○和光市健全な財政運営に関する条例
平成24年12月20日
条例第28号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 財政運営の指針(第5条―第15条)
第3章 計画的な財政運営(第16条―第19条)
第4章 雑則(第20条)
附則
市は、総合計画に掲げる将来都市像を市民と共有し、その実現に向けた市民との協働によるまちづくりを進めている。
この将来都市像を実現するためには、将来を見据えて、施策を着実に進めていくことが重要であり、限られた財源の中で、財政の健全性を保ちながら、計画的かつ効率的な財政運営を行っていく必要がある。
そこで、財政運営の基本的事項を定め、計画的な財政運営の仕組みを構築し、将来世代に過度な負担を残すことのない安定した財政運営を確保し、もって市民の福祉の向上に寄与するため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市の財政運営に関し基本的な事項を定めることにより、健全な財政運営の確保を図り、もって市民の福祉の向上に資することを目的とする。
(1) 総合計画 市政運営の最も基本的な計画で、総合的かつ計画的な行政運営の指針となるものをいう。
(2) 中期財政計画 中期的な期間における各年度の財政見通しをいう。
(3) 行政経営方針 中期財政計画を踏まえ、総合計画に基づく施策の方向性及び優先度を示した方針で、実施計画策定の指針となるものをいう。
(4) 実施計画 総合計画に基づく施策及び方針を戦略的に推進するため、事業の優先度を明確にした計画で、予算編成の指針となるものをいう。
(5) 個別計画 総合計画以外の計画で、特定の行政分野において個別的に策定されたものをいう。
(財政運営の基本方針)
第3条 市は、将来に責任を持ち、持続可能な財政構造を構築するとともに、透明性の高い財政運営を行わなければならない。
2 市は、中長期的な財政見通しの下に、計画的かつ効率的な財政運営を行わなければならない。
(市長の責務)
第4条 市長は、前条に規定する財政運営の基本方針に基づき財政を健全に運営しなければならない。
2 市長は、総合的かつ計画的な行政運営を行うため、総合計画を議会の議決を経て策定しなければならない。
3 市長は、地方自治法(昭和22年法律第67号)その他関係法令の趣旨を踏まえ、財務に係る事務を適切に執行しなければならない。
第2章 財政運営の指針
(歳入の確保及び歳出の見直し)
第5条 市長は、歳入について、増収を図るための方策を検討するとともに、公租公課等の適切な徴収に努めなければならない。
2 市長は、歳出について、継続的な事務の見直し及び合理化並びに計画的かつ効率的な予算執行に努めなければならない。
(公共施設その他の資産の管理)
第6条 市長は、公共施設その他の資産を、次に掲げるところにより、長期的な観点から適切に管理しなければならない。
(1) 維持及び修繕に要する見込みの費用を計算すること。
(2) 前号の費用及び使用の状況等を踏まえ、用途の見直し、統廃合等の可能性を検討すること。
(資金運用)
第7条 市長は、資金を効率的に運用し、かつ、損失が生じないよう適切に管理しなければならない。
(基金)
第8条 市は、市税収入の急激な減少、災害発生その他緊急を要し、かつ、必要やむを得ない行政需要に対応するため、適当と認められる額の資金を財政調整基金に留保しなければならない。
2 市は、安定した財政運営に資するため、資金の留保の必要が認められる事業については、当該事業のための基金(以下「特定目的基金」という。)を設置し、計画的に資金の積立てを行うよう努めなければならない。
(起債)
第9条 市は、地方債の発行(以下「起債」という。)に当たっては、次に掲げる事項に留意し、起債の適否、限度額等を決定しなければならない。
(1) 起債以外の財源調達の可能性
(2) 将来において当該地方債の償還を市民が負担することの妥当性
(3) 後年度の財政運営に与える影響
2 市は、毎年度の起債の合計額が地方債元金償還額を下回るよう努めなければならない。ただし、重要性又は緊急性の高い行政課題に対応するため特に必要があると認める場合については、この限りでない。
3 市長は、前項ただし書の規定により起債を行うときは、その理由を明らかにしなければならない。
(使用料等の見直し)
第10条 市は、使用料、手数料、負担金等について、受益と負担の関係を考慮し、定期的に見直しを行わなければならない。
(補助金等の見直し)
第11条 市長は、補助金等について、公益性、公平性、有効性等の観点から、定期的に見直しを行わなければならない。
(委託料等の見直し)
第12条 市長は、委託料等について、有効性、効率性等の観点から、定期的に見直しを行わなければならない。
(情報の公表)
第13条 市長は、市民及び議会に対して財政に関する情報を積極的に公表しなければならない。
(財務諸表の作成及び公表)
第14条 市長は、毎年度、次に掲げる財務諸表を作成し、これを議会に報告するとともに、公表しなければならない。
(1) 貸借対照表
(2) 行政コスト計算書
(3) 純資産変動計算書
(4) 資金収支計算書
2 前項各号の財務諸表は、次に掲げる区分ごとに作成されなければならない。
(1) 普通会計に係る財務諸表
(2) 普通会計及び公営事業会計並びに市が出資する法人等に係る会計を連結した財務諸表
(財政運営判断指標の算定及び公表)
第15条 市長は、毎年度、会計管理者から決算の提出を受けた後、速やかに次に掲げる財政運営判断指標を算定し、これを議会に報告するとともに、公表しなければならない。
(1) 経常収支比率
(2) 財政調整基金比率
(3) 地方債残高比率
(4) 人口1人当たりの地方債現在高
(5) 実質公債費比率
(6) 将来負担比率
(7) 特定目的基金を含めた実質単年度収支
第3章 計画的な財政運営
(中期財政計画の策定)
第16条 市長は、毎年度、総合計画との整合性を図った上で、中期財政計画を策定し、これを議会に報告するとともに、公表しなければならない。
2 中期財政計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
(1) 一般会計及び特別会計の歳入歳出見込額
(2) 財政調整基金及び特定目的基金の現在高見込額
(3) 地方債の現在高見込額
(4) 財政運営判断指標の見込み
(5) 財政運営判断指標の目標値
(実施計画の策定)
第17条 市長は、毎年度、行政経営方針に基づき、実施計画を策定しなければならない。
(個別計画の策定)
第18条 市長は、個別計画の策定に当たっては、中期財政計画との整合性及び当該計画に要する費用を考慮し、その実効性を高めるよう努めなければならない。
(予算の編成)
第19条 市長は、予算の編成に当たっては、実施計画との整合性を図らなければならない。
第4章 雑則
(委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成25年4月1日から施行する。