○岡山県文化振興基本条例
平成十八年三月二十四日
岡山県条例第十五号
岡山県文化振興基本条例をここに公布する。
岡山県文化振興基本条例
目次
前文
第一章 総則(第一条―第六条)
第二章 基本計画の策定(第七条)
第三章 文化振興審議会の意見の聴取(第八条)
第四章 文化の振興に係る基本的施策(第九条―第二十七条)
附則
文化は、人々の自然へのかかわりや日々の営みの中から生まれ、私たちの生活を彩り、生きる喜びをもたらす。そして、互いに共感する心と、ともに生きていく力をはぐくむ。
今、先人が長い歴史を通じて守り、伝承してきたかけがえのない文化の価値が見直されると同時に、新たな創造活動の息吹が感じられる。人々が共有してきた価値観の喪失や人間関係の希薄化に不安が広がる中で、人間らしく生き、地域社会を再生するために、文化の力が必要とされているからだ。
岡山県は、緑深い中国山地から豊饒の平野、瀬戸内海へと至る豊かな自然の中で、四季折々の山海の幸に恵まれるとともに、古くから交通の要衝として多彩な人物、文物が交流し、古代吉備国の繁栄の遺産を連綿と受け継ぎながら、個性ある文化を形成してきた。日本洋学の先覚者の輩出、日本初の西洋美術館の開設等開明的な風土が優れた人材を生み育ててきた全国に誇りうる文化県である。
私たちは、再び文化により、地域の魅力を創造し、発展を牽引することを求められている。県内各地で潜在的な文化を掘り起こし、意識的に守り育て、さらに、資源として地域産業に活かし、情報発信をしていきたい。
同時に、私たちは、県境や国境を越えた地域や人々と、文化の交流を深めたい。異文化を知ることにより、人間社会の多様性が認識され、他者への理解が促される。互いの歴史や伝統を尊重し、学び合うことも可能となる。文化による相互理解は、世界の人々との連帯感を醸成する鍵となるものと確信する。
ここ岡山において、県民一人一人がいきいきと輝き、しなやかに生きていけるよう、先人の知恵を学び、その恩恵に浴しつつ新しい時代の風を吹き込み、文化を次世代に力強く継承していくことを決意し、この条例を制定する。
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、文化の振興について、基本理念を定め、県の責務並びに県民、芸術家等及び民間団体等の役割を明らかにするとともに、文化の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、文化の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって県民が心豊かに生きることができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。
2 この条例において、「民間団体等」とは、文化に関する活動(以下「文化活動」という。)を行う民間の団体及び法人をいう。
(基本理念)
第三条 文化の振興に当たっては、文化の担い手は県民一人一人であることを認識し、県民、芸術家等及び民間団体等の自由な発想及び主体的な文化活動が尊重されなければならない。
2 文化の振興に当たっては、文化を創造し、及び享受することは人々の生まれながらの権利であることにかんがみ、県民がその居住する地域にかかわらず、等しく、文化を創造し、及び享受することができる環境の整備が図られなければならない。
3 文化の振興に当たっては、芸術家等の活動が県民の生活の充実に欠かせないことを認識し、芸術家等の育成、芸術家等がその活動成果を発表する機会の確保等が図られなければならない。
4 文化の振興に当たっては、文化は真に豊かな地域づくりの礎であるとの認識の下に、県民、芸術家等、民間団体等、市町村及び県が、それぞれの責務又は役割について相互に理解し、対等な立場で協力することにより、協働して行うよう努めなければならない。
5 文化は県民の誇りと心のよりどころであり、県民の活力を高め、新しい価値を創造する源であることにかんがみ、文化を県民共通の財産として尊重し、将来の世代に引き継ぐよう努めなければならない。
(県の責務)
第四条 県は、基本理念にのっとり、文化の振興に関する施策(以下「文化振興施策」という。)を総合的かつ計画的に推進する責務を有する。その推進に当たっては、県民、芸術家等及び民間団体等との連携及びその意見の反映に努めるものとする。
2 県は、県民、芸術家等及び民間団体等が主体的に文化活動を行うことができる環境の整備を図るとともに、その活動の成果がより良い地域づくりに活用されるよう努めるものとする。
3 県は、文化的な視点をもって施策を推進するよう努めるものとする。
4 県は、岡山県における国民文化祭の開催へ向け、県民が文化を創造し、及び享受する力を高め、その力を十分発揮することができるよう支援するとともに、国民文化祭の成果を継承し、文化の振興に寄与するよう努めるものとする。
(市町村との連携)
第五条 県は、市町村との連携及び相互協力並びに市町村が行う文化振興施策についての必要な助言及び支援を行うよう努めるものとする。
(県民等の役割)
第六条 県民、芸術家等及び民間団体等は、自由な発想及び主体的な文化活動を通じて、文化を積極的に継承し、創造し、又は享受する役割を果たすよう努めるものとする。
第二章 基本計画の策定
第七条 知事は、文化振興施策を総合的かつ計画的に推進するため、文化の振興に関する基本的な計画(以下この条及び次条において「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 知事は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
3 前項の規定は、基本計画の変更について準用する。
第三章 文化振興審議会の意見の聴取
第八条 知事は、次に掲げる事項に関し、岡山県文化振興審議会(岡山県附属機関条例(昭和二十二年岡山県条例第九十二号)に基づく岡山県文化振興審議会をいう。)の意見を聴かなければならない。
一 文化振興施策の方向性、文化施設のあり方等文化の振興に関する基本的事項
二 基本計画の策定及び変更に関する事項
三 前二号に掲げるもののほか、文化の振興に関する重要な事項
第四章 文化の振興に係る基本的施策
(芸術の振興)
第九条 県は、芸術(文学、音楽、美術、書道、写真、演劇、舞踊、工芸、デザイン等をいう。)及びメディア芸術(映画、漫画、アニメーション、コンピュータその他電子機器等を利用した芸術等をいう。)の振興を図るために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(生活文化等の振興)
第十条 県は、生活文化(茶道、華道、囲碁、将棋、民芸、郷土料理等をいう。)、文字・活字文化(文字・活字文化振興法(平成十七年法律第九十一号)第二条に規定する文字・活字文化をいう。)等の振興を図るために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(伝統文化の継承等)
第十一条 県は、文化財等、伝統芸能、地域固有の年中行事、方言等の保存、継承及び発展を図るために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(人材等の育成及び活用)
第十二条 県は、県民による文化活動の充実を図るため、文化活動を担う人材及び民間団体等の育成及び活用に努めるものとする。
(青少年の文化活動の充実)
第十三条 県は、青少年が豊かな人間性を形成し、並びに文化を創造し、及び享受する力を養うため、青少年に対する優れた文化に触れる機会の提供、文化活動の指導者の育成その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(高齢者、障害者等の文化活動の充実)
第十四条 県は、高齢者、障害者等の文化活動の充実を図るため、これらの者が文化活動に参加しやすい環境の整備等に努めるものとする。
(教育における文化活動の充実)
第十五条 県は、学校教育、社会教育等における文化活動の充実を図るため、文化的な体験学習等文化に関する教育の充実に努めるものとする。
(鑑賞等の機会の充実)
第十六条 県は、県民が文化についての理解及び関心を深め、創造の意欲を高め、優れた文化を鑑賞する等の機会の充実を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(文化活動の場の充実及び活用)
第十七条 県は、文化施設が県民に文化活動の場として積極的に活用されるよう、情報の提供、施設間の連携の確保等利便性の向上に努めるものとする。
2 県は、自らの設置等に係る文化施設が、地域の文化活動を支援し、及び文化を発信する場となるよう、その充実に努めるものとする。
3 県は、芸術家等の活動及び発表の場の確保を図るために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(情報の収集及び提供)
第十八条 県は、県民の文化活動の促進及び優れた地域文化の形成に資するため、情報通信の技術の積極的な活用等により、文化に関する情報の収集及び提供に努めるものとする。
(民間団体等への支援)
第十九条 県は、県民及び民間団体等の文化活動に対し必要な支援に努めるとともに、メセナ活動(個人、企業等が社会への貢献の一環として行う文化を支援する活動をいう。)が促進されるよう協力するものとする。
(連携の支援)
第二十条 県は、県民、芸術家等、民間団体等及び市町村が連携することにより、文化活動の広がり及び質の向上が促進されるよう支援に努めるものとする。
(文化交流の促進)
第二十一条 県は、県民の文化活動が活発に行われるとともに、県民と国内外の人々との相互理解を深めるため、文化に関する交流の促進に努めるものとする。
(文化情報の発信)
第二十二条 県は、優れた地域文化の形成、観光の振興、国際交流の促進等を図るため、県民の文化活動及び地域の文化資源に関する情報を情報通信の技術の活用等により、国内外に向けて積極的に発信するよう努めるものとする。
(地域文化と地域産業との相互連携)
第二十三条 県は、地域文化が、観光の振興をはじめとする地域産業の創出及び活性化に寄与するよう、地域文化と地域産業との相互連携の促進に努めるものとする。
(日本語についての理解)
第二十四条 県は、県民が日本語についての正しい理解を深め、豊かな言葉が普及するよう努めるものとする。
(歴史的な景観の保全等)
第二十五条 県は、県民が誇りと愛着を感じ、かつ、地域文化の母体となる歴史的な景観、都市の景観、自然環境等の保全及び創造を図るとともに、これらの活用に努めるものとする。
(顕彰)
第二十六条 県は、文化の振興に関し功績のあったもの又は優れた事例の顕彰及び先人の功績をたたえるための顕彰に努めるものとする。
(財政上の措置)
第二十七条 県は、文化振興施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成十八年四月一日から施行する。
(岡山県附属機関条例の一部改正)
2 岡山県附属機関条例の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略