○和光市市民参加条例

平成15年10月3日

条例第26号

目次

前文

第1章 基本的な事項(第1条―第5条)

第2章 市民参加の内容(第6条―第13条)

第3章 住民投票(第14条―第15条の3)

第4章 市民参加の推進のために(第16条・第17条)

第5章 雑則(第18条・第19条)

附則

私たち市民は、和光市がより住みやすいまちになることを望んでいます。市民生活をより豊かで快適なものとしていくためには、より多くの市民が市政にかかわり、市政を更に発展させていくことが必要です。

市民は、地方自治の主役であり、市政に参加する権利があります。市民も責任と自覚を持って積極的に市政に参加して、市民の持つ知識・経験・創造性を反映させていくことが大切です。そのためには、市政についての情報や活動内容を市民がいつでも簡単に知ることができ、市民がどのように市政に参加できるかを決めておくことが必要です。また、市民と市の機関と市の議会がお互いの立場を理解し、尊重し、協力することも欠かせません。

これからのより住みやすいまちを目指して、市民が市政に参加するための基本的な取決めをまとめた「和光市市民参加条例」をここにつくります。

第1章 基本的な事項

(目的)

第1条 この条例は、市民が市の機関及び市の議会(以下「議会」といいます。)と情報を共有しつつ、市政に参加するための基本的な事項を定めることにより、協働による自治を推進し、住みやすいまちをつくることを目的とします。

(言葉の意味)

第2条 この条例で使われている言葉の意味は、次のとおりとします。

(1) 「市民参加」とは、市民が市政に関して意見を述べ、提案することにより、市政を推進することをいいます。

(2) 「市の機関」とは、市長(水道事業及び下水道事業の管理者の権限を行う市長を含みます。)、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。

(3) 「協働」とは、市民、市の機関及び議会がそれぞれの役割と責任を自覚し、互いに尊重し、補完し、協力することをいいます。

(市民の役割)

第3条 市民は、市の機関や議会と協働し、市政への積極的な参加に努めるものとします。

2 市民は、市民参加に当たり、自らの意見と行動に責任を持たなければなりません。

(市の機関の役割)

第4条 市の機関は、市政について市民に積極的に情報を提供し、市民参加を進めるものとします。

2 市の機関は、市政について市民に十分に説明し、市民からの質問や要請に対して誠意を持って応答しなければなりません。

3 市の機関は、市民や議会と協働し、市政の公平、公正で効率的な運営を行わなければなりません。

(議会の役割)

第5条 議会は、市民と情報の共有を図り、市民や市の機関と協働し、市民参加を進めるよう努めるものとします。

第2章 市民参加の内容

(市民参加の対象)

第6条 市民参加の対象となる事項(以下「対象事項」といいます。)は、次のとおりとします。

(1) 市の基本構想、基本計画その他基本的な事項を定める計画の策定又は変更

(2) 市政に関する基本方針を定める条例の制定、改廃又は市民に義務を課し、市民の権利を制限することを内容とする条例の制定、改廃

(3) 規則で定める大規模な市の施設の設置に係る計画等の策定又は変更

(4) 市民生活に重大な影響を及ぼす制度の導入又は改廃

2 前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当するものは、市民参加の対象としないことができます。

(1) 軽易なもの

(2) 緊急に行わなければならないもの

(3) 法令の規定により実施の基準が定められており、その基準に基づき行うもの

(4) 市の機関内部の事務処理に関するもの

(5) 市税の賦課徴収その他金銭の徴収に関するもの

(6) 市の権限に属さない事項

3 市の機関は、前項の規定により市民参加の対象としないものとしたことについて、これを公表するものとします。

4 市の機関は、対象事項以外の事項にあっても、市民参加の対象とすることができます。

(市民参加の方法)

第7条 市民参加の方法は、次のとおりとします。

(1) 市民政策提案手続(市民が具体的な政策等を提案し、その提案に対し、市の機関が意思決定を行うとともに、その提案の概要、市の機関の考え方等を公表する一連の手続をいいます。)

(2) パブリック・コメント手続(市の機関が政策等の趣旨、目的、内容等の必要な事項を広く公表した上で、これに対する市民からの意見の提出を求め、その意見の概要、意見に対する市の機関の考え方等を公表する一連の手続をいいます。)

(3) 公聴会手続(政策等に対して広く市民等の意見を聴くため、市の機関が行う会合を開催する一連の手続をいいます。)

(4) 審議会等手続(地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項に規定する附属機関及びこれに類するもの(その構成の全部又は一部に市民が含まれるものに限ります。)を設置し、これに市の機関が諮問等をすることにより意見を求める一連の手続をいいます。)

(5) 前各号に掲げるもののほか、市の機関が適当と認める方法

(市民参加の実施)

第8条 市の機関は、対象事項の性質、影響及び市民の関心度を考慮して、適切な時期に前条に定める方法のうちから、1以上の適切な方法により行うものとします。

2 前項の場合において、市の機関は、より多くの市民の意見を求める必要があると認めるときは、複数の市民参加の方法を併用するよう努めるものとします。

(市民政策提案手続)

第9条 市民政策提案手続における提案は、年齢満18歳以上の市内に住所を有する者10人以上の連名をもって、その代表者から市の機関に対して対象事項(第6条第2項に該当するものを除きます。)について行うことができます。

2 市民政策提案手続において、市の機関が政策等の提案を求めようとするときは、提案を求める政策等の目的、提案できる者の範囲、提案の方法その他提案に必要な事項を公表するものとします。

3 市の機関は、提案のあった政策等について総合的かつ多面的に検討し、検討結果及びその理由を提案した者(代表者がいるときは、その代表者)に通知し、原則として公表するものとします。

(パブリック・コメント手続)

第10条 市の機関は、パブリック・コメント手続により意見を求めようとするときは、次の事項を公表するものとします。

(1) 政策等の案及び案に関する資料

(2) 意見の提出先、提出方法及び提出期間

(3) 前2号に掲げるもののほか、市の機関が必要と認める事項

2 パブリック・コメント手続における意見の提出期間は、原則として20日以上とします。

3 パブリック・コメント手続により意見を提出することができるものは、次のとおりとします。

(1) 市内に住所を有する者

(2) 市内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体

(3) 市内の事務所又は事業所に勤務する者

(4) 市内の学校に在学する者

(5) 市に対して納税義務を有するもの

(6) パブリック・コメント手続に係る事案に利害関係を有するもの

4 パブリック・コメント手続により意見を提出しようとするものは、住所、氏名その他の規則で定める事項を明らかにしなければなりません。

5 市の機関は、パブリック・コメント手続により提出された意見について検討を終了し、政策等の意思決定を行ったときは、提出された意見の概要及び提出された意見に対する市の機関の考え方並びに政策等の案を修正したときはその修正内容を公表するものとします。ただし、和光市情報公開条例(平成12年条例第48号)第7条各号に定める不開示情報のいずれかに該当すると認められるもの(以下「不開示情報」といいます。)は、公表しないものとします。

(公聴会手続)

第11条 市の機関は、公聴会を開催しようとするときは、あらかじめ次の事項を公表するものとします。

(1) 公聴会の開催の日時及び場所

(2) 政策等の案及び案に関する資料

(3) 公聴会に出席して意見を述べることができるものの範囲

(4) 公聴会に出席して意見を述べることを希望する場合の意見の提出先、提出方法及び提出期間

(5) 前各号に掲げるもののほか、市の機関が必要と認める事項

2 公聴会に出席して意見を述べることができるものの範囲は、前条第3項第1号から第5号までに掲げるもの及び公聴会に係る事案に利害関係を有するものとします。ただし、市の機関は、必要があると認めるときは、その範囲を広げ、又は制限することができます。

3 市の機関は、意見の提出期間内に意見の提出がなかったときは、公聴会を中止し、その旨を公表するものとします。

4 公聴会は、市の機関が指名する者が議長となり主宰します。

5 議長は、公聴会を開催した都度、規則で定める事項を記録し、市の機関に提出するものとします。

6 市の機関は、公聴会が終結したときは、必要に応じ、前項の規定により提出された記録を公表するものとします。ただし、不開示情報は、公表しないものとします。

(審議会等手続)

第12条 市の機関は、審議会等を構成する委員として選任できる者には、原則として公募により選任される者を含めるものとします。

2 市の機関は、審議会等の委員を選任するときは、男女比、年齢構成、地域構成、委員の在期数及び他の審議会等の委員との兼職状況等に配慮し、市民の多様な意見が反映されるよう努めるものとします。

3 市の機関は、審議会等の委員を選任したときは、委員の氏名、選任の区分及び任期を公表するものとします。

4 審議会等の会議は、公開します。ただし、次のいずれかに該当する場合は、会議の全部又は一部を公開しないことができます。

(1) 法令等の規定により公開しないとされている場合

(2) 審議等の内容に不開示情報が含まれる場合

(3) 会議を公開することにより、公正かつ円滑な議事運営に支障が生ずると認められる場合

5 市の機関は、審議会等の会議を開催しようとするときは、あらかじめ会議の開催の日時、場所、傍聴等の手続について、公表するよう努めるものとします。ただし、緊急に会議を開催する必要があるときは、この限りでありません。

6 市の機関は、審議会等の会議録を作成し、不開示情報を除き公表するよう努めるものとします。

(その他の市民参加の方法)

第13条 市の機関は、第9条から前条までに定めるもののほか、より効果的と認められる市民参加の方法があるときは、これを積極的に用いるよう努めるものとします。

第3章 住民投票

(住民投票の請求)

第14条 議会の議員及び市長の選挙権を有する者は、市民に直接その賛否等を問う必要のある市政運営上特に重要な事項(第6条第2項各号に掲げるものを除きます。)について、その1,000人以上の連署をもって、その代表者から市長に対して住民投票を行うことの請求(以下「住民投票請求」といいます。)をすることができます。

2 前項の選挙権を有する者とは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第22条の規定による選挙人名簿の登録が行われた日において選挙人名簿に登録されている者とします。

3 市長は、住民投票請求を受理した日から20日以内に議会を招集し、意見を付けてこれを議会に付議し、議会が出席議員の過半数の賛成により議決したときは、住民投票を実施しなければなりません。

4 前2項に掲げるもののほか、第1項の請求の処置等に関しては、地方自治法第74条第2項、第4項及び第6項から第9項まで、第74条の2第1項から第6項まで並びに第74条の3第1項から第3項までの規定の例によるものとします。

5 第3項の規定にかかわらず、市長は、議会の議員及び市長の選挙権を有する者の総数の6分の1以上の連署による住民投票請求を受理したときは、議会への付議を省略し、住民投票を実施しなければなりません。

(市長が提案する住民投票)

第15条 市長は、市の存立に係る重要な事項について市民の意思を直接確認する必要があると認めるときは、住民投票を行うことを議会に提案するものとします。

2 前項の住民投票を行う場合における投票権を有する者は、次のいずれかに該当する者とします。

(1) 年齢満18歳以上の日本国籍を有する者で、引き続き3箇月以上市内に住所を有するもの

(2) 年齢満18歳以上の規則で定める永住外国人で、引き続き3箇月以上市内に住所を有するもののうち、市長に投票資格者の登録を申請したもの

(住民投票の執行)

第15条の2 住民投票は市長が執行するものとします。

2 市長は、地方自治法第180条の2の規定に基づき、その権限に属する住民投票の管理及び執行に関する事務を選挙管理委員会に委任するものとします。

3 住民投票の投票権を有する者は、前条の規定により住民投票を実施する場合を除き、公職選挙法第9条第2項に規定する和光市の議会の議員及び長の選挙権を有する者とします。ただし、次の各号のいずれかに該当する者は、住民投票の投票権を有しないものとします。

(1) 公職選挙法第11条及び第252条の規定により選挙権を有しない者

(2) 政治資金規正法(昭和23年法律第194号)第28条の規定により選挙権を有しない者

(投票結果の尊重)

第15条の3 市民、議会及び市の機関は、住民投票の結果を尊重しなければなりません。

第4章 市民参加の推進のために

(推進会議の設置)

第16条 この条例に基づく市民参加を適正に推進し、及び市民参加をより一層推進するため、地方自治法第138条の4第3項の規定に基づき、市長の附属機関として和光市市民参加推進会議(以下「推進会議」といいます。)を設置します。

2 推進会議は、次に掲げる事項について市長の諮問に応じ、又は市長に意見を述べるために審議します。

(1) この条例の運用状況に関する事項

(2) この条例の見直しに関する事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、市民参加の推進に関する基本的な事項

3 推進会議は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱し、又は任命する12人以内の委員で組織します。

(1) 公募による市民

(2) 市内で地域活動を行う団体を代表する者

(3) 学識経験を有する者

(4) 市の職員

4 市長は、前項の規定による委員の委嘱をする場合は、公募による委員を委員総数の3分の1以上となるよう努めるものとします。

5 委員の任期は、2年とします。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とします。

6 委員は、再任されることができます。

7 前各項に掲げるもののほか、推進会議の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定めます。

(市民参加の実施状況等の公表)

第17条 市長は、毎年度1回、市民参加の実施状況及び実施予定を取りまとめ、これを公表するものとします。

第5章 雑則

(条例の見直し)

第18条 市長は、社会情勢及び市民参加の状況に応じて、この条例の見直しを行うものとします。

(委任)

第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定めます。

(施行期日)

1 この条例は、平成16年1月1日から施行します。

(和光市特別職の職員で非常勤の者の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 和光市特別職の職員で非常勤の者の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和44年条例第30号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(経過措置)

3 この条例の施行の際、既に着手され、又は着手のための準備が進められている政策等であって、時間的な制約その他正当な理由により市民参加を求めることが困難な場合については、第2章の規定は、適用しません。

(平成23年条例第2号)

(施行期日)

1 この条例は、平成23年10月1日から施行します。

(経過措置)

2 この条例の施行の日前に、この条例による改正前の和光市市民参加条例第14条第1項の規定によりなされた住民投票の請求の処置等については、なお従前の例によります。

(平成24年条例第1号)

この条例は、公布の日から施行します。

(平成25年条例第28号)

(施行期日)

1 この条例は、平成26年4月1日から施行する。

(令和3年条例第16号)

この条例は、公布の日から施行する。

和光市市民参加条例

平成15年10月3日 条例第26号

(令和3年9月27日施行)