○輪之内町まちづくり基本条例

平成22年3月12日

条例第1号

輪之内町は、濃尾平野の南西に位置し、西に揖斐川、東に長良川の2大河川に囲まれた「輪中地帯」の町です。その清流にはぐくまれた豊かな自然と培われてきた風土を生かし、輪中文化を受け継ぐ田園のまちとして発展してきました。

一方、厳しい自然や幾多の水害を克服し、公益と開拓の精神をもって今日の繁栄を築いてきた先人たちの英知と努力を忘れてはなりません。

今、新たな地方分権型社会を構築していくにあたり、私たち町民は、自ら考え自ら創り自ら行うという主体者意識と、町の多種多様化する町民ニーズに真摯に対応する努力により、お互いの立場を尊重した協働社会を構築すること、さらにすべての子供たちが、ふるさと輪之内町に誇りを持ち、国際感覚を身につけ、夢と希望を抱き健やかに成長できる活力ある町を築き上げていくことが求められています。

そのためには、町民自らがまちづくりに積極的に参画し、町民、議会及び町が情報を共有しながら協働のまちづくりの基本理念を明らかにし、安心して日々暮らせる『住んでいて良かった、これからもずっと住み続けたいと実感できるまち』をつくるため、ここに輪之内町まちづくり基本条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、輪之内町のまちづくりの基本的事項と私たち町民、議会及び町のそれぞれの権利や責務を明らかにし、協働して取り組むための仕組みと方針を定め、輪之内町の自治の実現を図ることを目的とする。

(用語の定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 町民 まちづくりの主体者であり、輪之内町に住み、働き、学び、活動する人及び町内の事業者をいう。

(2) 町 町長その他の執行機関及びその職員をいう。

(3) 議会 町議会及びその議員をいう。

(4) まちづくり 住みよいまち、豊かな地域社会をつくるために積極的に町民が参画し、協働による行われる町政及び全ての公益的な取り組みをいう。

(5) 参画 町の施策の企画立案から実施、評価、改善に至る各段階において、町民が主体的に参加することをいう。

(6) 協働 町民及び町がそれぞれの果たすべき役割を認識し、相互に協力して行動し、まちづくりに取り組むことをいう。

(7) コミュニティ 町民が住みよいまち及び豊かな地域社会をつくるために、地域及び共通の関心による町民同士の多様なつながり、組織及び集団をいう。

(まちづくりの基本理念と基本施策)

第3条 まちづくりは、主体者である私たち町民と議会及び町が、それぞれに果たすべき責任と役割を分担しながら、相互に補完し協力して進めることを基本とし、次に掲げるまちづくりを推進するものとする。

(1) 豊かな自然環境を大切にするとともに、環境問題を地球規模で捉え推進するまちづくり。

(2) 危機管理意識を高く持ち、防犯・防災に強い安全・安心して暮らせるまちづくり。

(3) 経済・産業が豊かで、町内に働く場がある環境を創出し、みんなが生き生きと働けるまちづくり。

(4) 生涯現役で生きがいの溢れる生涯学習を推進するまちづくり。

第2章 情報の共有

(情報共有の原則)

第4条 私たち町民、議会及び町は、まちづくりに関する必要な情報をできる限り相互に提供し、当該情報を共有することを基本に進めなければならない。

(情報への権利)

第5条 私たち町民は、町が行う施策について必要な情報を受け、自ら取得する権利を有するとともに、町は町の保有する情報を積極的に公開及び提供しなければならない。

(個人情報の保護)

第6条 町は、個人の権利やプライバシーが侵害されないよう、個人情報の収集、利用、提供、管理等について必要な措置を講じなければならない。

第3章 町民の権利、責務及びコミュニティの役割

(まちづくりに参画する権利)

第7条 私たち町民は、まちづくりに関する情報を知る権利及びまちづくりに関して参画する権利を有する。

2 私たち町民は、それぞれの町民が国籍、年齢、性別、心身の状況、社会的又は経済的環境等の違いによりまちづくりに固有の感心、期待等を有していることに配慮し、まちづくりの参画についてお互いが平等であることを認識しなければならない。

(まちづくりにおける町民の責務)

第8条 私たち町民は、まちづくりの主体者であることを自覚し、まちづくりへの参画が自治の実現につながることを認識するとともに良識的視点を持ち、自らの発言と行動に責任を持たなければならない。

(コミュニティの役割)

第9条 私たち町民は、心豊かな生活を送ることを目的として、コミュニティがまちづくりの重要な担い手であることを認識し、コミュニティを守り育てるよう努めなければならない。

2 私たち町民は、緊急時において相互に助け合って活動ができるよう、地域社会における連帯意識を深めるよう努めるものとする。

第4章 議会の役割と責務

(議会の役割と責務)

第10条 議会は、議員によって構成された議決機関として、まちづくりに関し、町の施策を中長期的な広い視野にたって審議し、意思決定をしていくものとする。

2 議会は、町政運営を監視し、牽制する機能を十分に果たしていくものとする。

3 議会は、町政の審議・議決機関であることの責任を認識し、意思決定に臨むとともに、町政を点検し、その改善を求め、活動するものとする。

4 議会は、保有する情報を積極的に公開し、又は提供し開かれた議会の運営に努めるものとする。

第5章 町、町長及び職員の役割と責務

(町の役割と責務)

第11条 町は、第3条各号に掲げるまちづくりの施策を推進するため、主体者である町民のニーズを的確にとらえ反映できるようこの条例の基本理念に基づき総合的な町政の運営に努めるものとする。

2 町は、私たち町民の主体的なまちづくり活動の参画機会を確保し、幅広く意見を聴取する環境づくりに努め、協働して進めなければならない。

3 町は、重要な施策の立案、実施、評価及び改善について、透明性、スピード感及び明確なビジョンをもって町民に分かりやすく説明する責務を有する。

4 町は、次の各号に掲げる方法により、町民がまちづくりへの参画ができるよう努めるものとする。

(1) 審議会その他の附属機関における委員の公募。

(2) パブリックコメントの実施。

(3) 意向調査の実施。

(4) 前各号に掲げるもののほか、適切と判断される方法。

(町長の役割と責務)

第12条 町長は、町が保有する情報を町民が知る権利及びまちづくりに参画する権利を保障するとともに、まちづくりの施策を実現するための調整又は指揮監督に努めなければならない。

2 町長は、協働の仕組みを確立しなければならない。

3 町長は、多様な町民のニーズに適切に対応したまちづくりを推進するため、職員の人材育成を図らなければならない。

(職員の役割と責務)

第13条 職員は、公正かつ効率的に職務を遂行しなければならない。

2 職員は、まちづくりの基本理念にのっとり、職務を遂行しなければならない。

3 職員は、職務の遂行に必要な知識、技能等の向上に努めなければならない。

(コミュニティ活動への支援)

第14条 町は、まちづくりを支え合う自主的及び自立的なコミュニティの役割を認識し、尊重するとともに、その活動を支援するものとする。

第6章 計画の策定等における原則

(計画の策定等における原則)

第15条 町は、総合的かつ計画的な町政の運営を図るための基本構想及びこれを実現するための基本計画(以下「総合計画」という。)を、まちづくりの基本理念にのっとり策定するものとする。

2 町は、総合計画を策定しようとするときは、この条例の基本理念に基づき町民の参画する機会の提供に努めなければならない。

3 町は、総合計画の進行管理を的確に行うものとする。

4 町は、行政分野ごとの計画については、総合計画に即して策定するものとする。

第7章 財政

(予算編成及び執行)

第16条 町は、予算の編成及び執行にあたっては、町の総合計画に即して、計画的な予算編成を行い、町民に分かりやすく公表、説明しなければならない。

2 町は、事務事業における費用対効果を検証する行政評価を踏まえた財政の仕組みを確立しなければならない。

(財政状況の公表)

第17条 町は、財政状況の公表にあたっては、別に条例で定める事項の概要を示すとともに、今後の見通しを併せて町民に分かりやすく公表、説明しなければならない。

(行政評価の実施)

第18条 町は、まちづくりに関する課題や町民のニーズに対応した町政運営を進めるため行政評価を行い、その結果を町民に公表するものとする。

2 前項の行政評価は、まちづくりの変化に照らし、常に適切な方法で行うよう検討し、継続して実施しなければならない。

3 評価を行うときは、町民参画の方法を用いるように努めなければならない。

4 実施の方法については、町長が別に定めるものとする。

第8章 住民投票

(住民投票)

第19条 町長は、町民の生活に影響を及ぼす重要な施策の決定及び変更について、広く町民の意思を直接問う必要があると判断した場合は、住民投票を実施することができる。

2 住民投票を実施する場合において、町長は、住民投票の目的を事前に明らかにし、その投票結果を尊重しなければならない。

3 住民投票の実施に関する手続きその他必要な事項は、それぞれの案件に応じ別に条例で定めなければならない。

第9章 連携

(近隣の地方公共団体等との連携)

第20条 町は、共通する課題の解決を図るため、広域的に進めた方が有益である事業について、インフラ整備等近隣の地方公共団体等との連携及び協力に努めるものとする。

(広域連携)

第21条 町は、他の自治体、国及びその他の機関との広域的な連携を積極的に推進するものとする。

第10章 条例の位置づけ及び見直し

(条例の位置付け)

第22条 この条例は、普遍的かつ実効性のあるまちづくりを推進するうえにおいて、礎となるべきものと位置づけ、他の条例並びに規則、その他の規程、要綱、要領、計画の制定又は改廃をする場合は、この条例に定める事項を尊重し、この条例との整合性を図らなければならない。

(条例の検討及び見直し)

第23条 町は、この条例が、前条の位置づけを堅持し、実効性を担保するため、施行から5年を超えない期間ごとに、所期の目的が達成できているかを検討しなければならない。

2 町は、前項の検討の結果、必要があると認められた場合は、条例の改正を議会に提案するものとする。

3 町は、第1項の検討を行うにあたっては、町民参画の方法を講ずるものとする。

この条例は、平成22年4月1日から施行する。

輪之内町まちづくり基本条例

平成22年3月12日 条例第1号

(平成22年4月1日施行)

体系情報
第1編 規/第1章
沿革情報
平成22年3月12日 条例第1号