○秋田県の景観を守る条例

平成五年三月三十日

秋田県条例第十一号

秋田県の景観を守る条例をここに公布する。

秋田県の景観を守る条例

目次

第一章 総則(第一条―第七条)

第二章 届出行為に関する景観保全(第八条―第十三条)

第三章 公共事業等に関する景観保全(第十四条)

第四章 啓発活動及び援助(第十五条・第十六条)

第五章 景観保全審議会(第十七条―第二十一条)

第六章 雑則(第二十二条・第二十三条)

第七章 罰則(第二十四条・第二十五条)

附則

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、景観保全に関し、県、市町村、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、県の実施する施策について必要な事項を定めることにより、本県の豊かな自然に恵まれた景観を守り、もって心の和む県土を後世に引き継ぐことを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 建築物 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物をいう。

 景観保全 建築物その他の工作物、屋外に集積され、又は貯蔵されている物品等が周辺の豊かな自然に恵まれた景観と調和を保つことをいう。

 沿道・沿線地域 高速自動車国道、一般国道若しくは県道又は旅客の運送を行う鉄道事業(鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)第二条第一項に規定する鉄道事業をいう。)の用に供されている鉄道路線から展望することができる地域のうち、当該道路又は鉄道線路の境界線から規則で定める距離内にある地域をいう。

(県の責務)

第三条 県は、景観保全を図るための基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施するものとする。

(市町村の責務)

第四条 市町村は、県が実施する景観保全に関する施策と相まって、当該市町村の実情に即した景観保全を図るための施策を策定し、及びこれを実施するように努めるものとする。

(県民の責務)

第五条 県民は、景観保全に自ら努めるとともに、県及び市町村が実施する景観保全に関する施策に協力するように努めるものとする。

(事業者の責務)

第六条 事業者は、その事業活動の実施に当たり、景観保全のために必要な措置を講ずるとともに、県及び市町村が実施する景観保全に関する施策に協力するように努めるものとする。

(景観保全基本方針)

第七条 知事は、景観保全を図るため、景観保全に関する基本構想、景観保全についての施策に関する基本的事項等を内容とする基本方針(以下「景観保全基本方針」という。)を定めなければならない。

2 知事は、景観保全基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、秋田県景観保全審議会の意見を聴かなければならない。

3 知事は、景観保全基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

4 前二項の規定は、景観保全基本方針の変更について準用する。

第二章 届出行為に関する景観保全

(行為の届出)

第八条 沿道・沿線地域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、規則で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他規則で定める事項を知事に届け出なければならない。ただし、第十三条の規定による要請に従うことにより当該行為をしようとするときは、この限りでない。

 建築物又は規則で定める工作物(以下「建築物等」という。)で、その規模が規則で定める基準を超えるものの新築、増築、改築若しくは移転(増築又は改築後において、その規模が規則で定める基準を超えるものとなる場合における増築又は改築を含む。)又は外観の変更(色彩に係るものに限る。)

 屋外における物品の集積又は貯蔵で、その規模が規則で定める基準を超えるもの

 土石等の採取又は鉱物の掘採で、当該行為によって地形の外観が変更される土地の規模が規則で定める基準を超えるもの又は当該行為によって生ずるのり若しくは擁壁の規模が規則で定める基準を超えるもの

 土地の区画形質の変更(土石等の採取又は鉱物の掘採に係るものを除く。以下同じ。)で、その規模が規則で定める基準を超えるもの又は当該行為によって生ずるのり若しくは擁壁の規模が規則で定める基準を超えるもの

2 前項の規定は、沿道・沿線地域以外の地域内において、土石等の採取若しくは鉱物の掘採又は土地の区画形質の変更で、当該行為によって生ずるのりその他規則で定める傾斜地又は擁壁の規模が規則で定める基準を超えるものをしようとする者について準用する。

3 前二項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち規則で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の三十日前までに、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。ただし、第十二条の規定による指導又は勧告に従うことにより変更しようとするときは、この限りでない。

(適用除外)

第九条 前条の規定は、次に掲げる行為については、適用しない。

 非常災害のために必要な応急措置として行う行為

 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの

 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第八条第一項第一号に規定する用途地域(以下単に「用途地域」という。)内で行われる行為(前条第一項第三号に掲げる行為並びに同条第二項に規定する土石等の採取及び鉱物の掘採を除き、同条第一項第二号に掲げる行為にあっては、用途地域のうち近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域及び工業専用地域内で行われるものに限る。)

 法令又は他の条例に基づいて定められた地域、地区等で、その区域内における建築物の建築その他の行為について制限が課されていることにより景観保全が図られるものとして規則で定めるものの区域内で行われる行為

 国、地方公共団体その他規則で定める法人(以下「国等」という。)が行う行為

 法令に基づく事業で景観保全に支障を及ぼすおそれがないものとして規則で定めるものの執行として行う行為

 沿道・沿線地域が変更された際当該変更により新たに沿道・沿線地域となった地域(以下「新沿道・沿線地域」という。)内において着手している行為又は当該変更の日から起算して三十日以内に新沿道・沿線地域内において着手する行為

(平一八条例二六・一部改正)

(届出行為景観保全基準)

第十条 知事は、景観保全基本方針に基づき、沿道・沿線地域内における第八条第一項各号に掲げる行為及び沿道・沿線地域以外の地域内における同条第二項に規定する行為(以下「届出行為」という。)に係る景観保全のための基準(以下「届出行為景観保全基準」という。)を定めなければならない。

2 届出行為景観保全基準には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 建築物等の位置、色彩、素材及び遮へい並びにその敷地の緑化に関する事項

 屋外において物品を収積し、又は貯蔵する際の位置、方法及び遮へいに関する事項

 土石等を採取し、又は鉱物を掘採する際の方法及び遮へい並びに事後措置に関する事項

 土地の区画形質の変更後の形状、緑化及び擁壁の外観に関する事項

 その他景観保全に関し必要な事項

3 知事は、届出行為景観保全基準を定めようとするときは、あらかじめ、秋田県景観保全審議会の意見を聴かなければならない。

4 知事は、届出行為景観保全基準を定めるときは、告示してしなければならない。

5 前二項の規定は、届出行為景観保全基準の変更について準用する。

(届出行為景観保全基準の遵守)

第十一条 届出行為をしようとする者は、当該行為が届出行為景観保全基準に適合するように努めなければならない。

(指導及び勧告)

第十二条 知事は、第八条の規定による届出があった場合において、景観保全上必要があると認めるときは、当該届出をした者に対し、当該届出があった日から起算して三十日以内に限り、届出行為景観保全基準に基づき、必要な措置を講ずるよう指導し、又は勧告することができる。

2 知事は、前項の規定により勧告をしようとするときは、あらかじめ、秋田県景観保全審議会の意見を聴かなければならない。

(既存施設等に対する要請)

第十三条 知事は、建築物等若しくは屋外において集積され、若しくは貯蔵されている物品で沿道・沿線地域内に存するもの又は区画形質が変更された土地が、景観保全上著しく支障があると認めるときは、その所有者又は管理者に対し、届出行為景観保全基準に基づき、必要な措置を講ずるよう要請することができる。

2 前項の規定は、用途地域内に存する建築物等、用途地域のうち第九条第三号に規定する地域内に存する物品及び用途地域内に存する区画形質が変更された土地(土石等の採取又は鉱物の掘採に係るものを除く。)については、適用しない。

第三章 公共事業等に関する景観保全

第十四条 知事は、景観保全基本方針に基づき、国等が行う公共事業等(公共的土木工事等の事業をいう。以下同じ。)に関する景観保全のための基準(以下「公共事業等景観保全基準」という。)を定めなければならない。

2 知事は、公共事業等景観保全基準を定めようとするときは、あらかじめ、秋田県景観保全審議会の意見を聴かなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

3 県は、公共事業等を行う場合は、公共事業等景観保全基準を遵守するものとする。

4 知事は、国等(県を除く。)に対し、公共事業等を行うに当たっては公共事業等景観保全基準に配慮するよう要請するものとする。

第四章 啓発活動及び援助

(啓発活動)

第十五条 県は、県民及び事業者の景観保全に関する意識を高めるため、啓発活動に努めなければならない。

(援助)

第十六条 県は、景観保全上必要があると認めるときは、県民及び事業者に対し、技術的援助を行い、又は予算の範囲内において、必要な経費の一部を助成することができる。

2 県は、市町村が行う景観保全に関する施策の策定及び実施について、技術的援助をすることができる。

第五章 景観保全審議会

(設置及び所掌事務)

第十七条 この条例の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議させ、及び知事の諮問に応じ景観保全に関する重要事項を調査審議させるため、秋田県景観保全審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、景観保全に関する重要事項について、知事に意見を述べることができる。

(組織及び委員の任期)

第十八条 審議会は、委員十人以内で組織する。

2 委員は、景観保全に関し学識経験のある者のうちから、知事が任命する。

3 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会長)

第十九条 審議会に、会長を置く。

2 会長は、委員の互選によって定める。

3 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。

4 会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する。

(会議)

第二十条 審議会は、会長が招集する。

2 会長は、審議会の議長となる。

3 審議会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。

4 審議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

(委任規定)

第二十一条 この章に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。

第六章 雑則

(市町村条例との調整)

第二十二条 第二章の規定と同等の内容を有する条例を制定している市町村の区域のうち、知事が指定する区域(以下「指定区域」という。)については、同章の規定は、適用しない。

2 知事は、指定区域を指定するときは、告示してしなければならない。

(規則への委任)

第二十三条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

第七章 罰則

第二十四条 第八条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)又は同条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の罰金に処する。

第二十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同条の罰金刑を科する。

(施行期日)

1 この条例は、平成五年四月一日から施行する。ただし、第二章(第十条を除く。)第十四条第三項及び第四項第十六条第二十二条第一項第七章並びに次項の規定は、平成五年十月一日から施行する。

(経過措置)

2 第八条の規定の施行の際着手している行為及び同条の規定の施行の日から起算して三十日以内に着手する行為については、同条の規定は、適用しない。

(特別職の職員で非常勤のものの報酬および費用弁償に関する条例の一部改正)

3 特別職の職員で非常勤のものの報酬および費用弁償に関する条例(昭和三十一年秋田県条例第三十五号)の一部を次のように改正する。

次のよう〔略〕

(平成一八年条例第二六号)

この条例は、公布の日から施行する。

秋田県の景観を守る条例

平成5年3月30日 条例第11号

(平成18年3月28日施行)

体系情報
第9編 設/第3章 都市計画
沿革情報
平成5年3月30日 条例第11号
平成18年3月28日 条例第26号