○大田区狭あい道路拡幅整備条例

平成16年3月16日

条例第26号

(目的)

第1条 この条例は、区民の理解と協力の下に、狭あい道路の拡幅整備を推進することにより、安全で快適な住環境の形成と災害に強いまちづくりに資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 狭あい道路 建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)第42条第2項の規定により指定された道をいう。

(2) 建築主 狭あい道路に接する土地(以下「敷地」という。)に建築物を建築しようとする法第2条第16号の建築主をいう。

(3) 所有者等 敷地について所有権、借地権その他の土地を使用する権利を有する者で建築主以外のものをいう。

(4) 建築主等 建築主及び所有者等をいう。

(5) 後退用地 敷地の一部で、当該敷地と狭あい道路との境界線と、当該狭あい道路の中心線からの水平距離2メートルの線(法第42条第2項ただし書の規定に該当する場合は、がけ地等の道の側の境界線から道の側に水平距離4メートルの線。以下「後退線」という。)との間にある土地をいう。

(6) 隅切り用地 敷地の一部で、東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)第2条の規定により角敷地の建築制限を受ける部分の土地をいう。

(7) 工事施工者等 法第2条第11号の工事監理者、同条第17号の設計者及び同条第18号の工事施工者をいう。

(8) 指定確認検査機関 法第77条の21第1項に規定する指定確認検査機関をいう。

(9) 拡幅整備 後退用地及び隅切り用地(以下「後退用地等」という。)を、道路として一般の通行に支障がない状態に整備することをいう。

(10) 撤去工事等 後退用地等にある塀、擁壁その他の工作物及び樹木を撤去し、又は移設する工事並びに後退線に沿って生け垣、植栽又は塀、擁壁その他の工作物を設置する工事をいう。

(区長の責務)

第3条 区長は、この条例に基づく拡幅整備を行うに当たり、建築主等の理解と協力が得られるよう啓発に努めるとともに、建築主等に対する指導その他必要な措置を講じなければならない。

(建築主等の責務)

第4条 建築主等は、狭あい道路の拡幅整備の必要性を理解し、その実施に協力するよう努めなければならない。

(指定確認検査機関の責務)

第5条 指定確認検査機関は、狭あい道路の拡幅整備の必要性を理解し、その実施に協力しなければならない。

(事前協議)

第6条 建築主は、次の各号のいずれかに該当する行為を行おうとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ拡幅整備について区長と協議を行わなければならない。

(1) 法第6条第1項(法第88条において準用する場合を含む。)に規定する確認の申請

(2) 法第6条の2第1項(法第88条において準用する場合を含む。)に規定する確認を受けるための書類の提出

(3) 法第18条第2項(法第88条において準用する場合を含む。)に規定する計画の通知

2 前項の協議は、次に掲げる事項について行うものとする。

(1) 後退用地等の区域に関すること。

(2) 後退用地等の権原に関すること。

(3) 後退用地等の拡幅整備に係る工事に関すること。

(4) 後退用地等の維持管理に関すること。

(5) 前各号に掲げるもののほか、区長が必要と認める事項

(任意の協議)

第7条 区長は、前条第1項の規定によるもののほか、特に必要があると認めるときは、所有者等に対し、拡幅整備の協議を行うことを申し入れることができる。

2 所有者等は、区長に対し、拡幅整備の協議を行うことを申し入れることができる。この場合において、拡幅整備に係る狭あい道路には、幅員4メートル未満の道で規則に定めるものを含むものとする。

3 前2項の協議においては、前条第2項各号に掲げる事項について、協議を行うものとする。

(後退線の確認)

第8条 区長は、後退線の確認のため必要と認めるときは、建築主等及び工事施工者等に対し、立会いを求めることができる。

(拡幅整備)

第9条 区長は、第6条及び第7条の規定に基づく協議が成立し、建築主等から拡幅整備について承諾を受けたときは、規則で定めるところにより後退用地等の拡幅整備を行うものとする。

2 第6条の規定に基づく協議を行う建築主は、前項の承諾に当たり後退用地等の所有者等から承諾を得るものとする。

(後退用地等の権原)

第10条 建築主等は、前条第1項の規定により拡幅整備を行う後退用地等について、区に寄付し、又は道路敷地として区に無償で使用させることができる。ただし、区が管理していない狭あい道路に接する後退用地等については、この限りでない。

(後退用地等の維持管理)

第11条 拡幅整備を行った後退用地等のうち、前条本文の規定により区が寄付を受け、又は無償で使用することとしたものの維持管理は、区が行う。

2 前項に定めるものを除き、拡幅整備を行った後退用地等の維持管理は、建築主等が行う。

(後退用地等の供用)

第12条 前条第1項の規定により区が維持管理を行う後退用地等のうち、特別区道又は大田区区有通路条例(平成14年条例第25号)により設置された区有通路に接するものについては、道路法(昭和27年法律第180号)又は大田区区有通路条例の規定に基づく区域の変更及び供用の開始の手続を経て、一般交通の用に供するものとする。

2 前項に定めるものを除き、第9条第1項の規定により拡幅整備を行った後退用地等は、拡幅整備に係る工事の完了をもって、一般交通の用に供するものとする。

(助成金及び奨励金)

第13条 区長は、第9条第1項の規定により区が行う拡幅整備のために必要な撤去工事等を建築主等が行ったときは、当該撤去工事等に要する費用の全部又は一部について、規則で定めるところにより当該建築主等に助成金を交付することができる。

2 区長は、次の各号のいずれかに該当するときは、規則で定めるところにより建築主等に奨励金を交付することができる。

(1) 建築主等が後退用地を区に寄付したとき。

(2) 隅切り用地について、拡幅整備を行ったとき。

(交付決定の取消し)

第14条 区長は、前条第1項の助成金又は同条第2項の奨励金(以下「助成金等」という。)の交付決定を受けた者が、偽りその他不正の手段により当該交付決定を受けたものと認めるときは、当該交付決定を取り消すことができる。

2 区長は、前項の規定に基づき交付決定を取り消した場合において、既に助成金等を交付しているときは、期限を定めてその返還を求めることができる。

(適用除外)

第15条 第9条及び第13条の規定は、次の各号のいずれかに該当する者が建築主等である場合は、適用しない。ただし、区長が公益上必要と認めたときは、この限りでない。

(1) 国又は地方公共団体

(2) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第29条に規定する開発行為を行う者

(3) 前2号に掲げるもののほか、規則で定める者

(勧告等)

第16条 区長は、次の各号のいずれかに該当するときは、是正するために必要な限度において、建築主等を指導し、又は文書で勧告することができる。

(1) 建築主が、第6条第1項の協議を行わず、又は正当な理由なくこれを遅延させたとき。

(2) 第6条又は第7条の協議が成立した場合において、建築主等が、合意により定めた行為を行わず、又は正当な理由なくこれを遅延させたとき。

(3) 建築主等が、拡幅整備の行われた後退用地等について、区長の許可を受けないでその形状を変更し、又は一般交通の用に供することを阻害したとき。

(公表)

第17条 区長は、前条の規定による勧告に従わない建築主等がある場合において、特に必要があると認めるときは、勧告の内容、当該建築主等の氏名その他の事項を公表することができる。

(委任)

第18条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成16年6月1日から施行する。

(経過措置)

2 第6条第1項の規定は、平成16年7月1日前に確認の申請、確認を受けるための書類の提出及び計画の通知をする場合については、適用しない。

3 この条例の施行の日から前項に規定する日の前日までの間における第7条の規定の適用については、同条第1項中「所有者等」とあるのは「建築主等」とする。

大田区狭あい道路拡幅整備条例

平成16年3月16日 条例第26号

(平成16年6月1日施行)