○大阪公立大学研究費の取扱に関する規程

令和4年3月31日

規程第95号

(目的)

第1条 この規程は、公立大学法人大阪(以下「法人」という。)が設置する大阪公立大学(以下「本学」という。)において行われる研究の公正を確立し維持するうえで、研究費の適正な使用が重要であり、その不正な使用は法人及び本学に対する社会的な信頼と負託を裏切る行為であることに鑑み、国が策定した公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)を踏まえ、研究費の不正な使用を防止し、適正な使用を確保するうえで必要な措置を定めるものとする。

(定義)

第2条 この規程において、次に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 部局 各研究科、国際基幹教育機構、研究推進機構並びに本部事務機構及び医学部・附属病院事務局の部課室をいう。

(2) 教職員

 公立大学法人大阪教職員就業規則第2条に定める教職員

 大阪公立大学医学部附属病院職員就業規則第2条に定める職員

 公立大学法人大阪教職員就業規則第3条第3項各号に定める教職員

 大阪公立大学医学部附属病院職員就業規則第3条第3項各号に定める職員

 大阪公立大学名誉教授称号授与規程に基づき称号を授与された名誉教授

 大阪公立大学研修員規程第2条に定める研修員

 部局において、所定の手続きを経て受入を許可された研究員等

(3) 学生等 本学の学生の他、以下の者をいう。

 学則第50条及び大学院学則第43条に定める特別履修生

 学則第51条および大学院学則第45条に定める研修生

 大学院学則第42条に定める研究生

 大学院学則第44条に定める特別研究生

(4) 研究者 本学の教職員及び学生等のうち研究活動に携わるすべての者をいう。

(5) 研究費 法人から措置される研究費、国等(国、地方公共団体、法律により設立された特殊法人、独立行政法人、国立大学法人、公立大学法人、学校法人、民法(明治29年法律第89号)第33条第2項に規定する公益法人、技術研究組合、商法等に基づく会社その他研究に携わる機関等にあって、法人以外のものをいう。)から措置される科学研究費補助金、受託研究、共同研究、助成金、奨励寄附金及び補助金等による研究者が使用するすべての研究費をいう。

(6) 不正 故意若しくは重大な過失による研究費の使用又はその会計処理に関係する法令、諸規程、使用ルール等に違反した使用をいう。

(7) 悪意 調査対象者を陥れるため、あるいは調査対象者・被通報者が行う研究を妨害するためなど、専ら調査対象者・被通報者に何らかの損害を与えることを目的とする意思をいう。

(8) コンプライアンス教育 不正を防止するために、本学が教職員及び学生等に対し、自身が取り扱う研究費の使用ルールやそれに伴う責任、自らのどのような行為が不正に当たるのかなどを理解させるために実施する教育をいう。

(9) 啓発活動 不正を起こさせない組織風土を形成するために、本学が教職員及び学生等に対し、不正防止に向けた意識の向上と浸透を図ることを目的として実施する諸活動全般をいう。

(10) 配分機関 本学に対して、措置される研究費を配分する機関をいう。

(法令等の遵守)

第3条 教職員及び学生等は、研究費の使用にあたっての関係法令、諸規程、使用ルール等を遵守しなければならない。

2 教職員及び学生等は、本学が実施するコンプライアンス教育を受講するものとする。

(研究費の運営管理に関する権限と責任体系の明確化)

第4条 研究費の運営管理に関わる者の権限と責任の体系を明確化するため、次に定める者を本学に置く。

(1) 研究公正最高管理責任者 本学全体を統括する権限を持つとともに、研究費の運営・管理について最終責任を負う者とし、学長をもって充てる。

(2) 不正防止統括管理責任者 研究公正最高管理責任者を補佐し、研究費の運営・管理について本学全体を統括する実質的な責任と権限を持つ者とし、研究公正を担当する副学長をもって充てる。

(3) コンプライアンス推進責任者 各部局における研究費の運営・管理について実質的な責任と権限を持つ者とし、部局の長をもって充てる。

2 前項に定める者の職名については、これを公開するものとする。

3 不正防止統括管理責任者が適当と判断する場合、責任範囲を明確にした上で、コンプライアンス推進責任者を補佐するため、部局にコンプライアンス推進副責任者を置くことができる。

4 研究公正最高管理責任者は次に定める事項を役割とする。

(1) 研究費の使用に関する行動規範及び研究費の運営・管理に関する基本方針を策定・周知するとともに、それらを実施するために必要な措置を講じる。また、不正防止統括管理責任者及びコンプライアンス推進責任者が責任を持って研究費の運営・管理が行えるよう、定期的に各責任者から報告を受ける場を設ける。

(2) 不正防止対策の基本方針や具体的な不正防止対策の策定に当たっては、公立大学法人大阪役員会において審議を主導するとともに、その実施状況や効果等について役員等と議論を深める。

(3) 自ら部局等に足を運んで不正防止に向けた取組を促すなど、様々な啓発活動を定期的に行い、教職員及び学生等の意識の向上と浸透を図る。

5 不正防止統括管理責任者は、不正防止対策の組織横断的な体制を統括する責任者として、本学全体の具体的な対策を策定・実施し、実施状況を確認するとともに、実施状況を研究公正最高管理責任者に報告する。

6 コンプライアンス推進責任者は次に定める事項を役割とする。

(1) 不正防止統括管理責任者の指示の下、自己の管理監督又は指導する部局における対策を実施し、実施状況を確認するとともに、実施状況を不正防止統括管理責任者に報告する。

(2) 不正防止統括管理責任者の指示の下、不正防止を図るため、部局内の研究費の管理・執行に関わる全ての教職員及び学生等に対し、コンプライアンス教育を実施し、受講状況を管理監督する。

(3) 自己の管理監督又は指導する部局において、定期的に啓発活動を実施する。

(4) 自己の管理監督又は指導する部局において、教職員及び学生等が適切に研究費の管理・執行を行っているかをモニタリングし、必要に応じて改善を指導する。

7 研究公正最高管理責任者、不正防止統括管理責任者及びコンプライアンス推進責任者は、それぞれの役割を果たさず、結果として部局内の研究費の管理・執行に関わる教職員及び学生等の不正を生じさせた場合には、監督者として、法人の規程に基づき、懲戒等の処分を受けることがある。

(監事の役割)

第5条 公立大学法人大阪定款第8条に定める監事(以下「監事」という。)は、次に定める事項を役割とする。

(1) 不正防止に関する内部統制の整備・運用状況について大学全体の観点から確認し、意見を述べる。

(2) 特に、不正防止統括管理責任者又はコンプライアンス推進責任者が実施するモニタリングや、内部監査によって明らかになった不正発生要因が不正防止計画に反映されているか、また、不正防止計画が適切に実施されているかを確認し、意見を述べる。

(不正防止計画推進部署の設置)

第6条 不正防止計画の推進を担当する部署(以下「防止計画推進部署」という。)を本部事務機構学術研究支援部研究推進課に置く。

2 防止計画推進部署は、不正防止計画やコンプライアンス教育・啓発活動等の不正防止に係る具体的な対策を策定・実施し、実施状況を確認する。

3 防止計画推進部署は監事との連携を強化し、必要な情報提供等を行うとともに、不正防止計画の策定・実施・見直しの状況について意見交換を行う機会を設ける。

4 防止計画推進部署は、公立大学法人大阪組織規程第28条に定める監査室(以下「内部監査部門」という。)と連携し、不正を発生させる要因がどこにどのような形であるのか、大学全体の状況を体系的に整理し評価する。

(不正防止計画の策定と実施)

第7条 不正防止統括管理責任者と防止計画推進部署は、研究公正最高管理責任者が策定する公的研究費の管理・執行に関する基本方針に基づき、大学全体の具体的な対策のうち最上位のものとして、不正防止計画を策定する。

2 不正防止計画の策定にあたっては、第6条第4項に定める不正を発生させる要因に対応する対策を反映させる。また、この要因について随時見直しを行い、効率化・適正化を図る。

3 部局は、不正根絶のために、防止計画推進部署と協力しつつ、主体的に不正防止計画を実施する。

(コンプライアンス教育・啓発活動の実施)

第8条 コンプライアンス推進責任者は、不正防止統括管理責任者が策定する実施計画に基づき、部局内の研究費の運営・管理に関わる教職員及び学生等を対象としたコンプライアンス教育を実施する。

2 コンプライアンス教育の内容は、各構成員の職務内容や権限・責任に応じた効果的で実効性のあるものを設定し、定期的に見直しを行う。

3 コンプライアンス教育の実施に際しては、あらかじめ一定の期間を定めて定期的に受講させるとともに、コンプライアンス推進責任者は対象者の受講状況及び理解度を把握する。

4 研究公正最高管理責任者は、これらの内容を遵守する義務があることを理解させ、意識の浸透を図るために、部局内の研究費の管理・執行に関わる全ての教職員及び学生等に対し、受講の機会等にコンプライアンスに係る誓約書等の提出を求める。

5 教職員及び学生等から前項の誓約書等の提出が認められない場合、当該教職員及び学生等からの研究費の申請は認められないものとする。また、研究費の管理・執行に関わることができないこととする。

6 コンプライアンス推進責任者は、不正防止統括管理責任者が策定する実施計画に基づき、部局内の研究費の運営・管理に関わる全ての教職員及び学生等に対して、コンプライアンス教育にとどまらず、不正根絶に向けた継続的な啓発活動を実施する。

(通報等の受付)

第9条 不正に関する通報又は相談(以下「通報等」という。)を受け付ける窓口(以下「通報窓口」という。)を監査室に置く。

2 前項の通報窓口に、窓口担当者を置く。

3 通報等の内容や通報等をする者の秘密を守るため、適切な方法を講じるものとする。

(不正に関する通報等)

第10条 不正の可能性があると思料する者は、何人も、前条第1項に規定する通報窓口に通報等を行うことができる。

(利用方法)

第11条 通報窓口の利用方法は、書面、電話、FAX、電子メール及び面談とする。

2 前条の通報等は、悪意による通報等を防止するため、原則として顕名により行われ、不正を行ったとする研究者又はグループ、不正の態様等、事案の内容を明示しなければならない。

3 匿名による通報等があったときは、その内容を勘案し通報として受け付ける必要があると不正防止統括管理責任者が認めるときは、氏名を明らかにした通報等があった場合に準じた取り扱いをすることができる。

(通報等の取扱い)

第12条 窓口担当者は、第10条の通報等を受け付けたときは、速やかに不正防止統括管理責任者に報告するとともに、書面等、通報窓口が受け付けたか否かを通報者が知り得ない方法により通報がなされた場合は、通報等を受け付けたことを通報者に通知する。

2 不正防止統括管理責任者は、前項の報告を受けたときは、相談である場合を除き、通報等の受理・不受理を決定し、その旨を通報者に通知するとともに、研究公正最高管理責任者に報告する。

3 前項において受理を決定した場合は速やかに当該事案の予備調査(他研究機関への通報の回付等を含む。)を実施するものとする。ただし、通報の意思表示のない相談については、通報の意思の有無を確認した上で、通報に準じてその内容を確認及び精査し、当該事案の予備調査を実施するか否かを決定するものとする。

(他研究機関等との協力)

第13条 不正防止統括管理責任者は、第10条の通報等を処理するにあたり、必要な場合は他研究機関等に協力を依頼するものとする。

(予備調査)

第14条 不正防止統括管理責任者は、第12条第3項の予備調査にあたって、事案ごとに予備調査委員会を設置し、調査の実施を指示するものとする。

2 不正防止統括管理責任者は、第10条の通報等がない場合であっても、相当の信頼性がある情報に基づき不正があると疑われる場合は、前項と同様に予備調査委員会を設置し、予備調査の実施を指示することができる。

3 予備調査委員会は、通報者及び調査対象者並びに通報者及び調査対象者と直接の利害関係を有する者以外の次に掲げる委員をもって組織する。

(1) 不正防止統括管理責任者

(2) 調査対象者が主として担当する部局の長が指名する教員

(3) その他不正防止統括管理責任者が必要と認める者

4 予備調査委員会に委員長を置き、不正防止統括管理責任者をもって充てる。

5 予備調査委員会は、通報内容の合理性及び調査の可能性等について予備調査を行い、本調査を行うかを決定する。

6 不正防止統括管理責任者は、前項の結果及び決定を速やかに研究公正最高管理責任者に報告し、予備調査の資料等を保存するものとする。また、通報等の受理日から原則として30日以内に前項の結果を通報者及び調査対象者に通知するとともに、本調査を行うにあたっては、通報者及び調査対象者に対し調査への協力を求める。

7 第5項において本調査を実施しないことを決定したときは、その理由を付して通報者に通知するとともに当該事案に係る資料等を保存し、資金配分機関及び関係省庁等や通報者の求めに応じ不正防止統括管理責任者の判断により開示するものとする。

8 研究公正最高管理責任者は、本調査実施の決定を理事長に報告するとともに、当該事案に係る資金配分機関及び関係省庁等に報告するものとする。

(調査委員会)

第15条 不正防止統括管理責任者は、前条第5項により本調査を行うことを決定した場合は、速やかに調査委員会を設置し、決定後、概ね30日以内に、本調査を開始するものとする。

2 調査委員会は、通報者及び調査対象者並びに通報者及び調査対象者と直接の利害関係を有する者以外の次に掲げる委員をもって組織する。

(1) 不正防止統括管理責任者

(2) 調査対象者が主として担当する部局の長

(3) 法人に属さない第三者(弁護士、公認会計士等)

(4) その他不正防止統括管理責任者が必要と認める者

3 調査委員会に委員長を置き、不正防止統括管理責任者をもって充てる。

4 第2項第3号の委員は研究公正最高管理責任者が指名する。

5 不正防止統括管理責任者は、調査委員会を設置したときは、調査委員の氏名や所属を通報者及び調査対象者に通知するものとする。

6 通報者及び調査対象者は、不正防止統括管理責任者に対し、前項及び次項の通知を受けた日より10日以内に調査委員について異議申立てをすることができる。

7 不正防止統括管理責任者は、前項の異議申立てが妥当であると判断したときは、当該異議申立てに係る調査委員(第2項第3号に掲げる者を除く。)を交代させるとともに、その旨を通報者及び調査対象者に通知するものとする。

8 前項において、当該異議申立てに係る調査委員が第2項第3号に掲げる者である場合、研究公正最高管理責任者が指名を取り消し、その旨を通報者及び調査対象者に通知するものとする。

9 前2項において、新たな調査委員(ただし、当該新たな調査委員が第2項第3号に掲げる者である場合に限る。)は研究公正最高管理責任者が指名し、その旨を通報者及び調査対象者に通知するものとする。

(本調査)

第16条 調査委員会は、不正の有無及び内容、関与した者及びその関与の程度、研究費不正使用の相当額等について調査する。この際、調査委員会は、調査方針、調査対象及び方法等について配分機関に報告、協議しなければならない。また、調査対象者に書面又は口頭による弁明の機会を与えなければならない。

2 調査委員会は、本調査にあたって、当該通報が悪意に基づくものであるか否かも調査し、悪意に基づくものである可能性がある場合は、通報者に書面又は口頭による弁明の機会を与えなければならない。

3 調査委員会は、本調査の対象には、通報等に係る研究費の支出のほか、調査に関連した調査対象者の他の研究費の支出をも含めることができる。

4 調査委員会は、本調査にあたって、通報等に係る研究に関して、他の方法による適切な資料の入手が困難な場合又は関係資料の隠滅が行われるおそれがある場合には、調査対象者の研究室等調査事項に関連する場所の一時閉鎖又は関係する機器・資料等の保全を行うことができる。

5 調査委員会は、必要があると認めるときは、当該研究に係る研究費の支出を一時停止することができる。

6 本調査に当たっては、調査対象における公表前のデータ、論文等の研究または技術上秘密とすべき情報が、調査の遂行上必要な範囲外に漏洩することのないよう十分配慮しなければならない。

7 調査委員会は、本調査を原則として通報等を受け付けた日から210日以内に終了しなければならない。ただし、終了できないことにつき合理的な理由がある場合は、この限りではない。また、調査の過程であっても、不正の事実が一部でも確認された場合には、速やかに認定を行い、配分機関に報告する。

8 調査委員会は、物的・科学的証拠、証言、調査対象者の自認等の諸証拠を総合的に判断し、不正の有無を審理し、不正の有無及び内容、関与した者及びその関与の程度、研究費不正使用の相当額等について認定を行い、配分機関に報告する。

9 調査委員会は、不正が行われなかったと認定した場合で、通報が悪意に基づく虚偽のものであることが判明したときは、併せてその認定を行うものとする。この認定を行うに当たっては、通報者に弁明の機会を与えなければならない。

10 不正防止統括管理責任者は、前2項の認定の結果を速やかに研究公正最高管理責任者に報告するとともに、通報者及び調査対象者に通知するものとする。

11 配分機関の求めに応じ、調査の終了前であっても、調査の進捗状況報告及び調査の中間報告を当該配分機関に提出するものとする。

12 調査に支障がある等、正当な事由がある場合を除き、配分機関の求めに応じ当該事案に係る資料の提出又は閲覧、現地調査に応じるものとする。

13 研究公正最高管理責任者は、第8項及び第9項の認定結果を受けて、通報等を受け付けた日から210日以内に不正発生要因、不正に関与した者が関わる他の競争的資金等における管理・監査体制の状況、再発防止計画等を含む最終報告書を配分機関に提出しなければならない。期限までに調査が完了しない場合であっても、調査の中間報告を配分機関に提出するものとする。ただし、提出できないことにつき合理的な理由がある場合は、この限りではない。また、認定結果については、理事長に報告するとともに当該事案に係る資金配分機関及び関係省庁等に報告するものとする。

(中間報告)

第17条 研究公正最高管理責任者は、必要に応じて、調査委員会に本調査の中間報告を求めることができる。

(説明責任)

第18条 本調査において、調査対象者が不正は存在しないことを主張する場合には、自己の責任において、当該研究費使用の妥当性について説明しなければならない。

2 前項の説明において、納品伝票等の不存在など、本来存在するべき基本的な経理書類の不足により証拠を示せない場合は、不正があったものとみなす。

(調査への教職員及び学生等の協力義務)

第19条 教職員及び学生等は、予備調査委員会及び調査委員会の調査にあたっては、誠実に協力しなければならない。

(不服申立て)

第20条 不正を認定された調査対象者又は悪意に基づく通報を行ったと認定された通報者は、認定の結果の通知を受け取った日の翌日から起算して14日以内に書面をもって、研究公正最高管理責任者に不服申立てをすることができる。ただし、その期間内であっても、同一理由による不服申立てを繰り返すことはできない。

2 研究公正最高管理責任者は、前項の不服申立てを受けたときは、速やかに通報者又は調査対象者に通知するとともに、不服申立てにかかる審査と再調査を行うかどうかの決定を調査委員会に付託する。

3 前項の付託を受け、調査委員会は当該事案の再調査等(当該事案の再調査を行うまでもなく、不服申立てを却下すべきものを含む。)を行うか否かを決定し、研究公正最高管理責任者に結果の報告を行う。

4 研究公正最高管理責任者は、前項の結果を通報者及び調査対象者に通知する。なお、当該不服申立てが当該事案の引き延ばしや認定に伴う各措置の先送りを主な目的と研究公正最高管理責任者が判断したときは、以後の不服申立てを受け付けないことができる。

5 調査委員会は、再調査を行う決定を行った場合、調査対象者及び悪意に基づく通報を行ったとされた通報者(以下「不服申立者」という。)に対し、先の認定の結果を覆すに足る資料の提出等、当該事案の速やかな解決に向けて、再調査に協力することを求めるものとする。ただし、その協力が得られない場合には再調査を行わず、審査を打ち切ることができる。その場合にはただちに研究公正最高管理責任者に報告し、研究公正最高管理責任者は不服申立者に当該決定を通知する。

6 調査委員会は、再調査を開始した場合は、不正を認定された調査対象者からの不服申立てがあった日から、原則として60日以内、悪意に基づく通報を行ったと認定された通報者からの不服申立てについては、原則として30日以内に認定の結果を覆すか否かを判断し、研究公正最管理高責任者に報告する。

7 研究公正最高管理責任者は、前項の報告を受け、認定の結果を覆すか否かを決定するとともに、その結果を通報者及び調査対象者に通知する。

8 研究公正最高管理責任者は、前項の結果を理事長に報告するとともに、当該事案に係る資金配分機関及び関係省庁等に報告するものとする。

(認定に基づく措置)

第21条 理事長は、第16条第13項の規定による報告(前条の規定による不服申立てがあった場合は、同条第8項の報告)において、調査対象者に不正があったと認めたときは、当該不正の重大性の程度に応じ、法人の定める規程等に基づく懲戒処分、告訴又は申立等の措置を講じる。

2 研究公正最高管理責任者は、第16条第10項の規定による報告(前条の規定による不服申立てがあった場合は、同条第6項の決定)に基づき、調査対象者に不正があったと認めたときは、当該不正の重大性の程度に応じて、次に掲げる措置をとるとともに、再発防止のために必要な措置を講じなければならない。

(1) 研究費の使用停止及び返還の命令

(2) 関連論文の取下等の勧告

(3) その他不正の排除及び本学の信頼性回復のために必要な措置

3 研究公正最高管理責任者は、第16条第10項の規定による報告に基づき、調査対象者に不正がなかったと認定されたときは、次に掲げる措置をとるものとする。

(1) 本調査に際してとった研究費支出の停止、採択の保留等の措置の解除

(2) 証拠保全の解除

(3) 不正が行われなかったと認定した旨の関係者への周知

(4) その他不正を行わなかったと認定された者の名誉を回復する措置及び不利益が生じないための措置

4 理事長は、第16条第13項の規定による報告(前条の規定による不服申立てがあった場合は、同条第8項の報告)に基づき、通報が悪意に基づく虚偽のものであったと認めたときは、通報者に対し、氏名の公表や法人の定める規程等に基づく懲戒処分、告訴又は申立等の適切な措置を講じる。

(調査結果の公表)

第22条 研究公正最高管理責任者は、前条の規定による措置のほか、不正に関与した者の氏名・所属、不正の内容、公表時までに行った措置の内容、調査委員の氏名・所属、調査の方法・手順等を原則として公表するものとする。ただし、合理的な理由が有る場合には、不正に関与した者の氏名・所属を公表しないことができる。

(通報者等の保護)

第23条 不正に関する通報者及び調査に協力した者は、当該通報を行ったこと又は調査に協力したことを理由として、人事、給与その他の身分及び勤務条件等に関し、不利益な取扱い(事実行為を含む。以下同じ。)を受けない。

2 研究公正最高管理責任者は、通報者が不利益な取扱いを受けたとき又は受けるおそれがあると認めるときは、その回復又は防止のために必要な措置を講じるものとする。

3 研究公正最高管理責任者は、第21条第1項及び第3項各号の措置以外に不当な誹謗中傷から、調査対象者を保護する方策を講じるものとする。

(秘密保持義務等)

第24条 理事長、研究公正最高管理責任者、不正防止統括管理責任者、コンプライアンス推進責任者、調査委員会委員、予備調査委員会委員、窓口担当者等通報及び調査に関与した者は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(利害関係者の排除)

第25条 研究公正最高管理責任者、不正防止統括管理責任者、コンプライアンス推進責任者、調査委員会委員、予備調査委員会委員及び窓口担当者は、調査対象者又は通報者と直接の利害関係を有する場合は、通報の処理に関与してはならない。

2 前項の規定により、第14条第4項および第15条第3項に定める委員長に不正防止統括管理責任者が充てられない場合は、研究公正最高管理責任者が委員の中から委員長を指名する。

(モニタリング及び監査)

第26条 研究公正最高管理責任者は、不正の発生の可能性を最小にすることを目指し、大学全体の視点からモニタリング体制を整備し、実施する。

2 内部監査部門は、毎年度定期的に、ルールに照らして会計書類の形式的要件が具備されているかなど、財務情報に対するチェックを一定数実施する。また、研究費の管理体制の不備の検証も行う。

3 内部監査部門は、防止計画推進部署との連携を強化し、第6条第4項に定める不正を発生させる要因を分析した上で、不正が発生するリスクに対して、重点的にサンプルを抽出し、抜き打ち検査などを含めたリスクアプローチ監査を実施する。

4 内部監査部門は、前2項により実施した監査結果を研究公正最高管理責任者に報告するものとする。

5 内部監査の実施にあたっては、過去の内部監査や、不正防止統括管理責任者及びコンプライアンス推進責任者が実施するモニタリングを通じて把握された不正発生要因に応じて、監査の対象や方法を随時見直し、効率化・適正化を図るとともに、専門的な知識を有する者(公認会計士や他の機関で監査業務の経験のある者等)を活用して内部監査の質の向上を図る。

6 内部監査部門は、効率的・効果的かつ多角的な内部監査を実施するために、監事及び会計監査人との連携を強化し、必要な情報提供等を行うとともに、大学における不正防止に関する内部統制の整備・運用状況や、モニタリング、内部監査の手法、研究費の運営・管理の在り方等について定期的に意見交換を行う。

7 内部監査結果等については、コンプライアンス教育及び啓発活動にも活用するなどして周知を図り、大学全体として同様のリスクが発生しないよう徹底する。

(調査等の事務)

第27条 第14条(予備調査)及び第15条(調査委員会)の事務は、本部事務機構学術研究支援部研究推進課において行う。

(委任)

第28条 この規程に定めるもののほか、研究費の取扱いに関し必要な事項は、別に定める。

1 この規程は、令和4年4月1日から施行する。

2 この規程の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までになされた研究費不正、通報等及び調査等について、これらに関する必要な手続きその他の行為のうち、施行日の前日までになされたものについては、この規程によりなされたものとみなす。

3 公立大学法人大阪定款(令和4年4月1日施行)附則第2項の規定により存続する大阪府立大学及び大阪市立大学については、本規程を適用する。この場合において、規程第1条中「大阪公立大学」とあるのは「大阪公立大学、大阪府立大学及び大阪市立大学」とする。

(令和4年6月29日規程第570号)

この規程は令和4年6月29日から施行し、令和4年4月1日より適用する。

(令和6年6月27日規程第183号)

この規程は、令和6年7月5日から施行し、令和6年4月1日から適用する。

大阪公立大学研究費の取扱に関する規程

令和4年3月31日 規程第95号

(令和6年7月5日施行)

体系情報
第6章 大阪公立大学/第8節 産学官連携・知的財産・地域貢献
沿革情報
令和4年3月31日 規程第95号
令和4年6月29日 規程第570号
令和6年6月27日 規程第183号