○湯河原町火災予防査察規程
平成28年5月27日
消防告示第1号
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第4条及び第16条の5の規定に基づく立入検査その他防火の指導等(以下「査察」という。)について、必要な事項を定めるものとする。
(用語)
第2条 この規程において使用する用語は、法及び条例において使用する用語の例による。
(立入検査)
第3条 立入検査は、法第4条及び第16条の5の規定に基づき消防対象物に立ち入り、その位置、構造、設備及び管理の状況について検査及び質問を行い、法令違反及びその他の不備欠陥事項(以下「不備欠陥事項等」という。)について関係者に指摘し、自主的な是正を促す作用をいう。
2 消防長は、火災予防の目的を達成するため、査察の対象となる消防対象物(以下「査察対象物」という。)の用途、収容人員、管理状況等から火災の危険性を判断し、行政上必要と認めた査察対象物に対し、適切に立入検査を実施し、積極的に安全の確保を図らなければならない。
3 立入検査は、法令義務の履行状況の確認等、自主管理の実効性に着目して実施するものとする。
4 立入検査によって発見した不備欠陥事項等に対する改善指導に当たっては、当該内容を関係者に対して直接具体的に指摘するとともに、十分な指導を行い、関係者の理解と認識によって自主的な履行がなされるよう努めるものとする。
(査察職員)
第4条 査察職員とは、立入検査に従事する消防職員をいう。
2 査察職員は、立入検査を行うために必要な知識技術を習得し、適正な業務の推進を図るとともに、行政に対する信頼を高めるよう努めなければならない。
(査察対象物)
第5条 査察対象物は、別表のとおりの区分とする。
(1) 第1種査察対象物 1年に1回以上
(2) 第2種査察対象物 2年に1回以上
(3) 第3種査察対象物 3年に1回以上
(4) 第4種査察対象物 5年に1回以上
4 第2項第4号に規定する査察対象物で、特に火災の危険及び人命の危険の少ないものについては、査察を省略することができる。
5 査察対象物の査察を執行する場合は、これと同一管理下にあり火災予防上関連のある防火対象物についても行うものとする。
(関係行政機関との連携)
第6条 消防長は、立入検査において覚知した他法令の防火に関する規定の違反については、関係行政機関に通知し、是正の促進を要請するとともに、十分な連携を図り、その改善指導に努めるものとする。
(査察対象物関係の資料整備等)
第7条 消防長は、査察対象物に関する資料について、次に定めるところにより整備しておかなければならない。
(2) 前号に規定する資料については、立入検査業務のほか、消防活動等においても活用できるよう配慮するものとする。
(立入検査計画の策定)
第8条 消防長は、査察対象物の危険の実態、自主管理状況及び過去の立入検査結果を勘案して、立入検査計画を策定するものとする。
(立入検査の項目)
第9条 立入検査は、火災予防及び人命の安全を主眼とし、査察対象物の状況に応じ、次に掲げるものの位置、構造、設備、管理の状況等の全部又は一部について行うものとする。
(1) 建築物その他の工作物
(2) 消防用設備等
(3) 火気使用設備及び器具
(4) 電気設備及び器具
(5) 危険物及び指定可燃物
(6) 圧縮アセチレンガス、液化石油ガスその他の火災予防又は消防活動に重大な支障を及ぼすおそれのある物質
(7) 消防計画及び予防規程
(8) 防炎物品
(9) 防火管理者、危険物取扱者、危険物施設保安員及び危険物保安監督者の業務
(10) 避難管理
(11) 前各号に掲げるもののほか、必要と認めるもの
(立入検査の要領)
第10条 立入検査に当たっては、消防計画又は予防規程及び自主検査結果記録簿に基づき査察対象物の関係者が行った自主管理状況の記録等を確認するものとする。
2 検査箇所は、火災の危険性に着目し、査察対象物の実態に応じて行うものとする。
3 消防用設備、防火避難施設等の検査に当たっては、火災発生時を想定し、有効に活用し得るか否かを確認するよう努めなければならない。
4 検査項目に不備欠陥事項等があると認めたときは、関係者に指導を行うものとする。
5 立入検査は、消防活動面に十分配慮して行うものとする。
(立入検査の留意事項)
第11条 立入検査に当たっては、次のことに留意するものとする。
(1) 次に掲げる立入検査を行う場合は、原則として、関係者に対し事前に連絡しないものとする。
ア 査察対象物の法令違反の実態が正確に把握できないおそれのあるとき。
イ 法令違反があることの通報を受けて行うとき。
ウ 事前の連絡を行う相手方の特定が困難なとき。
(2) 関係者に努めて立会いを求めること。
(3) 正当な理由がなく立入検査を拒み、妨げ、又は忌避する者がある場合は、立入検査の要旨を十分説明し、なお応じない場合は関係者の忌避等の理由を確認するとともに、上司に報告して指示を受けること。
(4) 機器の操作については、関係者に操作することを求めること。
(5) 関係者の民事上の紛争に関与しないこと。
(関係者に対する立入検査結果の通知)
第12条 査察職員は、立入検査の結果、査察対象物に不備欠陥事項等が認められる場合は、当該関係者に対して、立入検査結果通知書(様式第3号)により指摘事項等を通知するものとする。ただし、内容が軽易なものについては、口頭によることができる。
(立入検査結果の報告)
第13条 査察職員は、立入検査を行ったときは、前条の立入検査結果通知書を添付して、速やかに消防長に報告しなければならない。
(改修の報告)
第14条 関係者に通知した不備欠陥事項等については、改修(計画)報告書(様式第4号)により、関係者に報告を求めるものとする。
3 改修予定日が、社会通念上又は火災予防上妥当と認められない場合には、履行義務者に対し必要な指導を行うものとする。
(不備欠陥事項等の確認、調査等)
第15条 査察職員は、立入検査により指摘した不備欠陥事項等については、違反是正の進行管理を図るとともに、その是正状況について確認又は調査をするものとする。
(資料の提出)
第16条 消防長は、法第4条又は第16条の5の規定による資料(査察対象物の実態を把握するために必要な既存の文書その他の物件をいう。以下同じ。)は、関係者に対し任意の提出を求めるものとする。ただし、これにより難い場合で資料の提出を命ずるときは、資料提出命令書(様式第5号)を交付するものとする。
2 資料の提出者が提出した資料の所有権を放棄する旨の意思表示をした場合は、提出資料受領書(様式第8号)を交付するものとする。
3 資料の提出者が提出した資料の返却の意思表示をした場合は、提出資料保管書(様式第9号)を交付するものとする。
4 前項の提出資料保管書を交付したときは、当該提出資料は、紛失しないよう保管するものとする。
5 保管の必要がなくなった提出資料は、当該提出資料の提出者に返却するものとする。
(報告徴収)
第18条 資料以外のもので火災予防上必要と認められる事項については、関係者に対し任意の報告を求めるものとする。ただし、これにより難い場合で報告を求めるときは、報告徴収書(様式第10号)を交付するものとする。
(危険物の収去)
第19条 査察職員は、法第16条の5の規定により、危険物であることの疑いのある物を収去するときは、収去書(様式第12号)を関係者に交付するものとする。
(執行状況の報告)
第20条 査察職員は、査察の執行状況について、定期に消防長に報告するものとする。
2 消防長は、特に必要があると認めるときは、査察職員に査察の執行状況について報告を求め、又は査察に関し必要な指示をするものとする。
(執行方針及び査察の執行体制の見直し)
第21条 消防長は、査察の執行状況を管理し、毎年度、執行方針及び査察の執行体制の見直しを行うものとする。
(違反処理)
第22条 消防長は、関係者による不備欠陥事項等の自主的な改善が期待できない場合で、火災予防上著しく支障があると認める場合又は火災が発生したならば人命に危険があると認める場合には、湯河原町火災予防違反処理規程(平成28年湯河原町消防告示第2号)の定めるところにより、違反処理を行うものとする。
(その他)
第23条 この規程に定めるもののほか、立入検査に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この規程は、平成28年5月27日から施行する。
(湯河原町火災予防査察規程の廃止)
2 湯河原町火災予防査察規程(昭和46年湯河原町消防告示第5号)は廃止する。
別表(第5条、第7条関係)
査察対象物区分
区分 | 政令対象物等 | 危険物施設等 |
第1種査察対象物 | 1 防火対象物定期点検報告制度に該当する防火対象物 2 前号以外で、特に火災危険が高いと消防長が認めた対象物 | 特に火災危険が高いと消防長が認めた対象物 |
第2種査察対象物 | 特定防火対象物のうち、防火管理者選任義務があり、防火管理者選任届及び消防用設備等点検報告の双方又はいずれかがなされていない対象物 | 1 災害発生率等の高い危険物製造所等のうち、条件に2以上該当する対象物 2 災害発生率等の低い危険物製造所等のうち、条件に全て該当する対象物 |
第3種査察対象物 | 1 特定防火対象物のうち、防火管理者選任義務があり、第2種査察対象物以外の対象物 2 非特定防火対象物のうち、防火管理者選任義務がある対象物 | 1 災害発生率等の高い危険物製造所等のうち、条件に該当するものが1以下の対象物 2 災害発生率等の低い危険物製造所等のうち、条件に2つ又は3つ該当する対象物 |
第4種査察対象物 | 1 特定防火対象物のうち、防火管理者選任義務がない対象物 2 非特定防火対象物のうち、防火管理者選任義務がない対象物 3 少量危険物貯蔵取扱所 4 指定可燃物貯蔵取扱所 5 その他の消防対象物 | 1 災害発生率等の低い危険物製造所等のうち、条件に該当するものが1以下の対象物 2 高圧ガス関係施設 3 危険物運搬車両等 |
備考
1 政令対象物とは、消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第一に規定する防火対象物をいう。
2 災害発生率の高い危険物製造所等とは、移動タンク貯蔵所、給油取扱所(セルフサービスの給油所に限る。)又は一般取扱所(焼入れ槽を有するものに限る。)をいう。
3 災害発生率の低い危険物製造所等とは、災害発生率の高い危険物製造所等以外のものをいう。
4 条件とは、次のことをいう。
(1) 定期点検が義務付けられているもの
(2) 埋設後15年以上の地下タンクがあるもの
(3) 低引火点危険物等(引火点40度未満の第4類危険物及び灯油並びに軽油をいう。)を貯蔵し取り扱うもの
(4) 保安監督者の選任義務があり、保安監督者選任届がなされていないもの
5 その他の消防対象物とは、変電設備又は避雷針設備で単独で存在するもの及びその他の工作物等をいう。
6 その他の工作物等は、人為的に地上又は地中に作られたもので、トンネル(高速道路、鉄道軌道等)又は洞道(電力、電話、下水道等)等で工事中のものを含む。