築等の計画の策定に当たっては,当該中高層建築物等の用途及び規模並びに地域の特性に応じて,次に掲げる措置を講じるよう配慮しなければならない。
(1) 近隣関係住民等の住居の日照に及ぼす影響を軽減させること。
(2) 近隣関係住民等の住居の居室を観望することが困難となるようにすること。
(3) 当該中高層建築物等の敷地に隣接する道路の交通の安全を確保すること。
(4) 当該中高層建築物等の居住者,利用者,客等の自動車及び自転車の駐車場を確保すること。
(5) 当該中高層建築物等の意匠,色彩等を周辺の景観と調和するものとすること。
(6) その他良好な近隣関係を保持するために必要なこと。
(工事上の措置)
第8条 中高層建築物等の建築主及び工事施工者(以下「建築主及び工事施工者」という。)は,中高層建築物等の建築等の工事による周辺の住環境に及ぼす影響を最小限にとどめるため,工事中の騒音及び振動等の低減,ほこり等の飛散防止,通行者の安全確保その他必要な措置を講じるよう努めなければならない。
(工事完了後の適正管理)
第9条 中高層建築物等の所有者及び管理者は,良好な近隣関係を保持するとともに,地域における住環境を保全するため,騒音,ごみ置場の清潔保持,違法駐車その他近隣に影響を及ぼすおそれのある事項について配慮し,適正に当該中高層建築物等を管理するよう努めなければならない。
第3章 計画の事前公開等
(標識の設置等)
第10条 中高層建築物等の建築主(以下「建築主」という。)は,市規則で定めるところにより,当該中高層建築物等の建築等の計画の概要を表示した標識を設置しなければならない。
2 建築主は,前項の規定により標識を設置したときは,市規則で定めるところにより,その旨を市長に届け出なければならない。
3 市長は,前項の規定による届出が特定用途建築物に係るものであるときは,当該届出の内容を関係機関に通知するものとする。
(建築等の計画の事前説明)
第11条 建築主は,前条第2項の規定による届出を行った後,近隣関係住民等に当該中高層建築物等の建築等の計画,工事の施工方法,管理方法等(以下「建築計画等」という。)についての説明(以下「事前説明」という。)を行わなければならない。ただし,市長がやむを得ないと認めたときは,この限りでない。
2 近隣関係住民等は,建築主から事前説明の申出があったときは,これに応じるよう努めなければならない。
3 建築主は,当該中高層建築物等の建築計画等について,近隣関係住民等から説明会の開催の求めがあった場合は,これに応じなければならない。
4 建築主は,近隣関係住民等以外の者から事前説明を求められたときは,これに応じるよう努めなければならない。
(工事の施工方法等に関する協定の締結)
第12条 建築主及び工事施工者は,当該中高層建築物等の建築等の工事に着手する前に,近隣関係住民等と工事の施工方法等に関する協定を締結するよう努めなければならない。
(事前説明に係る指導)
第13条 市長は,建築主が事前説明を十分に行わず,又は近隣関係住民等が事前説明の申出に応じない等の理由により,当事者間において事前説明が十分になされていないと認めるときは,当該建築主又は近隣関係住民等に対し,事前説明の促進について指導することができる。
(1) 法第6条第1項若しくは法第6条の2第1項の規定による確認の申請をしようとする日又は法第18条第2項の規定による通知をしようとする日
(2) 豊中市土地利用の調整に関する条例第23条第1項の規定による協議の申出をしようとする日
(報告書に係る指導)
第16条 市長は,前条第1項の規定による審査に当たり必要があると認めるときは,当該審査に係る中高層建築物等の建築計画等の説明の促進,変更その他必要な措置を講じるよう当該報告書を提出した建築主に指導することができる。
(計画の取止め)
第18条 建築主は,第10条第2項の規定による届出を行った後,当該中高層建築物等の建築等の計画を取り止めようとするときは,市規則で定めるところにより,その旨を市長に届け出なければならない。
第4章 あっせん・調停
(あっせんの申出)
第19条 近隣関係住民等及び建築主(以下「紛争当事者」という。)は,自主的な解決の努力を行っても紛争の解決に至らなかったときは,市長に当該紛争の調整を申し出ることができる。
2 前項の規定による申出は,当該紛争に係る中高層建築物等の建築等の工事の着手前に行わなければならない。
5 市長は,前項の同意が得られないときは,同意をしない他方の紛争当事者にあっせんに応じるよう勧告することができる。
2 あっせん委員会は,委員4人以内で組織する。
3 委員は,法律,建築又は行政に関し学識経験を有する者のうちから市長が委嘱する。
4 委員は,職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も,同様とする。
(あっせん小委員会)
第21条 あっせん委員会に付託されたあっせんは,原則として,あっせん委員2人で構成するあっせん小委員会(以下「あっせん小委員会」という。)が行う。
(あっせん小委員会による意見聴取等)
第22条 あっせん小委員会は,あっせんのため必要があると認めるときは,紛争当事者その他の関係者に対し,意見を聴くため出席を求め,又は必要な資料の提出を求めることができる。
(あっせんの打切り)
第23条 あっせん小委員会は,あっせんに係る紛争について,あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは,あっせんを打ち切ることができる。
(あっせん終了の報告)
第24条 あっせん小委員会は,あっせんが終了したときは,その経過及び結果をあっせん委員会及び市長に報告するものとする。
(調停の申出)
第26条 紛争当事者は,第23条の規定によるあっせんの打切りにより紛争の解決に至らなかったときは,市長に当該紛争の調停を申し出ることができる。
2 前項の規定による申出は,当該紛争に係る中高層建築物等の建築等の工事の着手前に行わなければならない。
5 市長は,前項の同意が得られないときは,同意をしない他方の紛争当事者に調停に応じるよう勧告することができる。
2 調停委員会は,中高層建築物等に係る紛争の予防及び調整等に関する重要事項について,市長に意見を述べることができる。
3 調停委員会は,委員6人以内で組織する。
4 委員は,法律,建築,都市計画又は行政に関し学識経験を有する者のうちから市長が委嘱する。
5 委員は,職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も,同様とする。
(調停小委員会)
第28条 調停委員会に付託された調停は,原則として,調停委員3人で構成する調停小委員会(以下「調停小委員会」という。)が行う。
(調停小委員会による意見聴取等)
第29条 調停小委員会は,調停のため必要があると認めるときは,紛争当事者その他の関係者に対し,意見を聴くため出席を求め,又は必要な資料の提出を求めることができる。
(調停案の受諾勧告等)
第30条 調停小委員会は,必要に応じ,調停案を作成し,紛争当事者に対し,期限を定めて当該調停案の受諾を勧告することができる。
2 紛争当事者は,前項の規定による勧告を受けたときは,指定された期限までに諾否を回答しなければならない。
3 紛争当事者の双方が,調停案を受諾したときは,紛争当事者は,これを遵守しなければならない。
(調停の打切り)
第31条 調停小委員会は,調停に係る紛争について,紛争当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは,調停を打ち切ることができる。
2 前条第2項の規定による勧告が行われた場合において,指定された期限までに紛争当事者の双方から受諾する旨の回答がないときは,当該調停は,打ち切られたものとみなす。
3 前2項の規定により調停が打ち切られたときは,紛争当事者は,当該紛争について再度の調停を申し立てることはできない。
(調停終了の報告)
第32条 調停小委員会は,調停が終了したときは,その経過及び結果を調停委員会及び市長に報告するものとする。
(あっせん及び調停の手続の非公開)
第34条 あっせん及び調停の手続は,公開しない。
第5章 雑則
(工事着手の延期の要請)
第35条 市長は,あっせん及び調停のため必要があると認めるときは,その理由を付して,建築主に対し,相当の期間を定めて工事の着手の延期を要請することができる。
(勧告)
第36条 市長は,第10条第1項の標識を設置しない者に対し,相当の期限を定めて標識を設置するよう勧告することができる。
2 市長は,第10条第2項の規定による届出をしない者に対し,相当の期限を定めて届出を行うよう勧告することができる。
3 市長は,第14条の報告書を提出しない者に対し,相当の期限を定めて報告書を提出するよう勧告することができる。
(公表)
第37条 市長は,次の各号のいずれかに該当するときは,その旨を公表することができる。
(2) 第14条の報告書に虚偽の記載をしたとき。
(3) 第35条の規定による工事の着手の延期要請に正当な理由なく従わないとき。
2 市長は,前項の規定により公表しようとするときは,あらかじめ,公表の対象となる者にその旨を通知し,意見を述べる機会を与えなければならない。ただし,緊急の必要のため,あらかじめ意見を述べる機会を与えることができないときは,この限りでない。
(委任)
第38条 この条例の施行について必要な事項は,市規則で定める。
附 則
1 この条例は,平成16年6月1日から施行する。
2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)から豊中市土地利用の調整に関する条例附則第1項ただし書に規定する規定の施行の日までの間における第2条第2項第1号ウ及び第14条第2号の規定の適用については,第2条第2項第1号ウ中「豊中市土地利用の調整に関する条例(平成16年豊中市条例第31号)第2条第5号(ウを除く。)に規定する開発行為等に該当するもの」とあるのは「都市計画法第29条第1項の規定による許可を要する開発行為」と,第14条第2号中「豊中市土地利用の調整に関する条例第23条第1項」とあるのは「都市計画法第32条」とする。
(1) 第10条第1項の規定による標識の設置
(2) 第10条第2項の規定による届出
(3) 第11条第1項本文の規定による説明
(4) 第11条第3項の規定による説明会の開催
(5) 第14条の規定による報告書の提出
5 他の条例の一部改正〔略〕
附 則(平成19年3月23日条例第1号)
この条例は,公布の日から施行する。