○宇城市男女共同参画推進条例〔人権啓発課〕
平成19年9月27日
条例第36号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 男女共同参画社会の形成に関する施策の推進(第10条―第20条)
第3章 宇城市男女共同参画審議会(第21条―第27条)
第4章 雑則(第28条)
附則
【前文】
男女が互いに人権を尊重しつつ責任も分かち合い、個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、21世紀のわが国社会を決定する最重要課題とされている。
本市においては、男女共同参画を市行政の重要施策と位置付け、パートナーシップをテーマとした啓発事業や行動計画策定などさまざまな取組を進めてきた。しかしながら、男女の固定的な性別役割分担の意識は依然として存在しており、本市が目指す将来都市像「未来に輝くフロンティアシティ・宇城」の実現には、まだ多くの課題が残されている。
このような状況にかんがみ、本市が将来にわたり発展していくためには、市民一人一人が男女共同参画社会の必要性を十分に理解し、家庭、職場、学校、地域など、社会のあらゆる分野において男女共同参画をさらに進めていくことが必要である。
そこで、男女共同参画社会基本法の理念に基づき、“女と男で築く、やさしく住みよいまちづくり”を総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画社会の形成に関する基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、市の男女共同参画社会の形成の促進に関する施策について基本的事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(1) 男女共同参画社会の形成 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成することをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 市民 国籍を問わず、市内に居住し、又は市内に通勤若しくは通学するすべての者をいう。
(4) 事業者 営利又は非営利を問わず、市内において事業活動を行うすべての個人及び法人その他の団体をいう。
(5) セクシュアル・ハラスメント あらゆる場において、性的な言動により相手を不快にし、個人の生活環境を侵害する行為又はその行為を受けた個人の対応により当該個人に不利益を与える行為をいう。
(6) ドメスティック・バイオレンス 配偶者、恋人その他の親密な関係にある、又はあった者に対して、身体的、精神的、経済的又は社会的等の苦痛を与える暴力的行為をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画社会の形成は、次の各号に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき促進されなければならない。
(1) 男女の人権の尊重 男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること及びその他の男女の人権が尊重されること。
(2) 社会における制度又は慣行についての配慮 社会における制度又は慣行について、男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響が中立的に働くよう配慮されること。
(3) 政策等の立案及び決定への共同参画 男女が社会の対等な構成員として、市における政策又は事業者における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
(4) 家庭生活における活動と他の活動の両立 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、家事、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、地域及び職場における活動その他の活動を行うことができるようにすること。
(5) 生涯を通じた健康への配慮 男女が対等な関係の下に、互いの性について理解を深めることにより、妊娠、出産その他の性と生殖に関してお互いの意思が尊重され、かつ、生涯にわたって心身ともに健康な生活が営まれるよう配慮されること。
(6) 国際的協調 男女共同参画社会の形成の促進が国際社会における取組と密接な関係を有していることをかんがみ、国際的な協調の下に行われること。
(7) 市、市民及び事業者の協働 男女共同参画社会の形成は、市、市民及び事業者の主体的な取組及び相互の連携協力により促進されることを旨として、これらの者の協働により行われること。
(実現すべき姿)
第4条 市、市民及び事業者は、男女共同参画社会の形成に当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる実現すべき姿の達成に努めるものとする。
(1) 家庭において実現すべき姿
ア 家事、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動が、家族を構成する男女相互の協力と社会の支援の下に行われ、職場や地域など社会における活動と両立できる家庭
イ 男女の生涯にわたる健康が保持及び増進され、安心かつ安全な暮らしが営まれる家庭
ウ 家庭内のあらゆる暴力行為がなく、家族がお互いの人権を尊重し合う家庭
(2) 職場において実現すべき姿
ア 採用、配置、賃金、昇進等における男女格差が解消され、個人の能力、個性、意欲等が十分に発揮できる職場
イ 男女が共に育児、介護等に係る休業や休暇を安心して取得でき、ゆとりをもって家庭生活と職業生活が両立できる職場
ウ セクシュアル・ハラスメントがなく、安心して働ける職場
(3) 学校において実現すべき姿
ア 一人一人の個性、能力及び可能性を伸ばす教育が推進され、進学や就職に関し性別にとらわれることなく、多様な選択ができるような進路指導が行われる学校
イ 人権を尊重し、男女が互いを思いやる心を育む教育が推進される学校
ウ 教職員等の研修が実施され、男女共同参画社会の形成が促進される学校
エ 保育所、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校等の異校種間での連携を図りながら、男女平等教育が推進される学校
(4) 地域社会において実現すべき姿
ア 性別による固定的な役割分担意識や慣行等が必要に応じて見直され、男女が共に意思決定に参画できる地域社会
イ 男女がそれぞれの能力を発揮しながら対等な立場で地域活動に参画し、共に責任を果たすことにより、心豊かに安心して暮らせる地域社会
(市の責務)
第5条 市は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、計画的に実施しなければならない。
(市民の責務)
第6条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、自ら進んで男女共同参画社会の形成の促進を図り、市が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に積極的に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第7条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に努め、男女が対等に事業活動に参画する機会を確保するとともに、その事業に従事する者の職業生活における活動と家庭生活における活動その他の活動の両立ができるよう職場環境の整備に努めなければならない。
2 事業者は、市が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に積極的に協力するよう努めなければならない。
(男女共同参画社会の形成を阻害する行為の禁止)
第8条 何人も、性別を理由とした差別的な行為を行ってはならない。
2 何人も、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
3 何人も、ドメスティック・バイオレンスを行ってはならない。
(公衆に表示する情報における表現への配慮)
第9条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担又は女性に対する暴力等を助長し、又は連想させる表現及び過度の性的な表現を行わないよう配慮しなければならない。
第2章 男女共同参画社会の形成に関する施策の推進
(男女共同参画計画の策定等)
第10条 市長は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を定め、これを公表しなければならない。
2 市長は、男女共同参画計画を定めるときは、市民の意見を反映させるための措置を講ずるとともに、宇城市男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない。
3 前2項の規定は、男女共同参画計画の変更について準用する。
(市民及び事業者の理解を深めるための措置)
第11条 市は、広報活動を通じて、基本理念に関する市民及び事業者の理解を深めるよう適切な措置を講ずるものとする。
2 市は、学校教育及び社会教育を通じて基本理念に関する市民の理解を深めるよう、男女共同参画に関する教育及び学習の充実のための適切な措置を講ずるものとする。
(家庭生活と職業生活等の両立の促進)
第12条 市は、男女が共に家庭生活と職業生活等とを両立することができるよう、保育及び介護に関するサービスの充実、職場における環境づくりの促進等のための適切な措置を講ずるものとする。
(商工業、農林水産業等における男女共同参画社会の形成の促進)
第13条 市は、商工業、農林水産業等の自営業において、男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって、その経営又はこれらに関する活動若しくは地域における活動に共同して参画する機会を確保するため、活動の支援、条件の整備等必要な措置を講ずるものとする。
(市の附属機関等における積極的改善措置)
第14条 市は、審議会等を設置するに当たっては、委員の数が男女のいずれかに偏らないよう配慮し、男女が共に政策や方針の立案及び決定に参画できる機会を確保するよう努めるものとする。
2 市長その他の市の任命権者は、その職員の登用に当たっては、性別にかかわらず、その能力に応じ均等な機会を確保するよう努めるものとする。
(調査研究)
第15条 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の策定に必要な調査及び研究を行うものとする。
(推進体制の整備等)
第16条 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を推進するため、体制の整備を図るとともに、必要な法制上及び財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(拠点施設の設置)
第17条 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を実施する市民及び団体の活動を支援するための拠点施設の設置等必要な措置に努めるものとする。
(男女共同参画週間)
第18条 市は、市民及び事業者において広く男女共同参画社会の形成についての理解を深めるとともに、男女共同参画社会の形成に関する活動への積極的な参加を促進するため、宇城市男女共同参画週間(以下「男女共同参画週間」という。)を設けるものとする。
2 男女共同参画週間は、国の男女共同参画週間に合わせ6月23日から1週間とする。
3 市は、男女共同参画週間において、その趣旨にふさわしい事業を実施するものとする。
(苦情の処理等)
第19条 市民及び事業者は、市が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策又は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策について苦情又は相談があるときは、市長に申し出ることができる。
2 市長は、前項に規定する苦情又は相談の申出があった場合は、その処理のため必要があると認めるときは、宇城市男女共同参画審議会の意見を聴くものとする。
(年次報告)
第20条 市長は、男女共同参画社会の形成の状況及び男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況を明らかにするため、毎年度報告書を作成し、公表するものとする。
第3章 宇城市男女共同参画審議会
(設置)
第21条 男女共同参画社会の形成の促進に関する重要事項について調査審議するため、宇城市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(所掌事務)
第22条 審議会は、市長の諮問に応じて次に掲げる事項について調査審議し、市長に答申するとともに、市長に必要な意見を述べることができる。
(1) 第10条に規定する男女共同参画計画策定等に関する事項
(2) 第19条の苦情等の対応に関する事項
(3) 男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況に関する事項
(4) 前各号に掲げるもののほか、男女共同参画社会の形成の促進に関する重要事項
(組織等)
第23条 審議会は、委員15人以内で組織し、男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。
2 委員は、男女共同参画の推進に関し識見を有する者及びその他適当と認める者のうちから市長が委嘱する。
3 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。
4 委員が欠けた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第24条 審議会に会長及び副会長1人を置く。
2 会長及び副会長は、委員の互選により定める。
3 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(審議会)
第25条 審議会は、会長が招集する。
2 会長は、会議の議長となる。
3 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
4 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
5 前項の場合において、議長は、委員として議決に加わることができない。
(専門部会)
第26条 審議会は、必要に応じ、専門部会を置くことができる。
2 専門部会は、審議会の委員のうち会長が指名する者をもって組織する。
3 専門部会に部会長を置き、部会長は会長が指名する。
(庶務)
第27条 審議会の庶務は、総務部人権啓発課において処理する。
第4章 雑則
(委任)
第28条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成19年10月1日から施行する。