○芦屋市文化基本条例
平成22年3月26日
条例第1号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 文化推進基本計画(第8条)
第3章 文化に関する基本的施策(第9条―第20条)
附則
芦屋は、大阪と神戸のほぼ中間に位置し、北の六甲山から南に広がる大阪湾へ、緩やかな傾斜が織り成す美しい景観と温暖な気候に恵まれた地です。
歴史的には、有数の古墳群をはじめ、阪神間最古の遺跡を有し、永く自然豊かな村落としてその環境をとどめてきました。近代に入ると、鉄道の開通とともに、西洋文化が浸透し、風光明媚で閑静な郊外住宅地として開発され、多くの文化人も集い、阪神間モダニズムの開花など、現在の芦屋の基礎となる洗練された都市文化が築かれていきました。
戦後復興期の昭和26年には、「芦屋国際文化住宅都市建設法」が制定され、芦屋のすぐれた環境条件を活かして、国際文化の向上と経済復興に寄与するまちづくりが進められてきました。
国際文化住宅都市として発展してきた芦屋の歴史、風土、文化は、今日まで受け継がれ、都市空間全体にわたって独自の「芦屋文化」ともいうべき文化風土を形成しています。
そして豊かな芸術文化や生活文化がはぐくまれ、その価値と特色は広く国内外に知られるところとなっています。
これからの芦屋の持続的な発展のために、その基盤となる自然環境や景観、先人が築いてきた文化を守り、育て、更なる創造力を引き出し、次世代に継承していくことこそ、私たち市民の真の願いです。
ここに、市民一人一人が年齢や立場にかかわらず、生涯を通して身近に文化に触れ、多様な出会いや新たな人材をはぐくみあい、ゆとりと潤いのある心豊かな暮らしを実現することを願って、市民、事業者及び市の協働の下、国際文化住宅都市芦屋の価値を将来にわたって高めていくことを決意し、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、文化に関し基本理念を定め、市民、事業者及び市の役割及び責務を明らかにするとともに、文化に関する施策の基本となる事項を定めることにより、文化に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって豊かな人間性をはぐくむ人づくり及び個性豊かで幅広い芦屋文化が創造される活力のあるまちづくりの実現に資することを目的とする。
(平29条例28・一部改正)
(1) 文化 芸術、芸能、生活文化など文化芸術基本法(平成13年法律第148号)が対象とするもののほか、学術、景観、観光その他の創造的活動をいう。
(2) 文化活動 文化を創造し、若しくは享受し、又はこれらの活動を支援し、若しくは継承することをいう。
(平29条例28・一部改正)
(基本理念)
第3条 文化に関する施策の推進に当たっては、文化の担い手である市民一人一人の自主性及び創造性が尊重されなければならない。
2 文化に関する施策の推進に当たっては、歴史及び風土に培われてきた地域の伝統的な文化が、市民の共通の財産としてはぐくまれ、将来にわたり引き継がれるよう配慮されなければならない。
3 文化に関する施策の推進に当たっては、文化を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み、市民が等しく文化活動をすることができるような環境の整備が図られなければならない。
4 文化に関する施策の推進に当たっては、文化の多様性が尊重されるとともに、地域における多様な文化の共生が図られるよう配慮されなければならない。
5 文化に関する施策の推進に当たっては、文化が地域間における相互理解を深める上で重要な役割を果たすことに鑑み、文化に関する情報を広く国内外に発信するなど、文化交流が積極的に推進されなければならない。
(平29条例28・一部改正)
(市民の役割)
第4条 市民は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、文化の担い手として、積極的に文化活動を展開する役割を果たすよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第5条 事業者(法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)及び事業を営む個人をいう。以下同じ。)は、基本理念にのっとり、地域社会の一員として、自主的に文化活動を展開するとともに、市民の文化活動を支援する役割を果たすよう努めるものとする。
(市の役割及び責務)
第6条 市は、基本理念にのっとり、文化に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、文化に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、文化に関する施策を推進するために必要な体制を整備するよう努めるとともに、財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。
3 市は、市が実施する施策に文化の視点を取り入れるよう努めなければならない。
4 市は、文化に関する施策の策定及び実施に当たっては、文化の内容に介入し、又は干渉することがないよう十分に配慮しなければならない。
(平29条例28・一部改正)
(市民等との協働)
第7条 市は、市民及び事業者と協働し、文化に関する施策の策定及び効果的な推進に努めるものとする。
(平29条例28・一部改正)
第2章 文化推進基本計画
(平29条例28・改称)
(文化推進基本計画)
第8条 市長は、文化に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、文化に関する基本的な計画(以下「文化推進基本計画」という。)を定めるものとする。
2 文化推進基本計画は、総合的な文化に関する施策の大綱その他文化に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項について定めるものとする。
3 市長は、文化推進基本計画を定めるときは、あらかじめ、芦屋市附属機関の設置に関する条例(平成18年芦屋市条例第5号)第2条に規定する芦屋市文化推進審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、文化推進基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、文化推進基本計画の変更について準用する。
(平29条例28・一部改正)
第3章 文化に関する基本的施策
(平29条例28・改称)
(伝統的な文化の保存等)
第9条 市は、地域に残る文化財その他の伝統のある優れた文化を保存し、継承し、及び発展させるため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(文化活動を行う機会の充実)
第10条 市は、広く市民の文化に関する関心及び理解を深めるとともに、市民が文化を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造する機会の充実を図るため、文化施設の充実及び活用、文化活動を行う個人及び団体との連携による文化活動を行う機会の提供その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(高齢者、障害者等の文化活動の充実)
第11条 市は、高齢者、障害者等が行う文化活動の充実を図るため、これらの者が行う創造的活動、公演等への支援、これらの者の文化活動が活発に行われるような環境の整備その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(平29条例28・一部改正)
(青少年の文化活動の充実)
第12条 市は、次代を担う青少年の文化活動の充実を図り、豊かな感性及び創造性をはぐくむため、優れた文化に触れる機会の提供、文化活動に対する支援その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(学校教育における文化活動の充実)
第13条 市は、学校教育における文化活動の充実を図るため、文化に関する体験学習等文化に関する教育の充実、文化活動に対する支援その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(文化活動の担い手の育成)
第14条 市は、文化活動を担う人材及び団体の育成を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(良好な景観の形成)
第15条 市は、文化及び自然に配慮し、周囲の自然環境及び地域の歴史的な景観と調和のとれた都市景観を形成するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(国内及び国外との交流)
第16条 市は、文化の向上を図るため、国内及び国外との文化の交流の促進に必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(情報の収集等)
第17条 市は、創造的で優れた本市の文化活動を促進するため、地域に根ざした伝統のある優れた文化、新たに創造された地域文化その他の多様な文化資源の情報の収集及び発信その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(文化活動に対する支援)
第18条 市は、本市の文化の向上に資するとともに、本市の魅力を高め、及び市民が誇りを持つことのできる文化の振興を図るため、文化活動に対する支援その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(文化活動に対する民間支援活動の促進)
第19条 市は、文化活動に対する個人及び事業者からの寄附その他の支援が活発に行われるよう、当該支援に関する普及啓発、情報提供等に努めるものとする。
(顕彰)
第20条 市は、文化活動で顕著な成果を収めたもの及び文化の振興に寄与したものの顕彰に努めるものとする。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成22年4月1日から施行する。
(芦屋市附属機関の設置に関する条例の一部改正)
2 芦屋市附属機関の設置に関する条例(平成18年芦屋市条例第5号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(芦屋市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
3 芦屋市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年芦屋市条例第13号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附則(平成29年12月22日条例第28号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現にこの条例による改正前の芦屋市文化基本条例第8条の規定により定められている文化振興基本計画は、この条例による改正後の芦屋市文化基本条例第8条の規定により定められた文化推進基本計画とみなす。
(芦屋市附属機関の設置に関する条例の一部改正)
3 芦屋市附属機関の設置に関する条例(平成18年芦屋市条例第5号)の一部を次のように改正する。
第2条の表市長の項附属機関の名称の欄中「芦屋市文化振興審議会」を「芦屋市文化推進審議会」に改め、同表市長の項担任事務の欄中「振興」を「推進」に改める。
(芦屋市附属機関の設置に関する条例の一部改正に伴う経過措置)
4 この条例の施行の際現に前項の規定による改正前の芦屋市附属機関の設置に関する条例の規定に基づく芦屋市文化振興審議会の委員に委嘱又は任命されている者は、その任期が終了するまでの間は、同項の規定による改正後の芦屋市附属機関の設置に関する条例の規定に基づく芦屋市文化推進審議会の委員に委嘱又は任命された者とみなす。
(芦屋市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
5 芦屋市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年芦屋市条例第13号)の一部を次のように改正する。
別表中「芦屋市文化振興審議会」を「芦屋市文化推進審議会」に改める。