○椹野川水系等の清流の保全に関する条例

平成17年10月1日

条例第130号

目次

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 水質の保全

第1節 排水対策(第8条―第14条)

第2節 対象事業場設置に当たっての遵守事項(第15条―第19条)

第3章 水量の保全

第1節 森林の保全(第20条・第21条)

第2節 水の地下浸透(第22条)

第4章 河川環境の保全(第23条―第25条)

第5章 推進体制(第26条・第27条)

第6章 雑則(第28条―第30条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、山口市環境基本条例(平成17年山口市条例第128号)に掲げる基本理念にのっとり、環境の保全上不可欠な健全で豊かな水環境を保全するため、必要な事項を定め、もって健康で文化的な生活の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例における用語の意義は、山口市環境基本条例の規定の例によるもののほか、次に定めるところによる。

(1) 椹野川水系等 椹野川、南若川、幸之江川、土路石川、井関川、長沢川及びこれに接続する河川、湖沼、公共溝きょ、かんがい用水路その他公共の用に供される水路(下水道法(昭和33年法律第79号)第2条第3号に規定する公共下水道で同条第6号に規定する終末処理場を設置しているものを除く。)をいう。

(2) 清流 椹野川水系等の水質、水量、生態系、景観その他の総合的な環境が、人にとって健康な心身を保持し、安全かつ快適な生活を営むことができるように保全され、又は生物にとって生命が脅かされることなく、生態系の均衡が保たれるように保全されている状態にあることをいう。

(3) ディスポーザ モーターに取り付けた刃の回転で生ごみを粉砕し、流水で流す装置をいう。

(4) 事業排水 事業活動に伴い椹野川水系等に排出される水をいう。

(5) 対象事業場 次に掲げる民間の工場又は事業場をいう。

 水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)第2条第2項に規定する特定施設を設置する工場又は事業場のうち、有害物質(同法第2条第2項第1号に規定する物質をいう。)を製造し、使用し、若しくは処理するもので椹野川水系等に水を排出し、若しくは地下に水を浸透させるもの、又は1日当たりの平均的な排出水(同条第5項に規定する排出水をいう。)の量が50立方メートル以上であるもの。

 ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)第2条第2項に規定するダイオキシン類を含む汚水若しくは廃液を排出する特定施設を設置する工場又は事業場

 山口県公害防止条例施行規則(昭和48年山口県規則第46号)第7条第3号に規定する汚水等に係る施設を設置する工場又は事業場

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第8条第1項に規定する一般廃棄物処理施設若しくは同法第15条第1項に規定する産業廃棄物処理施設を設置する工場又は事業場

 その他市長が椹野川水系等の清流を損なうおそれがあると認める工場又は事業場

(6) 協議対象事業場 前号に規定する対象事業場のうち、同号エ及びに係るものをいう。

(市の責務)

第3条 市は、この条例の目的を達成するために、河川、湖沼、公共溝きょ、かんがい用水路その他公共の用に供される水路の管理者(以下「河川管理者等」という。)と連携して、必要な施策を策定し、実施するとともに、市民及び事業者等の自主的な活動が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、椹野川水系等の清流の保全のために必要な知識の普及及び啓発並びに意識の高揚に努めなければならない。

(市民の責務)

第4条 市民は、椹野川水系等の清流が保全されるよう、自ら積極的に取り組むよう努めるとともに、市が前条第1項の規定に基づき実施する施策に協力しなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、自らの事業活動に伴い椹野川水系等の清流を損なうことのないよう、自らの責任と負担において必要な措置を講ずるとともに、市が第3条第1項の規定に基づき実施する施策に協力しなければならない。

(民間の団体の責務)

第6条 民間の団体は、椹野川水系等の清流が保全されるよう、自ら積極的に取り組むよう努めるとともに、市が第3条第1項の規定に基づき実施する施策に協力しなければならない。

(河川管理者等の責務)

第7条 河川管理者等は、自ら管理する河川等を適正に管理するとともに、市、市民及び事業者等と連携して、椹野川水系等の清流が保全されるよう必要な措置を講ずるように努めなければならない。

第2章 水質の保全

第1節 排水対策

(調理くず等の適正処理等)

第8条 何人も、調理くず、廃食用油等を分別処理することにより適正に処理するとともに、洗剤を必要最小限の使用にとどめることその他の方法で適正に使用することにより、椹野川水系等の水質の汚濁(窒素、りんによる汚濁を含む。以下同じ。)の防止に努めなければならない。

2 椹野川水系等に水を排出する者で、ディスポーザを使用するものは、規則で定める方法により行わなければならない。

(事業排水の汚濁の負荷軽減措置)

第9条 事業者は、事業排水を椹野川水系等に排出しようとするときは、水質の汚濁の負荷の軽減に必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、前項の場合において、汚濁の原因となる物質の総量の削減にも努めなければならない。

(開発行為にあたっての水質の汚濁の防止)

第10条 開発行為(山口市の生活環境の保全に関する条例(平成17年山口市条例第129号)第8条第1項に規定する開発行為をいう。以下同じ。)をしようとする者は、水質の汚濁の防止に資するよう、土砂の流出を防止するために必要な措置を講じなければならない。

(勧告及び命令)

第11条 市長は、前条の規定にかかわらず、開発行為をする者が土砂の流出を防止するための措置を講じず、又は水質の汚濁の原因となる水を排出しているときは、汚濁を防止するために必要な措置を講ずるよう勧告し、又は命ずることができる。

(肥料又は農薬の適正使用)

第12条 肥料又は農薬を使用する者は、これらを必要最小限の使用にとどめることその他の方法で適正に使用することにより、椹野川水系等の水質の汚濁の防止に努めなければならない。

(水を排出する際の配慮事項)

第13条 何人も、椹野川水系等に水を排出しようとするときは、法令による定めのあるもののほか、次の各号に配慮することにより、清流の保全に支障を来すことのないようにしなければならない。

(1) 椹野川水系等の水を著しく変化させるような色又はにごりでないこと。

(2) 椹野川水系等の水を著しく変化させるような排水温度でないこと。

(3) 椹野川水系等の水を著しく変化させるような臭気を伴わないこと。

(措置命令)

第14条 市長は、前条の規定に違反して、清流の保全に支障をきたし、又はそのおそれのある水を排出した者に対し、必要な措置を講ずるよう命ずることができる。

第2節 対象事業場設置に当たっての遵守事項

(事前協議等)

第15条 次に掲げる者は、規則で定めるところにより、市長に協議しなければならない。

(1) 本市域内において協議対象事業場を設置しようとする者

(2) 平成16年4月1日において協議対象事業場を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)で、協議対象事業場の施設の構造若しくは規模について変更し、又は事業の範囲について変更しようとする者

2 前項の規定により協議対象事業場を設置している者は、当該協議に係る事項を変更しようとするときは規則で定めるところによりその旨を市長に協議しなければならない。

3 市長は、前2項の規定による協議の内容について、専門的知識を有する者の意見を聴くことができる。

4 市長は、第1項及び第2項の規定による協議をせず、又はその見込みがないと認めるときは、当該事業者に対し期限を定めて協議をするよう勧告し、又は命ずることができる。

(清流保全協定)

第16条 市長は、対象事業場を設置する者と椹野川水系等の清流を保全するために必要な事項を内容とする協定(以下この条において「清流保全協定」という。)を締結することができる。

2 清流保全協定を締結した対象事業場の設置者は、これを遵守しなければならない。

(承継)

第17条 第15条第1項及び第2項の規定による協議をした者並びに前条第1項の規定による協定を締結した者からその協議若しくは協定に係る対象事業場を譲り受け、又は借り受けた者は、当該対象事業場に係る協議をした者若しくは協定を締結した者の地位を承継する。

2 第15条第1項及び第2項の規定による協議をした者並びに前条第1項の規定による協定を締結した者について相続、合併又は分割(その協議若しくは協定に係る対象事業場を承継させるものに限る。)があったときは、相続人、合併後存続する法人、合併により設立した法人若しくは分割により当該対象事業場を承継した法人は、当該協議をした者又は当該協定を締結した者の地位を承継する。

(水質管理責任者)

第18条 対象事業場を設置する者は、排出する水の水質に関する管理の徹底及び市、市民並びに事業者等との円滑な連携を図るため、水質管理責任者を選任し、規則で定めるところにより市長に届け出なければならない。これを変更したときも同様とする。

2 市長は、前項の規定により届出のあった事項について、市民及び事業者等の求めに応じ開示することができる。

(情報の開示等)

第19条 対象事業場を設置している者は、市、市民及び事業者等の求めに応じ対象事業場の維持管理の状況について情報を開示し、及び理解させることに努めなければならない。

第3章 水量の保全

第1節 森林の保全

(森林の保護等)

第20条 市は、水源かん養のために森林(森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に規定する森林をいう。以下同じ。)が果たす役割の重要性を認識し、その啓発に努めるとともに、自ら管理する森林の保護及び育成に努めなければならない。

2 市民及び事業者等は、森林が果たす役割の重要性を認識し、森林の保護及び育成に努めなければならない。

(森林の公有化)

第21条 市は、担い手の不在その他の事情により十分な管理ができなくなった森林について、所有者からの申出があったときは、公有化することに努めなければならない。

第2節 水の地下浸透

(地下浸透への配慮)

第22条 土地の所有者又は占有者は、その土地の利用に当たっては、雨水の地下浸透に配慮しなければならない。

2 雨水を地下浸透させる者は、地下水が汚染されることのないように努めなければならない。

第4章 河川環境の保全

(河川美化活動の推進)

第23条 市は、市民、事業者等と連携して、河川管理者とともに河川の美化に努めなければならない。

2 河川美化活動を行う者は、動植物の生息地の保全に配慮しなければならない。

(河川美化協定)

第24条 市長は、自ら管理する河川区域(河川法(昭和39年法律第167号)第6条第1項に規定する河川区域をいう。)において継続的に美化活動を実施しようとする市民及び事業者等と河川美化協定を締結することができる。

2 市長は、前項の市民及び事業者等の活動が河川美化協定の目的に適合しなくなったと判断したときは、当該協定を解除することができる。

(支援)

第25条 市長は、前条第1項に規定する河川美化協定を締結した市民及び事業者等の活動に対し、必要な支援をすることができる。

第5章 推進体制

(調査等)

第26条 市は、椹野川水系等の清流を保全するため、関係機関との連携のもと必要な調査及び監視を行うものとする。

(山口市環境審議会への諮問)

第27条 市長は、この条例を推進していく上で重要な事項について、山口市環境審議会に諮問することができる。

第6章 雑則

(報告及び検査)

第28条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、関係者に対して、必要な事項について報告を求め、当該職員に、その者の工場、事業所、土地又は建物に立ち入り、施設その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 市長は、第1項の報告をせず、又は検査を拒んだ者に対し、必要な報告をし、若しくは検査を受け入れるよう勧告し、又は命ずることができる。

(公表)

第29条 市長は、第11条第14条第15条第4項及び前条第3項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときであって、椹野川水系等の清流を保全するために必要があると認めるときは、その旨を公表することができる。

(委任)

第30条 この条例の施行に関し、必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成17年10月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の椹野川水系等の清流の保全に関する条例(平成15年山口市条例第28号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。

椹野川水系等の清流の保全に関する条例

平成17年10月1日 条例第130号

(平成17年10月1日施行)

体系情報
第8編 生/第3章 環境保全
沿革情報
平成17年10月1日 条例第130号