○宇都宮市地産地消の推進に関する条例

平成18年12月11日

条例第43号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 地産地消運動の推進(第8条―第10条)

第3章 安全で安心な農産物等の供給(第11条―第14条)

第4章 農業資源を活用した都市住民との交流(第15条)

第5章 食育の推進等(第16条・第17条)

第6章 推進体制(第18条―第20条)

第7章 委任(第21条)

附則

宇都宮市は,豊かな自然と気候条件に恵まれ,肥よくで平坦な農地に米を中心に野菜,果樹,花き,畜産物など多くの農産物を生産し,大消費地東京に近い地理的優位性を生かし首都圏農業を展開してきた。

しかしながら,農業従事者の減少,高齢化,兼業化などにより,担い手の不足及び耕作放棄地などの増加が進み,食料自給率や農村活力の低下などが危ぐされており,農業を取り巻く環境は大きな転換期を迎えている。

さらに,「食」の安全性や信頼性を損なう事態の発生などを背景として,市民の「食」に対する安全性や信頼性への関心が一層高まってきているとともに,「食」とこれを支える「農」の持つ人間性を豊かにする教育力やスローフード運動に見られるような食文化を大切にすることによる健康な身体で豊かな生活を支える力が見直されてきている。

こうした「食」と「農」をめぐる環境の変化の中で,市民一人ひとりが「食」の大切さや食生活の重要性を知り,農業が持っている水源のかん養など地球環境において多面的に果たしている役割を認識するとともに,新鮮で安全安心な農産物等の供給,農業資源を活用した都市住民と農村との交流,食育などが推進されていくことが必要とされている。

このようなことから,生産者,消費者,事業者及び市が一体となって地産地消を推進し,宇都宮市の農業を将来にわたって維持し,発展させることにより,健全で豊かな地域社会を築いていくことを決意し,この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は,地産地消を推進するに当たり,その基本理念を定め,市,生産者,消費者及び事業者の役割を明らかにするとともに,地産地消運動の推進,安全で安心な農産物等の供給,本市の農業資源を活用した都市住民と農村との交流,食育の推進等の施策に関する基本的事項を定めることにより,生産者,消費者及び事業者の信頼関係に基づく食と農を基本とした健康的で豊かな地域社会の形成に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 地産地消 地域で生産された農産物等を当該地域で消費することをいう。

(2) 市内農産物等 市内で生産された食用の農林水産物及びこれらを加工した食品をいう。

(3) 環境保全型農業 農業の持つ自然循環機能を生かした土づくりを基本に,化学肥料及び化学農薬の使用の低減等による環境と生産性の調和に配慮した農業をいう。

(基本理念)

第3条 地産地消の推進は,市,生産者,消費者及び事業者が連携し,本市の農業及び市内農産物等の情報を共有化することにより信頼関係を構築し,互いの立場を理解し,協力しながら行うものとする。

2 地産地消の推進は,市内農産物等の生産から販売までの過程において,安全で安心な農産物等を消費者にいつでも供給することができる仕組みを構築することにより,地域の農業の振興が図られるよう行うものとする。

3 地産地消の推進は,生産者やその後継者が誇り,生きがい,喜び等を持って農業に取り組めるようにするため,本市の農業の持つ地域資源を活用して,農業又は農村の活性化が図られるよう行うものとする。

4 地産地消の推進は,市民一人ひとりに食の重要性が理解されるとともに,家庭においては家族で食を楽しむ等健康的で豊かな食生活の維持向上が図られ,地域においては地域の食文化が継承発展していくよう行うものとする。

5 地産地消の推進は,市民の意見及び評価を取り入れながら市が施策として取り組むほか,市民の間での自発的な取組を促進しながら行うものとする。

(市の役割)

第4条 市は,前条の基本理念に基づき,生産者,消費者及び事業者と連携して,地産地消の推進に関する施策を実施するものとする。

(生産者の役割)

第5条 生産者は,農産物等の安全性に関する法令及び条例を遵守し,生産する農産物等が市民の健康を支えていることや農産物等の安全性について責任を有することを自覚し,農産物等の安全性の確保に取り組むものとする。

2 生産者は,農産物等に対する消費者の需要を把握し,需要に応じた農産物等の生産に計画的に取り組むとともに,生産する農産物等の品質等に関する情報を消費者に提供するよう努めるものとする。

3 生産者は,市が実施する地産地消の推進に関する施策に協力するものとする。

(消費者の役割)

第6条 消費者は,農産物の安全性を確保するための生産者の取組を理解するとともに,市内農産物等を優先的に使用するよう努めるものとする。

2 消費者は,家庭及び地域において食育を推進することにより,農産物を含む食の大切さを理解し,健康的で豊かな食生活の維持向上に努めるものとする。

3 消費者は,啓発活動及び生産者との交流事業に積極的に参加する等市が実施する地産地消の推進に関する施策に協力するものとする。

(事業者の役割)

第7条 事業者は,生産者及び消費者と連携して地産地消の推進に取り組み,市が実施する地産地消の推進に関する施策に協力するものとする。

第2章 地産地消運動の推進

(地産地消の推進に関する啓発活動)

第8条 市は,地産地消の推進に対する市民の関心及び理解を深めるとともに,地産地消の推進に関する多様な活動を行う市民の意欲を増進するための啓発活動,市内農産物等に関わる情報の提供その他必要な施策を実施するものとする。

2 市は,地産地消の推進に関する啓発活動及び市内農産物等の使用促進を図るための日を定めるものとする。

3 市は,前項に規定した日を定めたときは,公表し,広く市民に普及させるよう努めるものとする。

(生産者,消費者及び事業者の情報の共有等)

第9条 市は,生産者,消費者及び事業者が地産地消に関する情報の共有及び相互理解を進めていくための必要な施策を実施するものとする。

(市の施設における市内農産物等の優先使用)

第10条 市は,学校,保育所その他市の施設において給食その他食の提供を行うときは,市内農産物等を優先的に使用するよう努めるものとする。この場合において,市内農産物等が使用できないときは,県内産の農産物等を使用するよう努めるものとする。

2 市は,市の施設において,市内農産物等を優先的に使用していくようにするための仕組みづくりその他必要な施策を実施するものとする。

第3章 安全で安心な農産物等の供給

(安全で安心な農産物等の供給)

第11条 市は,安全で安心な市内農産物等が市内に供給されるよう環境保全型農業の促進その他必要な施策を実施するものとする。

(多様な需要に即した農産物等の供給等)

第12条 市は,消費者の多様な需要に即して,市内農産物等が安定的に市内に供給されるような生産,流通及び販売に関する仕組みづくりの促進その他必要な施策を実施するものとする。

2 市は,安定的に市内農産物が供給されるようにするため,新規就農者,女性農業者等に対する農業技術の習得及び消費者の需要に即した農産物の生産活動への支援等を通じ,多様な担い手の育成に努めるものとする。

(農産物のブランド化)

第13条 市は,市内農産物等で特に品質が高い等地域の特産品として広く普及宣伝する必要があると認めるものについて,生産の振興及び流通の促進を図り,付加価値の高い農産物としての位置付けが得られるよう必要な施策を実施するものとする。

(生産履歴の記録等)

第14条 生産者は,生産した農産物の安全性及び品質について適切に説明ができるようにするため,生産履歴の記録及び保存その他必要な取組に努めるものとする。

第4章 農業資源を活用した都市住民との交流

第15条 市は,農業の振興及び活性化を図るため,農業に関する地域資源を活用することにより,都市住民と農村との交流体験その他都市住民が本市の農業及び市内農産物等に対する理解を深めるために必要な施策を実施するものとする。

第5章 食育の推進等

(食育の推進)

第16条 市は,家庭,学校及び地域における食育を推進することにより,市民が農業の果たしている役割並びに農産物の国内自給及び市内自給の重要性を認識するとともに,市内農産物等に対する愛着及び生産者との相互理解を深めていけるようにするものとする。

2 市は,前項に規定する食育を推進するため,体験農園の実施その他必要な施策を実施するものとする。

(食生活の向上と食文化の継承)

第17条 市は,家庭,学校及び地域における健康的で豊かな食生活の維持向上と地域の食文化の継承を推進するため,市内農産物等を活用した郷土料理等の継承及び創作の促進その他必要な施策を実施するものとする。

第6章 推進体制

(地産地消推進計画)

第18条 市長は,地産地消に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための計画(以下「地産地消推進計画」という。)を策定するものとする。

(地産地消推進組織)

第19条 市は,地産地消の推進のための施策を円滑に実施し,もってこの条例の基本理念の実現に資するための組織(以下「地産地消推進組織」という。)を設置する。

2 地産地消推進組織の名称並びに組織及び運営に必要な事項は,別に定める。

(施策等に対する意見の聴取)

第20条 市長は,地産地消推進計画の策定その他の地産地消の推進に関する重要事項を決定するに当たっては,市民の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるとともに,地産地消推進組織に意見を聴くものとする。

2 市長は,地産地消の推進に関する施策の実施状況について,地産地消推進組織に報告し,その意見を施策に反映するよう努めなければならない。

第7章 委任

第21条 この条例の施行について必要な事項は,市長が定める。

附 則

この条例は,平成19年1月1日から施行する。

宇都宮市地産地消の推進に関する条例

平成18年12月11日 条例第43号

(平成19年1月1日施行)