○内灘町環境基本条例
平成十六年三月三十一日
条例第二号
私たちのまち内灘は、日本海と河北潟・大野川の豊かな水環境に恵まれ、それらの水面に挟まれて南北に伸びる内灘砂丘の上に発展してきた。こうした特色ある地理的環境から、内灘町の歴史的・文化的な特性も際立って特徴的なものとなっている。
私たちの先人は、この土地の恵まれた水環境がもたらす様々な恵沢を享受し、また飛砂との闘いなど数々の試練を克服しながらこの地で生活を営み、産業を興し、文化を育んで私たちの生活を飛躍的に向上させ、今日の内灘町を創ってきた。
しかしながら、近年、都市化の進展に伴って身近な自然が減少するとともに大気の汚染や河北潟の水質汚濁など都市生活型の環境問題も生じてきている。また、私たちの日常生活や事業活動における便利さや豊かさの追求は、地球環境に大きな負荷を与え、地球温暖化やオゾン層の破壊など、人類の存在基盤そのものを脅かすまでに至っている。
私たちは、健康で安全かつ文化的な生活を営むため、恵み豊かでかけがえのない環境を保全し、また良好な環境を創造しながら、快適な環境の実現に努め、これを将来の世代に引継ぐ責務を負っている。また、私たちは、先進工業国の国民として自らが環境に負荷を与えている立場にあること、そして地球環境保全が人類共通の最重要課題であることを深く認識し、自らの生活様式や社会経済活動を見直し、環境に配慮した新たな地域社会の構築を目指して町民、事業者、行政、滞在者などすべてのものが協働しながらそれぞれの責務を果たしていかなければならない。
私たちは、このような認識の下に、現在及び将来の町民が持続的に良好で恵み豊かな環境を享受できる「人にも地球にも優しい内灘」の創造を決意し、人と自然との共生や環境への負荷の少ない社会や経済システムの構築と生活様式の確立を目指して、ここにこの条例を制定する。
目次
第一章 総則(第一条―第七条)
第二章 環境の保全に関する基本的施策(第八条―第二十五条)
第三章 内灘町環境審議会(第二十六条―第三十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、環境の保全について基本理念を定め、並びに町、事業者、町民及び滞在者の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の町民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
2 この条例において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
3 この条例において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の採掘のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生じることをいう。
(環境の保全についての基本理念)
第三条 環境の保全は、健全で恵み豊かな環境が現在及び将来の町民の健康で文化的な生活に欠くことができないものであることを認識し、将来にわたって、その環境のもたらす恵沢を享受するとともに、人類存続の基盤である限りある環境が良好な状態で維持されるように、適切に行われなければならない。
2 環境の保全は、地域における多様な生態系を健全な状態で確保するとともに人と自然との豊かな触れ合いを保つことにより、人と自然が共生できるように、適切に行わなければならない。
3 環境の保全は、町、事業者、町民及び滞在者が自らの活動と環境とのかかわりを認識し、すべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に環境への負荷を低減するよう行動し、環境の保全上の支障を未然に防止するように、適切に行わなければならない。
4 地球環境保全は、人類の共通の課題であるとともに町民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上での課題であること及び私たちの生活が国際的な相互依存関係の中で営まれていることを認識し、国の内外の地域と連携しながらすべての事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。
(町の責務)
第四条 町は、前条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施しなければならない。
(事業者の責務)
第五条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当っては、当該事業活動に伴って生ずる公害を防止し、及び自然環境を適正に保全するために必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として物の製造、加工又は販売を行わなければならない。
一 製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷を低減するように努めること。
二 再生資源その他の環境への負荷の低減に有効な原材料、役務等を利用するように努めること。
三 製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られるようにすること。
3 前二項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、環境への負荷の低減その他の環境の保全に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全に関する施策に協力するものとする。
(町民の責務)
第六条 町民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、廃棄物の減量等日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、町民は、基本理念にのっとり、環境の保全に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全に関する施策に協力するものとする。
(滞在者の責務)
第七条 通勤、通学、観光旅行等で当町に滞在するものは、前条に定める町民の責務に準じて環境の保全に努めるものとする。
第二章 環境の保全に関する基本的施策
(施策の策定等に係る指針)
第八条 町は、環境の保全に関する施策の策定及び実施に当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ、総合的かつ計画的に行わなければならない。
一 大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素を将来にわたって良好な状態に保持すること。
二 野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保を図ること。
三 緑地、水辺地等における多様な自然環境を地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全すること。
四 自然と調和した潤いと安らぎのある良好な都市景観を形成するとともに、文化財その他の環境の文化的構成要素の保全及び活用を図り、快適な生活環境を創造すること。
五 人と自然が豊かに触れ合い、共生することができる環境を確保すること。
六 エネルギーの消費の抑制及び環境への負荷の少ないエネルギーの有効活用を図ること。
七 廃棄物の発生の抑制及び適正な処理並びに再生資源の利用、廃熱の有効利用等による資源の循環的な利用(以下「資源の循環的利用」という。)を促進し、環境への負荷が少なく、かつ、持続的に発展することが出来る社会を構築すること。
八 地球環境保全を積極的に推進すること。
(環境基本計画)
第九条 町長は、環境保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 環境の保全に関する長期的な目標
二 環境の保全に関する長期的かつ総合的な施策の大綱
三 前二号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 町長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ内灘町環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 町長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。
5 前二項の規定は、環境基本計画の変更についても準用する。
(環境基本計画との整合)
第十条 町は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図らなければならない。
(環境影響評価の推進)
第十一条 町は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の計画の確定に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(規制的措置)
第十二条 町は、環境の保全上の支障を防止するため、次に掲げる行為について必要な規制の措置を講じなければならない。
一 公害の原因となる行為
二 自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為
三 前二号に掲げるもののほか、人の健康又は生活環境に支障を及ぼすおそれがある行為
(誘導的措置)
第十三条 町は、事業者又は町民が自らの活動に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の環境の保全及び創造に資する適切な措置をとるように誘導するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(環境の保全に関する施設の整備等)
第十四条 町は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設、公園、緑地その他の環境の保全を図るための施設を整備するとともに、事業者及び民間団体によるこれらの施設の整備が推進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
2 町は、前項に定める施設の適切な利用を推進するための措置その他のこれらの施設に係る環境の保全上の効果が増進されるために必要な措置を講ずるものとする。
(資源の循環的利用等の促進)
第十五条 町は、環境への負荷の低減を図るため、事業者及び町民による資源の循環的利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
2 町は、環境への負荷の低減を図るため、町の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、資源の循環的利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量に積極的に努めなければならない。
(調査研究等)
第十六条 町は、環境を保全するための施策に必要な調査及び研究を行うとともに、それらの成果の普及に努めるものとする。
(監視等の体制の整備)
第十七条 町は、環境の状況を把握し、及び環境の保全に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定、検査等の体制を整備するものとする。
(環境の保全に関する教育及び学習等)
第十八条 町は、環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに環境の保全に関する広報活動の充実により町民及び事業者が環境の保全についての理解を深めるとともに、これらの者の環境の保全に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、必要な措置を講ずるものとする。
(民間団体等の自発的活動の促進)
第十九条 町は、町民、事業者又はこれらの者の組織する民間団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う再生資源に係る回収活動、環境美化活動、緑化活動その他の環境の保全に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
(地球環境保全の推進)
第二十条 町は、地球環境保全に貢献する施策を積極的に推進するものとする。
2 町は、国、他の地方公共団体及びその他の関係団体等と連携し、環境の保全に関する情報の提供等により、地球環境保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。
(情報の提供)
第二十一条 町は、環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに町民等が自発的に行う環境の保全に関する活動の促進のため、環境の状況その他の環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するものとする。
(町民等の意見の施策への反映)
第二十二条 町は、環境の保全に関する施策に、町民等の意見を適切に反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
(年次報告)
第二十三条 町長は、町民に本町の環境の状況、町が講じた環境施策の実施状況等を明らかにするため、年次報告書を作成し、これを公表しなければならない。
(町民等との連携)
第二十四条 町は、環境の保全に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、町民等との連携体制の整備に努めるものとする。
(国等との協力)
第二十五条 町は、環境の保全を図るための広域的な取り組みを必要とする施策について、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。
第三章 内灘町環境審議会
(審議会の設置)
第二十六条 環境基本法(平成五年法律第九十一号)第四十四条の規定に基づき、町長の付属機関として、内灘町環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(所掌事項)
第二十七条 審議会の所掌事項は、次のとおりとする。
一 環境基本計画に関し、第九条第三項に規定する事項を処理すること。
二 町長の諮問に応じ、環境の保全に関する基本的事項及び重要事項を調査審議し、その結果を町長に答申するものとする。
2 審議会は、前項各号に掲げるもののほか、環境の保全に関し町長に意見を述べることができる。
(組織)
第二十八条 審議会は、次に掲げる者のうちから町長が委嘱する十二名以内の委員をもって組織する。
一 学識経験者
二 町民
三 事業者
四 関係行政機関の職員
(委員の任期)
第二十九条 審議会の委員の任期は、二年とし、再任は妨げない。ただし、委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(委任)
第三十条 前二条に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成十六年四月一日から施行する。
(内灘町環境美化条例の一部改正)
2 内灘町環境美化条例(平成十年内灘町条例第一号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(内灘町社会環境整備等に関する条例の一部改正)
3 内灘町社会環境整備等に関する条例(昭和四十七年内灘町条例第三号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(内灘町公害防止条例の一部改正)
4 内灘町公害防止条例(昭和四十六年内灘町条例第十号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附則(平成一八年六月二三日条例第二五号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行日前に任命された者で任期が途中の者については、任期が終了するまでは、なお従前の例による。