○雲南市環境基本条例

平成31年3月22日

条例第8号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

第1節 施策の基本方針等(第8条―第11条)

第2節 環境の保全及び創造に関する施策(第12条―第22条)

第3章 雲南市環境審議会(第23条―第30条)

附則

広島県境に位置する雲南市最高峰、毛無山けなしやまの頂に立つと、はるか遠くに宍道湖、島根半島、日本海を見渡すことができる。眼下の緑なす山々では、龍頭りゅうず八重やえ名瀑めいばく渓谷けいこくを刻み、桜咲く川辺から、コウノトリの親子が青空高く飛び立つ。そして初夏は新月のよい、無数の蛍が小さな光の帯をつくり、交わる。千メートルを超える標高差は、彩りあふれる四季の移ろいと豊かな大地をはぐくみ、ヤマタノオロチ神話や銅鐸どうたく、たたらの誕生をいざなった。生命いのちと神話が息づく雲南市を象徴するこれらは、古来先人たちが自然と共に生き、そして自然を受け入れ、プラチナのように輝きながら暮らしてきたことで誕生したものであり、このまちの財産である。

しかしながら、私たちは、豊かさや便利さを得た反面、資源やエネルギーの大量消費や多量の廃棄物の排出によって、身近な環境のみならず、地球全体に負荷をかけてきたことも事実である。また、平成23年の東日本大震災に伴う原子力発電所からの放射能汚染は、取り返しのつかない深刻な爪痕つめあとをも残した。

雲南市は、世界平和を訴え続けた故永井隆ながいたかし博士の生い立ちの地であり、博士の「如己愛人にょこあいじん」の精神に学び、「『平和を』の都市宣言」を行ったまちである。この自覚と誇りを胸に、原子力発電所事故の経験を踏まえ、私たちは安全な暮らしに結び付く、再生可能エネルギーの普及を図ることで、将来的に、原子力に頼らない社会の実現を目指す。

これは、資源の効率的利用や廃棄物削減などの地道な取組とともに、地球規模で起きる極端な気候変動を抑制し、大規模自然災害からの回避にもつながる。そして、全ての人同士が平和に、そして、快適に、この星で住み続けることにも結び付くものと確信する。

森で生まれたひとしずくは、大河を経て海に流れ、やがて雲となって再び森に雨を降らせる。私たちはこの生命の循環システムを改めて認識するとともに、人と自然が共生できる、地球に優しい雲南市を実現することを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、雲南市における環境の保全と創造に関する基本理念及びこれに基づく施策の基本的事項を定めるとともに、当該施策の総合的かつ計画的な推進により、現在及び将来にわたって、市民が健康で文化的な生活を営むことができる快適な環境を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境の保全と創造 良好な環境の維持によって、公害その他人の健康や生活環境に係る被害の防止を図るとともに、積極的に良好な環境を創り出すことをいう。

(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(3) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化、オゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に対する環境の保全であって、人類の福祉の向上に貢献するとともに、市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(4) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。

(5) 再生可能エネルギー エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律施行令(平成21年政令第222号)第4条に規定する太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、バイオマスその他エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものをいう。

(6) 循環型社会 廃棄物を抑制するとともに、廃棄物のうち、有用なものをできる限り資源として使用し、かつ、適正な廃棄物処理により、天然資源の消費が節減され、環境への負荷ができる限り低減される社会をいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全と創造(以下「環境の保全等」という。)は、市民が安全かつ健康で文化的な生活を営む上で必要とする良好な環境を確保するとともに、これを将来の世代へ引き継いでいくことを目的として行わなければならない。

2 環境の保全等は、人と自然との共生を図るとともに、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な循環型社会の構築を目指し、市、市民及び事業者がそれぞれの責務に応じた役割分担の下に積極的に行わなければならない。

3 地球環境の保全は、現在及び将来にわたって、市民が健康で文化的な生活を営むことができる快適な環境を確保する上で極めて重要であるとともに、人類共通の願いでもあることを認識し、地域での取組とともに、国際的協力の下、積極的に推進しなければならない。

(市の責務及び役割)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全等に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施するものとする。

2 市は、市民及び事業者の自主的な環境の保全等に関する取組を支援するとともに、これに協力するものとする。

3 市は、自らの施策の実施に伴う環境への負荷の低減に積極的に努めなければならない。

(市民の責務及び役割)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、その日常生活において、資源及びエネルギーの節約や廃棄物の発生抑制等により、環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 市民は、環境の保全等に自ら積極的に取り組むとともに、環境施策並びに市及び事業者が実施する環境の保全等に関する活動に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務及び役割)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、自らの責任において、事業活動に伴って生じる公害を防止するとともに、環境を適正に保全するために必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、基本理念にのっとり、事業活動において、資源の循環的利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の発生及び排出の抑制等を推進するとともに、製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷を低減するよう努めなければならない。

3 事業者は、環境の保全等に自ら積極的に取り組むとともに、環境施策並びに市及び市民が実施する環境の保全等に関する活動に協力するよう努めなければならない。

(市、市民及び事業者の協働)

第7条 市、市民及び事業者は、前3条に規定するそれぞれの責務を果たすため、協働して環境の保全等に関する施策及び環境活動を推進するよう努めなければならない。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

第1節 施策の基本方針等

(施策の基本方針)

第8条 市は、基本理念に沿い、次に定める事項を基本方針として、環境の保全等に関する施策を、総合的かつ計画的に策定し、実施するものとする。

(1) 人の健康を保護し、生活環境及び自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素を良好な状態に保持すること。

(2) 豊かな自然の恵みを享受し、人と自然が共生する環境を実現するため、野生生物の種の保存その他生物の多様性の確保を図るとともに、森林、水辺、農地等における多様な自然環境を適正に保全すること。

(3) 安心ややすらぎが感じられ、心豊かに暮らすことのできる地域環境を創造するため、緑や水系など、自然と調和した魅力ある景観形成を推進するとともに、自然災害に強いまちづくりの推進に努めること。

(4) 廃棄物の減量、資源及びエネルギーの消費の抑制並びに再生可能エネルギーの導入促進等、資源の循環的な利用が徹底される施策の推進に努めること。

(5) 地球環境の保全に資する施策の推進に努めること。

(環境基本計画)

第9条 市長は、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、雲南市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、前条に規定する施策の基本方針に沿い、環境の保全等に関する施策の基本的事項及び基礎調査をはじめ、基本方針、取組施策、推進体制等について定めるものとする。

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民及び事業者の参画又は協力が得られるよう、必要な措置を講じなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、雲南市環境審議会の意見を聴かなければならない。

5 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。

6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(環境基本計画との整合)

第10条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、実施するに当たっては、環境基本計画との整合性を確保するとともに、環境の保全等について十分配慮しなければならない。

(年次報告)

第11条 市長は、環境の状況、環境基本計画に基づき実施された施策の状況等について、毎年度環境に関する報告書を作成し、これを公表するものとする。

第2節 環境の保全及び創造に関する施策

(環境影響評価の推進)

第12条 市は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業が環境に与える影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果により、その事業に係る環境の保全等について適正に配慮することを推進するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(規制の措置)

第13条 市は、環境の保全上の支障を防止するため、次に掲げる行為について必要な規制の措置を講ずるものとする。

(1) 公害の原因となる行為

(2) 自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為

2 前項各号に掲げるもののほか、市は、人の健康又は生活環境に支障を及ぼすおそれがある行為について必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。

(財政上の措置)

第14条 市は、環境の保全等に関する施策の推進のため、必要かつ適正な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(資源の循環的な利用の推進)

第15条 市は、資源の節減及び循環的な利用、エネルギーの節減及び有効的利用並びに廃棄物の減量の促進を図るために必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、再生資源その他環境の負荷の低減に資する製品、原材料、役務等の利用の促進を図るために必要な措置を講ずるものとする。

(地球環境の保全に関する国際協力の推進)

第16条 市、市民及び事業者は、地球全体の温暖化の防止、オゾン層の保護、プラスチックの排出抑制等の推進を図り、地球環境の保全に努めるものとする。

2 市は、再生可能エネルギーの導入に関する施策等を積極的に推進するとともに、国、他の地方公共団体、民間団体その他の関係機関と連携し、地球環境の保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。

(環境の保全等に関する教育及び学習等)

第17条 市は、市民及び事業者が環境全般についての関心と理解を深め、環境に配慮した活動をすることができるように、環境の保全等についての教育及び学習並びに広報活動を推進するものとする。

(環境の保全活動に関する支援等)

第18条 市は、市民で組織する団体及び事業者が環境への負荷を低減するために行う自主的な活動について、支援その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(情報の収集及び提供)

第19条 市は、環境の保全等に関する活動を推進するために情報を収集し、市民、事業者等に提供するよう努めるものとする。

(監視体制の整備)

第20条 市は、環境の状況を把握し、環境施策を適正に実施するため、必要な監視、測定、調査等の体制に努めるものとする。

(環境の保全等に関する施策を推進するための体制)

第21条 市は、環境の保全等に関する施策について総合的な調整を行い、計画的に推進するために必要な体制の整備に努めるものとする。

(雲南市環境会議)

第22条 市は、市民及び事業者が積極的に環境の保全等の活動をするための組織として、雲南市環境会議(以下「環境会議」という。)を置くことができる。

2 環境会議は、環境の保全等に関する施策等について、市長に意見を述べることができる。

3 市は、環境会議に対して、環境の保全等に関する活動を推進するために支援その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第3章 雲南市環境審議会

(設置)

第23条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、市長の附属機関として雲南市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事務)

第24条 審議会は、市長の諮問に応じ、自然環境及び生活環境の保全を図り、もって市民が健全なる心身を保持するための施策又は基本的事項について調査審議する。

(組織)

第25条 審議会の委員は、12人以内とし、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。

(1) 雲南市の区域を所管する島根県の行政機関の職員

(2) 公共的団体の役員又は職員

(3) 学識経験のある者

(4) その他市長が適当と認める者

(委員の任期)

第26条 委員の任期は、3年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会長)

第27条 審議会に会長を置き、委員のうちから互選によりこれを定める。

2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

3 会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する。

(会議)

第28条 審議会の会議は、会長が招集し、会長がその議長となる。

2 審議会の会議は、委員の2分の1以上が出席しなければ開くことができない。

3 審議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

4 審議会は、必要と認めるときは、諮問された事項に関係する者の出席を求め、意見を聴くことができる。

(庶務)

第29条 審議会の庶務は、市民環境部環境政策課において処理する。

(委任)

第30条 この条例に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、規則で定める。

附 則

(施行期日)

1 この条例は、平成31年6月5日から施行する。

(雲南市環境審議会条例の廃止)

2 雲南市環境審議会条例(平成16年雲南市条例第196号)は、廃止する。

(雲南市環境審議会の委員に関する経過措置)

3 この条例の施行の際現に前項の規定による廃止前の雲南市環境審議会条例第3条の規定により同条例に規定する雲南市環境審議会(以下「旧審議会」という。)の委員として委嘱されている者は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)第25条の規定によりこの条例に規定する雲南市環境審議会(以下「新審議会」という。)の委員として委嘱されたものとみなす。この場合において、その委嘱されたものとみなされる者の任期は、第26条の規定にかかわらず、施行日における旧審議会の委員としての任期の残任期間と同一の期間とする。

4 この条例の施行の際に旧審議会の会長である者は、施行日に、新審議会の会長として互選されたものとみなす。

雲南市環境基本条例

平成31年3月22日 条例第8号

(令和元年6月5日施行)

体系情報
第8編 生/第4章 生/第2節 環境衛生
沿革情報
平成31年3月22日 条例第8号