○魚津市子どもの権利条例
平成18年3月20日
条例第3号
魚津市子どもの権利条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 人間として大切な子どもの権利(第7条―第11条)
第3章 基本となる施策(第12条―第18条)
第4章 推進に向けて(第19条・第20条)
第5章 雑則(第21条)
附則
(前文)
子どもは、それぞれが一人の人間で、かけがえのない存在であり、未来への希望です。子どもも大人もいのちを大切に生きる仲間です。
子どもは、愛情をもって育てられたいと願っています。
小さな子どもも意志や考えを持っており、子どもの権利は尊重されるべきものです。
子どもは、まず生きること、最善の利益が確保されること、差別されないこと、自分の意見をはっきり言うことができることなどの国際的な原則の下で、その権利が尊重されています。
子どもは社会的に未熟な存在です。そのため、大人は、子どもが権利について知り、年齢に応じて正しく学習する機会を得ることができるよう導くことが必要です。
子どもは、権利について学習し、自分を大切にし始めるとき、他人を大切にする気持ちと責任を持つことができるようになります。また、自分の権利が尊重されることにより、同じように相手の権利を尊重するようになります。
子どもは、それぞれに思いがあります。大人は、子どもが豊かな子ども時代を過ごせるよう、自分らしくすこやかな成長を果たせるよう、また、安全に安心して暮らせるよう導くことが必要です。
子どもは、その権利が尊重される中で、魚津市を共につくっていく仲間としてまちづくりに参加することができます。
ここに魚津市は、平成元年に国際連合総会で採択された「児童の権利に関する条約」の精神に基づき、子どもの権利を尊重するまちであることを明らかにし、魚津市子どもの権利条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、子どもが人間として生きるために大切な権利、その権利に係る基本となる市の施策を定めることにより、子どもの権利を尊重し、子どもの権利を保障することを推し進め、子どもの最善の利益を確保することを目的とします。
(1) 子ども 18歳になっていないすべての者をいいます。
(2) 子ども施設 児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する児童福祉施設、学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校等の施設その他子どもが育ち、学ぶために入り、通い、利用する施設をいいます。
(市の務め)
第3条 市は、子どもの権利を尊重し、あらゆる施策を通じて子どもの権利の保障に努めます。
2 市は、子どもの権利について市民の理解を深めるため広報活動に努めます。
(保護者の務め)
第4条 保護者は、その養育する子どもに対して第一番に責任及び義務があることを自覚し、子どもの権利の保障に努めます。
(市民の務め)
第5条 市民は、子どもの権利を尊重し、子どもにかかわる場や機会において子どもの権利の保障に努めます。
(子ども施設関係者の務め)
第6条 子ども施設の設置者、管理者、職員(以下「子ども施設関係者」といいます。)は、子ども施設において子どもの権利の保障に努めます。
第2章 人間として大切な子どもの権利
(大切な子どもの権利)
第7条 この章に規定する権利は、人間として生きるために特に大切な権利として尊重され守られなければなりません。そのために、子どもは適切な支援を受けることができます。ただし、自分の権利と同じように、他人の権利を大切に守る責任を持つことが必要です。
(安心して生きる権利)
第8条 子どもは、安全に安心して生きるために、主として次に掲げる権利が保障されます。
(1) いのちが守られ、尊重されること。
(2) 愛情と理解をもって育まれること。
(3) 差別を受けないこと。
(4) 虐待及び体罰を受けず、放置されないこと。
(5) いじめを受けないこと。
(6) 健康であり続け、適切な医療が受けられること。
(7) 平和と安全な環境の下で生活できること。
(よりよく育つ権利)
第9条 子どもは、社会の中で一人の人間としてよりよく育つために、主として次に掲げる権利が保障されます。
(1) 個性や自分らしさが認められること。
(2) 学び、遊ぶこと。
(3) 自分に関することを年齢に応じて決めること。
(4) ゆとりとやすらぎの時間、場所をもつこと。
(5) 成長に必要な情報を得ること。
(守り、守られる権利)
第10条 子どもは、自分を守り、守られるために、主として次に掲げる権利が保障されます。
(1) あらゆる権利の侵害から逃れられること。
(2) 自分が育つことを妨げる状況から守られること。
(3) 秘密が守られ、誇りを傷つけられないこと。
(4) 障害のある子どもが、自信を持ち、積極的に社会参加ができるように図られること。
(5) 子どもであることをもって不当な扱いを受けないこと。
(社会へ参加する権利)
第11条 子どもは、社会へ参加するために、主として次に掲げる権利が保障されます。
(1) 自分の意見をはっきり言うことができ、それが尊重されること。
(2) 自分を自由に表現すること。ただし、他人の権利を侵害しない場合や社会の決まりに反しない場合に限られます。
(3) 仲間をつくり、集うこと。
(4) 社会参加に際し、適切な支援が受けられること。
第3章 基本となる施策
(推進計画)
第12条 市長は、子どもの権利に関する施策を総合的かつ計画的に推し進めるため、魚津市子どもの権利に関する推進計画(以下「推進計画」といいます。)を策定します。
(生育環境の保全)
第13条 市は、子どもが自ら育ち、遊び、学べる環境の整備や自然環境の保全に努めます。
2 市は、地域が子どもにとって、安全で安心して過ごせる場となるように努めます。
3 市は、子どもが個性をのばし、人間性を豊かにするための体験や活動について必要な支援に努めます。
(虐待及び体罰の防止)
第14条 市は、虐待防止ネットワークの連携を強化し、子ども施設関係者や地域の人たちによる虐待及び体罰の早期発見に努めるとともに、虐待及び体罰の防止、虐待及び体罰を受けた子どもの心のケアなど適切な支援に努めます。
(いじめへの対応)
第15条 市は、いじめを防止するため、すべての市民に必要な理解が広まるよう努めるとともに、いじめがあったときは速やかに解決するため、保護者、子ども施設関係者や地域の人たちと連絡をとり、協力しながらその支援に努めます。
(子育て支援)
第16条 市は、保護者が子どもを育てるにあたり、必要に応じて経済的な支援または社会的な支援に努めます。
(子どもの社会参加)
第17条 市は、保護者、市民及び子ども施設関係者とともに、子どもの社会参加の機会の確保に努めます。
2 市は、子どもの意見を聴くために子ども会議を開催します。
3 市は、子ども会議が自主的かつ自発的に運営されるよう支援し、子どもの総意としてまとめられた意見を尊重し、その実現に努めます。
(相談と救済)
第18条 市は、子どもの権利侵害に対する子ども自身からの相談や保護者からの子どもについての相談に対し、速やかで適切な救済を組織的に行うよう努めます。
第4章 推進に向けて
(子どもの権利委員会)
第19条 市は、子どもの権利に関する施策の充実を図り、子どもの権利を保障することを推し進めるため、魚津市子どもの権利委員会(以下「権利委員会」といいます。)を置きます。
2 権利委員会は、第12条第2項に定めるもののほか、市長その他の執行機関(以下「市長等」といいます。)からの相談を受けて、また、必要があるときは自らの判断で、子どもの権利の保障状況について調査し、必要に応じ審議をします。
3 権利委員会の組織及び運営に関し必要な事柄は、規則で定めます。
(提言やその措置)
第20条 権利委員会は、前条第2項の調査や審議の結果を市長等に報告し、提言します。
2 市は、権利委員会からの提言を尊重し、必要な措置をとります。
第5章 雑則
(委任)
第21条 この条例の施行に関し必要な事柄は、市長等が定めます。
附則
この条例は、平成18年4月1日から施行します。