○米沢市障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例

平成31年3月25日

条例第7号

全ての人は、障がいの有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されなくてはならない。

しかしながら、障がい及び障がいのある人に対する理解が不足していること、適切な配慮が十分ではないこと等で生じる差別により、障がいのある人が、日常生活の様々な場面で暮らしにくさを感じている。このような差別は、時として、あってはならない虐待を生み、障がいのある人の人権が侵害される深刻な事態を招くこともある。

障がいを理由とする差別をなくすためには、一人ひとりが障がいを身近なこととして受け止め、障がいのある人に対する理解を深め、適切な配慮について学び、実践していくことが必要である。

私たちは、障がいを理由とする差別の解消を推進し、「なせば成る」の精神をもって、障がいのある人もない人も互いの違いを認め合いながら共に生きることのできるまちを目指すことを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、障がいを理由とする差別の解消の推進に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、障がいを理由とする差別の解消に向けた施策の基本となる事項を定めることにより、全ての市民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、住み慣れた地域の中で支え合いながら暮らしていくことのできる共生社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 障がい者 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がい(以下「障がい」と総称する。)がある者であって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

(2) 社会的障壁 障がい者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

(3) 障がいを理由とする差別 障がいを理由として障がい者でない者と不当な差別的取扱いをすること又は社会的障壁を取り除くための合理的な配慮をしないことをいう。

(4) 合理的な配慮 障がい者が障がい者でない者と同じように生活できるよう、性別、年齢及び障がいの状態に応じて、必要かつ適切な変更又は調整(その実施に伴う負担が過度に重いものを除く。)を行うことをいう。

(5) 市民 市内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。

(6) 事業者 市内において商業その他の事業を行う者をいう。

(基本理念)

第3条 障がいを理由とする差別の解消の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

(1) 市民は、障がいの有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されること。

(2) 障がい者は、個人としてその尊厳が重んぜられ、社会を構成する一員として等しく社会参加の機会が確保されること。

(3) 障がい者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段及び生活する地域についての選択の機会が確保されること。

(4) 市民及び事業者は、互いに協力して、障がい及び障がい者に対する理解の推進に取り組むこと。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、障がい及び障がい者に対する市民及び事業者の理解を深め、障がい者の権利の擁護及び障がいを理由とする差別の解消に向けて、必要な施策を推進しなければならない。

2 市は、市民及び事業者と協力して、障がいを理由とする差別の解消の推進に取り組まなければならない。

(市民等の役割)

第5条 市民及び事業者は、基本理念に基づき、障がい及び障がい者に対する理解を深め、障がいを理由とする差別の解消に向けた施策に協力するよう努めるものとする。

2 障がい者(障がい者が意思表示を行うことが難しい場合にはその家族、障がい者を支援する者等。次条第2項及び第7条第2項において同じ。)は、合理的な配慮が必要なときは、配慮の内容について、周囲の人々に伝えるよう努めるものとする。

(市における障がいを理由とする差別の禁止)

第6条 市は、その事務又は事業を行うに当たり、障がいを理由とする差別をすることにより、障がい者の権利利益を侵害してはならない。

2 市は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者から現に社会的障壁を取り除く必要がある旨の意思の表明があった場合には、障がい者の権利利益を侵害することのないよう、合理的な配慮をしなければならない。

(事業者における障がいを理由とする差別の禁止)

第7条 事業者は、その事業を行うに当たり、障がいを理由とする差別をすることにより、障がい者の権利利益を侵害してはならない。

2 事業者は、その事業を行うに当たり、障がい者から現に社会的障壁を取り除く必要がある旨の意思の表明があった場合には、その障がい者の権利利益を侵害することのないよう、合理的な配慮をしなければならない。

(令5条例24・一部改正)

(広報及び啓発)

第8条 市は、障がいを理由とする差別の解消に向けた施策を推進するために必要な広報及び啓発に取り組むものとする。

(学習及び理解の促進)

第9条 市は、障がい及び障がい者に対する市民の理解を深めるため、障がいについて学ぶ機会を提供するものとする。

(就労の支援)

第10条 市は、障がい者が就労により自立した生活を営むことができるようにするため、障がい者が必要とする就労に係る相談に応じ、及び支援を行うものとする。

2 市は、公共職業安定所その他の関係機関と連携し、事業者に対し、障がい者の雇用の促進に関する啓発を行うものとする。

3 事業者は、障がい者の障がいの特性を理解し、その雇用の機会を広げるとともに、就労の定着を図るよう努めるものとする。

(建物その他の施設の管理等)

第11条 市は、建物その他の施設を整備する場合には、障がい者の意見の把握を行うとともに、合理的な配慮をするものとする。

2 市は、建物その他の施設の管理に当たっては、障がい者の意見の把握を行うとともに、合理的な配慮をするものとする。

3 不特定多数の者の利用に供される建物その他の施設又は公共交通機関の管理をする者は、障がい者がこれらの施設等を利用する場合には、合理的な配慮をするよう努めるものとする。

(意思疎通支援の充実)

第12条 市は、意思疎通の困難な障がい者に対し、サービス若しくは情報を提供し、又はその意思の表示を受ける場合において、その意思疎通が円滑に行われるよう、合理的な配慮をするために必要な体制の整備その他の意思疎通に関する支援の充実を図るものとする。

2 市は、事業者に対し、意思疎通を図ることが困難な障がい者に対してサービス若しくは情報を提供し、又はその意思の表示を受ける場合における合理的な配慮の必要性に関する啓発及び配慮の方法に関する情報の提供を行うものとする。

(相談体制の整備)

第13条 市は、障がいを理由とする差別に関する相談(以下「相談」という。)に的確に対応するため、必要な相談体制の整備を図るものとする。

2 市は、相談を受けた場合には、必要に応じ、次に掲げる対応をするものとする。

(1) 相談をした者に必要な情報の提供及び助言

(2) 相談に係る事実の確認及び関係者間の調整

(3) 関係行政機関との連絡調整

(協議の場の設置)

第14条 市は、障がいを理由とする差別の解消に向けた施策を効果的かつ円滑に行うため、障がい者関係団体、福祉関係団体、就労支援機関、教育機関その他の関係者による協議の場を設けるものとする。

2 前項の協議の場においては、必要な情報を交換するとともに、関係者相互の連携を図るものとする。

この条例は、平成31年4月1日から施行する。

(令和5年12月15日条例第24号)

この条例は、令和6年4月1日から施行する。

米沢市障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例

平成31年3月25日 条例第7号

(令和6年4月1日施行)