○宇城市文化財保護条例〔文化スポーツ課〕

平成17年1月15日

条例第106号

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第98条第2項の規定に基づき、法及び熊本県文化財保護条例(昭和51年熊本県条例第48号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で、市の区域内に存在するもののうち、市にとって重要なものを指定して、その保存活用のため必要な措置を講じ、もって市民の文化財尊重の思想を高め、文化の向上に資するとともに、我が国文化の進歩に貢献することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「文化財」とは、法第2条第1項第1号から第4号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び記念物をいう。

(財産権の尊重及び公益との調整)

第3条 宇城市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の適用に当たっては、関係者の所有権その他財産権を尊重するとともに文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。

(指定)

第4条 教育委員会は、本市の区域内に存する文化財(法及び県条例の規定による指定を受けた文化財を除く。)のうち本市にとって重要なものを宇城市指定文化財(以下「市指定文化財」という。)に指定することができる。

2 教育委員会は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ当該文化財(無形文化財を除く。)の所有者(所有者が判明しない場合を除く。以下同じ。)及び権原に基づく占有者(権原に基づく占有者が判明しない場合を除く。以下同じ。)の同意を得なければならない。

3 教育委員会は、無形文化財について第1項の規定による指定をするときは、当該無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。ただし、指定をした後においても保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。

(解除)

第5条 教育委員会は、市指定文化財が市指定文化財としての価値を失った場合その他特殊の理由があるときは、その指定を解除することができる。

2 教育委員会は、市指定文化財の保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められる場合その他特殊の理由があるときは、その認定を解除することができる。

3 市指定文化財の保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下同じ。)は、当該市指定文化財の保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、保持者のすべてが死亡したとき、又は保持団体のすべてが解散したときは、当該市指定文化財の指定は解除されたものとする。

4 市指定文化財が法又は県条例の規定による指定を受けたときは、当該市指定文化財の指定は解除されたものとする。

(指定等に関する意見の聴取)

第6条 教育委員会は、次に掲げる事項については、あらかじめ宇城市文化財保護審議会の意見を聴くものとする。

(1) 第4条第1項の規定による市指定文化財の指定に関すること。

(2) 第4条第3項の規定による無形文化財の保持者又は保持団体の認定に関すること。

(3) 前条第1項の規定による市指定文化財の指定の解除に関すること。

(4) 前条第2項の規定による市指定文化財の保持者又は保持団体の認定の解除に関すること。

(告示及び通知並びに指定書等の交付)

第7条 第4条第1項の規定による指定(同条第3項ただし書の規定による追加認定を含む。)は、教育委員会がその旨を告示するとともに、当該文化財の所有者及び権原に基づく占有者、保持者又は保持団体として認定しようとするもの(保持団体にあっては、その代表者)に通知して行う。

2 教育委員会は、第4条第1項の規定による指定(同条第3項ただし書の規定による追加認定を含む。)をしたときは、当該市指定文化財の所有者には指定書、保持者又は保持団体の代表者には認定書を交付しなければならない。

3 第5条第1項第3項及び第4項の規定による指定の解除並びに同条第2項及び第3項の規定による認定の解除は、その旨を告示するとともに、当該文化財の所有者及び権原に基づく占有者、保持者(保持者が死亡した場合にあっては、その相続人)又は保持団体の代表者(保持団体が解散した場合にあっては、その代表者であった者)に通知して行う。

4 市指定文化財の所有者、保持者(保持者が死亡した場合にあっては、その相続人)又は保持団体の代表者(保持団体が解散した場合にあっては、その代表者であった者)は、前項の規定により市指定文化財の指定又は認定の解除の通知を受けたときは、速やかに指定書又は認定書を教育委員会に返付しなければならない。

(管理及び修理の義務)

第8条 市指定文化財の所有者、保持者又は保持団体の代表者は、この条例及びこれに基づく教育委員会規則で定めるところに従い、当該市指定文化財の管理及び修理の責に任ずるものとする。

(管理方法の助言又は勧告)

第9条 教育委員会は、市指定文化財の所有者、保持者又は保持団体その他その管理に当たることを適当と認める者(以下「管理者」という。)に対し、市指定文化財の管理方法に関し必要な助言又は勧告をすることができる。

(届出事項)

第10条 次に掲げる場合には、市指定文化財の所有者、保持者(保持者が死亡した場合にあっては、その相続人)又は保持団体の代表者(保持団体が解散した場合にあっては、その代表者であった者)は、速やかに指定書又は認定書を添えて教育委員会に届け出なければならない。

(1) 市指定文化財の所有者が変更したとき。

(2) 市指定文化財の所有者若しくは権原に基づく占有者又は保持者が、その氏名、名称若しくは住所を変更し、又は死亡したとき。

(3) 保持団体が、その名称、所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したとき。

(4) 市指定文化財の全部又は一部が滅失し、若しくは損傷し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたとき。

(5) 市指定文化財の所在の場所を変更しようとするとき(一時的な所在の場所の変更を除く。)

(6) 市指定文化財に係る土地について、その所在、地番、地目又は地積に異動があったとき。

(管理又は修理の補助)

第11条 市長は、市指定文化財の管理又は修理の経費に充てさせるため、市指定文化財の所有者、保持者又は保持団体及び管理者に対し予算の範囲内でその全部又は一部を補助金として交付することができる。

2 前項の規定により補助金を交付する場合には、教育委員会は、当該補助金に係る管理又は修理に関し必要な指示をするとともに、必要があると認めるときは、当該管理又は修理について指揮監督をすることができる。

(補助金の返還等)

第12条 市長は、前条第1項の規定による補助金の交付を受け、又は受けることとなった所有者、保持者又は保持団体及び管理者が次の各号のいずれかに該当するときは当該所有者、保持者又は保持団体及び管理者に対し、既に交付した補助金の全部若しくは一部の返還を命じ、又は補助金の全部若しくは一部の交付をしないことができる。

(1) 管理又は修理に関し、この条例又はこれに基づく教育委員会規則に違反したとき。

(2) 補助金を他の用途に使用したとき。

(3) 前条第2項の規定による指示又は指揮監督に従わなかったとき。

(現状変更等の制限及び損失補償)

第13条 市指定文化財の現状を変更しようとするとき、又は保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状変更については維持の措置で教育委員会規則で定める範囲のもの又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。

2 教育委員会は、前項の規定による許可を与える場合においては、必要な指示をすることができる。

3 教育委員会は、第1項の規定による許可を受けた者が前項の規定による指示に従わないときは、許可に係る行為の停止を命じ、又はその許可を取り消すことができる。

4 第1項の許可を受けることができなかったことによって損失を受けた者に対しては、本市は、その通常生ずべき損失を補償する。

(修理の届出等)

第14条 市指定文化財を修理しようとするときは、その所有者及び管理者は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、第11条第1項の規定による補助金の交付を受けて修理を行う場合又は前条第1項の規定による許可を受けて修理を行う場合は、この限りでない。

2 市指定文化財の保存上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る市指定文化財の修理に関し技術的な指導と助言を与えることができる。

(管理又は修理に関する勧告等)

第15条 教育委員会は、市指定文化財の管理が適当でないためその市指定文化財が滅失し、損傷し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、その市指定文化財の所有者及び管理者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理及び修理に関して必要な措置を勧告することができる。

2 前項の規定による勧告に基づいてする措置のために要する費用は、予算の範囲内で市の負担とすることができる。この場合においては、第11条の規定を準用する。

(公開)

第16条 教育委員会は、市指定文化財の所有者、保持者又は保持団体及び管理者に対し、当該市指定文化財を公開することを勧告することができる。

2 前項の規定による勧告に基づく公開に要する費用については、予算の範囲内でその全部又は一部を市の負担とすることができる。

3 第1項の規定による勧告に基づき公開したことに起因して市指定文化財が滅失し、又は損傷したときは、市は、所有者に対し通常生ずべき損失を補償する。ただし、所有者の責めに帰すべき理由によって滅失し、又は損傷した場合は、この限りでない。

(報告及び調査等)

第17条 教育委員会は、必要があると認めるときは、市指定文化財の所有者、保持者又は保持団体の代表者及び管理者に対し、当該市指定文化財の現状又は管理、修理若しくは環境保全の状況について報告を求めることができる。

2 教育委員会は、必要があると認めるときは、所有者の同意を得て市指定文化財の調査を行うことができる。

3 教育委員会は、市指定文化財(有形文化財、有形民俗文化財及び記念物を除く。)の保存のため必要があると認めるときは、当該市指定文化財について自ら記録の作成その他その保存のため適当な措置を執ることができる。

(標識等の設置)

第18条 教育委員会は、市指定文化財の指定をしたときは、当該市指定文化財の管理に関して必要な標識、説明板、境界標、囲さくその他の施設を設置するものとする。

(審議会の設置)

第19条 教育委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関し必要な調査及び審議を行うため、宇城市文化財保護審議会を置く。

2 宇城市文化財保護審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に条例で定める。

(委任)

第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会が別に定める。

(罰則)

第21条 市指定文化財を損壊し、廃棄し、又は隠ぺいした者は、5万円以下の罰金又は科料に処する。

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産の管理に関して、前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、前項の罰金刑を科する。

(施行期日)

1 この条例は、平成17年1月15日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の三角町文化財保護条例(昭和47年三角町条例第18号)、不知火町文化財保護条例(昭和48年不知火町条例第21号)、松橋町文化財保護条例(昭和34年松橋町条例第6号)、小川町文化財保護条例(昭和35年小川町条例第9号)又は豊野町文化財保護条例(昭和51年豊野町条例第16号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。

宇城市文化財保護条例

平成17年1月15日 条例第106号

(平成17年1月15日施行)