○大阪府立大学動物実験規程

平成31年4月1日

規程第353号

第1章 総則

(趣旨等)

第1条 この規程は、大阪府立大学(以下「本学」という。)における動物実験等を、科学的、動物愛護及び環境保全の観点並びに動物実験等を行う教職員及び学生等の安全確保の観点から適正に行うため、必要な事項を定めるものとする。

2 動物実験等に関しては、「動物の愛護及び管理に関する法律」(昭和48年10月1日法律第105号。以下「法」という。)、「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」(平成18年文部科学省告示第71号。以下「文科省基本指針」という。)、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」(平成18年4月環境省告示88号。以下「飼養保管基準」という。)及び日本学術会議が定める「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)その他関係法令等(以下「法令等」という。)に定めがあるもののほか、この規程の定めるところによる。

3 動物実験等の実施に当たっては、法令等に即し、動物実験等の原則である代替法の利用、使用数の削減及び苦痛の軽減を図り、適正に実施しなければならない。

(定義)

第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 「動物実験等」とは、動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供することをいう。

(2) 「飼養保管施設」とは、実験動物を恒常的に飼養若しくは保管又は動物実験等を行う施設・設備をいう。

(3) 「飼養保管室」とは、実験動物を恒常的に飼養若しくは保管又は動物実験等を行う部屋・区画であって、飼養保管施設を除くものをいう。

(4) 「実験室」とは、実験動物に実験操作(実験操作のため実験動物を24時間以内において、一時的に保管する場合を含む)を行う動物実験室をいう。

(5) 「施設等」とは、飼養保管施設、飼養保管室及び実験室をいう。

(6) 「実験動物」とは、動物実験等の利用に供するため、施設等で飼養し、又は保管している哺乳類、鳥類又は爬虫類に属する動物(施設等に導入するために輸送中のものを含む。)をいう。

(7) 「動物実験計画」とは、動物実験等の実施に関して事前に立案する計画をいう。

(8) 「部局」とは、各学域、各学部、各研究科、高等教育推進機構及び研究推進機構をいう。

(9) 「管理者」とは、施設等及び実験動物を管理する部局の長をいう。

(10) 「実験動物管理者」とは、管理者の指名により、管理者を補佐し、実験動物に関する知識及び経験を有する者で、実験動物及び飼養保管施設又は飼養保管室(以下「飼養保管施設等」という。)の管理を担当する者をいう。

(11) 「動物実験実施者」とは、動物実験等を実施する者をいう。

(12) 「動物実験責任者」とは、動物実験実施者のうち、個々の実験計画の策定及び実施について統括する者をいう。

(13) 「飼養者」とは、実験動物管理者又は動物実験責任者の下で、実験動物の飼養又は保管に従事する者をいう。

(14) 「指針等」とは、文科省基本指針、飼育保管基準及びガイドラインをいう。

(15) 「管理者等」とは、学長、管理者、実験動物管理者、実験動物実施者及び飼養者をいう。

2 前項に規定するもののほか、この規程で使用する用語は、法令等で使用する用語の例による。

(適用範囲)

第3条 この規程は、本学において実施されるすべての動物実験等に適用される。

(学長の責務)

第4条 学長は、本学における動物実験等の実施に関し総括する。

(管理者の責務)

第5条 管理者は、当該部局における動物実験等の適正な実施に関し総括する。

第2章 動物実験委員会

(動物実験委員会)

第6条 本学に、次の各号に掲げる事項を審議するため、動物実験委員会(以下「委員会」という。)を置く。

(1) 部局が承認した実験計画並びに当該実験計画の実施状況及び結果の適正性に関すること。

(2) 部局が承認した施設等及び実験動物の飼養保管状況の適正性に関すること。

(3) 動物実験の実施に係る教育訓練に関すること。

(4) 動物実験の実施に係る自己点検・評価に関すること。

(5) その他動物実験等の適正な実施に関し必要なこと。

2 委員会は、前項のほか、必要に応じて第7条に規定する部局に置く委員会に対し、動物実験等の適正な実施に関し報告を求め、又は助言し、若しくは指導することができる。

3 委員会は、動物実験等又は実験動物に関して優れた識見並びに広い視野に立った判断が要求されることを十分に配慮し、次の各号に掲げる委員をもって構成するものとする。

(1) 第7条に規定する部局動物実験委員会の委員長又は実験動物管理者

(2) 部局から選任された動物実験等に関して優れた見識を有する者若干名

(3) 部局から選任された実験動物に関して優れた見識を有する者若干名

(4) その他学識経験を有する者若干名

(5) 前各号に掲げる者以外で委員会が必要と認めた者

4 委員会に委員長及び副委員長を置き、委員のうちから互選する。

5 委員長の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。また、委員長が任期中に辞任した場合の後任の任期は、前任者の残任期間とする。

6 委員長は、委員会を招集し、その議長となる。

7 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、その職務を代理する。

8 委員長が必要と認めたときは、委員以外の者を委員会に出席させ意見を聴取することができる。ただし、委員以外の者を議決に加えることはできない。

9 委員会の委員は、部局長の推薦により、学長が任命する。

10 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が任期中に辞任した場合の後任の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

11 前項の委員は、再任を妨げない。

12 委員会に関する事務は、研究推進課で行う。

13 前各号に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員会が別に定める。

(部局動物実験委員会等)

第7条 動物実験を行う部局に、動物実験の実施及び施設等の設置等の可否等の審査を行うため、別表第1のとおり、部局動物実験委員会(以下「部局委員会」という。)を置く。

2 部局委員会の運営に関し必要な事項は、当該部局委員会が定める。

3 本学における飼養保管施設の場所及び実験動物管理者は、別表第2のとおりとする。

第3章 動物実験等の実施

(動物実験計画の立案、申請、審査)

第8条 動物実験責任者は、法令等に即して、次の各号に掲げる事項を踏まえた動物実験計画を立案し、委員会が別に定める様式により、教育研究を主として担当する部局(以下「担当部局」という。)の部局委員会の審査の後、管理者を経て、学長に申請しなければならない。また、所属する部局以外の施設等を使用する場合は、あらかじめ使用する施設等の管理者の了承を得なければならない。

(1) 研究の目的、意義及び必要性に関すること。

(2) 代替法を考慮して、実験動物を適切に利用すること。

(3) 実験動物の使用数削減のため、動物実験等の目的に適した実験動物種の選定、動物実験成績の精度と再現性を左右する実験動物の数、遺伝学的及び微生物学的品質並びに飼養条件を考慮すること。

(4) 苦痛の軽減により動物実験等を適切に行うこと。

(5) 苦痛度の高い動物実験等(致死的な毒性実験、感染実験、放射線照射実験等)を行う場合は、動物実験等を計画する段階で人道的エンドポイント(実験動物を激しい苦痛から解放するための実験を打ち切るタイミング)の設定を検討すること。

(6) 動物実験に関連する各種委員会に提出した実験計画書等との整合を計ること。

2 学長は、前項の申請があったときは、委員会に諮ったうえで、その承認又は不承認を決定し、当該部局の管理者を経て、動物実験責任者に通知するものとする。

3 前項の承認の有効期間は、当該年度の3月31日までとする。ただし、実験責任者が当該年度の途中で退職するときは、退職の日までとする。

4 動物実験責任者は、学長の承認を得なければ、動物実験等を行うことができない。

5 学長は、第3項の規定により承認を与えた動物実験計画について、実験の実施状況及び結果に関する委員会の助言を受けて、実験の禁止又は中止を命じることができる。

6 動物実験責任者は、動物実験の実施を本学以外の機関に委託する場合は、委託先において動物実験が指針等に基づき適正に実施されることが確認できる書類を動物実験計画書に添付しなければならない。

(動物実験計画の変更)

第9条 動物実験責任者は、承認された動物実験計画を変更する場合は、委員会が別に定める様式により、担当部局の管理者を経て、学長に申請し、その承認を受けなければならない。ただし、変更の内容が次の各号に掲げる場合は、担当部局の管理者を経て、学長に届け出れば足りるものとする。

(1) 動物実験実施者の変更

(2) 実験動物の系統の変更

(3) 委員会が、審査を省略することが適当であると認めた変更

(動物実験等の実施)

第10条 動物実験実施者は、動物実験等の実施にあたっては、法令等に即するとともに、動物実験計画書に記載された事項及び次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 適切に維持管理された施設等において動物実験等を行うこと。

(2) 動物実験計画に係る所定の様式に記載された事項及び次のからまでに掲げる事項

 適切な麻酔薬、鎮痛薬等の利用

 実験の終了の時期(人道的エンドポイントを含む。)の配慮

 適切な術後管理

 適切な安楽死の選択

 安楽死の方法(具体的方法の例示)

(3) 安全管理に注意を払うべき実験(物理的又は化学的に危険な材料、病原体、遺伝子組換え生物等を用いる実験)については、法令等及び本学の諸規程等に従うこと。

(4) 物理的又は化学的に危険な材料若しくは病原体等を取扱う動物実験等については、安全のための適切な施設や設備を確保すること。

(5) 動物実験等の実施に先立ち必要な実験手技等の習得に努めること。

(6) 侵襲性の高い大規模な存命手術にあたっては、経験等を有する者の指導の下で行うこと。

(動物実験終了後の報告)

第11条 動物実験責任者は、動物実験が終了後、速やかに委員会が別に定める様式により、担当部局の管理者を経て、学長に報告しなければならない。

第4章 施設等

(施設等の申請)

第12条 実験動物管理者は、施設等を設置し又は変更しようとするときは、委員会が別に定める様式により、担当部局の管理者を経て、学長に申請しなければならない。

2 学長は、前項の申請があったときは、委員会に諮ったうえで、その承認又は不承認を決定し、当該部局の管理者を経て、実験動物管理者に通知するものとする。

3 実験動物管理者、動物実験責任者及び動物実験実施者は、学長の承認を得た飼養保管施設等でなければ、当該飼養保管施設内での実験動物の飼養及び保管又は動物実験等を行うことができない。

(飼養保管施設の要件)

第13条 飼養保管施設は、次の各号に掲げる要件を満たさなければならない。

(1) 適切な温度、湿度、換気及び明るさ等を保つことができる構造であること。

(2) 動物種、飼養数、保管数等に応じた飼育設備を有すること。

(3) 床、内壁等が清掃、消毒等が容易な構造で、器材の洗浄、消毒等を行うことができる衛生設備を有すること。

(4) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有すること。

(5) 臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること。

(6) 実験動物管理者が置かれていること。

(実験室の要件)

第14条 実験室は、次の各号に掲げる要件を満たさなければならない。

(1) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有し、実験動物が室内で逸走しても捕獲しやすい環境が維持されていること。

(2) 排泄物、血液等による汚染に対して、清掃及び消毒が容易な構造であること。

(3) 常に清潔な状態を保ち、臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること。

(施設等の維持管理及び改善)

第15条 管理者は、法令等に基づき、実験動物の適正な管理並びに動物実験等の遂行に必要な施設等の維持管理及び改善に努めなければならない。

(施設等の廃止)

第16条 実験動物管理者は、施設等を廃止するときは、委員会が別に定める様式により、学長に届け出なければならない。

2 実験動物管理者は、施設等を廃止するときは、必要に応じて、動物実験責任者と協力し、飼養保管中の実験動物を他の飼養保管施設に譲り渡すよう努めなければならない。

3 学長は、施設等を廃止するときは、必要に応じて委員会に調査させることができる。

第5章 実験動物の飼養及び保管

(実験動物の導入、飼養及び保管)

第17条 実験動物管理者は、実験動物の導入、健康管理等実験動物の飼養及び保管に関するマニュアル(以下「マニュアル」という。)を定め、動物実験実施者及び飼養者に周知しなければならない。

2 動物実験実施者及び飼養者は、マニュアルを遵守しなければならない。

3 動物実験責任者は、年度毎に飼養保管した実験動物の種類・数等について、委員会が別に定める様式により担当部局の管理者を経て、学長に報告しなければならない。

(記録の保存)

第18条 学長は、この規程で定める申請書類を、実験終了後5年間保存しなければならない。

2 動物実験責任者は、実験動物の入手先、飼育履歴、病歴等に関する記録を整備し、実験の終了後5年間保存しなければならない。ただし、牛、水牛、しか、めん羊及び山羊等にあっては8年間とする。

(譲渡の際の情報提供)

第19条 動物実験責任者は、実験動物の譲渡等にあたり、その特性、飼養及び保管の方法、感染症疾病等に関する情報を提供しなければならない。

(輸送)

第20条 管理者等は、実験動物の輸送にあたっては、飼養保管基準を遵守し、実験動物の健康及び安全の確保並びに人への危害防止に努めなければならない。

第6章 安全管理

(危害防止)

第21条 管理者は、逸走した実験動物の捕獲の方法等をあらかじめ定めなければならない。

2 管理者は、人に危害を加える恐れのある実験動物が施設等外に逸走した場合には、速やかに関係機関へ連絡しなければならない。

3 管理者は、人獣共通伝染病をはじめとする動物実験由来感染症に関する十分な知識の習得及び情報の収集に努め、動物由来感染症の発生時において必要な措置を迅速に講じることができるよう、公衆衛生機関等との連絡体制の整備につとめなければならない。

4 管理者は、有毒動物を飼養又は保管する場合は、人への危害防止のため、飼養保管基準に基づき、必要な事項を定めるものとする。

5 管理者は、実験動物の飼養及び保管又は動物実験等の実施に関係のない者が実験動物等に接触しないよう、必要な措置を講じなければならない。

(緊急時の対応)

第22条 管理者は、地震、火災等の自然災害及び実験動物の集団感染発生時等の緊急時に執るべき措置の計画をあらかじめ作成し、関係者に対して周知を図らなければならない。

2 管理者は、緊急事態発生時において、実験動物の保護及び実験動物の逸走による危害防止に努めなければならない。

第7章 教育訓練

(教育訓練)

第23条 実験動物管理者、動物実験責任者、動物実験実施者及び飼養者は、以下の事項に関する所定の教育訓練を受けなければならない。

(1) 法令等及び本学の諸規程に関する事項

(2) 動物実験等の方法に関する基本的事項

(3) 実験動物の飼養及び保管に関する基本的事項

(4) 安全確保及び完全管理に関する事項

(5) その他適切な動物実験等の実施に関する事項

2 学長は、教育訓練の実施日、教育内容並びに講師及び受講者名の記録を5年間保存しなければならない。

第8章 自己点検・評価及び検証

(自己点検・評価及び検証)

第24条 学長は、動物実験等の実施に関する透明性を確保するため、委員会に法令等への適合性に関し、自己点検・評価を行わせるものとする。

2 委員会は、前項の自己点検・評価結果を学長に報告しなければならない。

3 委員会は、管理者、実験動物管理者、動物実験責任者、動物実験実施者及び飼養者に対し、自己点検・評価のための資料を提出させることができる。

4 学長は、自己点検・評価の結果について、学外の者による検証を受けるよう努めるものとする。

第9章 情報公開

(情報公開)

第25条 本学における動物実験等に関する情報を毎年1回程度公表するものとする。

第10章 雑則

(準用)

第26条 第2条第6号に定める実験動物以外の動物を使用する動物実験等については、飼養保管基準の趣旨に沿って行うよう努めるものとする。

2 第2条第6号に定める実験動物以外の動物を使用する動物実験等において、生物学的、物理学的、又は化学的に危険な物質を扱う場合は、第10条及び第14条の規定を準用する。

(適用除外)

第27条 この規程は、畜産に関する飼養管理の教育若しくは試験研究又は畜産に関する育種改良を行うことを目的として動物を飼養し、又は保管する場合には、適用しない。

(雑則)

第28条 この規程に定めるもののほか、動物実験等に関し必要な事項は、委員会が別に定める。

この規程は、平成31年4月1日から施行する。

別表第1(第7条第1項関係)

部局動物実験委員会

名称

委員会の構成

所管する施設等

生命環境科学研究科動物実験委員会

生命環境科学研究科の教員

中百舌鳥キャンパス

C7棟 先端バイオ棟2号館

りんくうキャンパス

動物科学教育研究センター

研究推進機構動物実験委員会

工学研究科、理学系研究科、研究推進機構の教員

中百舌鳥キャンパス

C8棟 生物資源開発センター

C11棟 動植物育成棟

羽曳野キャンパス動物実験委員会

看護学研究科、総合リハビリテーション学研究科の教員

羽曳野キャンパス

D棟 動物飼育室

別表第2(第7条第3項関係)

飼養保管施設の場所及び実験動物管理者

キャンパス名

飼養保管施設の場所

実験動物管理者

備考

中百舌鳥キャンパス

C7棟 先端バイオ棟2号館

生命環境科学研究科の教員のうち管理者が指名する者


C8棟 生物資源開発センター

生物資源開発センター長


C11棟 動植物育成棟

研究推進機構の教員のうち管理者が指名する者


羽曳野キャンパス

D棟 動物飼育室

総合リハビリテーション学研究科の教員のうち管理者が指名する者


りんくうキャンパス

動物科学教育研究センター

動物科学教育研究センター長


大阪府立大学動物実験規程

平成31年4月1日 規程第353号

(平成31年4月1日施行)

体系情報
第8章 暫定規程/ 大阪府立大学/第9節 附属研究所・施設
沿革情報
平成31年4月1日 規程第353号