○大田区マンション建替法容積率許可要綱
平成28年3月4日
27ま審発第11331号
第1章 総則
第1 趣旨
マンション建替法容積率許可制度は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成14年法律第78号。以下「法」という。)第105条第1項の規定に基づき、法第102条第1項の認定を受けたマンション(以下「要除却認定マンション」という。)の除却・建替えを促進するとともに、新たに建築されるマンションにおける公開空地の確保や、地域の防災、環境等への貢献等を通じて、市街地の安全性の向上や良好な市街地住宅の供給の促進等良好な建築物の誘導を図り、もって市街地環境の整備改善に資することを目的として創設されたものである。
マンション建替法容積率許可制度の運用に関しては、国から「マンションの建替え等の円滑化に関する法律第105条の規定の運用について」(平成26年12月5日付国住街第145号)の技術的助言が出されており、改正された総合設計許可準則では、法第105条第1項に基づく容積率許可をマンション建替型総合設計と位置付けている。
大田区においては、技術的助言の趣旨を踏まえるとともに、市街地環境の整備改善等に資する建築計画に対する、マンション建替法容積率許可の取扱方針として本要綱を定めるものである。
第2 基本目標
都市計画等に基づく地域のまちづくりの方針に沿った良好な市街地環境の形成を目指し、建築活動を通じて市街地環境の向上に資するよう建築計画を誘導するため、マンション建替法容積率許可制度の運用に当たっての基本目標を次のとおり定める。
1 市街地環境の整備改善
2 良好な建築・住宅ストックの形成
3 公共施設の機能の補完
4 市街地の防災機能の強化
5 福祉のまちづくりの推進
6 住宅と産業が調和したまちづくりの推進
7 少子高齢社会にふさわしい住まいの整備
8 敷地の集約による質の高い市街地形成
9 良好な都市景観の創造
10 緑化の推進
11 生物多様性の保全
12 低炭素型都市づくりの推進
第3 運用方針
本要綱は、大田区の許可の取扱方針を定めたものであるとともに、その許可に係る良好な建築計画の要件となる基準を広く一般に示したものである。
この基準は、技術基準として、許可の申請に当たっての必要条件としての性格を持つものであり、申請に係る計画が許可の条件を十分に充たすものであるか否かは、具体的な計画に即し、マンション建替法容積率許可制度の趣旨等を勘案して判断する必要がある。したがって、本制度の運用に当たっては、常に趣旨及び基本目標に照らして総合的見地から行うものとする。
第4 用語の定義
本要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。
(1) 計画建築物
マンション建替法容積率許可の計画に係る建築物をいう。
(2) 活用方針
「新しい都市づくりのための都市開発諸制度活用方針」(平成15年6月東京都都市整備局策定)をいう。
(3) 中枢広域拠点域
活用方針に定める中枢広域拠点域をいう。
(4) 活力とにぎわいの拠点地区
活用方針に定める活力とにぎわいの拠点地区をいう。
(5) 枢要な地域の拠点地区
活用方針に定める枢要な地域の拠点地区をいう。
(6) 基準建蔽率
建築基準法(昭和25年法律第201号)第53条の規定により許容される建築物の建築面積の敷地面積に対する割合の限度を百分率(%)で表したものをいう。
(7) 基準容積率
建築基準法第52条の規定により許容される建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の限度を百分率(%)で表したものをいう。
(8) 割増容積率
本要綱によって基準容積率に割増しされる容積率(%)をいう。
(9) 地上部の緑化
敷地内の地上部を樹木で有効に植栽することをいう。
(10) 建築物上の緑化
建築物の屋上、壁面等の部分を樹木、多年草等で有効に植栽することをいう。
(11) PAL*
建築物の断熱や熱負荷の低減に係る指標をいう。
(12) PAL*低減率
PAL*の基準値に対するPAL*の値の低減率をいう。
(13) ERR
設備システムのエネルギー利用の低減率をいう。
(14) サービス付き高齢者向け住宅等
活用方針に定めるサービス付き高齢者向け住宅等をいう。
(15) 子育て支援住宅
活用方針に定める子育て支援住宅をいう。
(16) 子育て支援施設
活用方針に定める子育て支援施設をいう。
(17) 歴史的建造物
建築基準法第3条第1項各号に該当する建築物、景観法(平成16年法律第110号)第19条第1項に規定する景観重要建造物並びに東京都景観条例(平成18年東京都条例第136号)第22条第1項に規定する都選定歴史的建造物及び選定対象外建造物をいう。
(18) 一時滞在施設
活用方針に定める一時滞在施設をいう。
(19) 待機スペース
帰宅が可能になるまで待機する場所がない帰宅困難者が一時滞在施設内において待機する空間をいう。
(20) 生物の生息空間
「公開空地等における生物生息空間について」(令和2年12月22日付2都市政緑第476号)に定める「生物の生息空間」をいう。
第2章 計画要件
第1 計画の基本要件
1 共通事項
(1) マンション建替法容積率許可の適用区域
マンション建替法容積率許可の適用区域は、都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第2項に規定する市街化区域とする。
(2) 敷地の集約化等
要除却認定マンションの敷地に比べて著しく大きい隣地を取り込んだ建替え、要除却認定マンションの敷地を細分化した建替え、法第2条第1項第1号に規定するマンションに該当しない建築物をマンションに変更した上で行う建替え等に係る許可については、大田区長が要除却認定マンションの除却・建替えのために必要と認める範囲で行うものであること。
(3) 住宅用途以外の用途に供する部分
以下のア及びイの規定に適合させること。
ア 住宅用途以外の用途に供する部分の床面積(大田区マンション建替法容積率許可要綱実施細目(以下「実施細目」という。)で定める施設、サービス付き高齢者向け住宅等及び子育て支援住宅に付属する住宅部分以外の施設に供する床面積を除く。以下この章において同じ。)の合計が、要除却認定マンションの住宅用途以外の用途に供する部分の床面積より増加しないこと。ただし、住宅の用途に供する部分の床面積の合計が増加する場合はこの限りでない。
イ 住宅用途以外の用途に供する部分の床面積の合計が、基準容積率の算定の基礎となる延べ面積を超えないこと。
(4) 住戸の専有面積等
割増容積率に相当する部分(建築基準法第3条第2項の規定により、同法第52条第1項、第2項又は第7項の規定の適用を受けない既存建築物における超過容積率に相当する部分及びサービス付き高齢者向け住宅等である部分を除く(超過容積率の算定方法は第4章第2の1(2)の規定による。)。)の住宅の専有面積を55平方メートル以上とすること。
(5) 前面道路の幅員と接道長
計画建築物の敷地は、原則として、幅員6メートル以上の道路に当該敷地境界線長さの合計の6分の1以上接するものとする。ただし、地区計画等により計画的に街区整備を図っていくことが認められる場合は、この限りでない。
(6) 有効公開空地率の最低限度
ア 有効公開空地率の算定方法
次式による数値をいう。
(公開空地の有効面積の合計/敷地面積)×100(%)
公開空地の有効面積:
公開空地の面積(有効面積の算定の対象となる部分に限る。)に、当該公開空地の種別に応じて第3章第2の1(4)に定める公開空地の有効係数を乗じた数値をいう。
また、公開空地である屋内貫通通路、アトリウム及びピロティ等の公開空地等の有効面積の算定に当たっては、公開空地全体の面積の3分の1の面積に相当する部分を対象とする。
イ 有効公開空地率の最低限度
計画建築物の敷地内における有効公開空地率の最低限度は、10パーセントとする。
(7) 歩道状空地の設置
計画建築物の敷地には、歩道状空地を設けること。なお、原則として、前面道路(幅員4.5メートル以上の歩道が確保されているものを除く。)に接する全ての敷地の部分に設けること。
(8) 外壁面の後退
ア 隣地境界線
計画建築物の外壁又はこれに代わる柱の外面から敷地境界線までの水平距離(以下「水平距離」という。以下アにおいて同じ。)は、原則として、当該部分の計画建築物の高さ(敷地境界線の地表面からの高さをいう。以下アにおいて同じ。)の平方根の2分の1に2メートルを加えた数値以上であること。なお、敷地面積が1,000平方メートル未満(基準容積率が300パーセント以下の地域の場合は敷地面積が1,500平方メートル未満)の場合の水平距離は、計画建築物の高さの平方根の2分の1の数値以上とすることができる。ただし、以下に掲げる建築物の部分には適用しないことができる。
(ア) 壁面の位置の統一を図るべき地区において、壁面の位置を統一する計画建築物、歴史的建造物の存置部分又は公共用歩廊、渡り廊下、地下鉄駅出入口施設その他これらに類する建築物の部分
(イ) 敷地の隣地が河川管理用通路のない河川その他これに類するものであり、かつ、落下物に対する危険防止の措置を有効に講じている建築物の部分
イ 道路境界線
計画建築物の外壁又はこれに代わる柱の外面から道路境界線までの水平距離は、当該部分の計画建築物の高さ(歩道状空地の地表面からの高さをいう。)の平方根の2分の1に歩道状空地の幅員を加えた数値以上であること。ただし、実施細目で定める危険防止の措置を講じている場合は、歩道状空地の幅員の数値以上とすることができる。また、壁面の位置の統一を図るべき地区において、壁面の位置を統一する計画建築物若しくは歴史的建造物又は公共用歩廊、渡り廊下、地下鉄駅出入口施設その他これらに類する建築物の部分は、これによらないことができる。
(9) 電気自動車等の充電設備の設置
駐車場を整備する場合は、原則としてEV及びPHV用充電設備を1台以上設置することとし、複数の用途が混在する場合は、用途ごとに1台以上の充電設備を設置すること。ただし、用途が異なる場合でも駐車場を共用利用できる場合は、共用利用可能な駐車場ごとに1台以上設置することとし、やむを得ない事情により充電設備を設置できない場合は、この限りではない。
充電設備の種類は、不特定多数の者が利用する駐車場については、急速充電器とし、やむを得ない事情により急速充電器を設置できない場合は、普通充電器に代えることができる。
また、電気自動車等の充電設備の設置についての協議に関する手続その他必要な事項については、実施細目及び「都市開発諸制度の適用に関する環境都市づくりに係る規定の取扱い指針」(令和2年12月24日付2都市政広第449号)によるものとする。
第3章 計画基準
第1 計画に当たって配慮すべき事項等
本要綱により許可の対象となる建築計画は、法に定める有効な都市空間の確保を基調とし、法第4条第1項により国土交通大臣が定める「マンションの建替え等の円滑化に関する基本的な方針」に留意し、併せて第1章の第2に定める基本目標の実現に貢献する次の項目に配慮又は対応した計画とする。
1 周辺の市街地環境等に対して配慮した建築形態であること。
2 周辺市街地の状況の変化等を踏まえ、計画建築物の形態、配置等について、地区の将来像を見据えた配慮がなされていること。
3 計画の規模及び周辺市街地の状況に応じ、都市施設若しくは公共施設等の機能補完又はこれらの負荷軽減のための具体的な措置を講じていること。
4 計画の規模に応じ、周辺市街地の防災、避難に有効な施設を設けていること。
5 福祉のまちづくりの推進に配慮したものであること。
6 計画の内容に応じ、適切に施設が計画されていること。
7 住宅の整備に当たっては、多様な世帯が居住する活力ある地域社会の形成及び高齢者等の居住の安定の確保に資する住宅の供給に配慮すること。
8 敷地内の空地及び建築物の屋上等について、緑化が図られていること。なお、公開空地の緑化については、東京都策定の「公開空地等のみどりづくり指針」(平成19年5月31日付19都市基施第74号)に配慮したものであること。
9 計画の用途、規模等に応じ、建築物の熱負荷の低減及び設備システムの省エネルギーに対する取組を環境への負荷の低減に高い効果を有するものとするなど、省エネルギー対策等によるカーボンマイナス(CO2の排出削減)について配慮したものであること。
10 建築物の高さ等について、実施細目第20で定める基準に適合したものであること。
11 地域力を生かした大田区まちづくり条例(平成22年条例第44号)に適合したものであること。
12 大田区景観計画(平成25年10月区策定)の景観形成基準に配慮したものであること。
第2 計画基準
1 公開空地
(1) 公開空地の定義
計画建築物の敷地内の空地又は開放空間((2)に定めるアトリウム、ピロティ等及び人工地盤等をいう。)のうち、日常一般に公開される部分(当該部分に設ける環境の向上に寄与する植栽、花壇、池泉等及び空地の利便の向上に寄与する公衆便所等の小規模の施設に係る土地並びに屋内に設けられるもの等で大田区長が深夜等に閉鎖することを認めるもの並びに実施細目に基づき承認を受けたICT利活用促進に資する通信機器を含む。車路並びに自動車及び自転車の駐車の用(実施細目に基づき承認を受けた自転車シェアリングのサイクルポートは除く。)に供する部分を除く。)で、(3)に定める公開空地の規模・形状の基準に適合する帯状又は一団の形態を成すものをいう。
(2) 公開空地の種類
ア 歩道状空地
前面道路に沿って設ける歩行者用の空地及び当該空地に沿って設ける修景施設(当該空地に接する部分から幅4メートル未満の部分に限る。)をいう。
イ 貫通通路
敷地内の屋外空間及び計画建築物内を動線上自然に通り抜け、かつ、道路、公園その他これらに類する公共施設(以下「道路等の公共施設」という。)相互間を有効に連絡する歩行者用通路(当該通路に沿って設ける修景施設のうち、その接する部分から幅員4メートル未満の部分を含む。)をいう。
(ア) 屋外貫通通路
貫通通路のうち、計画建築物の屋外に設けるもの(ピロティ等の部分を含む。)をいう。
(イ) 屋内貫通通路
屋外貫通通路以外の貫通通路をいう。
ウ アトリウム
計画建築物内に設ける大規模な吹き抜け空間で、天空光を確保できるものをいう。
エ 駅前広場
活用方針第7章の2(1)に定める駅前広場をいう。
オ 広場状空地
歩道状空地、貫通通路及びアトリウム以外の公開空地をいう。
カ 人工地盤等
人工地盤、建築物の低層屋上面、サンクンガーデンその他これらに類するものをいう。
キ ピロティ等
ピロティ、アーケード等の建築物又は建築物の部分をいう。
(3) 公開空地の規模・形状の基準
ア 歩道状空地
(ア) 幅員及び通行可能な部分の幅(以下「有効幅員」という。)が1.8メートル以上であること。ただし、当該有効幅員にあっては、歩道状空地に沿って有効幅員が1.8メートル以上の歩道がある場合は、この限りでない。
(イ) 歴史的建造物が存置される敷地部分にあっては、(ア)の規定にかかわらず、歩道状空地の幅員を1メートル以上、かつ、歩道を含んだ有効幅員を2メートル以上とすることができる。
(ウ) 原則として、歩道状空地内には、段差が設けられておらず、車椅子ですれ違いが可能であるなど福祉のまちづくりに寄与する構造であること。
(エ) 原則として、天空なものであること。
イ 貫通通路
(ア) 幅員及び有効幅員が1.8メートル以上であること。
(イ) 屋内貫通通路は、有効幅員が8メートル以上で、かつ、天井の各部分の高さが12メートル以上であること。ただし、当該敷地外の施設との歩行者ネットワークの形成を図るために設けられたものの天井の各部分の高さは、地下部分にあっては3メートル以上、地上部分にあっては6メートル以上とすることができる。
(ウ) 計画地の周辺市街地の歩行経路の短縮となるものであること。
ウ アトリウム
おおむね、幅が30メートル以上で、かつ、床面から天井までの高さが30メートル以上であり、他の公開空地と有効に連絡する吹き抜け空間であること。
エ 駅前広場
敷地等が鉄道駅に隣接していること。
オ 広場状空地
(ア) 最も狭い部分の幅は、3メートル以上であること。なお、当該広場状空地と同じ高さで接する歩道状空地及び屋外貫通通路については、当該部分に含むことができる。
(イ) 一の広場状空地(二以上の広場状空地が一体の空間を成し、かつ、相互間を有効に連絡するものを含む。この場合、当該空地面に高低差があるときは、その高低差が3メートル以内のものに限る。)の面積は、敷地面積の10分の1又は用途地域に応じて、下表に掲げる数値のいずれか小さい数値以上、かつ、50平方メートル以上であること。
なお、空地面積の最低限度の算定に当たっては、当該広場状空地と同じ高さで接する歩道状空地及び屋外貫通通路を当該部分に含むことができる。この場合、幅員が3メートル未満の部分を除くものとする。
(単位:m2) | |
用途地域 | 空地面積 |
第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域 | 300 |
第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、準工業地域、工業地域及び工業専用地域 | 200 |
近隣商業地域及び商業地域 | 100 |
(ウ) 全周長の8分の1以上が、道路、公園(一体的に利用されるものに限る。)、歩道状空地又は屋外貫通通路に接するものであること。
(エ) 原則として、天空で公開性が高く、憩い等の広場としての機能を有するものであること。
カ 公開空地に含まれるピロティ等及び人工地盤等
(ア) ピロティ等にあっては、天井の高さが6メートル以上で、かつ、奥行きが当該高さの2倍以内の部分であること。ただし、壁面の位置の統一を図るべき地区において、壁面の位置を統一するために設けるものは、天井の高さを3メートル以上とすることができる。
(イ) 人工地盤等にあっては、次のいずれにも該当するもの又は該当する部分であり、サンクンガーデンにあっては、その最も狭い部分の幅が最大の深さの2倍以上であること。
a 道路等の公共施設又は他の公開空地と幅員2メートル以上の階段若しくは傾斜路により、又は同一平面上で、2か所以上(その位置及び幅員により同等以上の効果があると認められる場合は1か所)で有効に通じていること。
b 道路等の公共施設又は歩道状空地(以下「道路等の公共施設等」という。)との高低差が6メートル以内であること。この場合、高低差とは、階段又は傾斜路により、道路等の公共施設等と有効に通じている部分における高低差(人工地盤等が高低差のある貫通通路又は他の広場状空地を経由して道路等の公共施設等に通じる場合には、当該貫通通路又は他の広場状空地と道路等の公共施設等との当該高低差を加えたもの)をいい、高低差の異なる2か所以上で接続する場合にはこれらの平均の高さをいう。
(ウ) 全周長の4分の1以上が道路等の公共施設又は他の公開空地と接すること。ただし、高低差が1.5メートル以内のものにあっては、全周長の6分の1以上とすることができる。
(4) 公開空地の有効係数
次のアからカまでの一に該当する一の公開空地の有効係数は、当該のアからカまでに掲げる数値(次のキに該当する場合はキに掲げる数値を乗じた数値)とする。なお、エに規定する駅前広場を除き、公開空地が2以上の有効係数に該当する場合は、それぞれに掲げる有効係数を乗ずるものとする。ただし、敷地の同一部分の上下にわたってそれぞれ別の公開空地を設ける場合において、当該公開空地のいずれかが歩道状空地であるときは、各公開空地に係る数値の積に0.5を加えた数値を、いずれも歩道状空地ではないときは公開空地に係る数値の和(1.5を超えるときは1.5とする。)をそれぞれ限度とする。
ア 歩道状空地
幅員が4メートル以下(建築協定、高度利用地区、地区計画等で歩行者の利便を目的として幅員4メートルを超える壁面後退の指定がある場合については、当該指定の範囲内)で道路との高低差が1.5メートル以下の歩道状空地の有効係数は、連続(二辺以上の連続を含め、出入口等による分断は必要と認められる範囲で連続とみなす。)する歩道状空地の長さに応じて、下表の(ア)及び(イ)の各欄に掲げる数値とし、その他の歩道状空地の有効係数は下表(ウ)に掲げる数値とする。
なお、連続する歩道状空地の長さは、必要な前面道路幅員を満たす前面道路に沿った歩道状空地の連続とそれ以外の歩道状空地の連続とに分けて算出するものとする。
計画形態 | 有効係数 |
(ア) 中枢広域拠点域外の区域 | |
① 長さが100m以上のもの | 1.7 |
② 長さが80m以上100m未満のもの | 1.5 |
③ 長さが60m以上80m未満のもの | 1.4 |
④ 長さが40m以上60m未満のもの | 1.2 |
⑤ 長さが40m未満のもの | 1.0 |
(イ) 中枢広域拠点域内の区域 | |
① 長さが100m以上のもの | 1.8 |
② 長さが80m以上100m未満のもの | 1.7 |
③ 長さが60m以上80m未満のもの | 1.5 |
④ 長さが40m以上60m未満のもの | 1.4 |
⑤ 長さが20m以上40m未満のもの | 1.2 |
⑥ 長さが20m未満のもの | 1.0 |
(ウ) その他の部分 | 0.8 |
イ 貫通通路
計画形態 | 有効係数 | |
(ア) 屋外貫通通路 | 0.8 | |
(イ) 屋内貫通通路 | ||
① 景観形成建築物の敷地内で歩行者ネットワークの形成を図る部分 | 0.5~1.0 | |
② 上欄以外の部分(その規模及び形態に応じて) | 0.3~0.8 | |
ウ アトリウム
計画形態 | 有効係数 |
① 歩行者ネットワークの形成を図るもの | 0.5~0.8 |
② 上欄以外の部分(その規模及び形態に応じて) | 0.3~0.6 |
エ 駅前広場
計画形態 | 有効係数 |
駅とまちが一体となる取組に資する貫通通路、アトリウム、ピロティ及び人工地盤等 | 1.0 |
オ 広場状空地
計画形態 | 有効係数 | |
(ア) 道路、歩道状空地又は屋外貫通通路(この表において「道路等」という。)で、幅員6m以上のものに接する一の広場状空地の面積が1,000m2以上のもの | ||
① 道路等に面する部分 | 1.2 | |
② 道路等に面しない部分 | 0.6 | |
(イ) 道路等に接する一の広場状空地の面積が300m2以上のもの | ||
① 道路等に面する部分 | 1.0 | |
② 道路等に面しない部分 | 0.5 | |
(ウ) 道路等に接する一の広場状空地の面積が50m2以上のもの | ||
① 道路等に面する部分 | 0.8 | |
② 道路等に面しない部分 | 0.4 | |
カ 人工地盤等
次の①から⑤までの2以上に該当する場合はその最大値とする。
計画形態 | 有効係数 |
① 人工地盤等がこれに有効に通じる道路、公園等の公共施設又は他の公開空地との高低差が1.5m以下の部分 | 0.8 |
② 人工地盤等がこれに有効に通じる道路、公園等の公共施設又は他の公開空地より低い位置にあり、その高低差が1.5mを超え3m以下の部分 | 0.6 |
③ 人工地盤等がこれに有効に通じる道路、公園等の公共施設又は他の公開空地より低い位置にあり、その高低差が3mを超える部分 | 0.4 |
④ 人工地盤等がこれに有効に通じる道路、公園等の公共施設又は他の公開空地より高い位置にあり、その高低差が1.5mを超え3m以下の部分 | 0.4 |
⑤ 人工地盤等がこれに有効に通じる道路、公園等の公共施設又は他の公開空地より高い位置にあり、その高低差が3mを超える部分 | 0.3 |
キ 低減その他の係数
(ア) 低減係数
利用形態 | 低減係数 |
① 歩道と合わせた幅員が6mを超える歩道状空地の部分又は幅員が6mを超える歩道状空地の部分 | 0.8 |
② 広場状空地のうち、計画建築物により冬至日の真太陽時の午前8時から午後4時までの間で全ての時間帯で日影となる部分 | 0.8 |
(イ) ピロティ等
壁面の位置の統一を図るべき地区において、壁面の位置を統一するために設けるものを除く。
計画形態 | 低減係数 |
① 歩行者ネットワークの形成を図るもの | 0.9 |
② 天井の高さが6m以上、かつ、奥行きが高さの2倍以内の部分 | 0.7 |
(5) 公開空地の質の基準
公開空地の質は、「公開空地等のみどりづくり指針」に配慮した上で、次に掲げる事項について、実施細目に定める基準に適合するよう努めること。
ア 周辺の緑との連続性
イ 樹種の多様性
ウ 既存樹木の保全・活用
エ 樹高の高い木の植栽
オ 芝生、水面等による被覆
カ 建築物上の緑化(屋上、壁面、ベランダ)
キ 生物多様性の保全
(6) 公開空地の危険防止
外壁又はこれに代わる柱の外面から、当該計画建築物の高さ(公開空地の地表面からの高さをいう。)の平方根の2分の1以内の距離の部分を公開空地とする場合は、実施細目に定める危険防止の措置を講ずるものとする。免震構造を採用する場合は、地震による振動時にも利用者に対して安全が確保されるように配慮すること。
2 住宅
(1) 住宅性能の基準
住宅性能は、次に掲げる基準に適合するよう努めること。
なお、等級は住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号。以下「住宅品確法」という。)に基づく日本住宅性能表示基準による。
ア 構造の安定性は、耐震等級2以上又は免震構造建築物、かつ、耐風等級2であること。
イ 火災時の安全性は、耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部))2以上、かつ、耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部以外))4であること。
ウ 劣化の軽減は、劣化対策等級3であること。
エ 維持管理への配慮は、維持管理対策等級(共用配管)2以上であること。
オ 高齢者等への配慮は、高齢者等配慮対策等級(共用部分)4以上であること。
(2) 高齢者向けの住宅の整備
高齢者向けの住宅を整備する場合には、サービス付き高齢者向け住宅等を5戸以上整備するものであること。
3 環境性能等
環境性能の評価対象建築物は実施細目に定める規模以上のものとする。
(1) 計画建築物の用途が住宅(住宅その他エネルギーの使用の状況に関してこれらに類するものをいう。以下(2)及び次章第2の1(2)(環境性能係数に係る部分に限る。)において同じ。)以外の用途である場合
ア PAL*の低減率が10パーセント以上、かつ、ERRが10パーセント以上であること。
また、PAL*の低減率が20パーセント以上、かつ、ERRが40パーセント以上となるよう努めること。
なお、PAL*の低減率及びERRは「都市開発諸制度の適用に関する環境都市づくりに係る規定の取扱い指針」(令和2年12月24日付2都市政広第449号)に準ずること。
イ アに加え、次に掲げる事項について、実施細目に定める環境負荷の低減に貢献する「優れた取組」又は「特に優れた取組」を行うよう努めること。
(ア) 再生可能エネルギー等の利用(太陽エネルギー利用など)
(イ) エネルギー負荷を軽減する設計上の工夫(タスクアンビエント空調、輻射冷暖房施設の導入など)
(ウ) 運用時のエネルギー低減につながる取組(ビル環境エネルギー管理システムの導入など)
(2) 計画建築物の用途が住宅である場合
下記のいずれかの基準に適合し、かつ、ERRが0パーセント以上であること。あわせて、実施細目に定める環境負荷の低減に貢献する「優れた取組」を行うよう努めること。
ア 全住戸の外皮平均熱貫流率※1≦0.87(w/(m2・K))
イ 住棟単位外皮平均熱貫流率※1≦0.75(w/(m2・K))
ウ 全住戸が住宅仕様基準※2の1(1(3)ロを除く。)の基準に適合すること
※1 建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令(平成28年経済産業省・国土交通省令第1号)第1条第1項第2号イに基づく外皮平均熱貫流率及び住棟単位外皮平均熱貫流率
※2 住宅部分の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準(平成28年国土交通省告示第266号)
4 防災施設
原則として、建築物ごとに次の基準を満たすこと。
(1) 防災備蓄倉庫の整備基準
原則として、用途ごとに下表の基準を満たす防災備蓄倉庫を整備すること。この場合において、防災備蓄倉庫の一か所当たりの面積は、1平方メートル以上とする。
用途 | 防災備蓄倉庫の必要面積 | 整備位置 |
業務 | 業務の用に供する部分の延べ面積※の0.001倍以上 | いずれの階からも最長歩行距離4層以内に1か所以上 |
住宅 | 住宅の用に供する部分の延べ面積※の0.001倍以上 | いずれの階からも最長歩行距離2層以内に1か所以上 |
その他の用途 | 1m2以上 | いずれの階からも最長歩行距離4層以内に1か所以上 |
※ 自動車車庫及び駐輪場の用に供する部分を除く。
(2) 自家発電設備の整備基準
原則として、以下の基準を満たす自家発電設備を整備すること。ただし、建築基準法第34条第2項による非常用の昇降機を設けなければならない建築物に限る。
ア 自家発電設備の出力数
用途ごとに下表により必要出力数を算出し、それらを合計した値以上の出力数を有する自家発電設備を整備すること。
用途 | 用途ごとの延べ面積※当たりの発電機出力数 |
業務 | 0.018kw/m2 |
住宅 | 0.006kw/m2 |
その他 | 0.014kw/m2 |
※ 自動車車庫及び駐輪場の用に供する部分を除く。
イ 燃料貯蔵施設の確保
次式で算出される数量(以下「貯蔵量」という。)以上の燃料を貯蔵するための施設を整備すること。ただし、やむを得ない事情により当該貯蔵施設が建築基準法別表第2に適合しない場合は、この限りでない。また、住宅の用に供する部分の延べ面積が全体の延べ面積の過半を占める建築物において、貯蔵量が1,950リットルを超える場合は、次式にかかわらず貯蔵量を1,950リットルとすることができる。なお、その他これらと同等以上の性能を有する動力源を整備する場合はこの基準によらないことができるものとする。
Q=B×E×H/w
Q:貯蔵量(l)
B:自家発電設備の燃料消費率(g/kWh)
E:自家発電設備の原動機出力(kW)
H:時間(h)

w:燃料密度(重油850g/l、軽油830g/l)
第4章 容積率制限の緩和
第1 容積率制限の緩和の原則
第2章に定める要件に適合し、第2に定める容積率制限の緩和の基準に適合する建築計画にあっては、建築基準法第52条第1項から第9項までの規定について、緩和の対象とする。ただし、公開空地等による容積率の割増しの適用を受けないものについては、第2の2から4までの規定は適用しない。
第2 容積率制限の緩和の基準
1 公開空地による容積率の緩和
(1) 緩和の対象
計画建築物の敷地内に有効公開空地率が第2章第1の1(6)イに定める有効公開空地率の最低限度を超える公開空地等を設ける場合
(2) 割増容積率の限度
ア 公開空地等による割増容積率の限度は次式による。
割増容積率(%)=(P-10)×α×((Vo/400)+Kx×β)×γ×Ky
P:有効公開空地率(%)
α:公開空地の質係数
Vo:基準容積率(%)
Kx:区域別係数
β:住宅係数
γ:環境性能係数
Ky:敷地規模別係数
α:公開空地の質係数
表1
事項 | 内容 |
周辺の緑との連続性 | 近隣の公園や隣接する公開空地等のみどりとの連続性 |
樹種の多様性 | 落葉樹・常緑樹のバランスのとれた植栽 |
既存樹木の保全・活用 | 既存樹木のうち、健全な樹木の保全・活用 |
樹高の高い木の植栽 | 植栽基盤を確保した上での、より樹高の高い木の植栽 |
芝生・水面等による被覆 | まとまりのある芝生地及び水系施設の整備 |
建築物上の緑化 (屋上、壁面、ベランダ) | 地上部から視認性の高い建築物上の緑化 |
生物多様性の保全 | 「生物の生息空間」の整備 |
表2
計画適合評価 | 公開空地の質係数 |
A | 1.3 |
B | 1.2 |
C | 1.1 |
D | 1.0 |
Kx:区域別係数
下表の区域により定める係数をいう。
計画敷地が存する区域 | Kx |
中枢広域拠点域内、枢要な地域の拠点地区 | 5 |
上記以外の区域 | 4 |
β:住宅係数
βは、次の計算式により求める。
β=1+住宅性能係数(β1)+高齢者住宅・子育て支援住宅係数(β2)+建替支援係数(β3)
ただし、1.45を上限とする。
住宅性能係数(β1)=0.05×前章第2の2(1)に定める住宅性能の基準への適合数。ただし、0.2を上限とする。
高齢者住宅・子育て支援住宅係数(β2)=0.005×サービス付き高齢者向け住宅等及び子育て支援住宅の整備戸数。ただし、0.25を上限とする。
建替支援係数(β3)=0.0025×超過容積率(%)。ただし、0.25を上限とする。
なお、建替支援係数の適用は、建築基準法第3条第2項の規定により、同法第52条第1項、第2項又は第7項の規定の適用を受けない既存建築物において、マンション建替法容積率許可を適用する場合に限る。
超過容積率は次式による。
(So-Ao×基準容積率)/A(%)
So:建築基準法第52条を適用するとした場合の容積率の算定の基礎となる延べ面積(m2)
Ao:既存建築物の敷地面積(m2)
A:計画建築物の敷地面積(m2)
γ:環境性能係数
①計画建築物の用途が住宅以外の用途である場合
評価 | 建築計画の内容 | 環境性能係数 |
A | PAL*低減率10%以上、ERR20%以上+特に優れた取組 | 1.3 |
B | PAL*低減率10%以上、ERR20%以上+優れた取組 | 1.2 |
C | PAL*低減率10%以上、ERR20%以上 | 1.0 |
・「特に優れた取組」、「優れた取組」とは、実施細目に定めるところによる。
②計画建築物の用途が住宅である場合
評価 | 建築計画の内容 | 環境性能係数 |
A | 前章第2の3(2)アからウのいずれかの基準に適合+優れた取組(1)+優れた取組(2)+優れた取組(3) | 1.3 |
B | 前章第2の3(2)アからウのいずれかの基準に適合+優れた取組(1)+優れた取組(2)又は(3) | 1.2 |
C | 前章第2の3(2)アからウのいずれかの基準に適合+優れた取組(1) | 1.1 |
D | 前章第2の3(2)アからウのいずれかの基準に適合 | 1.0 |
・「優れた取組(1)」とは、実施細目第7の2(1)に定めるところによる。
・「優れた取組(2)」とは、実施細目第7の2(2)に定めるところによる。
・「優れた取組(3)」とは、実施細目第7の2(3)に定めるところによる。
Ky:敷地規模別係数は1とする。
イ 地上部の緑化面積に応じて、アによる割増容積率の限度を以下の値により、増減するものとする。
(P-10)×((Vo/400)+1)×Kz (単位:%)
Kz:地上部の緑化係数
Kz=X-Xo (X≦Xo)
Kz=(X-Xo)/2 (Xo<X)
ただし、Kzの範囲は -0.05≦Kz≦0.05 とする。
X:当該敷地の地上部の緑化率
X=(地上部の緑化面積の合計)/(敷地面積×(100-指定建蔽率)×1/100(%))
Xo:緑化基準値
下表の各欄に掲げる数値
区分 | 緑化基準値 | |
敷地の区分 | 敷地の規模 | (Xo) |
ア 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域の敷地 | 1,000m2以上 | 0.45 |
イ ア以外の敷地 | 500m2未満 | 0.25 |
500m2以上1,000m2未満 | 0.3 | |
1,000m2以上 | 0.4 | |
なお、地上部及び建築物上の緑化は、大田区みどりの条例施行規則(平成25年規則第1号)第15条によるほか、実施細目に定める緑化の基準を満たすものとする。
また、緑化面積及び屋上の面積の算出方法は、大田区みどりの条例(平成24年条例第57号)及び同条例施行規則の規定によるものとする。
ウ ア及びイの規定にかかわらず、割増容積率の限度は、次の計画敷地が存する区域により、次に掲げる数値を超えることができないものとする。なお、割増し後の容積率は1,000パーセントを超えることはできない。
(ア) 中枢広域拠点域外の区域
基準容積率の0.5倍又は250パーセントのいずれか低い数値とする。
(イ) 中枢広域拠点域内の区域
基準容積率の0.75倍又は300パーセントのいずれか低い数値とする。
2 防災による容積率の緩和
(1) 緊急輸送道路の沿道の建築物の建替え
ア 緩和の対象
大田区耐震改修促進計画(平成20年3月制定。以下「耐震改修促進計画」という。)に記載された緊急輸送道路(震災時の緊急輸送や応急活動を担う防災拠点等を結ぶ輸送ネットワークとして、道路管理者が指定する道路をいう。)に接する敷地に昭和56年5月31日以前の耐震基準により建てられた建築物で、そのいずれかの部分の高さ(地盤面からの高さをいう。ただし、地盤面が、当該建築物の敷地に接する緊急輸送道路の路面の中心より低い場合は、当該路面中心からの高さをいう。)が、当該部分から前面道路の境界線までの水平距離に下表に掲げる当該前面道路の幅員に応じ、それぞれ下表に定める距離を加えた数値を超える建築物(耐震改修促進計画の計画期間内に工事に着手するものに限る。以下「緩和対象建築物」という。)を建替える場合
なお、この項目の緩和を受ける建築物は、第2の1(2)の住宅係数の算定に当たり構造の安定による基準を適合対象項目とすることはできない。
前面道路の幅員 | 加算距離 |
12m以下の場合 | 6m |
12mを超える場合 | 前面道路の幅員の1/2に相当する距離 |
イ 割増容積率の限度
(ア) (イ)及び(ウ)以外の場合
緩和対象建築物の従前の敷地面積の50パーセントに相当する面積を計画建築物の敷地面積(以下「計画敷地面積」という。)で除した割合。ただし、計画敷地面積が従前の敷地面積より小さい場合は、計画敷地面積の50パーセントに相当する面積を計画敷地面積で除した割合
(イ) 耐震改修促進計画において耐震化を図るべき建築物とされている民間の特定建築物で実施細目に定めるものを建替え、法に定める基準の1.25倍以上の耐震強度又はこれと同等以上の耐震性能を確保する場合
緩和対象建築物の従前の敷地面積の80パーセントに相当する面積を計画建築物の敷地面積で除した割合。ただし、計画敷地面積が従前の敷地面積より小さい場合は、計画敷地面積の80パーセントに相当する面積を計画敷地面積で除した割合
(ウ) 建築基準法第3条第2項の規定により同法第52条第1項、第2項又は第7項の規定の適用を受けないマンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号)第2条第1号に定めるマンションをいう。)で実施細目に定めるものの建替えを行う場合
超過容積率-100(単位:%)
※ 超過容積率の算定方法は第2の1(2)の規定による。
※ 超過容積率が100パーセントを超える場合に限る。
(2) 重点的に耐震化を図るべき建築物の建替え
ア 緩和の対象
耐震改修促進計画において耐震化を図るべき建築物とされている民間の特定建築物で実施細目に定めるものを建替え、建築基準法に定める基準の1.25倍以上の耐震強度又はこれと同等以上の耐震性能を確保する場合。ただし、(1)イ(イ)の場合に該当しないもので耐震改修促進計画の計画期間内に工事に着手するものに限る。
イ 割増容積率の限度
緩和対象建築物の従前の敷地面積の30パーセントに相当する面積を計画建築物の敷地面積で除した割合。ただし、計画敷地面積が従前の敷地面積より小さい場合は、計画敷地面積の30パーセントに相当する面積を計画敷地面積で除した割合
(3) 敷地の集約化
ア 緩和の対象
隣接地の所有者(所有者が当該隣接地を相続その他の一般承継により取得した場合は所有者及びその前主)が5年間以上保有していた土地を許可申請者が自ら計画建築物の敷地として集約化し、敷地の整形化を図る場合。ただし、集約化後の敷地面積が5,000平方メートル以下のものに限る。
イ 割増容積率の限度
敷地の集約化による割増容積率は、次式による数値とする。
割増容積率=集約化の評価点数の合計×集約係数(単位:%)
(ア) 集約化の評価点数
集約化する敷地面積 | 評価点数 |
100m2未満 | 5 |
100m2以上300m2未満 | 4 |
(イ) 集約係数
集約比率は、次式による。
集約比率=(集約化した敷地面積の合計/5,000m2)×100(%)
集約比率 | 係数 |
5%以上10%未満 | 1.2 |
10%以上15%未満 | 1.4 |
15%以上20%未満 | 1.6 |
20%以上25%未満 | 1.8 |
25%以上 | 2.0 |
3 公益施設等の整備による容積率の緩和
(1) 地域の防災性の向上に資する施設の整備
ア 緩和の対象
(ア) 活力とにぎわいの拠点地区又は枢要な地域の拠点地区において、区との協定等に基づき、住宅、病院及び社会福祉施設(社会福祉法(昭和26年法律第45号)第2条第2項及び第3項の事業を行う施設をいう。)の用途に供する部分以外に、実施細目に定める基準を満たす一時滞在施設を設ける場合
(イ) 水防法(昭和24年法律第193号)第14条に基づき作成された浸水予想区域図において、降雨により河川が氾濫したときに浸水が想定される区域内の計画建築物の敷地に深さ3メートル以上の雨水貯留槽を設ける場合
(ウ) 区の要請等に基づく施設を設ける場合
イ 割増容積率の限度
地域の防災性の向上による割増容積率は、次式による数値とする。なお、ア(ウ)に基づく場合で、整備に必要な部分の床面積の合計に相当する部分を算定することが困難な場合は、下表のとおりとする。
Ab/A×100(単位:%)
Ab:地域の防災性の向上に寄与する施設の面積
(ただし、ア(ア)に基づく場合は、待機スペースの面積×0.4とする。)
A:敷地面積
かまどベンチや災害用マンホールトイレなど地域の防災性の向上の資する設備 | 1つにつき0.5% (上限を5%) |
津波避難ビル(区との協定等に基づくものに限る) | 10% |
(2) その他の公益施設等の整備
ア 緩和の対象
次の(ア)から(ク)までに掲げる施設又はその建設予定地で、区の要請等に基づく規模等のものを計画建築物の敷地内又は境域内に設ける場合
(ア) 保安、公害防止等に寄与する施設
(イ) 地域社会の文化、教育等の向上に貢献する施設
(ウ) 福祉の向上に貢献する施設((キ)に該当するものを除く)
(エ) 一般交通の機能の向上に資する施設
(オ) 供給処理施設等の負荷軽減に寄与する施設
(カ) 歴史的建造物
(キ) 子育て支援施設
(ク) 公共交通の用に供する空間
イ 割増容積率の限度
公益施設等による割増容積率は、次式による数値をその限度として公益施設等の床面積に応じて緩和する。なお、整備に必要な部分の床面積の合計に該当する部分を算定することが困難な場合は、下表のとおりとする。ただし、「建築基準法第52条第14項第1号に基づく大田区容積率の許可に関する取扱基準」(令和2年11月6日付2ま審発第10889号。以下「建築基準法第52条第14項第1号取扱基準」という。)に該当する公益施設等、高齢者福祉施設等又は公共交通の用に供する空間については、当該施設の床面積(公共交通の用に供する空間の場合は、整備面積の水平投影面積とする。)を加えることができる。なお、公共交通の用に供する空間は、敷地面積に対する交通施設の整備面積の水平投影面積が、200%に相当する面積を上限とする。
(Vo/50)+80 (Vo:基準容積率(%))
道路の無電柱化 | 50% |
(3) 建築基準法第52条第14項第1号取扱基準に該当する部分の割増容積率の限度
(1)ア及び(2)アによる施設等の整備において、建築基準法第52条第14項第1号取扱基準に該当する部分の割増容積率の合計は、(2)イに掲げる限度に基準容積率の25パーセントを加えたものを上限とする。
4 自動車車庫による容積率の緩和
(1) 緩和の対象
一般公共自動車車庫
駐車場整備地区(駐車場法(昭和32年法律第106号)第3条に定める駐車場整備地区をいう。)において、駐車場整備計画(駐車場法第4条に定める駐車場整備計画をいう。)等で自動車の路上駐車対策の一環として、市街地景観に配慮した共同隔地駐車場として位置付けられた一般公共自動車車庫(建築基準法施行令第2条第1項第4号イ及び同条第3項第1号の規定により容積率制限に関して延べ面積に算入しないこととされる部分を除く。)を設ける場合
(2) 割増容積率の限度
共同住宅附属自動車車庫及び一般公共自動車車庫による割増容積率の限度は、公開空地等による割増容積率の2分の1以内とする。
第3 割増容積率の限度及び特例
1 公開空地、防災及び公益施設等による割増容積率の合計の限度
(1) 公開空地、防災及び公益施設等による割増容積率の合計の限度は、第2の1から3に定めるそれぞれの割増容積率の最高限度を合計した数値とする。ただし、以下に掲げるものを除き、第2の1(2)ウに定める割増容積率の最高限度を超えることはできない。
ア 建築基準法第52条第14項第1号の取扱基準に該当する部分
イ 公共交通の用に供する空間の割増容積率に相当する部分
(2) 防災及び公益施設等(第2の3(2)に定める公共交通の用に供する空間による割増容積率に相当する部分を除く。)による割増容積率の合計が、100パーセントを超える場合、当該合計から100パーセントを除した数値は公開空地による割増容積率以下とする。ただし、第2の2(1)に定める緊急輸送道路の沿道の建替えによる容積率の緩和を適用する場合は、第2の1(2)ウに定める割増容積率の最高限度の3分の2以下とする。
2 カーボンマイナスの取組に応じた割増容積率の限度
計画建築物が前章第2の3(1)ア又は同(2)アの基準を満たすことが著しく困難と認められる場合を除き、計画建築物が当該基準を満たしていない場合には、第2の1(2)により算出された数値に0.5を乗じた値をそれぞれの割増容積率の限度とする。この場合において、0.5を乗じる前の第2の1から4までの割増容積率の限度を合計した数値は、建築基準法第52条第14項第1号取扱基準に該当する部分の割増容積率に相当する部分を除き、第2の1(2)ウに定める割増容積率の最高限度を超えることはできないものとする。
3 公共空地による割増容積率の緩和
(1) 緩和の対象
計画建築物の整備と一体的に計画配置される道路、公園、緑地、広場その他これらに類する公共空地のうち、事業者の無償譲渡等に係るもので、かつ、都市計画決定(地区計画等を含む。)されたもの(計画建築物とおおむね同時期に決定されるものを含む。)又は地方公共団体により管理されるもの(開発行為等に伴い整備する提供公園等の受益者負担部分を除く。)
(2) 緩和の限度
当該公共空地面積に基準容積率を乗じて求められる面積を計画建築物の許容延べ面積に加えることができる。
4 高度利用地区内の計画に対する基準容積率の取扱い
高度利用地区内に計画する場合は、この章で定める割増容積率の限度を求める場合の基準容積率(Vo)を、第1章第4(7)に定める「基準容積率」の定義にかかわらず、都市計画で定める容積率及び計画建築物の用途により求められる容積率の限度を適用しない場合の容積率の限度を基準容積率とみなして、1の規定による公開空地等による割増容積率の限度を算定するものとする。
5 容積率制限の割増しを受ける計画建築物に対する形態制限の付加
第2の規定により容積率の割増しを受ける計画建築物で、基準容積率に割増容積率(他の手法により割増容積率を受ける場合は、それらの合計とする。)を加えた割増し後の容積率を適用する場合で、道路斜線制限規定である建築基準法別表第3(は)欄に掲げる数値(距離)が割増し前の基準容積率を適用する場合の数値と異なるときは、次のいずれかの要件に該当しなければ、割増容積率を制限するものとする。ただし、隣接地の用途地域、土地利用状況又は当該敷地からの方位等により、市街地環境の整備改善に支障がないと判断できる場合はこの限りでない。
(1) 緩和後の容積率による同法別表第3(は)欄に掲げる規定に適合すること。
(2) 建築基準法第56条第7項第1号の規定により、緩和後の容積率による同法別表第3(は)欄に掲げる規定と同程度以上の採光、通風等が確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物であること。
第5章 雑則
第1 雑則
1 計画建築物の敷地が二以上の区域、地域又は地区の内外にわたる場合の取扱い
計画建築物の敷地が区域、地域又は地区の内外にわたる場合は、本要綱に別に定めのある場合又は建築基準法第52条から第56条の2まで及び第58条に規定する場合を除き、原則としてその建築物又はその敷地の全部について、敷地の過半の属する区域、地域及び地区の建築物に関するこの要綱の規定を適用する。
2 既存建築物の特例
(1) 許可を受けた建築物を増築等する場合、改めて許可を受けなければならない。ただし、特定行政庁が、許可条件に影響せず、やむを得ないと認める軽微なものについては、この限りでない。
(2) 許可を受けた建築物の増築等に当たり、改めて許可を受ける場合、許可を受けた際の要綱に適合し、現行要綱の規定に適合しない部分を有する計画は、特定行政庁が、現行要綱への適合が困難であり、やむを得ないと認める範囲で、当該建築物や建築物の部分及びその敷地に対し、当該規定は適用しないことができる。
3 その他
この要綱の実施に関して必要な次の事項は、別に実施細目で定める。
(1) 公開空地及び公共空地である旨の標示
(2) 公開空地及び公共空地の維持管理
(3) 許可申請手続及び申請図書
(4) この要綱の適用を受ける計画建築物等に設ける屋外広告物の設置基準
(5) マンション建替法容積率許可による建築物である旨の標示
(6) 緑化の基準、標示及び維持管理
(7) その他本要綱の運用に際し必要な事項
付則
この要綱は、平成28年4月1日から施行する。
付則(令和3年3月25日2ま審発第11417号)
(施行日)
1 この要綱は、令和3年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 改正前の要綱の基準を満たす建築計画で、この要綱の施行の際、既に許可申請(計画変更の許可申請を含む。)された建築物又は現に改正前の要綱の規定により計画中(計画変更の計画中を含む。)の建築物で当該計画中の建築物の建築主の申出(令和3年6月30日までになされた申出に限る。)に基づき令和3年7月31日までに区長が「計画中の建築物」と認めた建築物のうち、令和4年3月31日までに許可を受けたものについての改正前の要綱の規定は、この要綱の改正後も、なおその効力を有する。
(計画変更の特例)
3 前項の規定にかかわらず、施行日前に改正前の要綱の規定により許可を受けた建築物(前項の規定による認定を受けたものを除く。)について施行日以後に計画変更の申請をするときは、施行日前に改正前の要綱の規定によりなされた手続又は処分(計画変更に係る部分を除く。)は、改正後の要綱の規定によりなされた手続及び処分とみなして、計画変更に係る部分について改正後の要綱の規定を適用する。