○逗子市男女平等参画及び多様性を尊重する社会を推進する条例

令和4年6月20日

逗子市条例第10号

私たちの国では、個人の尊重と法の下の平等がうたわれている日本国憲法の下、国際連合が定める「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」を批准し、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)を制定するなど、国際社会における取組と協調しつつ、男女平等参画社会の実現に向けた様々な取組が進められています。

逗子市においても、1996年(平成8年)に「ずし女性プラン」を策定して以降、計画の名称変更や改定を行いながら、男女平等参画社会の実現に向けた取組を計画的に進めています。

しかしながら、性別による役割分担意識とそれに基づく社会制度や慣行は根強く存在しており、特に政治経済分野の意思決定において女性の参画は少なく、また、家庭での家事、育児、介護は、未だ女性に多く偏っています。加えて、性的指向や性自認等を理由とする差別や偏見等の課題もあり、国際化や人々の価値観の多様化が進む中、男女平等参画及び多様性を尊重する社会の実現の重要性は増しています。

このような状況を踏まえ、これから私たちの住む逗子市が、住みやすいまち、豊かで活力に満ちたまちとして発展していくため、全ての人が、社会的責任を分かち合い、ともにあらゆる分野に参画できる社会を目指します。その実現のため、逗子市を構成する市、市民、事業者及び教育関係者が、それぞれの責務を果たし、協働して、性別等、年齢、障がいの有無又は国籍など、それぞれの違いや共通点を認め合い、誰もが孤立せず、自分らしく生きることができるよう、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、男女平等参画及び多様性を尊重する社会の推進について、基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育関係者の責務を明らかにすることにより、誰もが自分らしく安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女平等参画 男女が、社会の対等な構成員として、社会のあらゆる分野における活動に平等に参画でき、均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受し、共に責任を担うことをいう。

(2) 多様性を尊重する社会 性別等、年齢、障がいの有無、国籍及び文化的な背景の違いにかかわらず、全ての人が個人として尊重され、その個性と能力を発揮し、それぞれの違い及び共通点を認め合う調和のある社会をいう。

(3) 市民 市内に居住する者、市内で働く者、市内で学ぶ者その他市内で活動する者をいう。

(4) 事業者 営利、非営利等の別にかかわらず、市内で事業活動を行う個人及び法人その他団体をいう。

(5) 教育関係者 市内において、学校教育、社会教育その他のあらゆる教育に携わる個人及び法人その他団体をいう。

(6) 性別等 生物学的な性別、性的指向、性自認等をいう。

(7) 性的指向 人の恋愛感情や性的な関心が、異性を対象とする異性愛、同性を対象とする同性愛、男女両方を対象とする両性愛、いずれも対象としない無性愛等、どのような性を対象とするかの指向をいう。

(8) 性自認 自分が男性又は女性であるか、その中間であるか、そのどちらでもないか、流動的であるか等の自らの性に対する自己認識をいう。

(9) ワーク・ライフ・バランス やりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭、地域生活等においても、多様な生き方を選択することができることにより、仕事と生活の調和が図られることをいう。

(10) ドメスティック・バイオレンス 配偶者、交際相手その他の親密な関係にある者又はあった者からの身体的、精神的、社会的、経済的又は性的な暴力をいう。

(11) ストーカー行為 ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第4項に規定するストーカー行為をいう。

(12) ハラスメント 他者に対する発言、行動等が、本人の意図に関係なく、相手及び周囲の者を不快にさせ、尊厳を傷つけ、不利益を与え、又は脅威を与えることをいう。

(基本理念)

第3条 男女平等参画及び多様性を尊重する社会の推進は、次に掲げる理念に基づいて行われなければならない。

(1) 全ての人が、性別等にかかわらず個人として尊重され、あらゆる暴力及び差別的な扱いを受けることがないこと。

(2) 全ての人が、性別による役割分担意識に基づく社会制度や慣行にとらわれることなく、個性及び能力を発揮し、自らの意思により多様な生き方を選択できること。

(3) 全ての人に、社会の対等な構成員として、あらゆる分野における活動方針の立案及び決定に平等に参画する機会が確保されること。

(4) 全ての人が、性別に関係なくワーク・ライフ・バランスを実現できること。

(5) 全ての人の妊娠、出産等の性と生殖に関して、個人の意思が尊重され、生涯にわたり健康な生活を営むことができること。

(6) 男女平等参画及び多様性を尊重する社会の推進は、国内及び国際社会の取組と密接に関連していることから、それらの取組と協調して行われること。

(市の責務)

第4条 市は、前条各号の基本理念に基づき、男女平等参画及び多様性を尊重する社会の推進に関する施策を策定し、実施しなければならない。

2 市は、前項の施策を実施するに当たっては、市民、事業者、教育関係者、国及び他の地方公共団体と連携し、協力して取り組まなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、あらゆる分野の活動において、男女平等参画及び多様性を尊重する社会について理解を深め、その推進に努めるものとする。

2 市民は、市が実施する男女平等参画及び多様性を尊重する社会の推進に関する施策に協力し、共に実現するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、男女平等参画及び多様性を尊重する社会についての理解を深め、事業活動及び運営を行うに当たっては、その推進に努めるとともに、就労者が能力を発揮できるよう雇用の分野における均等な機会及び待遇の確保に努めなければならない。

2 事業者は、就労者がワーク・ライフ・バランスを実現できる職場環境の整備に努めなければならない。

3 事業者は、市が実施する男女平等参画及び多様性を尊重する社会の推進に関する施策に協力し、共に実現するよう努めなければならない。

(教育関係者の責務)

第7条 教育関係者は、男女平等参画及び多様性を尊重する社会についての理解を深め、その推進に果たす教育の重要性を認識し、教育を行うよう努めなければならない。

2 教育関係者は、市が実施する男女平等参画及び多様性を尊重する社会の推進に関する施策に協力し、共に実現するよう努めなければならない。

(禁止事項等)

第8条 何人も、性別等による差別的な取扱いその他性別等に起因する人権侵害を行ってはならない。

2 何人も、ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為及び性的な言動等、性的指向、性自認、婚姻、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントをしてはならない。

3 何人も、他人の性的指向又は性自認に関して、公表を強制し、若しくは禁止し、又は本人の意に反して公にしてはならない。

4 何人も、情報の発信に当たっては、性別等による人権侵害に当たる表現又は性別による役割分担を助長し、若しくは連想させる表現を用いないよう配慮しなければならない。

(推進計画)

第9条 市は、男女平等参画及び多様性を尊重する社会の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「推進計画」という。)を策定しなければならない。

2 市は、推進計画を策定するに当たっては、市民、事業者及び教育関係者の意見を反映するよう必要な措置を講じなければならない。

3 市は、推進計画を策定し、又は変更したときは、これを公表しなければならない。

(苦情等への対応)

第10条 市は、性別等による差別的取扱いその他の男女平等参画及び多様性を尊重する社会の推進を阻害する人権侵害について苦情又は相談を受けたときは、関係機関と連携し、解決に努めなければならない。

(委任)

第11条 この条例の施行について必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、令和4年10月1日から施行する。

逗子市男女平等参画及び多様性を尊重する社会を推進する条例

令和4年6月20日 条例第10号

(令和4年10月1日施行)