○人にやさしいまちづくり条例
平成12年12月21日
津山市条例第54号
目次
前文
第1章 総則(第1条~第7条)
第2章 施策の基本方針等(第8条~第11条)
第3章 まちづくりを推進するための基本的事項(第12条~第18条)
第4章 生活環境の整備
第1節 都市施設の整備(第19条~第22条)
第2節 特定都市施設の整備(第23条~第31条)
第3節 交通環境及び住宅の整備(第32条~第34条)
第4節 安全な生活環境の確保等(第35条・第36条)
第5章 雑則(第37条・第38条)
付則
子どもから高齢者まですべての人が、一人の人間として尊重され、社会を構成する一員として自立し、共に支え合い、生きがいを持ちながら安心して生活できる社会は、私たち市民の願いである。
こうした社会を実現するためには、高齢者、障害者等の活動を制限しているさまざまな障壁を取除き、すべての市民が自らの意思で自由に行動し、安全かつ快適に生活することができる社会環境を整備することが必要である。
このため、市、市民及び事業者は、それぞれの役割を果たしながら連携し、協働して、市民総参加の下に思いやりの心がふれあう人にやさしいまちづくりに全力を挙げて取組むことを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、人にやさしいまちづくり(以下「まちづくり」という。)に関し、市、市民及び事業者の役割を明らかにし、市の施策の基本となる事項を定めるとともに、高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できる都市施設等の整備について必要な事項を定めることにより、まちづくりの総合的な推進を図り、もって市民福祉の増進に資することを目的とする。
(1) 高齢者、障害者等 高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児を連れた者その他日常生活又は社会生活において活動の制限を受ける者をいう。
(2) 事業者 経済、社会、文化その他の分野において事業活動を行う者をいう。
(3) 都市施設 不特定かつ多数の者が利用する病院、劇場、集会場、展示場、百貨店、文化施設、公共交通機関の施設、道路、公園その他の施設で規則で定めるものをいう。
(4) 特定都市施設 都市施設のうち、高齢者、障害者等を含むすべての市民が安全かつ円滑に利用できるように特に整備を促進することが必要な施設として規則で定めるものをいう。
(5) 公共車両 鉄道の車両、乗合自動車その他の一般旅客の用に供する車両で規則で定めるものをいう。
(市の役割)
第3条 市は、市民からの意見及び提言を広く取入れながら、まちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。
2 市は、自ら設置し、又は管理する都市施設等を高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるように整備するものとする。
(市民の役割)
第4条 市民は、まちづくりに関し理解を深め、自主的にまちづくりに関する活動に取組むとともに、相互に連携しながら、市が実施するまちづくりに関する施策に協力するものとする。
2 市民は、高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるように整備された都市施設等の利用の妨げとなる行為をしてはならない。
(事業者の役割)
第5条 事業者は、地域社会の一員であるとともに、その事業活動が地域社会と密接な関係にあることを自覚し、自主的にまちづくりに関する活動に取組み、市が実施するまちづくりに関する施策に協力するものとする。
2 事業者は、自ら設置し、又は管理する都市施設等を高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるように整備するものとする。
(推進体制)
第6条 市、市民及び事業者は、まちづくりについての役割を認識し、相互に連携して、その推進に努めるものとする。
2 市は、市民及び事業者と一体となってまちづくりを推進するための体制を整備するものとする。
(財政上の措置)
第7条 市は、まちづくりを推進するため、必要な財政上の措置を講ずるように努めるものとする。
第2章 施策の基本方針等
(施策の基本方針)
第8条 市は、次に掲げる基本方針に基づき、まちづくりに関する施策を計画的に推進するものとする。
(1) すべての市民が高齢者、障害者等への理解を深め、思いやりの心をもって、お互いの人格を尊重し合うように意識の高揚を図ること。
(2) すべての市民が住み慣れた地域で、共に支え合いながら、安心して住み続けられる環境を整備すること。
(3) すべての市民が安全かつ快適な生活に必要な情報を円滑に利用することができるように諸条件を整備すること。
(4) すべての市民が都市施設等を安全かつ円滑に利用することができるように整備すること。
(情報の提供)
第9条 市は、まちづくりに関する情報を収集し、市民及び事業者に提供するものとする。
2 市は、高齢者、障害者等が、その生活に関連する情報を円滑に利用し、及びその意思を表示できるように必要な施策を講ずるものとする。
(啓発活動)
第10条 市は、市民及び事業者がまちづくりに関して理解を深め、自主的な活動が図られるように広報その他の啓発活動を行うものとする。
(学習機会の提供等)
第11条 市は、市民が生涯を通じてまちづくりに関し学習をすることができるように、その機会の提供を行うものとする。
2 市は、高齢者、障害者等に対する理解や思いやりのある児童を育成するために必要な教育を行うものとする。
第3章 まちづくりを推進するための基本的事項
(地域社会における連帯の形成及び促進)
第12条 市民及び事業者は、地域社会の一員として相互の交流を深めることにより、地域社会における連帯(以下「地域連帯」という。)の形成に努めるものとする。
2 市は、地域連帯の形成を促進するため、地域連帯の形成に係る基礎的条件の整備に努めるものとする。
(健康の保持及び増進)
第13条 市民は、健康に関する意識を高め、自らの健康の保持及び増進に努めるものとする。
2 市は、市民自らの健康づくりに関する意識の高揚を図るとともに、関係機関と連携し、市民の健康の保持及び増進に関する施策を講ずるように努めるものとする。
(文化活動等の機会の提供)
第14条 市は、高齢者、障害者等が積極的に文化、スポーツ、レクリエーション等の活動に参加できるように関係機関と連携し、その機会の提供に努めるものとする。
(就業機会の確保等)
第15条 事業者は、高齢者、障害者等への理解を深め、就業機会の確保及び雇用の安定に努めるものとする。
2 市は、高齢者、障害者等の就業機会の確保及び雇用の安定を図るために関係機関と連携し、必要な支援に努めるものとする。
(ボランティア活動への参加等)
第16条 市民及び事業者は、ボランティア活動に自主的かつ積極的に取組むように努めるものとする。
2 事業者は、その雇用する勤労者がボランティア活動に参加しようとするときは、必要な便宜を図るように努めるものとする。
3 市は、ボランティア活動を促進するため、市民及び事業者に情報の提供、人材の育成等必要な支援を行うものとする。
(日常生活の支援)
第17条 市は、高齢者、障害者等が快適な日常生活を送ることができるように在宅福祉及び施設福祉の充実を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
2 市は、保健、医療及び福祉施策の連携を推進し、それぞれを効果的に組合せることにより、高齢者、障害者等の日常生活を総合的に支援するものとする。
(児童の健全な発育)
第18条 市は、児童の心身の健全な発育のため、関係機関と連携し、必要な施策を講ずるように努めるものとする。
2 市民は、児童の心身の健全な発育のため、家庭における養育機能の維持向上を図るとともに、地域社会において環境の整備に努めるものとする。
第4章 生活環境の整備
第1節 都市施設の整備
(整備基準)
第19条 市長は、高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるようにするため、都市施設の構造及び設備の整備について必要な基準(以下「整備基準」という。)を規則で定めるものとする。
(整備基準への適合)
第20条 都市施設を設置し、又は管理する者(以下「都市施設の設置者等」という。)は、当該都市施設を整備基準に適合させるように努めるものとする。
(適合証の交付及び表示)
第21条 都市施設の設置者等は、当該都市施設が整備基準に適合するときは、市長に対し適合証の交付を請求することができる。
2 市長は、前項の請求があったときは、当該都市施設が整備基準に適合しているかどうかを検査するものとする。
3 市長は、前項の検査に係る都市施設が整備基準に適合していると認めるときは、当該都市施設の設置者等に適合証を交付するものとする。
4 都市施設の設置者等は、前項の規定により適合証の交付を受けたときは、規則で定めるところにより当該適合証を高齢者、障害者等の見やすい場所に表示するものとする。
(機能の維持)
第22条 都市施設の設置者等は、当該都市施設が整備基準に適合しているときは、その適合箇所の機能を維持するように努めるものとする。
第2節 特定都市施設の整備
(新築等の届出)
第23条 次の各号のいずれかの行為(以下「特定都市施設の新築等」という。)をしようとする者は、規則で定めるところにより、その内容についてあらかじめ市長に届け出なければならない。
(1) 特定都市施設の新築若しくは新設、増築若しくは増設又は改築
(2) 特定都市施設の用途の変更(当該用途の変更により特定都市施設に該当しないこととなる場合を除く。)
(3) 特定都市施設の建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第14号に規定する大規模の修繕又は同条第15号に規定する大規模の模様替
(4) 施設の用途の変更(当該用途の変更により特定都市施設に該当することとなる場合に限る。)
2 前項の規定による届出を行った者で、当該届出に係る事項の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)をしようとするものは、規則で定めるところにより、その内容についてあらかじめ市長に届け出なければならない。
(新築等の協議)
第24条 規則で定める規模以上の建築物に係る特定都市施設の新築等をしようとする者は、規則で定めるところにより、その内容についてあらかじめ市長に協議しなければならない。
2 前項の規定による協議を行った者で、当該協議に係る事項の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)をしようとするものは、規則で定めるところにより、その内容についてあらかじめ市長に協議しなければならない。
(高齢者、障害者等の意見)
第25条 特定都市施設の新築等をしようとする者は、当該特定都市施設の新築等に当り、高齢者、障害者等の意見を聴くように努めるものとする。
2 市長は、前項の規定により届出があったときは、当該特定都市施設の整備基準への適合状況について検査することができる。
(適合状況の報告)
第28条 市長は、特定都市施設を設置し、又は管理する者(次項において「特定都市施設の設置者等」という。)に対し、規則で定めるところにより、当該特定都市施設の整備基準への適合状況について報告を求めることができる。
2 市長は、前項の報告に係る特定都市施設が整備基準に適合していないと認めるときは、当該特定都市施設の設置者等に対し、必要な指導及び助言を行うことができる。
(勧告)
第29条 市長は、次の各号に掲げる者に対し、必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(3) 前条第1項の規定により求められた報告を正当な理由なく行わない者
(公表)
第30条 市長は、前条の規定による勧告を受けた者が、正当な理由なく当該勧告に従わないときは、当該勧告を受けた者の氏名その他の規則で定める事項を公表することができる。
2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ当該勧告を受けた者に意見を述べる機会を与えなければならない。
2 前項の規定により立入り調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
第3節 交通環境及び住宅の整備
(交通環境の整備)
第32条 市、公共車両を所有し、又は管理する事業者(次条において「公共交通事業者」という。)及び都市施設の設置者等は、相互に連携して高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるように建築物、道路等を整備することにより、これらの者が移動しやすい交通環境の整備に努めるものとする。
(公共車両の整備)
第33条 公共交通事業者は、高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるように公共車両の整備に努めるものとする。
2 市長は、必要と認めるときは、公共交通事業者に対し、公共車両の整備状況について報告を求めることができる。
3 市長は、必要と認めるときは、前項の規定による報告を行った公共交通事業者に対し、指導及び助言を行うことができる。
(住宅の整備)
第34条 市民は、加齢、障害等による日常生活における動作能力の低下に対応し、安全かつ快適な自立した生活が維持できるように自ら住宅の整備に努めるものとする。
2 住宅を供給する事業者は、高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるように配慮した住宅の供給に努めるものとする。
3 市は、高齢者、障害者等が安全かつ快適な住環境の中で生活できるように必要な施策を講ずるものとする。
第4節 安全な生活環境の確保等
(安全な生活環境の確保)
第35条 市民及び事業者は、自らの生活の安全確保及び相互扶助の精神に基づき、地域の安全確保に努めるとともに、市が実施する生活安全対策に協力するように努めるものとする。
2 市は、高齢者、障害者等が安全な日常生活及び社会生活を営むことができるように関係機関と連携し、防犯、防災、交通安全、環境保全等生活安全対策に努めるものとする。
(公共工作物の整備)
第36条 信号機、公衆電話ボックスその他の公共の用に供する工作物で規則で定めるものを設置し、又は管理する者は、高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるようにその整備に努めるものとする。
第5章 雑則
2 市長は、国、地方公共団体その他規則で定める者に対し、特定都市施設及び公共車両の整備について必要な措置を講ずるように要請することができる。
付則