○宇城市認知症初期集中支援推進事業実施要綱〔高齢介護課〕

平成29年10月25日

告示第112号

(趣旨)

第1条 この要綱は、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の良い環境で暮らし続けられるために、認知症の者及びその家族に早期に関わる認知症初期集中支援チーム(以下「支援チーム」という。)を配置し、早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築する事業(以下「事業」という。)を実施することを目的とし、介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第115条の45第2項第6号に基づく認知症初期集中支援推進事業の実施に関し、必要な事項を定めるものとする。

(実施主体)

第2条 事業の実施主体は、宇城市とする。ただし、市長は、事業の全部又は一部を適切な事業運営が確保できると認められる法第115条の47及び介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第140条の67に定めるものに委託することができる。

2 受託者は、国又は県が定める様式に基づき、事業の実績報告を行うものとする。

3 受託者は、委託事業の着手前に現行の実施主体から引継ぎを受けて、業務開始までに必要な調整及び準備を行うものとする。ただし、新規事業の場合は、本市と業務開始に向けた調整及び協議を行うものとする。

4 受託者は、委託業務完了前に業務引継書を作成し、本市及び新たな受託者に対し、全ての業務について円滑に引継ぎを行うものとする。この場合において、引継ぎ資料、本事業の実施に当たり作成した手順書、ツール等は電子データにまとめ、本市へ提出しなければならない。

(訪問支援対象者)

第3条 事業における支援の対象者(以下「訪問支援対象者」という。)は、宇城市内に在住する在宅で生活する40歳以上の認知症の者又は認知症が疑われる者であって、次のいずれかに該当するものとする。

(1) 医療サービス又は介護サービスを受けていない者又は中断している者で次のいずれかに該当するもの

 認知症疾患の臨床診断を受けていない者

 継続的な医療サービスを受けていない者

 適切な介護サービスに結び付いていない者

 介護サービスが中断している者

(2) 医療サービス又は介護サービスを受けているが、認知症の行動及び心理症状が顕著なため、家族等が対応に苦慮している者

(事業内容)

第4条 事業の内容は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定めるとおりとする。

(1) 支援チームに関する普及啓発 各地域の実情に応じて地域住民や関係機関・団体に対し、支援チームの役割及び機能について広報活動又は協力依頼を行うこと。

(2) 訪問支援対象者の把握 支援チームが地域包括支援センター及び認知症疾患医療センター経由で訪問支援対象者に関する情報を入手できるように配慮し、チーム員が直接訪問支援対象者に関する情報を知り得た場合においても、地域包括支援センター及び認知症疾患医療センターと情報共有を図ること。

(3) 情報収集及び観察・評価 本人、家族等のあらかじめ協力の得られる人が訪問時に同席できるよう調整を行い、本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等の情報収集を行うこと、及び信頼性・妥当性の検証がされた観察・評価票を用いて、認知症の包括的観察・評価を行うこと。

(4) 初回訪問時の支援 初回訪問時に、認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報提供、専門的医療機関への受診、介護保険サービスの利用の効果に関する説明及び訪問支援対象者並びにその家族に対して心理的サポート、助言等を行うこと(おおむね2時間以内)

(5) 専門医を含めたチーム員会議の開催 初回訪問後、訪問支援対象者毎に観察・評価内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、専門医も含めたチーム員会議を行い、必要に応じて、訪問支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、市関係課職員等の参加を依頼すること。

(6) 初期集中支援の実施 医療機関への受診が必要な場合の訪問支援対象者への動機付け、継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨・誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境の改善等の支援を行うこと(訪問支援対象者が医療サービス又は介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし、6箇月以内とする。)

(7) 引き継ぎ後のモニタリング 初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、認知症疾患医療センター、又は地域包括支援センターの職員、担当介護支援専門員等と円滑に引き継ぎを行い、チーム員会議において、引き継ぎの2箇月後に、サービスの利用状況等を評価し、必要性を判断の上、随時モニタリングを行うこと。この場合において、訪問支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した書類は5年間保管すること。

(8) 支援実施中の情報の共有 訪問支援対象者の情報を地域包括支援センター等の関係機関が把握した場合において、認知症初期集中支援チーム及び認知症疾患医療センターに情報を提供して情報共有を図ること。

(実施体制)

第5条 支援チームは、実施主体に配置することとし、県が指定した認知症疾患医療センターを含む認知症専門医の指導の下、複数の専門職が家族の訴え等により訪問支援対象者及びその家族の初期の支援を包括的及び集中的に行うことにより、自立生活のサポートを行うものとする。

2 支援チームは、地域包括支援センター職員、市保健師、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、認知症サポート医、認知症に係る専門的な知識・技能を有する医師、認知症疾患医療センター職員又は介護事業者との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保する。

(支援チームの構成)

第6条 支援チームは、次の要件を満たす専門職2人以上及び専門医1人以上による3人以上の支援チーム員(以下「チーム員」という。)で構成する。

(1) 専門職 次のいずれにも該当する者とする。

 医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、栄養士、精神保健福祉士、介護支援専門員又はこれらに準ずる者であり、かつ、認知症の医療や介護における専門的知識及び経験を有すると市が認めたもの

 認知症ケア又は在宅ケアの実務、相談業務等に3年以上携わった経験がある者

 国が定める認知症初期集中支援チーム員研修を受講し、試験に合格した者(以下「研修受講者」という。)ただし、研修受講者であるチーム員と当該研修の受講内容を支援チーム内で共有する者の支援チームへの参加も可能とする。

(2) 専門医 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかであって、かつ、国が定める認知症サポート医養成研修(以下「認知症サポート医研修」という。)を受講した医師(以下「認知症サポート医」という。)とする。ただし、専門医の確保が困難な場合は、当分の間、次のいずれかに該当する医師とする。

 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかであって、かつ、今後5年間において認知症サポート医研修を受講する予定のある者

 認知症サポート医であって、認知症疾患の診断及び治療に5年以上従事した経験を有し、かつ、認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている者

(支援チーム員の役割)

第7条 次の各号に掲げるチーム員の役割は、当該各号に定めるとおりとする。

(1) 専門職 目的を果たすために訪問支援対象者の認知症の包括的観察・評価に基づく初期集中支援を行うために訪問活動等を行う。この場合において、初回の観察・評価の訪問は医療系職員及び介護系職員それぞれ1人以上の計2人以上で訪問するものとする。

(2) 専門医 他のチーム員をバックアップし、認知症に関して専門的見識から他のチーム員に指導、助言等を行い、必要に応じて他のチーム員とともに訪問支援対象者等を訪問し、相談に応じるものとする。

(遵守事項)

第8条 遵守事項は、次のとおりとする。

(1) 事業に関わる者は、その業務を行うに当たっては、関係法令、条例、規則、その他の規定を遵守すること。

(2) 事業に携わる者は、職務上知り得た秘密を他に漏らさないこと(その職を退いた後も、同様)

(3) 実施主体は、認知症地域支援・ケア向上事業を実施する場合においては、認知症地域支援推進員等と支援チームが効率的かつ有機的に連携できるように調整を行い、定期的な情報交換ができるような環境をつくるように努めること。

(4) 実施主体は、地元医師会、認知症疾患医療センターその他の認知症に関する専門的な医療を提供する医療機関、認知症専門医、認知症サポート医等との連携に努めること。

(5) この事業の実施区域外の情報提供を得た場合においても、当該訪問支援対象者が居住する日常生活圏域を担当する地域包括支援センター及び認知症疾患医療センターに情報を提供する等の連携を図ること。

(6) 実施主体は、本事業に係る経理と他の事業に係る経理を明確に区分すること。

(7) 実施主体は、本事業の実施に当たって、「認知症初期集中支援チーム員研修テキスト」(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)を参考にすること。

この告示は、告示の日から施行する。

宇城市認知症初期集中支援推進事業実施要綱

平成29年10月25日 告示第112号

(平成29年10月25日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第3節 高齢者福祉
沿革情報
平成29年10月25日 告示第112号