○小谷村開発事業等指導要綱
平成4年1月29日
告示第2号
小谷村開発事業等指導要綱
(趣旨)
第1条 この要綱は、小谷村の優れた自然環境が開発等の事業により、破壊されることを防止するため、開発の周辺における指導を行い、自然、生活環境の保全、災害の防止等を図りつつ、秩序ある開発と村民生活の安定を図るため、法令に定めがあるもののほか、必要な事項を定めるものとする。
(1) 環境の保全 住民が健康で安全かつ快適な生活を営むことのできる、自然環境及び生活環境を保全することをいう。
ア 自然環境 生態系を含む自然資源(山岳、渓谷、河川、湖沼、森林等)の景観をいう。
イ 生活環境 住民の日常生活に欠くことのできない条件をいう。
(2) 開発 宅地の造成、その他土地の形質変更及び地上・地下資源の採取又は建築物その他工作物の新築、改築若しくは増築を行う行為をいう。
(3) 事業者 開発を行う法人又は個人をいう。
(4) 開発区分と区域 村内における開発の区分と区域の名称及びその範囲は、別表第1のとおりとする。
(5) 公害 大気の汚染、水質の汚濁、騒音、振動、悪臭、地盤沈下、土壌汚染によって人の健康及び自然との調和が損なわれることをいう。
(6) 廃棄物 ごみ(粗大ごみを含む。)、燃がら、汚泥、ふん尿、雑排水、廃油、その他の汚物又は不要物をいう。
(村の責務)
第3条 村長は、この要綱の徹底を図るとともに地域住民の協力を得て、秩序ある開発を行わせるため必要な指導と適切な処置を講ずるものとする。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、次に掲げる事項を遵守し、村の施策に協力しなければならない。
(1) 開発によって生ずる自然の破壊(自然環境の破壊を含む。)を防止するため、自然の改変を最少限度にとどめるとともに、その責任において、植生の回復その他自然環境の保全のため適切な措置をすること。
(2) 開発によって生ずる公害の防止及び廃棄物の処理に当たっては、生活環境の保全のため適切な処置をすること。
(3) 開発土地を分譲するとき、買受者に対し環境の保全、公害防止等の思想の普及徹底を図るとともに、この対策を積極的に推進すること及びこの要綱の規定を遵守するよう監視すること。
(4) 事業者は、事前協議までに近隣地域(土地権利者等)の関係者に開発の計画概要を説明し、同意を得なければならない。また、計画を変更するときも、同様とする。
(開発基準)
第5条 開発において、事業者が遵守しなければならない事項の基準は、別表第2のとおりとする。
(し尿浄化槽等の設置基準)
第6条 し尿浄化槽の設置及び汚水処理施設の設置基準は、別表第3のとおりとする。
(事前協議)
第7条 開発に当たって、事業者が次に定める規模以上の計画を策定したときは、法令等に定めのある手続の30日前までに開発事業計画事前協議書(様式第1号)を提出し、村長と協議を行い同意を得なければならない。また、計画を変更するときも、同様とする。
(1) 宅地の造成(別荘地も含む。) 2,000平方メートル
(2) 運動場又は遊園地(公共施設を除く。) 2,000平方メートル
(3) 駐車場 2,000平方メートル
(4) 鉱物の採取又は土石の採取 5,000平方メートル
(5) その他土地の形質変更 5,000平方メートル
(6) 地下資源(水、温泉等)の採取を目的とするボーリング
(7) 建物の新築、改築又は増築(延床面積) 1,000平方メートル
高さ13メートル
(8) 送水管 長さ100メートル
(9) 鉄塔、煙突、電柱その他これに類する工作物 高さ30メートル
(10) ダム(公共施設を除く。) 高さ20メートル
3 前2項の規定にかかわらず、国、地方公共団体又は公共的団体で村長が認めた場合は、開発の計画を届け出ることにより事前協議は要しないものとする。
(指導)
第8条 事前協議があったとき、村長は、必要に応じて風致景観又は開発周辺の環境の保全について指導するものとする。
2 前項の規定による指導は、文書で行い、計画変更を求めることができるものとし、指導事項を改善しないときは、必要な行政協力を行わないこともできる。
(開発審査機関)
第9条 村長は、開発計画の審査指導を行うため、開発審査会を置くものとし、その構成員は、各主管課長とする。
2 村長は、開発審査会で結論が得られないときは、開発審議会に諮るものとし、開発審議会の構成員は、村長、議長、副議長、議会常任委員長、開発地域の代表者若干人及び副村長並びに主管課長とする。
(建築物等の周辺の緑化)
第10条 建築物等の施設の設置者は、当該敷地に樹木の植栽可能な場所を確保し、その緑化に努めなければならない。
(緑化育成の推進)
第11条 緑豊かな自然環境の中で生活することは、何人も希求するところであり、この緑からの恵沢にかんがみ、住民は樹木(草花を含む。)の保護及び緑化の推進に努めなければならない。
附則
(施行期日)
1 この告示は、告示の日から施行する。
(小谷村開発事業等指導要綱の廃止)
2 小谷村開発事業等指導要綱(昭和59年小谷村告示第24号)は、廃止する。
(経過措置)
3 この開発要綱の施行前にした開発行為に対する適用については、なお従前の例による。
別表第1(第2条関係)
開発区分と区域
区分 | 区域の名称 | 範囲 |
宅地・別荘区域 | 栂池高原親の原分譲地 | 長野県観光開発公社が造成し、分譲した団地の区域 |
準用地区 | 2,000平方メートル以上の宅地・別荘開発予定地で、事前協議がなされる区域 | |
スキー・ゴルフ場区域 | 栂池スキー場地区 | 親の原分譲6号線終点より当路線に沿って親沢川右岸に結び親沢川右岸に沿って千国大橋に結んだ線。親の原分譲6号線より栂池線3を順次結び千国団地と栂池観光開発(株)のスキー場界に沿ってゴンドラリフト乗り場付近の公図界に結び川内萱場界に結んだ線より上部とする。 |
白馬乗鞍スキー場地区 | 村道若栗親の原線千国大橋より若栗スキー場内の道路を順次結び反立団地界に沿って黒川沢に結んだ線及び黒川沢の右岸に沿って里見団地の界に結んだ線及び当団地とスキー場界に沿って村道千国若栗線に結び林道小丸池の田線に沿い村道十二沢線終点と宮の下土倉共有地界に結んだ線より上部とする。 | |
白馬コルチナ国際スキー場地区 | 宮の下土倉共有地界よりグリーンプラザホテル地界をへて、日影沢に結び日影沢右岸に沿って村道池の田牧場線に結び林道西山線に沿った線の上部とする。 | |
小谷温泉スキー場地区 | 小谷温泉集団施設地区のスキー場利用地区のみとする。 | |
準用区 | 5,000平方メートル以上のスキー場、ゴルフ場開発予定地で、事前協議がなされる区域 | |
宿泊等営業区域 | 栂池地区 | 上記スキー場区域及び栂池高原親の原分譲地以外の区域 |
白馬乗鞍地区 | 上記スキー場区域以外の区域 | |
白馬コルチナ地区 | 上記スキー場区域以外の区域 | |
小谷温泉地区 | 小谷温泉集団施設地区内の第1、第2宿泊地区のみとする。 | |
姫川温泉地区 | 大網橋より姫川右岸に沿って電化(株)管理の橋より村道長坂線に結び当路線に沿った範囲とする。 | |
準用区 | 新たに宅地を造成し、建築物等新築予定地で事前協議が必要とされる区域 |
別表第2(第5条関係)
開発の基準
1 共通事項
(1) 高山性植物、高層湿原等の分布地、天然記念物又はこれに準ずる動植物の分布地、特異な地形地質等特色ある自然環境を有する地域、急傾斜地、飲料水等の水源地で自然水として保つことが必要な地域は、開発を抑制するものとする。
(2) 現存する植生は、極力残すものとする。
(3) 開発に伴い設置される道路、排水施設、し尿処理施設、ごみ処理施設、防災施設等のうち、村等に移管するもの又は事業者が管理するものについては、条件及び管理体制をそれぞれ明確にする。
(4) 排水路は、流量計算により排水能力等を考慮した規模及び構造とする。
(5) 土地の形質変更は最小限にとどめ、多量な土石の移動は極力避けるものとする。
(6) 国・県及び村の道路、その他公共事業計画がある場合には、その計画に必要な用地の確保に協力するものとする。
(7) 開発により直接影響のある道路、河川等の改良、補修等に要する経費は、原則として事業者の負担とし、管理者と協議するものとする。
(8) 開発に伴い設置される建築物その他工作物の形態及び色彩は、周囲の環境との調和を乱さないものとする。
(9) 野生動植物の保護のため、保全上の配慮がなされていなければならないものとする。
(10) 水道施設に村営水道以外の水源を使用するものにあっては、関係水利権者の許可又は同意を得るものとする。
2 個別事項
(1) 建築物、その他工作物
開発区分 開発基準 | 宅地・別荘区域 | スキー場・ゴルフ場区域 | 宿泊・営業区域 | |
高さ | 18.0m以下 *親の原分譲地にあっては、2階を超えないこと。 *峰又は尾根等稜線付近にあっては、稜線から水平距離で20m以上離れ、かつ、3階を超えないこと。 | 18.0m以下 *峰又は尾根等稜線付近にあっては、稜線から水平距離で20m以上離れ、かつ、3階を超えないこと。 | 18.0m以下 *峰又は尾根等稜線付近にあっては、稜線から水平距離で20m以上離れ、かつ、3階を超えないこと。 | |
高さの算定 | *建築物、その他工作物の地上露出部分の内最低地盤から最高部までとし、階段室、昇降機塔及び建築設備を含むものとする。 | *同左 | *同左 | |
面積 | 2,000m2以下 | 2,000m2以下 | 2,000m2以下 | |
建ぺい率 | 40.0%以下 *別荘地にあっては、20.0%以下 | 40.0%以下 | 40.0%以下 | |
改築 | *既存建築物の建ぺい率以下 (40.0%を超える建築物) | *同左 | *同左 | |
容積率 | 80.0%以下 *別荘地にあっては、40.0%以下 | 160.0%以下 | 160.0%以下 | |
改築 | *既存建築物の容積率以下 | 160.0%以下 | *同左 | |
建築物の壁面又は工作物から境界線までの距離 | 主要道路界 | 3m以上 | *同左 | *同左 |
その他道路界 | 2m以上 | *同左 | *同左 | |
敷地境界 | 2m以上 | *同左 | *同左 | |
改築 | *距離が上記に掲げた以下の建築物にあっては、既存建物壁面線に1mを加えた距離以上離れること。 | *同左 | *同左 | |
道路巾員 | 幹線道路 | 7.0m | ||
その他道路 | 5.0m(必要により隅切すること。) | |||
環境保全 | *広告物の設置については、建築物の屋上に看板等を設けないものとする。 *建築物、その他の工作物の壁面への塗料広告、蛍光塗料等の使用は避けるものとする。 *塀、その他の遮へい物は、やむを得ない場合を除き、できる限り設けないものとする。 | |||
その他 | *建築物の周辺には、できる限り空き地を設け、緊急自動車の進入等安全と、降雪期の除排雪が容易に行えるよう配慮するものとする。 | |||
*別荘地内には、分譲集合住宅、営業用施設等の建築は、できないものとする。 | *分譲集合住宅等の建築は、できないものとする。 |
別表第3(第6条関係)
し尿浄化槽設置及び汚水処理基準
1 村が設置する下水道計画区域については、下水道への放流を原則とする。
2 し尿浄化槽の設置が望ましくない区域は、次のとおりとする。
(1) 浄化槽に用いる洗浄水を十分に確保することができない区域
(2) 水道の未設置又は普及率が低く、このため大多数の住民が井戸水等を飲用水に使用している区域
(3) 水道の水源等環境保全を必要とする区域
(4) 別荘等季節的にのみ使用する施設
3 し尿浄化槽を設置する場合は、原則として合併処理によるものとする。
4 し尿浄化槽を設置する場所は、維持管理が容易に行えるところとする。
5 し尿浄化槽から排出する放流水又は雑排水は、河川放流を原則とするが、この場合においては、あらかじめ河川管理者等と充分協議し、承諾を得るものとする。
6 し尿浄化槽からの放流水又は雑排水を河川放流できない場所での放流を、用水路とするときは、その用水が年間を通して流水し希釈水量を保有する旨の調査を行い当該用水路の利権者と協議し、放流することが支障ない旨の承諾を得なければならない。なお、側溝、雨水溝等へ排水はしないものとする。
7 一般専用住宅及びこれに準ずる施設から排出される雑排水は、三槽式沈殿槽等により処理し、浄化槽の放流水は、保健所等の指示を受けるものとする。
8 地下浸透は、地下水の汚染等好ましくないので行わないものとする。
別表第4(第7条関係)
事前協議書類
書類名 | 特に明示すべき事項 | |
図面縮尺 | ||
1 位置図・案内図 | 1/50,000 | |
2 公図の写し | ||
3 開発の設計図書 | 1/100~1/500 | 排水処理等を含む。 |
4 建築確認を得ようとする内容の分かるもの | 計画の概要等 | |
5 近隣・利害関係者の同意書 | 建設、雑排水放流及び景観への影響等 | |
6 農地については、農地転用許可を得ようとする内容の分かるもの | 許可申請の内容 | |
7 林地については、林地開発許可を得ようとする内容の分かるもの | 許可申請の内容 | |
8 河川管理者等の同意書 | 排水処理許可等 | |
9 用水路管理者等の同意書 | 排水処理許可等 | |
10 開発地周辺の現況写真 | 30m位離れた地点からの景観形成上の写真 | |
11 既存建物が同一敷地内にある場合は、全体の分かる計画平面図 | 1/100~1/500 | 2階以上の建物は、階ごとに別葉とする。 |
12 開発地が借地の場合は、契約書の写し | ||
13 土地家屋調査士作成の境界線等の判る図面 | 1/100~1/500 | 敷地界、道路・用水界等 |
14 別荘地の場合は、管理責任者の選任と承諾書の写し | ||
15 別荘地の場合は、譲渡者に対する譲渡証明書 | 譲渡条件には、小谷村開発事業等指導要綱の遵守を明記すること。 |