○内灘町男女共同参画まちづくり条例
平成十九年十二月二十六日
条例第三十四号
私たちは、すべての人が性別にかかわりなく、お互いを認めあい、かつ尊重しあいながら、自らの意思でその個性と能力を十分に発揮できる社会が来ることを久しく希求してきた。
わが国では、個人の尊重と法の下での平等、またすべて国民は性別等によって差別されない旨が日本国憲法においてうたわれて以来、男女平等の実現に向けた取組みが国際社会の取組みとも連動しながら進められてきた。
こうした動きに合わせて、内灘町でも男女共同参画実現に向けた取組みを推進してきたが、その一環として実施した町民意識調査において、内灘町には今なお性別による差別や男女の固定的な役割分担意識、またそれらに基づく社会慣行の存在が明らかとなった。これらは男女がその個性と能力を発揮できる男女共同参画社会を内灘町に実現するためには速やかに克服されなければならない課題であるといえる。
また、近年の私たちを取巻く少子高齢化の急進展や人口減少時代の到来など社会の諸々な変化に対応して、豊かで活力ある内灘町を創っていくためには、男女が互いにその人権を尊重しあいながら、あらゆる分野で活き活きと輝くことのできる男女共同参画社会の実現が強く求められているところである。
私たち内灘町民は、真に男女平等思想に基づく男女共同参画が実現されるまちづくりのために町民の英知と努力を結集し、内灘町を老若男女すべての人々にとって「住みたいまち・住んでよかったまち」と心から誇れるまちとして創りあげ、未来の世代に引き継いでいくことを決意し、ここにこの条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、男女共同参画の推進について基本理念を定め、町、町民、及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画を推進するための基本的事項を定めることにより、町の施策を総合的かつ計画的に実施し、もって人権を尊重した男女共同参画社会を実現することを目的とする。
一 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
二 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
三 セクシャル・ハラスメント 他の者の意に反した性的な言動を行うことにより、当該他の者の生活環境を害すること又は性的な言動を受けた者の対応により当該言動を受けた者に不利益を与えることをいう。
四 ドメスティック・バイオレンス 配偶者(婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるもの、若しくはあったものを含む)からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。
(基本理念)
第三条 男女共同参画社会の形成は、次に掲げる基本理念に基づいて推進されなければならない。
一 一人ひとりが個人としての尊厳が重んぜられ、性別による差別的な扱いを受けず、個人としての能力を発揮する機会が確保されること。
二 社会における制度又は慣行が性別による固定的な役割分担等を反映し、男女の社会における活動の選択に対し中立でない影響を及ぼすことなく配慮されること
三 男女が社会における対等な構成員として、町の政策又は事業者その他の団体における方針など立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
四 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての責任を果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすること。
五 男女が互いの性を理解し、性と生殖に関する意思が尊重されること及び生涯にわたり健康な生活を営む権利が尊重されること。
(町の責務)
第四条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 町は、男女共同参画に関する施策を実施するに当たっては、町民、事業者、国、他の地方公共団体及び関係団体と相互に連携し、協力するよう努めなければならない。
(町民の責務)
第五条 町民は、男女共同参画について理解を深め、かつ基本理念にのっとり、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野で自ら進んで男女共同参画社会の形成に寄与するよう努めなければならない。
2 町民は、町が実施する推進施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第六条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 事業者は、男女が職場における活動に対等に参画する機会の確保に努めるとともに、職業生活における活動と家庭生活における活動その他の活動とを両立して行うことができるよう、職場環境を整備するよう努めなければならない。
3 事業者は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(性別による禁止事項)
第七条 何人も、職場、学校、地域、家庭その他社会のあらゆる分野において、性別による差別的取り扱い、セクシャル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンスを含む暴力や、その他の行為により男女の人権を損なうことのないようにしなければならない。
(行動計画)
第八条 町長は、男女共同参画の推進に関する施策並びに町民及び事業者の取組みを総合的かつ計画的に推進するための行動計画(以下「行動計画」という)を策定しなければならない。
2 町長は、行動計画を策定し、又は変更するに当たっては、町民及び事業者の意見を反映するよう努めなければならない。
3 町長は、行動計画を策定し、又は変更するに当たっては、あらかじめ内灘町男女共同参画推進委員会に意見を求め、その意見を尊重しなければならない。
4 町長は、行動計画を策定し、又は変更したときは、これを公表しなければならない。
(積極的改善措置)
第九条 町は、社会のあらゆる分野における活動において、男女間に参画する機会の格差が生じている場合、事業者及び町民と協力し、積極的改善措置を講ずるよう努めなければならない。
2 町長、その他町の執行機関は、その設置する付属機関等の委員を任命し、又は委嘱する場合には、男女いずれか一方の委員の数が委員の総数の十分の四未満とならないよう努めなければならない。
(調査研究)
第十条 町は、男女共同参画の推進に関する施策を策定し、及び実施するため、必要な調査研究を行うものとする。
(報告の徴収)
第十一条 町長は、男女共同参画の推進に必要があると認めるときは、事業者に対し、職場における男女共同参画の状況について報告を求めることができる。
2 町長は、前項の規定により把握した男女共同参画の状況を取りまとめ、公表することができる。
3 町長は、第一項の報告に基づき、事業者に対し、情報の提供等を行うことができる。
(男女共同参画についての啓発等)
第十二条 町は、男女共同参画について広く町民及び事業者の理解を深めるため、その啓発、学習の促進等に積極的に努めなければならない。
(町民等の活動についての支援)
第十三条 町は、町民及び民間の団体が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、情報の提供その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(年次報告)
第十四条 町長は、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況等について、毎年、報告書を作成し、公表しなければならない。
(苦情への対応)
第十五条 町長は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し、町民又は事業者から苦情の申出を受けた場合は、関係機関との連携を図りつつ、適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
(推進体制の整備)
第十六条 町は、男女共同参画社会を推進するため、必要な体制の整備に努めなければならない。
(財政上等の措置)
第十七条 町は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置、その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
(男女共同参画推進委員会の設置)
第十八条 行動計画その他男女共同参画の推進に関する重要な事項を調査審議するため、内灘町男女共同参画推進委員会(以下「推進委員会」という。)を置く。
(推進委員会の任務)
第十九条 推進委員会は、この条例に規定する事項その他重要な事項について、町長の諮問に応ずるほか、男女共同参画の推進に関し必要な事項について、町長に意見を述べることができる。
(推進委員会の組織)
第二十条 推進委員会は、委員十人以内をもって組織し、次に掲げる者のうちから町長が委嘱する。
一 学識経験者
二 各種団体を代表する者
三 公募により選出した町民
四 前三号に掲げるもののほか町長が適当と認める者
2 推進委員会の委員の任期は二年とし、再任は妨げない。ただし、委員に欠員を生じた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(委任)
第二十一条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成二十年四月一日より施行する。
(内灘町男女共同参画推進委員会設置条例の廃止)
2 内灘町男女共同参画推進委員会設置条例(平成十七年内灘町条例第二十号)は、廃止する。